セタ弓詰め合わせ
ぷらいべったーに上げていたセタ弓の再録です。
1p目:エセケルティック生贄弓
2p目:診断メーカーお題
3p目:診断メーカーお題のBDSMっぽいセタ弓
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《セタ弓詰め合わせ》
セタンタ×生贄弓
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ケルトにおけるドルイドの生贄ネタで盛り上がった末の産物です。
ケルト文化についても生贄の儀式についても詳しくないので色々間違っているかと思いますが、出来れば細かいところは気にせず雰囲気のみでお楽しみ下さいませ。
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何故私が供物に選ばれたのかと言えば、ここの民には誰ひとりとしていない褐色の肌であることと、脱色してもいないのに真っ白な体毛のためであったが、一番の理由は己がどうあっても異邦の民だったからだ。
こればかりは、真実そうであるからどうしようもない。
だが丁重に扱われている。
清潔な亜麻のチュニックを着せられ、髪も髭も丁寧に整えられた。
ただ殺される、というよりも何と恵まれたことか。
私に生贄用の食事を運んできた者は、そうは思っていないようだが。
「だってもったいねぇじゃねぇか」
頬を膨らませながら、眉間にシワを寄せて不貞腐れる。
逃げ出さぬように腕を拘束された私のために、小さな指でハシバミの実を摘まんで口に入れてくれた。儀礼のための食事なのだろう。盆にはいつも食べているような穀物の粥やパンではなく、木の実ばかりが載せられている。
「せっかく、おれが拾ったのによ」
ちぇ、と拗ねる姿はお気に入りの玩具を取り上げられた子供のそれだった。
自分の知る男のものよりも色薄い、高い空のような蒼色の髪をした美しい少年は、自分が拾った風変わりな異邦人を思いのほか気に入っていたらしい。
「異界のものを還すって言われちゃ、おれはドルイドじゃねぇからもう何もできん。無理言って食事運んで食わすのは、やらせてもらったけどさ」
ちくしょう、どうせならおれが殺してやりたかったのになぁと、口を尖らせて拗ねる姿は微笑ましいが、発する言葉は殊の外物騒だった。
「君自らか」
「応。短剣を突き刺すんだ。苦しみ方や血しぶきから、未来を読みとるんだぜ」
でもドルイドが刺して未来視に使うんだから、やっぱりおれが殺してはやれないか、と紅玉の目を細めて面白くなさげにしょげる。
この時代の人間ではない私の感覚では、ぞっと背筋が凍るようなおぞましさを感じてしまうが、ここの世界では生贄という文化が生活と共にある。この時代に生きる彼が、儀式の供物を手ずから殺してやりたかったというのなら、それはおそらく好意からの言なのだろう。
嬉しいと思っていいのかすらもわからないが。
「異界に還すってんならきっとアレだ。殴り付けて寝てる間に、首絞める道具で絞め上げて、喉を掻っ切る。んで沼に沈める」
……それが明日の己の運命か。
生前といい、つくづく首に縁がある死に方だな、と思わず拘束された手で首の辺りを撫でてため息を吐く。
「……怖がんねぇんだな」
「これでも怖がっているつもりだが?」
「いンや、死は避けられないけど方法にうんざりって顔だ。
ああクソ!やっぱりおれが殺してやりたかった!」
そう言うと仰向けで地面にドサリと倒れこむ。敷物の上とはいえ、そのままジタバタと暴れ出してしまいそうな細身の少年に、思わず苦笑が零れた。
「何故そんなに固執するんだ。私はそんなに珍しい生き物だったかね?」
そう問いかけると、少年は腹筋の力だけでガバリと起き上がる。
「だってお前、本当は戦士だろう?」
真剣な表情で見つめ返す瞳は神性を示す紅い色で、その色に射抜かれただけでどきりと心臓が跳ね上がった。
「そうだ。戦士なのに、まだちゃんと戦ってない。でも、おれの力が足りてない」
くしゃりと表情が歪む。
「おれの力が足りないから、お前を戦士として死なせてやれず、ただ異界に還すしかできない。
一戦……しても、くやしいがお前の本気には、今のおれの実力じゃ足りねぇだろうな」
完全に意気消沈してしまった少年は、うち捨てられた子犬のようだった。
その姿を微笑ましいと思うのは失礼にあたるのだろうが、やはり可愛らしいし、自分に心を寄せてくれたことが純粋に嬉しい。こちらもつい、緩んでしまう。
「……君が。
君が武者立ちをして、大人になって。もっとずっと先になれば、戦うことが、できるかもしれん」
そんな言葉を、口走る。
途端、縮こまっていた子犬がぱあっと顔を綻ばせた。
「本当か?!そいつはアレか?予言か?!」
「いや、どちらかというと願望だ」
「願望だっていい!そうか、そうだな!」
少年はすっくと立ち上がると、両手で私の頬を挟む。
「明日は儀式だから、おれはお前に何も与えてやれん。だが名を交わそう。
おれはセタンタ、アルスターのセタンタだ」
「……エミヤだ、セタンタ。
君の未来に、数々の栄光があるよう」
笑顔を、作ったつもりだが、眩しそうに顔を歪めただけに見えたかもしれない。そのくらい、この少年は眩しく美しかった。
君の未来を知っている。
その壮絶で鮮やかな生き方を。
その先にある形と、いつか戦う夜のことも。
名を交わしたことに満足したのか、少年は発音しにくいのだろう私の名前をブツブツと口の中で呟きながら、頬に添わせた両手を離した。
「エミヤ。いつか必ず、本気の死闘を。
お前の旅路は遠い。おれと闘るまで、いき惑うなよ」
こちらを見据えるその顔つきは、幼いながらもいつかの猛獣のそれだった。
周りの温度が下がり、内部の血が滾るような殺気。
ああ本当に。
この男はたとえ幼くとも腹が立つくらい魅力的な獣だと、そう思いながら首肯した。