「93万枚」が廃止されていたマイナンバーカード このままでは“第2の住基カード”に? 「多くの人が“便利さ”を感じていない」
Suicaに敗れる
「ご存じないのも無理はありません。当時の日本はまだブロードバンド環境が整っていなかったため、ほとんどの人が見ることができませんでした。政府が関わるとこんなことになります。一方、ちょうどこの頃からデンマークなどの北欧諸国はブロードバンド環境を整え、アプリの開発を支援、インターネットが使えない人には手厚いケアをしてきました。それを20年続け、北欧諸国はIT先進国と呼ばれるようになりました」(荻原氏) また、コロナ禍では台湾にIT力を見せつけられた。 「日本政府が最初に行ったのは“アベノマスク”の配布でしたが、台湾のデジタル担当相だったオードリー・タン氏は薬局や医療機関のマスクの在庫状況をリアルタイムで表示する“マスクマップ”というアプリを開発。台湾人はマスク不足に慌てることがなかったのです」(荻原氏) そして、マイナンバーカードの不便さは能登半島地震で立証されたという。 「震災時、河野太郎デジタル相(当時)は自身のXで《マイナンバーカードはタンスに入れておかないで財布に入れて一緒に避難して》と呼びかけました。マイナ保険証と連動しているので薬の情報が避難所などで共有できるとか、避難所の入退状況を把握するために役立つとのことでした。しかし、マイナ保険証で見られるのは医療報酬の明細書であるレセプトにすぎず、それが登録されるまでには2カ月ほどの時間がかかる。数日前に抗生物質が出されたとか、リアルタイムの情報がないのです。そんな情報が共有されても役には立たないでしょう。また、避難者の状況確認には、結局、マイナンバーカードではなくSuicaが使われました」(荻原氏) 言うまでもないが、JR東日本の交通系ICカードである。
第2の住基カードに
「避難所を訪れるごとにカードリーダーで読み取り、避難者数などを把握したそうです」(荻原氏) Suicaのほうが便利だったということか。 「マイナンバーカードの発行には時間がかかりますからね。それに、Suicaぐらい便利でなければ普及はしません」(荻原氏) マイナンバーカードは今後どうなるのだろう。 「日本は形だけの“なんちゃってIT”ばかりのように思います。コロナ禍ではコロナ関連であれば予算が付きましたし、今はIT関連であれば予算が付いている。予算を取るためのITでは、マイナンバーカードも便利になることはないでしょう。カードの期限は発行から10回目の誕生日までですから、当初に取得した人はちょうど今、更新時期です。自分では更新作業がままならない病院に頻繁に通うようなお年寄りは、資格確認書があれば十分ですから更新もしないでしょう。マイナンバーカードに便利さを感じなかった若者も更新しない。さらに10年経ったときには、第2の住基カードになっているかもしれません」(荻原氏) そんな中、マイナンバーカード取得の義務化を検討するよう、自民党が政府に提言する予定であることが、5月19日付の朝日新聞で報じられた。記事によると《デジタルの恩恵をすべての国民が感じられる社会を目指す》ためには《国民全員がマイナカードを取得している前提が必要》なんだとか。 まずは国民の声に耳を傾けたほうがいいのでは? デイリー新潮編集部
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