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【HA】SSS集めてみた【期間】/Novel by 畑野香夏子

【HA】SSS集めてみた【期間】

11,583 character(s)23 mins

■やってきましたホロウ期間。毎日ひとつずつあげたかったけど無理だった!のでせめてこれだけでも!■チャットでやってた即興sss集です。コンセプトは「台無し」。兄貴の扱いが安定の兄貴なので注意してね!あと腐ってはいないよ!■表紙の全体図はこちら→illust/38985121■もっかい言うけど槍弓でも弓槍でもないよ!腐ってはいないはずだよ!

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【明日はもうない】

 たとえばそれは一握の砂。
 さらさらさらさら、指の間をくすぐりながら抜け落ちて、二度と返ることはない。やさしく乾いた感覚だけを残して、全ては滑り落ちていく。

 それはしあわせなユメだった。
 いつまでも続くと信じられた。
 ……けれど、今日を限りに幸福な時は終わりを告げる。

 明日は、もう、無い。


「―――ということで、断食でござる」
「な、なんと……!?」

 もうないもの=衛宮家の食費



【裏切ったのはどっち】

「……信じていた。君を」
 呟いた声は小さく、しかしはっきりと彼の耳に届いた。
「私と君はある意味同じ境遇だ。同病相憐れむということでもないだろうが、君が私を売ることはないだろうと、なんとはなしにそう思っていた。―――信じて、いた」 激情を殺した、淡々とした男の言葉。それを受けて、彼は皮肉げに口許を歪める。平素の朗らかな彼には到底思えぬ、白々とした笑み。
「ハ。―――それはこちらのセリフだ」
 ぎらりとひかる双眸は獣のそれ。
「そういった意味ではオレもテメエを信じていたよ。なんだかんだつるむことも多かった。腐れ縁程度には思っていた。……それを、テメエは裏切った」
 男は器用に片眉をあげる。それが白を切ろうとしているようにしか見えず、彼はぎりりと歯噛みした。
 男を売った? 自分こそ彼を売っただろう。踏みにじられたちっぽけな親愛(なかまいしき)が虚しくて、それを誤魔化すように彼はしらばっくれんじゃねえと怒りをあらわに怒鳴る。「カレンにオレの楽園(つりば)教えやがっただろテメエ―――!!」
「貴様こそ私の癒やし(ねこのえさやり)を凛にバラしてくれただろう―――!!」

幸運:Eふたりのくだらない喧嘩(犯人は愉悦部)



【あまりにも遅すぎた】

(……ああ、オレは、また間に合わなかったのか)

 あまりにも変わり果てた彼女の姿に、彼は絶望する。
 月の光の金髪も愛らしい相貌も彼の知る彼女のままに、陶器の肌だけが人形じみて白い。
 固く拳を握りしめる。もう少し、もうほんの少し、少しだけ早く、制止が間に合っていれば、こんな悲劇は防げたかもしれないのに。

 ―――しかしその後悔は、こうなってしまった今ではあまりにも遅すぎた。「セイバーのアホ毛はお触り厳禁だたわけ―――!!」
「よーくわかった悪かった、反省したからこの暴君どうにかしてくれください……!!」

ドラゴンとらんす戦記に弓が居合わせたら



【なんでこんなことに】

 ヒトならざるモノ―――ヒトより高次のモノ故のプレッシャーが、じりじりと膚を焼く。

 胸を喘がせ、しかし表面だけは取り繕って、凛はかろうじて笑んで見せた。
 息が詰まる。逃げ出したい、意地も見栄もかなぐり捨ててそう思うのに、それすらもかなわない。

 ―――否、逃げる訳にはいかないのだ。

 今は違う戦いに臨んでいるだろう少年と従者を思う。ならば凛にできることはひとつだけ、少しでも多くの時間を稼ぐこと―――!!「せ、セイバー? それも似合うけど、こっちの服も着てみない?」
「ふむ。しかし私はこれも気に入りなのだが」
「もちろんそれも可愛いけど、ほら折角だから、ね、お願い……!」
「……リンがそこまでいうなら、まあいいだろう」

 こうなった原因―――自分の好奇心を恨みつつ、凛は丁重に暴君のお召し替えに従事した。

続き



【楽園追放】

 原初の人間は知恵を得たがために楽園を追放された。
 唆したのは悪魔なる蛇。
 しかし楽園に林檎の木を植えたのは神なのだ。

 ――人の楽園追放は、神の策略ではなかろうかという思いが頭から離れない。


「だからこれは不可抗力でああでも俺とセイバーのハッピー食事ライフが……(しくしく)」「気持ちはわからんでもないが自業自得だ、手を動かせたわけ」

続きの続き



【繰り返しの果てに】

 一体幾たび繰り返したのだろう。

 わからない。それを知る術はない。
 もしかしたら、と頭の隅で誰かが囁く。繰り返しの果てにこれは永遠となるのではないかと。かぶりを振って不吉な妄想を打ち消す。繰り返しに膿んだだけだ、そんなことは真実ではない。

 ―――けれど、終わりが見えないのだ。この繰り返しに、果てはあるのだろうか。


「…………ハンバーガー、あと何個作ったらあの腹ぺこ暴君は満足すると思う?」
「さてな」
 隣でせっせとジャンク作成中の黒いのは、大分投げやりに言い捨てた。

続きの続きの続きで最後【願ったこと全てが叶う世界ではない】

「私の魔術特性は【経過を省いて結果を出す】。つまり、私自身が方法を知らなくても、手順をすっ飛ばしてそうできちゃうの」

 冬の少女は誰ともなしに呟いた。

「……だけどね、本当のお願いは叶わないの。心の底から願ってることこそ、かなわないの」

 ふわりと、微笑むその顔は、

「こんなにも、願っているのにね―――……」

 まるで、


「ああ本気で殺したい、いいえころすキリツグまじ殺す………!!」
「……アハハ、イリヤは厳しいなあ……」

 娘の背後に三面九手の鬼を見て、衛宮切嗣はがっくりうなだれ涙した。



【あなたのうしろにいるの】
「…………霊体化してそれはちょっとやめてくれない? なんか本気で背後霊っぽいから」「使い魔呼ばわりの次は背後霊呼ばわりか……」



【人は自分が信じたいことしか信じない】

「嘘だ!!」

 たまらず少年は叫んだ。悲鳴じみた声音に表情ひとつ動かさず、男はいっそ冷酷に告げる。
「貴様が信じようが信じまいが、それが現実だ。――ならば、呑み込むしか無かろうに」
「違う、そんな、俺は、そんなこと……!」
「受け入れろ。それは避けようもない運命そのものだ」
「だって、そんな……!」

 わかっているのだ。ただ、信じたくないだけ。少年の硝子の心に、その事実はあまりに残酷だった。


「文化祭で喫茶店やるのはいいとして、なんで俺がメイド服……っ!!」
「……諦めろ。大体あかいあくまの所為だ」【いっそ殺して】
 ふわふわ、ほわほわ。
 やわらかくて、愛らしいもの。
 見るものすべての頬をゆるませ、抱きしめずにはいられない。そんなもの。


 ―――そんなものが何故、


「……え?……ぶははははははははははお前なにそれ何でネコミミ――!?」

 私の頭に生えているのか……!!

大体虎聖杯のせい。



【食べてしまいたいほど】

 酷く愛らしいその姿は、人から愛されるために生まれて来たのだろう。

 白く肌理の細かな、あまぁい匂いのする肌に鼻を寄せる。かじりつけばきっと甘い。うっとりと恥じらうように微かに震える様を見つめる。少し力を込めれば容易く壊れてしまうだろうことがわかるから、触れはしない。 けれど例え触れたとしても、きっと拒否はされないだろう。少し困ったように窘められるだけ。

 しかし、だからこそ手は出さない。今はまだ時ではない。ああでも、我慢もそろそろ限界なのだ。早く、早く、


「食べてしまいたい……」
「紅茶が入るまでに涎を拭いてこいセイバー」

それ:ババロア



【私の頭がいいました】

 それはカタチどられた闇。まったき純粋な悪意。深淵よりもなお昏い漆黒。そして血の赤。

「―――くすくす。どうしてそんな顔するんですか、先輩?」
 血管のように顔に走る模様を歪ませて、桜は楽しそうにころころと笑った。座り込んだまま彼女を見上げる少年は、赤銅色。
 ……頭から赤を被ったように、全身を真っ赤に染めている。「…………さ、くら……」
「はい、なんですか先輩?」

 楽しそうに愉しそうに、笑う彼女に正気の色は見当たらない。
 緊張に喉を鳴らし、しかし言葉もない少年の周囲には少女たち。金、銀、黒、赤、白、とりどりの髪色の彼女らはけれど、皆一様に血溜まりに沈んでぴくりともしない。

「さあ、先輩」

 三日月の笑みで桜は嗤う。滑るような足取りで、白い足を赤く染めながら少年に近づき、服が汚れるのも構わずに前に跪く。僅かに身を引く少年を瞳を細めて縫い付けて、桜は白魚の繊手をそっと少年の頬に伸ばした。ぬるつく赤が黄色みの膚に映え、そのコントラストが美しいように思えて、桜は微笑む。

「―――これで、ふたりっきりですよ?」「……なんてステキ妄想炸裂中なのだけど。どうしたらいいかしら」
「今あの家ん中入りたくねえよなー……。なんかウネウネしてんの見えてるし」
「いいから助けろよお前ら―――!?」

偶然衛宮邸の玄関先でかち合った兄貴と奥様。



【願いの果て】

 いつか、憧れた。
 願い、駆けてきた。
 今まで、今も、きっとこれからも。
 あの赤はその理想のカタチ。果たされた願い。とてつもなく憎たらしいけれど、ほんの少しだけ誇らしい。
 俺もいつか、あの背中に追いつけるだろうか。あの男のようになれるだろうか。

 もし、もしも、そうだとしたら、それは―――、


「……ああ、めっちゃ憂鬱だなあ……」

 港で騒いでいる三馬鹿から、他人の振りして背を向けた。【じっくりことこと】

 ことことと鍋が歌う。きんいろの光の溢れる台所に、ゆるやかな時間が流れてゆく。
 待ち人は未だ帰らず。その時間さえしあわせだと、魔女は小さく微笑んだ。


「今日は煮込みうどんです!」
「……そうか」

 『煮込み』の名を冠するとおり、煮込みすぎて三倍ほどに膨れ上がった、最早『麺』とは形容したくないそれを、某高校教師は顔色ひとつ変えずたいらげた。

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