(4/7 完結)他人の空似
初投稿。
アニメのUBWを見て無印SNとHAを先日クリア。
ありがちなネタ、n番煎じですが、一度は自分の手で形にしてみたかった。
盛大な捏造あり。
その他諸々色々と大目に見て下さい。すみませんごめんなさいm(__)m
4/7 完結です。追加部分は34ページ目以降です。
Aルート、Bルートと分けてますが、一番最後の部分(46、47、48ページ)は同じです。
読みづらかったら申し訳ありません。
加筆修正、あるいは大幅な改変などがあった場合はまた後日。こっそりと本ができました。BOOTHに少部数置いてます。
完売しました! ありがとうございますm(__)m
ページ数が大変なことになってるorz
文字数も大変なことになってるo......rz
閲覧、評価、ブクマ、ありがとうございましたm(__)m
(追記)ブクマコメありがとうございます。そっと差し出してみます…… つハンカチ
(追記2)アンケート撤収しました、ご協力本当にありがとうございましたm(__)m 後日談など興味をお持ちいただき嬉しかったです!
(追記3)ブクマコメありがとうございますm(__)m そう言って頂けると書いて良かったなぁと思います(^^
46ページは手紙についてどうしても触れたくて入れた箇所なので、28Bからの方がしっくり来るかと思いますが、Aから繋げたときが少し残念だったので、修正するなら冒頭に持って来てもいいかなーと思ってる箇所でもあったりします。けれど好きと言って頂けて嬉しいので、支部のはそのままにしておこうと思います。ありがとうございました!
(追記4)ひとまず書かせて頂いてます、後日談→novel/5515877
(追記5)ブクマコメありがとうございますm(__)m 読んで頂くことで少しでもお時間を潰す役に立てたのなら幸いです(^^
(追記6)ブクマコメありがとうございますm(__)m
小説というのは読んで下さる方の視点や感受性により、同じ作品に対しても感動の度合いや好き嫌いが分かれるものだと思っております。拙作を読んで心を動かして頂いたことと、それをこうして伝えて頂いたことに、心の底から感謝の念を覚えました。
こちらこそ、読了して下さりまして本当にありがとうございましたm(__)m
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休日、天気の良い昼下がり。
衛宮士郎はトヨエツのタイムセールを勝ち抜いた。いつものことだ。特に感慨も無い。
たまたま調理油やみりん、醤油などといった水物が同時に切れたため、その日の荷物は重い。加えて卵まである。
戦いに勝ったからと言って油断は禁物。
家に帰りつくまでがタイムセールです。
うむ。
一つ頷き、両手に提げた袋と紙袋をしっかり抱え直す。
そうして視界の一部が塞がれてしまったため、彼は気づけなかった。死角から、猛スピードで自転車が突っ込んでくることに。
ブレーキ音が響いて、そちらに目を向けたときには、
(あ、これだめだ)
かわせない。
ふと脳裏に"DEAD END"のテロップ、続いて見覚えのある虎もとい姉貴分とブルマ姿の白い妹(あるいは姉)の顔が浮かんだ、などということは断じてないと言い張る。
ともあれせめて、卵だけでも庇わなければ。無駄な足掻きと知りつつ抱えた紙袋を抱き込んで、
「あぶない!」
という声と共に、走り込んできた誰かに突き飛ばされて荷物が落ちた。
ぐしゃりという音が、末路を伝えて来る。
ああ俺の戦利品。
自転車は通り過ぎて行ってしまったらしい。見覚えのある、とてもとても長い髪がチリンチリンという音と共に尾を引いていたような気がするが、それはさておき。
「大丈夫ですか」
「あ」
声をかけられて褐色の手を差し伸べられて、一応助けてくれたらしい人物にお礼を言おうと顔を上げて――
「な、」
その手を思い切り叩き落した。
「何のつもりだよッあんた!?」
その手の主が、よく見知った顔だったからだ。
本当に何のつもりだ。
いつもは後ろに撫でつけられた真っ白な頭髪を落とし、黒縁の眼鏡をかけた彼はスーツ姿だった。
手に皮のカバンを提げた姿は、どこからどうみても会社の勤め帰りの社会人。
「何のつもり、って」
社会人のコスプレをした英霊――アーチャーがそれに眉を垂らした。心底から困惑したような顔に、むしろ自分の方が困惑してしまう。
何か様子がおかしい。そう思いつつ、どうしても目の前の相手に対しては条件反射のように敵と見做してしまうスイッチが入るらしい。
自分で身を起こしつつ、ため息一つ。手をぱんぱんと打ち払いつつ、落とした荷物を拾い上げた。
「卵は――っと、あーあ」
おひとり様、2パックまでだった卵は1パックはかろうじて無傷に近い。が、もう1パックは半分以上が割れてしまっている。がくり、と肩を落とす。
「お前が要らんことするから、卵割れちゃったじゃないか」
完全に八つ当たりだと分かっていつつも食ってかかる。コスプレ英霊殿もこれには流石に応戦するだろう、と続くであろう皮肉の羅列への対策を脳裏で練っていると、
「……どうやら差し出がましい真似をしたようで申し訳ない。詫びにもならないが、これを」
どうぞ、と差し出されたのは何時の間に買ってきたのか、手には大判焼き。
おかしい。
どうもこれは本格的におかしい。
「……」
まじまじと相手の顔を眺めると、相手は先ほどの困惑した表情のままに小首を傾げる。
「残念ながら卵は弁償できないので、代わりにと思ったんだが――」
「アーチャーお前、熱でもあるのか」
それとも遠坂に、何か魔術の実験台にされておかしくなったとか。
そんなことを言いつつ手を伸ばし、前髪を上げて額に触れる。暖かいが、熱は無さそうだが。
それよりも。
「ふむ」
こちらの手が放れていくと、コスプレ英霊殿は顎に手を当て鋼色の瞳を伏せた。片眉だけ上げ、何やら考えるように3秒ほど。
「どうやら君は、人違いをしてしまってるんじゃないかな」
「え?」
「私は通りすがりに、初対面の君につい不要なお節介を焼いてしまっただけで。その、君の知るアーチャーさんとやらに、それほど似ているのかな?」
言われた内容を咀嚼、嚥下、消化するまでにきっかり5秒。
ぼん。と。
あまりの恥ずかしさに顔が爆発したかと思った。
「え、ええええええーーーーーー!!!?」
「本当にすみません、俺、初対面の年上の、しかも親切な人にすごく失礼なことして」
「気にしてないよ。それに私も要らぬお節介をして君の卵を割ってしまったし」
とりあえずこれ以上騒いで衆目を集めるのも如何なモノか、と二人して公園へ移動した。
後から思えばその場で詫びて礼を言って、お互い後腐れなく立ち去れば良かったのだけれども、どうしてかそうすぐに別れたくないと思ったのだった。
アーチャーそっくりの男は衛宮士郎にベンチに座らせると
「少し待っててくれないか」
と言って席を外した。
荷物を隣に置いて、大きく息を吐く。焦った。本当に焦った。まさか人違いだったなんて。
そういえば誰だったか、"世界には自分とよく似た人間が3人は居るらしい"などと言っていたような気がする。
そのうちの一人がこんなに近く、同じ冬木の町に居て、しかもあんなに普通に暮らしているのだとアイツが知ったとしたら、どんな反応をするだろう。
"「だからどうしたエミヤシロウ、そんなどうでもいいことばかり考えている暇があるのなら、やるべきことは山ほどあるのではないか」
この未熟者。"
と、まぁそんなところだろうか。面白く無い。全然面白く無い。仏頂面で思わずため息を吐く。
そこへ目前へ、にゅっ、と缶コーヒーが現れた。視線を上げる。
「どうぞ」
「あ、えっとその」
ありがとうございます、と消え入りそうな声で言うと、ムカツクアイツと同じ色の――いや、よく見れば少しだけ違った。アイツの鋼色より僅かに青みがかっている――瞳が、ほんの少し緩んだように見えた。
それに何故だかホッとしたような焦ったような、どうしていいのか分からないような気持ちになって、衛宮士郎は視線を泳がせた。
「大判焼きも良かったら。冷めてしまったけど、まだそう味は落ちてないと思う」
「え、でも、そんな」
「実は君にお節介を焼く直前、ふと小腹が減って買ってみたんだけど一人では食べきれないのでね。良かったら、人助けと思って食べてもらえないだろうか」
そんなことを言いながら彼は自分の缶コーヒーの封を切り、大判焼きを一つ取り出し、ぴんと背筋を伸ばしたままにぱくりと一口齧って見せる。
中身は粒あんのようだ。静かに口を動かし、ごくりと喉仏を上下させた。それからふむ、と頷き、
「買い食いなんて何年ぶりか……たまには悪くないな」
などとマイペースにのたまう。その姿に、今度こそ肩の力が抜けた。気がつかぬうちに気を張ったままでいたようだ。
「それじゃ、遠慮なく」
まだほんのりと暖かいそれを自分も齧りつく。あ、美味しい。後でセイバーに買って帰ろう。
缶コーヒーの封を切り、喉に流し込むと、思った以上に身体は冷えていたらしい。食道から胃を通じ、暖かな流れが体に染みわたって行くようだ。
そして、
「本当にすみません、俺、初対面の年上の、しかも親切な人にすごく失礼なことして」
気がつくと、そんな一言が自然と落ちていたのだった。
それに微かに笑って、相手は気にしてないよ、と言う。
それきり特に話すこともなくなり、お互い黙って大判焼きを齧る。
けれどもそれが全く気詰まりでも無い。
不思議だ、と衛宮士郎は思った。
こうして近くでしっかりと相手を視て、言葉をかわしてみて初めて分かった。
彼の"造詣"はアーチャーに本当によく似ていて、それでいて纏う色彩は違う。
たとえば瞳の色もそうだし、髪の色や肌の色、表情筋の使い方、声音も、少しずつ、しかし決定的に違う。
まるで、
(アイツが――エミヤシロウが、別の道を選んだらこうなっていたかも知れない……とでもいうかのように)
思わず不躾に相手を見てしまっていたのだろう。彼がふと顔を上げると、
「そんなに私は君の知り合いに似てるいるかな」
苦笑を浮かべて問われ、口の中に残っていた大判焼きの最後の一口を嚥下しつつ頷く。一人称も同じだし。
「そうか。実は私も君によく似た人物を知っていてね。見間違えたわけではないんだが、ついお節介を焼いてしまったんだ」
言いながら相手もちょうど大判焼きを食べ終わったらしい。ちらりと腕時計を一瞥、さて、と立ち上がりながら、さりげなく空になった缶をこちらの手から引き抜き歩き出した。
慌ててこちらも立ち上がると、近くのゴミ入れへ缶を入れた彼はそのままにっこり笑って、
「この後用事があるので、これにて失礼するよ。――また縁があったら」
さらりとそんなことを言って、傾いた陽がオレンジ色に染め上げる世界の中を悠然と歩き去って行ったのだった。
お疲れ様でした。 地の文が凄く読みやすく、面白かったのです。物語に引き込まれる素敵な作品をありがとうございました!