KF2とは、Killing Floor 2というPvEの協力型FPSである。
2015年4月に早期アクセスから始まり、2016年11月にフルリリースとして発売された。
最大6人で組むチームは、ウェーブ制で襲い来る敵「ZED」を倒し続ける。ウェーブ間に武器や弾薬を購入し、装備を整えて最後のボスウェーブに挑むまでが1マッチとなっている。
この記事では、KF2というゲームを通して僕が経験した人との交流、そしてMOD開発が与えたキャリアへの影響、そのすべてについて記述する。
2020年7月、知人の紹介でEpic Games Store (EGS) なるプラットフォームを知る。Epic Gamesはゲームエンジン「Unreal Engine」の開発を手掛ける企業である。そのEpic Gamesが提供するPCゲームストア「EGS」は、週替わりでゲームを無料配布していることで有名である。
ちょうどこの頃に無料配布されていたのがKilling Floor 2だった。
KF2は発売当初から長年にわたって3,000人規模の同時接続者数を維持してきたが、決して広い層に知られているタイトルではない。こだわりの過激なゴア表現もあって、日本のPSストアでは販売が規制されている。そんなKF2を、無料とはいえ何故インストールする気になったのか。その理由には僕のゲーム遍歴が関わっている。
僕のゲーム歴は当サイトのゲームページにも掲載しているが、2019年まではほとんど星のカービィシリーズしかプレイしていなかった。幾つかのカービィ以外のプレイタイトルも、基本的には任天堂ゲーム機で遊ぶものばかりで、PCゲームにはほとんど触れてこなかった。
しかし、2017年頃から僕はゲーム実況を見るようになった。知人に勧められて最初に見たのが、ホラーゲーム実況者「ガッチマン」による「Dead Rising」の実況だった。淡々とスムーズに、かつジョークを交えながら、様々なゲームをプレイする様子に魅せられ、以後約3年にわたって僕はガッチさんの実況を過去動画から最新動画まで見漁った。
その中にKilling Floor 2のプレイ動画もあった。
着実にPCゲームへの関心という土壌が培われていた中、ガッチさんが過去にプレイしていたゲームが無料配布されているのが目に入り、僕は遊んでみようという気になったわけである。
かくして2020年7月、KF2を始めた僕はすぐにそのゲーム性に魅了された。基本的には4~10ウェーブからなるマッチを繰り返し遊ぶ、というゲーム。繰り返しプレイして技術を向上させていく過程や、レベルを上げてスキルを解放させていく過程、また単に射撃体験が楽しかった。
実際、KF2およびKF1の射撃体験はあまり類を見ないそれとなっている。その独特な射撃体験を実現させている最大の要素は集弾率の高さである。多くの武器の精度が非常に高く、精密射撃しやすいのである。もちろん反動がないわけではない。射撃をすれば銃口は、設定された縦反動と横反動に基づき動く。しかし多くの武器では、発射した弾は最初に狙っていた点に寸分違わず着弾する。
精密射撃しやすいという点で、FPS初心者にも易しく、そして慣れれば一生ヘッドショットを狙えるという気持ちよさが、このゲームにはある。
最初のしばらくはソロで遊んでいたが、ある程度プレイしてから満を持して、オンラインに参加するようになった。 オンラインゲームというのは初めてだった。ボイスチャットは利用していなかったが、テキストチャットか、あるいは単にゲーム内のジェスチャーだけで意思疎通を図り、ウェーブクリアという共通目標に向けて共に戦う。その体験がひたすらに楽しかった。
KF2にはEndlessモードというものがある。通常のサバイバルモードでは、最大10ウェーブ+ボスで終わりだが、エンドレスモードでは最大255ウェーブまで終わらない。僕はこの最初期のころ、難易度Hard・Endlessにドハマりしていた。なお、Hardは4段階のうち下から2番目なので易しめの難易度である。
当時存在したManimani na Are Serverにその男はいた。
KF2には、公式サーバーもあるが、ほとんどのサーバーは有志のユーザによって立てられたサーバーである。Manimani na are Serverは、難易度HardのEndlessモードを提供していたサーバーで、当時僕はこのサーバーに毎晩のようにアクセスしていた。そしてその男も毎晩のようにこのサーバーに現れたのである。
その男は「su」と呼ばれた。当時僕らは特に約束をするでもなく、毎晩のようにこのサーバーに集まり、VCを繋ぐわけでもなく、深夜までエンドレスモードを遊び続けた。
KF2にはカスタムマップなどをダウンロードできるSteam Workshopがある。Epic版でもSteam Workshopに公開されているマップをダウンロードして遊ぶことはできるのだが、カスタムマップを自分で作るには、Steam版に付随しているSDKが必要だった。
カスタムマップの制作に関心を抱いた僕は、SDKをダウンロードするためにSteam版を購入、以降Steam版の方をメインのセーブデータとするようになった。
そしてSteam版に移行したことによって、僕はついにsuへフレンド申請を送ることができた。インターネット上にできた最初のフレンドだった。
2020年11月、コロナ下の支援金10万を利用して遂に僕はゲーミングPCを購入した。逆にここまでオンボードのノートパソコンでよく遊べていたと思う。実際プレイ中はいつもGPU使用率が100%で極めて高熱になり、後にこのノートPCのメモリは片方、熱で破壊された。 またゲーミングPCを入手したことで、KF2の動画投稿活動も始まった。
この頃の僕はとにかく誰かとVCを繋いでゲームをしたいと考えていた。その時たまたま見てみたKF2の配信アーカイブに、その人は参加していた。
その人は「おさむ」と呼ばれた。Endlessで見かけたことのあるプレイヤーが、その配信アーカイブで喋っている様子を視聴した僕は、すぐさまSteamの最近一緒にプレイしたユーザ一覧からおさむにフレンド申請を送信した。 申請が受理されると、僕は早速VCを繋ぎながら遊ばないかと誘った。振り返ってみると結構急すぎて怖いが、実況動画を上げていたことが僕という不審人物の透明性に貢献したらしく、普通に承諾されて楽しく遊べた。
Hostile Groundsで、ヘッドショット上手と褒められたことをよく覚えている。
次に僕が出会ったのは、XiNya(シンヤ)さんという動画投稿者だった。どうして一緒に遊ぶことになったのか、よく覚えていないが、確かXiNyaさんの投稿していた実況動画にコメントして誘ったような気がしている。数回遊んだきり一緒に遊ばなくなってしまったが、当時まだあまり挑んでいなかった、Hardの一つ上の難易度「Suicidal」に連れて行ってくれた。
Firebug武器のドラゴンブレスが、めちゃめちゃ燃やせると教わったのを覚えている。
この経験を経て、僕とsuは共にSuicidal帯へと進出していった。suとはこの頃もまだVCを繋いでいなかった。VCを繋がずに遊ぶ期間が長かったため、今更VCに誘う勇気が無かったのである。
2020年12月頃には、ソロから少しずつ最高難易度Hell on Earthに挑むようになっていった。翌年2月、遂にDiscordサーバー「あさぴっぴのパーティ」を開設し、広く共に遊ぶ仲間を募集するに至った。
2021年3月頃に集まった初期メンバーをのちに、チーム Classic Zedsと呼称した。その一人目がMakoさん、最強のメディックである。
曰く、プレイヤーの被弾ボイスをも頼りにダメージを受けたプレイヤーを特定し、即座に回復する。実際、その洗練された回復手腕のおかげでこのチームは数多のHoE (Hell on Earth)マッチを乗り切り、彼女がいない時は敗北した。
YouTubeを見て参加してくれたMakoさんに加え、元々交流のあったsuとおさむを加えた4人が最初のメンバーだった。この頃になってようやくsuともVCを繋ぐようになったのである。
続いて、同じく3月中にWFrogことカエルさんが参加した。
カエルさんはすべての武器の可能性を信じて実証の限りを尽くす、生粋のサバイバリスト(すべての武器にボーナスが乗るパーク)だった。EMPグレネードを使えばドーシャインガンでFPのスタンを取れることも、彼の動画から学んだ。(別に要らない知識ではある)
最後の一人のmiaさんがDiscordに参加したのは、少し空いて7月の事だったが4月頃には既にゲーム内で出会っていた。
この6人ではVanilla環境で様々なマップ、武器等を存分に遊びつくした。
KF2には射撃パークと非射撃パークという二つの分類がある。アサルトライフルを扱うコマンドーや、ハンドガンを扱うガンスリンガーといった射撃パークの対極として、近接武器を扱うバーサーカーや、爆発武器を扱うデモリッショニストなどである。
この2つの分類は、高難易度ほど対立しやすく、特に非射撃パークは射撃パークに煙たがられることが多い。その原因や詳細についてはプレイスタイルの相違と対立に関する一考察にまとめている。
このような背景から、KF2にはMODを導入して射撃パークだけが遊べるように調整された、射撃パークサーバーが点在していた。
その内の一つがzefaさんの運営するHeadShot Server、通称HS鯖だった。
HS鯖で導入していた主たるMODはRestrict Perk And Weaponという、特定のパークと武器を禁止するMODだった。Iramokさんら他が2017年に開発したこのMODは、プレイヤーの選択可能なパークや武器を制限する機能のほかに、敵の最大同時湧き数 (MaxMonsters)やウェーブ当たりの敵総数、敵体力などを変更する機能を持っていた。
HS鯖は射撃パーク、射撃武器以外を禁止し、敵の湧きなどもVanillaのHell on Earthよりも激しく設定していた。また、zefaさんが自ら製作し、HS鯖限定で遊べたカスタムマップ、HSシリーズは、射撃パークに最適化された構造をしていた。
僕は2021年4月頃からsuを連れてこのサーバーに参加するようになり、射撃厨への道を歩み始めていた。 リリさんというKF配信者と出会ったのもこのサーバーである。
また、6月頃になるとHS鯖にはEliteマップと呼ばれるカスタムマップが追加されるようになった、Eliteマップでは、通常の湧きに加えて、一定のタイミングで大型ZEDが強制的に追加される仕様になっていた。
HS鯖に参入し始めたのと同時期に、僕はもう一つの射撃厨界隈「CD鯖」に参加し始めていた。
CD鯖とは、Controlled Difficultyという、難易度を任意に変更するMODを採用したサーバーのことであり、専らその設定は射撃パークに最適化され、射撃サーバーとして機能していた。
当時、日本に常設されていたCD鯖は、Graphさん運営のGN Serverのみだった。
HS鯖では、管理者によって事前に設定された難易度を遊ぶ、という体験になっていた一方で、CD鯖は参加者がその場で難易度を設定する、というものになっていた。したがって、参加者のうち少なくとも誰かは、CDというMODについてある程度知見が無ければならなかったのである。
射撃厨界隈はかなり狭いコミュニティである。GN鯖では初期、suimufさんやriceさんといったベテランCD民に出会った。どうしてもマルチでCDを遊びたかった僕は、Twitterでsuimufさんに、CD民はいつ集まりがちなのか尋ねたりなどして、CDのコミュニティに参入していった。suimufさんとriceさんはそれぞれ、5月、10月に僕のDiscordサーバーに参加してくれて、以後VCを繋ぎながらよくCDを遊んだ。
suimufさんは、「マグナムを信じろ」とか「Zedtimeは気合で延長しろ」などの精神面のアドバイス?をくれた一方で、riceさんはより技術面のアドバイスをしてくれた。当時の僕はVanillaの立ち回りの名残で、2種の大型ZEDのうちスクレイクにデザートイーグルを、フレッシュパウンドにマグナムを明確に使い分けていた。しかし、マグナムの処理速度には限界があり、すべてのフレッシュパウンドをマグナムで処理し続けることはあまり有効でないことを指摘された。以降、処理速度重視のシーンではデザートイーグルを使い続けたり、マグナムの代わりにAFを持つなどして、立ち回りの最適化を図った。
当時、日本に常設CD鯖はGN鯖しかなかったが、hageさんが遊ぶときにのみ開かれる禿鯖もこの頃に存在した。 GN鯖との決定的な相違は、選定されたCDのEditionである。CDはblackout氏の開発したオリジナルから、いくつもの派生が生まれており、それぞれ持つ機能が異なった。GN鯖ではHUNTER氏が開発した、機能豊富なバージョン「Eternal Edition」を採用しており、一方で禿鯖では基本機能のみに抑えられた「Blackout Edition」を採用していた。禿鯖では加えて武器のアップグレードも禁止していたため、難易度や敷居と共にこちらの方が高かったと言える。
2021年7月、あさぴっぴ1020サーバーが開設された。既存のサーバー、既存のMODでは満足できなくなり、僕は理想のサーバー、理想のMODを自作しようという結論に至ったのである。
最初はCD以外にも幾つかのカスタムゲームモードを開発していたが、最終的にはCDのみの開発を継続して行うことになった。
あさぴ鯖のCDはBlackout Editionをベースに、他のMODで見られた有用な機能を組み合わせるところから始まり、不便と感じた点の改善や欲しい機能の追加を続々と行った。
主な開発内容をその意図と共にまとめる。
約1年間の開発と運用を経て、あさぴ鯖のオリジナルCDはCombined Editionとして、2022年9月14日に一般公開された。 韓国ではCombined Editionを採用したサーバーが立てられるなど、東アジアで特に人気を博した。 現在はBlackout Edition, Eternal Edition, Chokepoints Edition, Tamari Serverと並ぶ5大CD派生の一つとなっている。
一方で僕自身はこの頃からCDのプレイ時間が少しずつ減っていった。 2022年末までには多くのCDプレイヤーがこの界隈を去った。
あさぴCD鯖は、当時カゴヤVPSを利用したレンタルサーバーで運営されていた。毎月3850円という費用がかかっており、CDへの熱意の減衰と、コミュニティの縮小を受け、翌2023年2月にはサーバーの閉鎖を決定した。
当時の僕はちょうど就職活動中の大学生であり、この開発経験を経て、大学の専攻とは全く関係のないプログミングを職とすることにした。面接では開発経験の例としてCDのソースコードを提示し、僕はIT企業への内定を得た。
さて、CDとの関わりはついに終わるかと思われたが、ここで思いがけない展開を迎える。 zetsuさんがCDサーバーを引き継ぐ形で開設したのである。これを受けて僕はCDの開発を再開、あさぴによるCD開発とzetsuさんによるサーバー運営という体制が敷かれた。
以降のアップデート情報はこちらにまとめられている。
KF2が僕の人生を決定的に変えてしまったのは、主に次の2点についてである。
Killing Floor 2というゲームを介して、非常に多くの人に出会った。そこには、何年も前からKF2を遊んでいた人もいれば、僕より若いプレイヤーもいた。日本人もいれば、韓国人や中国人、タイ人、ロシア人、ブラジル人もいた。
一緒にVanillaを遊んでくれた人がいた。変なカスタムマップやカスタムモードを遊んでくれた人がいた。CDを遊んでくれた人がいた。
かつて、FatCatさんの動画を見て憧れたCDに参入し、新しく作ったコミュニティにいにしえのCD民たちも参加してくれた。国境の垣根を超え、MOD開発の先駆者たちが、僕のCD開発も助けてくれた。
そして、5,000時間のゲームプレイに加えて、費やしたMOD等開発の時間は、僕に経験を与えてくれた。
zetsu鯖は常設CD鯖のみならず、夏や冬に連日でイベントを開催し、その他MODやカスタムマップの遊ぶ場を提供してくれた。2024年4月、Webエンジニアとしての仕事を始めた僕はまた、少しずつCDから離れていった。この頃は、omakusaさんによる臨時サーバー「ot鯖」も頻繁に立てられていた。最もストイックなot鯖、それよりは制限が緩いzetsu鯖、そしてさらに制限を減らされたKR Public Server、CD界隈は多様化していた。
また、2024年の後半にはリリさんがTwitchでのCD配信を精力的に行い、CDの新規層獲得に貢献していた。同時に、古参勢と新規勢では遊びたい設定にズレが生じ、摩擦も起きていた。
2025年1月、zetsu鯖も遂に閉鎖した。ほとんど同時期にomakusaさんもオンライン上から姿を消し、ot鯖も開かれなくなった。日本のCD鯖は完全に失われた。以降は、KR Public Serverが東アジアにおけるCD鯖の最有力な選択肢となった。
また、長らくVanillaを一緒に遊んでいたClassic Zedsもこの頃に活動を停止した。
heloさんによるCD鯖の提供と機能拡張は2026年5月現在も続いている。しかし、日本人のCD民はそのほとんどが引退した。
実際、僕自身ほとんどKF2を開かなくなったが、またみんなでCDをやる日が来ることを密かに願っている。
KF2のWorkshopには多数のMODが公開されているが、大量にアップロードされたカスタムマップも魅力的なコンテンツである。その中でも、カスタム任務マップというコンテンツは一味違った体験を提供していた。
そもそもマップファイルには、Kismetというマップ内で設定できるプログラムがある。たとえば、指定のエリアにプレイヤーが入ると、ZEDが湧くようにしたり、指定のボタンにインタラクトすると別のエリアへテレポートしたり、といったプログラムである。
中でも任務マップでは、そのカスタマイズの幅が非常に広い。ウェーブ数を任意に設定できたり、指定条件をクリアするまで敵を無限湧きにしたりなど、さながらMODでカスタムゲームモードを作ったかのような体験を創出できるのである。僕も任務マップを利用し、放置しているだけで経験値が入りまくるマップを作った。
韓国プレイヤーのレミリさんは、カスタム任務マップ製作者の筆頭である。2021年ごろは、特にレミリさんのカスタムマップ限定のサーバーがいくつも立てられていた。よくsuを連れまわして奇妙なマップの数々を遊んでみたのを覚えている。また、当時まだフルメンバーじゃなかったチームClassic Zedsは、たまたま知り合ったAloraさんと共に高難度マップ「Teamwork Challenge 1」を攻略した。ここではCDのような射撃厨に特化した環境とは異なり、様々なパークを用いることで攻略できる楽しみが用意されている。
2023年の夏と冬にはzetsu鯖のイベントでEscape Nightmaresをプレイする機会があった。Teamwork Challengeよりも遥かにボリュームの多いこのマップを、夏のイベントではWave2すらクリアできなかった。僕は冬のイベントまでに、Waveクリアごとに進捗をセーブするMutator「Escape Helper」を制作し、全滅時は直前のWaveからやり直すという条件でありながらもどうにか完走した。この時も、Aloraさんと一緒に攻略した。