第2回「高い不要不信」で遠ざかる若者とオールドメディア 記者の未来考
オールドメディアが響かない Z世代のリアル②
だれもが情報発信できる「1億総メディア時代」。無料の情報があふれ、朝日新聞を含む「オールドメディア」は埋没し、生成AI(人工知能)の浸透が、その流れに拍車をかける。
偽情報が社会をゆがめ、意見の食い違いが再強化されるSNSの弊害が指摘されても、紙の新聞の発行部数は落ち続け、ネット上の存在感低下も否めない。
入社から5~6年、地方を中心に基礎的な経験を積んできた20代後半の記者は、この春から政治や経済、社会、くらし科学医療といった専門部に分かれて、報道の第一線を担う。
そんな若手記者が直面する何よりも重たい課題は、取材を徹底することで事実に迫り、何重にも確認してようやく完成するニュースやコンテンツを作る以上に、いかにそれを届けるか、にある。
取材から戻り、原稿を書き始めようと机に向かう時。まとめた原稿を出稿するその前後に決まって悩む。「このニュースやコンテンツは、どうすれば多くの人に届けられるのか」
悩みが深まる最大の要因は、とりわけ遠くに感じる同世代の存在だ。
紙の新聞やデジタル版でいくら大きく報じても、同世代の友人から「記事を読んだ」と言われることはほぼない。SNSでも発信し、音声や動画による解説にも取り組んできたが、実感は変わらない。
新聞の購読者がシニアに偏るなか、会社や業界の見通しは開けない。若手同士で悩みを打ち明け合っても、会話は出口が見えないまま、ため息まじりに何となく終わる。
少し冷静になれば、同世代に届かない理由はすぐに思い付く。
だからといって、社会や、そこに生きる多くの人にとって、確かな意味があると信じて送り出すコンテンツが、同世代に届かなくてもいい、とは思わない。
20代後半の記者7人が同世代50人に質問
私たちのコンテンツをどう届けるのか。まずは、同世代を知らなければ、答えにたどり着けないと考えた。20代後半の記者7人が集まり、身近な友人・知人50人にニュースやメディアの利用状況について、一定の質問形式で聞いた。
結果からは、私たちが漠然と抱いていた「若者に届いていない」感覚が、具体的に裏付けられた。オールドメディアへの不信は、必要な情報を使い手に合った形で届けられていない不満の裏返しだった。
厳しかった「答え」 デジタルネイティブ世代に届く発信とは
さらに同世代の生活環境や習慣、情報への根本的な考え方を深掘りしようと、回答者のうち男女3人に記者が追跡取材した。
「ニュースは届いていますか?」
「ニュースは信用できますか?」
「そもそもニュースは必要ですか?」
「答え」はいずれも厳しかった。厳しい現実を乗り越えるヒントを得ようと、若者に支持されている「ReHacQ」の創設者、同世代のトレンドに詳しい専門家、様々なメディアを渡り歩く元朝日新聞記者に教えを請いに行った。
複合的で構造的な問題も明らかな中で、結局は答えが見つからず、絶望だけが残るかもしれない。
それでも、安易な「結論」に逃げず、まずは現実を直視し、何ができるかを考えたい。
私たちが、ニュースとメディアの未来を模索する先には、デジタルネイティブ世代への発信に悩む企業や個人にとってのヒントが見つかるかもしれない。そうした世代が社会の中心となり、政治や経済を動かす世論を形作っていくことが必然の中で、連載を通じて未来の一端も描いていきたい。
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