今日もまた、長い皮肉と嫌味が飛んでくる。せっかくうまい飯食べたのに。まぁそれを作ったのはこいつだが。
ここは彼が住んでいるアパートで、ランサーはバイト先でもらった食材を持って来て彼に料理してもらったのだ。
ため息を吐いて、ランサーはまだ喋っているアーチャーに目をやった。
「ほんと可愛くねーな、お前」
「は? こんな男を可愛いと思うほうがどうかしている」
「あ゙あ゙? んだとこら。オレがどうかしてるって?」
ランサーはアーチャーを睨む。馬鹿にされては黙っていられない。
しかし、アーチャーは困惑していた。
「?」
「なんだよ」
「いや、別に君のことを言ったわけでは」
「何言ってんだ、オレがどうかしてるってお前が」
「それは私のことを可愛いと思うほうが…?」
「…!!」
ランサーは思わず手で口を塞ぐ。
だって、それはつまり……
アーチャーは困惑したままランサーを見つめている。
羞恥に堪えられず、ランサーは逆ギレしてしまう。
「お前を可愛いって思ったら悪ぃのか!」
「は!?」
「可愛いだろ! 料理中に鼻歌唄ったり、作った料理に『うまい』って言ったら照れくさそうにはにかんだり、その黒パジャマだってよく見ると可愛く見えてくるだろ!?」
「!??!?」
一気にまくし立てたランサーは荒い呼吸のままアーチャーを睨みつける。
アーチャーは顔を真っ赤に目をぐるぐるさせて、パッと霊体化してしまう。そのままアーチャーの気配は消えてしまい、ランサーはその場に崩れ落ちた。
「ほんとどうかしてるわオレ」
逃げ出したアーチャーはどこかの屋根の上で蹲っていた。
ランサーの言葉を反芻し、アーチャーは混乱している。
意味がわからない。ランサーは何が言いたかったんだ。
そして、一番意味がわからないことがひとつ。
ランサーに「可愛い」と言われて嬉しくなっている己だ。
「私もどうかしている…」
アーチャーはため息を吐き、頭を抱えた。