山口県下関市立小学校の男性教諭が「事実無根のメールを市教育委員会に送られ、名誉を毀損(きそん)された」として、勤務する小学校の児童の保護者を相手取って、35万円の損害賠償の支払いを求め提訴した。下関簡易裁判所(竹尾信道裁判官)は、訴えの一部を認め、保護者に3万3000円の賠償を命じる判決を言い渡し、8日に確定した。教育現場では「カスタマーハラスメント(カスハラ)」や「モンスターペアレント」などの問題が多発しており、判決は各方面に波紋を広げそうだ。
判決文などによると、保護者は児童の父親で、昨年9月26日午後9時ごろ、下関市教委の公式ホームページを通じて「授業中のトイレについて」という件名のメールを送信した。
自身の氏名、住所、電話番号を添え、「男性教諭らが、授業中にトイレに行こうとする児童をやかましく怒鳴り上げているのを目撃した。社会人でも勤務時間中にトイレに行くのは禁止されていないのに、児童を怒るのはおかしい」「下関市はこのような常軌に反した教師を採用しているのかと思うと理解に苦しむ」などと書いた。
しかし、学校の調査で、事実は確認されなかった。取材に対し男性教諭は「全く心当たりがなく事実無根で、内容はでっち上げ。通り魔にあったような気分でした」と振り返る。
男性教諭は「後続の教師たちのためにも、こうした行為には断固とした態度が必要だと考えた」と、訴えることを決意。精神的苦痛を受けたなどとして35万円の支払いを保護者に求め、提訴した。
裁判所は「保護者のメールが名誉毀損にあたる」としながらも、内容が事実ではなかったと、保護者が早期に認めて謝罪の機会を求めたことや、「軽率かつ無責任とは言えても害意があったと認めるに足りない」などとして、3万3000円の支払いを命じた。
毎日新聞は保護者にも取材を申し込んだが、保護者は「もうこれ以上はこの問題に触れたくない」とだけ回答した。【山本泰久】