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P 「手当たり次第アイドルたちを振る」/Novel by 鈴木ブリリアント達也

P 「手当たり次第アイドルたちを振る」

72,383 character(s)2 hrs 24 mins
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Pがアイドル達を振る話です。 長いです。 後々ヤンデレ展開ありです。


SS初心者で書くのは初めてなので温かい目で見てくださると幸いです!

では、どうぞ。



P 「自意識過剰かもしれないがオレはアイドルに好かれてるのかもしれない」


P 「ライクじゃなくてラブのほうな!」


P 「だが、憎からず思われてるのは嬉しいが今後このままだとスキャンダルとかでアイドル活動がおじゃんになってしまうかもしれない」


P 「この前なんか牽制で彼女がいるとか言ったら速攻でバレたし他に方法があるとしたら…」


P 「……!」 ティン


P 「Pちゃんティンときちゃったぜ! アイツらにオレが好意を持ってると思わせてから振ろう!」


P 「…非常に心苦しいが、それしか浮かばないし 何より彼女達のためだ」


P「よ〜し、最初に来た娘からちゃっちゃとやっちめえますか〜 極悪非道な人の気持ちになるですよ〜」


ガチャ


P 「……!」


凛 「おはようございます。 …あ、プロデューサー」


P (凛か… 凛はどうなんだろうか? まゆや智絵里のようなあからさまにオレに好意を持ってる娘じゃないし…)


凛 「あれ、今朝は1人なんだ? ちひろさんは?」


P 「ああ、ちひろさんはもうちょいで来るそうだよ。 野暮用で少し遅れるって」


凛 「ふーん、そうなんだ。 プロデューサーは何してんの?」


P 「オレか? オレは今みんなのスケジュールを確認してたんだ」


凛 「そっか。 あ、コーヒー入れるよ。 ちょっと待ってて」


P 「ああ、悪いな」


P (凛はクールで今時の娘って感じなんだけど根はとても優しくて思いやりがある娘なんだよなぁ オレが初めてスカウトしたアイドルで何気に一番付き合いが長いし)


凛 「はい、プロデューサー ブラックでいいんだよね?」 コト


P 「おお、あんがとさん」 ずずっ


凛 「どうかな?」


P 「うん、美味しいよ いつも通りの味だ」


凛 「前も聞いたかも知れないけどよくブラックで飲めるよね」


P 「ノンノン、コレがいいのですよコレが 凛ももうちょいしたら美味しさがわかるよ」


凛 「そういうもんかな?」


P 「そういうものですよ」ずずっ


P 「というか、今日は来るのが早いんだな どうしたんだ?」


凛 「ちょっと早く起きちゃって。 せっかくだから早めに事務所行こうかなって」


P 「そうかそうか。 ああ、そういえば凛。 今日の予定は把握してるか?」


凛 「うん、今日はラジオの収録からのモデルの野外撮影だよね?」


P 「そうだ、流石は凛だな 他の奴らも見習ってほしいんだがな……と、それなんだけど今日はオレが車で送るよ」


凛 「…え?」


P 「しばらく、凛の仕事ぶりを間近で見れなかったからな 今日一日って訳にはいかないがラジオの収録までは一緒にいるよ」


凛 「珍しいね どうしたの急に?」


P 「ほら、前みたいに所属アイドルが少ない時はつきっきりで一緒にいただろ?」


凛 「うん」


P 「でも、今や倍以上に数が増えてオレも最近まで古参者の娘にはなるべくひとり立ちをさせてたけど、ちゃんとやれてるか心配でな… 勿論、凛なら上手くやっていけてると思うけど一応自分の目で確かめようかなって」


凛 「…そうなんだ。 プロデューサーと一緒に仕事に行くのいつぶりだろ」


P 「確か、去年の10月あたりだな ニュージェネのハロウィンイベント以来かな」


凛 「そんなにもう経ってるんだね」


P 「寂しかったか?」


凛 「そ、そんなことない」


P 「…ほんとうか?」 ニマニマ


凛 「…………ちょ、ちょっとだけ」


P 「はは、可愛いやつだ …ほれ、もういくぞ。 挨拶回りとかしときたいし少し早めにいくぞー」


凛 「あ、ちょ、ちょっと」


ばたん


凛 「も、もう調子いいんだから…」 ////


P (この後、凛は順調にラジオの収録をやり終えた。 昔は突然の前振りやアドリブなんかはあまり得意ではなく、口ごもることも多かったのに今では物の見事にこなしているのだから彼女の大きな成長にオレは感慨深い気持ちになる)


P 「よ、お疲れさん」


凛 「プロデューサー。 どうだったかな? 上手くやれてた?」


P 「バッチリだよっ やっぱり凛は凄いよ。 日に日に成長していくからオレも置いてかれないよう必死だよ」


凛 「その私をプロデュースしてるのはプロデューサーでしょ 自信持ちなよ」


P 「はは、そうだな」


凛 「……私はプロデューサーが私をスカウトしてアイドルにしてくれたあの日のことずっと覚えてるし 今でもずっと感謝してるんだから」


P 「あー、懐かしいな。 あん時は大変だったよ後一歩で連行されるとこだったし」


凛 「アレははたから見てもプロデューサーが悪いよ。 新手のナンパかと思ったし」


P 「アレは今でも思い返すと恥ずかしいよ…」


凛 「それからも懲りずに私をスカウトしようとしてたしね」


P 「そりゃそうさ、オレから見ても凛はダイヤの原石… いやそれ以上のポテンシャルがあると断定できるくらい輝いて見えたからな。絶対この娘をプロデュースするんだって当時は躍起になったもんさ」


凛 「ふ、ふーん」


P 「それから何度もスカウトしようとして6度目…かな。 やっと首を縦に振ってくれてさ 当時は本当に舞い上がっちゃったよ そっからが本当の勝負だってのにな」 ははっ


凛 「でもそのおかげで今の私がいる。 やりたいこともなく中途半端な私をずっと見ててくれて支えてくれたプロデューサーにはもっと恩返ししなくちゃ」


P 「恩返しなんて… そんな風に考えなくていいんだからな? オレは凛がこれからもずっとみんなとアイドルを楽しくやれて高みに登って行く…そんな凛をみせてくれればいいんだから」


凛 「ううん、これは私の気持ちの問題。 プロデューサーがどう思おうが私はこの気持ちを忘れないよ」


P 「……凛はいい娘だなぁ」 ナデナデ


凛 「!?」


P 「あ、ご、ごめん。 つい癖で年少組にやってるみたいことしちまった。 ご、ごめんな凛」


凛 「う、ううん。 驚いただけだから……」


P 「ほんとにごめんな? 高校生の女の子の頭を撫でるとか普通に考えて気持ち悪いよな…」


凛 「だ、だからいいってば!」


P 「お、おう」


凛 「……ん」


P 「…ん?」


凛 「…ん!」


P 「な、なんだよ頭をこっちに寄せて」


凛 「つ、続きは」


P 「え?」


凛 「だから続き! 早く撫でて!」 //


P 「は、はい」 ナ、ナデリ


凛 「……」////


P 「……」 ナデリナデリ


P (こ、これでいいのだろうか? てっきり気持ちがられるかと思ったぞ)


凛 「……えへへ」//////


P (満更ではない顔してるなぁ 普通、俺みたいな男に撫でられても気色悪いだけだろうに…)


P (…もしかしてだけど凛ってまさか俺のこと好きなんじゃ… いやいやまさかっ)


P「…」ちらっ


凛 「ふふっ♪」


P (うーん、でも好きでもない男にこんなことさせないよな …よし!)


P 「凛」 ナデリナデリ


凛 「んー?」


P 「モデルの仕事終わったらなんだけど、その後予定あるか?」


凛 「え? な、なんで?」


P 「最近、△△のほうで美味しいと評判の洋食屋があってな。 今日の夜、一緒にどうだ?」


凛 「め、珍しいね。 プロデューサーがそんなこと言うなんて…」


P 「たまにはいいと思ってさ 凛さえよければだけど」


P (これに食いつけば、ほとんど確定みたいなもんだろ… わざわざ好きでもない年上の異性と晩飯なんて普通はいかないだろうし)

凛 「い、行く!」シャバっ


P 「おっほ即答…」


凛 「仕事終わったら、家に帰るだけだったし、
た、たまにはい、いいかなって」


P 「そ、そうか。じゃあ凛の方が先に仕事終わるだろうから19時30分に事務所の前で待つ感じでいいか? なるべく早めに終われるようにするからさ」


凛 「うん、分かった。 楽しみにしてるねプロデューサー」


P 「ああ、俺も楽しみにしてるよ」


凛 「ふふっ」


凛 (ほんとは卯月や未央たちと遊ぶ予定だったけど今日くらいはいいよね? こ、こんなチャンスそうそうないし )////


凛 (も、もしかしたらそのあとプロデューサーの家に行ったりして…)////


P 「? 凛?」


凛 「……へへへ」////////


P 「おーい、凛」


凛 「え、な、何プロデューサー?」


P 「それじゃ、俺はもう行くから仕事頑張ってこいよ」


凛 「プ、プロデューサーこそ」


P 「勿の論だぜ、そんじゃまた後でな〜」 スタスタ


凛 「うん、また後で」


P 「……」 スタスタ


P (凛… 楽しそうな感じだったな。今まで鈍感だの唐変木だの言われてきたけど流石に分かったぞ)


P (よし、ひっじょーに後ろめたいが例の作戦を始めるとしますか! まずは食事に誘うことをとりつけたし次はっ…と)


P (あれから企画会議を終えた俺はタイムカードを速攻で切り、車を出す。 事務所の前に到着すると凛はソワソワしているような緊張した様子で待っていた。 5分ほど遅れてしまったのだが凛は特に気にしている感じはなく助手席に座らせ車を走らせること20分、目的地に到着し早速席に着きメニューを吟味する。)


凛 「うーん…」


P 「急かさないからゆっくり選びよ」


凛 「プロデューサーは決まったの?」


P 「俺はこのハヤシライスだな。 元々これが食べたくて来たし」


凛 「じゃあ、私もそれで」


P 「同じのでいいのか?」


凛 「うん、私も食べたくなっちゃった」


P 「そっか。 …すいませーん!」


店員さん 「はいさい!」 シュッ


P 「こだわりハヤシライス2つお願いします」


店員さん 「かしこまり!」ダッ


凛 「それにしても…」キョロキョロ


凛 「なんだかカップルが多いね」


P 「そうなんだよ。 ここ、恋人同士の間で大変評価が高い店でな。 外観も店内もオシャレで料理も美味しいからカップルが多いんだとよ」


凛 「へぇ」


P 「前から行こう行こうとは思ってたんだけど流石に1人では行きづらくてな… だから今日は凛を誘えてよかったよ」


凛 「よ、よかったね。 わたしを誘えて…わたし以外だったらきっと断ってたと思うよ」


P 「そうかもなぁ。 …それじゃあなんで凛は今日ついてこようと思ったんだ?」


凛 「それはプロ…」


P 「?」


凛 「た、たまにはいいかもと思って! ほらプロデューサーも言ってたでしょ? だから、たまたまだよ、たまたま」


P 「そっかそっか。 …話が変わるんだけど最近はどうだ? ちゃんとみんなと上手くやれてるか?」


凛 「聞かなくてもわかるでしょ? みんな仲良いし賑やかで毎日楽しいよ。 今日だって卯月たちと…」


P 「卯月たちと?」


凛 「あっえ、えーとよ、夜グループで通話するんだ」


P 「そうなのか、仲良きことはいいことだ」


凛 「プロデューサーはどうなの?」


P 「オレか? んー、最近は昔みたいに事務所に泊まって残業する事もないし、時間通りに帰れてるなぁ」


凛 「そ、そうじゃなくてさ。 …プロデューサーって今年でいくつになるんだっけ?」


P 「ん? あー今年で25になるな… どうした?」


凛 「25歳ってさ結構いい年じゃない?」


P 「お、おう 」 グサッ


凛 「プ、プロデューサーもそ、そのさ…いい人とかいないのかなって」


P 「いい人って… 恋人ってことか?」


凛 「そ、そうだね」


P 「ははっそんなのいるわけないだろ〜 ただでさえアイドルも増えて仕事量も増えて人気も増えて大変なんだからそんな暇なんかないよ」


凛 「ふ、ふーん」


P 「仮にいたとしてもいま、こうやって凛と食事に行ってたら相手に怒られちゃうよ」


P 「……でも、彼女かあ〜 欲しいっちゃ欲しいけどなー」


凛 「え、えっとさ。 身近になんてどうかな?」


P 「身近に?」


凛 「そ、そう。 …例えばアイドルの娘とかさ」


P 「ははっ そんなことしたらオレクビになっちまうよ」


凛 「結構本気で言ったんだけど…」


P 「……そうだなぁ。 確かにプロデューサーやマネージャーと付き合っているアイドルも知ってるなかではいるにはいるけど」


凛 「じゃ、じゃあ」


P 「そういうわけにもいかないよ。 何よりオレだけじゃなくてその娘も不幸になっちまう。 そうなっちまったら進むも引くも茨の道だ」


凛 「……」 シュン


P 「あー、そういえば凛は誰か好きな人とかいるのか?」


凛 「え? い、いるけど…」


P 「そっか、凛に好かれてる人が羨ましいよ」


凛 「え!?」///


P 「可愛くて綺麗でオシャレで。 思いやりがあって優しくて、何よりキラキラと輝いている凛と隣にいるなんてさぞやいい男なんだろうな」ははっ


凛 「……」 ハアーッ


P 「なんだため息なんてついて」


凛 「…なんでもない。 それより料理が来るみたいだよ」


店員さん 「はいさいお待たせ! ハヤシライス二丁なり! ごゆっくりくりどうぞくり〜!!」


P (さっきから思ってたけど癖の強い店員だナ…)


P (料理が届き、俺たちはさっそくハヤシライスを食べる。 デミグラスソースが濃厚でそれでいてしつこくなくしっかりとした本格的ハヤシライスって感じだ。 野菜も肉もふんだんに散見されて肉なんかフワフワのトロトロですんごく美味しいオレ好み。 凛も気に入ったようで順調なペースで食べている。 俺たちはしばらくこの至高の一品に舌鼓を打っていた。)


P「いや〜、ほんとに美味かったな!」


凛 「うん、美味しかった。 また、行きたいかも」


P 「あのデミグラスソースを使ったオムライスが次は気になっちゃったよ 隣の席の人がめちゃくちゃ美味しそうに食べてたし」


凛 「あ、それいいね 絶対美味しいよそれ」


P 「今度また機会があれば一緒に行こうか?」


凛 「…! う、うん勿論。 待ってるから」


P 「ははっ、了解」


P 「以外と量があったし、これなら明日のお昼まではもつかな…」


凛 「え、 プロデューサー 金欠だったの? なんで今日行こうとしたの?」


P 「どーしても、食べたかったの! 今日はハヤシライスの気分だったんだ」


P 「て、別に金がないわけではないんだ。 ただめんどくさくてな… なんていうのかな、食べる時間があったらギリギリまで寝てたいと言いますか…」


凛 「きっちり1日3食食べなきゃダメだよ。体がもたないしこの前なんかお腹の音すごい鳴ってたからみんな気にしてたよ」


P 「ああー… そうなのか。 んー、やっぱりキチンと食べなきゃいかんかー」


凛 「え、えっとさ」


凛 「つ、作るのがめんどくさいならわたし作ってこようか?」


P 「り、凛が?」


P 「いや、大丈夫だよ。 適当にコンビニで買ってくるからさ」


凛 「毎日コンビニだと体に悪いよ?」


P 「で、でもさ」 アセアセ


凛 「デモもヘチマもないよ! わ、私が明日の朝お弁当作ってくるから待ってること! い、いいねっ」


P 「あ、ああ」


凛 「き、決まりだね それじゃあ明日楽しみに待っててよね」


P 「なんか、強引に押し切られた気が…」


凛 「は?」


P 「凛のお弁当楽しみだなー! 明日の朝はウキウキ気分だぜ!」


凛 「ふふっ」 クスッ


P 「と、そろそろ凛の家の近くに着くな…
ここら辺でよかったんだっけ?」


凛 「うん、ここでいいよ」


P 「あいよ」


凛 「それじゃあプロデューサーまた… あ、明日ね!」 バタンッ タッタッタ


P (心なしか凛の顔が赤く鳴ってたような… まあいいや、弁当の件は計算に入れてなかったが意識はしてくれてると分かったし。 大収穫だな)


P 「次はどうするか… そうだなぁ」 ブーン


〜〜次の日〜〜


凛 「お、おはようプロデューサー」 スタ


P 「おう、凛おはよう」カタカタ


凛 「は、はいこれ」 スッ


P 「おお! 待ってました!」


凛 「そんなにお腹空いてたの?」


P 「それもあるけど、 女の子からお弁当を貰ったことなんか今までなかったからな。小躍りするくらい嬉しいよ」


凛 「ふ、ふーんわたしが初めてなんだ?」


P 「そうだな」


凛 「…ふふっ」


未央 「あれ? プロデューサー、しぶりんから何貰ったの?」 スッ


卯月 「気になります!」 ヒョコッ


P 「ん? 卯月と未央か。 聞いてくれよ〜 凛に弁当作ってもらったんだ」


未央 「おお、しぶりんやる〜! 愛妻弁当ですかなぁ?」 ニヤニヤ


凛 「そ、そんなんじゃないよっ」 //


卯月 「でも、羨ましいです!」


P 「そうだな! 俺も逆の立場だったら凛に作ってもらえるなんて羨ましいよ」


凛 「も、もうプロデューサーまでっ!」///


卯月 「でも、どうしてお弁当なんですか?」


P 「それは〜〜」←説明中


未央 「へ〜、朝時間ないプロデューサーのために健気にお弁当を作るなんてしぶりん可愛すぎい!」


卯月 「凛ちゃん可愛い!」


凛 「うう…」 //


凛 「…チラッ」//


P 「〜♪」 ←満更でもなく嬉しそうな顔


凛 「……」//


P 「よし、弁当は後で楽しむとして今日も一日頑張ってこうな!」


未央・卯月 「「はーい!」」


凛 「う、うんっ」


〜〜時は少し流れて〜〜


P (凛たちは仕事に行ったみたいだな。 確か、今日は歌のレコーディングからのバラエティの収録だったかなっと) ゴソゴソパカッ


P 「おお〜、美味そう! 俺が好きな卵焼きとタコさんウインナーだ!」


ちひろ 「あら? プロデューサー、今日はお弁当ですか? 珍しいですね?」


P 「はい、凛に作ってもらいまして! みて下さいよ! 美味しそうでしょっ?」


ちひろ 「へえーっ凛ちゃんから…ってプロデューサーさんダメじゃないですか! アイドルの娘にお弁当を作ってもらうなんて!」


P 「え、ええっーと… 俺も断ったんですけど凛に押し切られちゃって… 」


ちひろ 「もう、キッパリ断れないんだから… いいですか?プロデューサーさんは他の娘たちからもそうですけど過剰に懐かれているのですから気をつけて下さいね。 もし、スキャンダルなんかくらったら… 分かってますよね?」 クロイエミ


P 「は、はひっ 心得ておひますっ!」 ビシッ


ちひろ 「……」(卵焼きやウインナーにゆで卵とボイルした野菜…彩りも考えてあるし何よりこの唐揚げ… 揚げ物は時間かかるから早く起きないといけないし、凛ちゃん気合い入れて作ったのね…)


ちひろ 「プロデューサーさん」


P 「は、はい!」


ちひろ 「言った手前なんですけどプロデューサーが凛ちゃんを大事に思ってるなら私は応援しますよ」


P 「?」


ちひろ 「まあ、用は周りにバレないように上手くやって下さいってことです。 分かりましたか?」


P 「は、はい」


P (…そういったことにならないようにいま頑張っているんで大丈夫ですよ)


ちひろ 「でも、凛ちゃんにこうやって作ってもらえるなんて プロデューサーさんは幸せ者ですね。凛ちゃんなら他の男性から引く手数多でしょうし。 プロデューサーとアイドルの関係って普通こうはないんですから」


P 「はい、それは俺も思います。 いつも彼女たちには助けてもらってると自覚してます」


ちひろ 「大事にしてあげるんですよ」


P 「勿論です!」


ちひろ 「ふふっ、いい顔してますね。 …それじゃあ仕事、仕事と…」


P 「……」カタカタッ


P (…今日は企画書を作成して、書類整理と営業がメインだから。 それなりに早くは帰れそうだな)


P 「終わったらどうするか… そうだなぁ」 カタカタッ



P 「こんにちはー」ガラッ


凛母 「いらっしゃいませって、あなたは…」


P 「はい、ご無沙汰しております。 凛さんのプロデュースを担当している〇〇です」


凛母 「まあ、プロデューサーさん! お久しぶりね〜。 今日はどうしましたか?」


P 「はい、同僚が近々結婚するのでお祝いの花でもと…」


P (まあ、営業先から近かったから寄っただけなんだけど…)


凛母 「そうなんですか〜 それじゃあ、こちらはいかがですか?」


P 「えっと、この花は?」


凛母 「スズランです! 花言葉は永遠の幸せを願って、なので結婚祝いには人気の花ですよ〜」


P 「あ、じゃあこの花でお願いします」


凛母 「はーい、かしこまりました〜 少し待ってて下さーい」


〜〜〜〜


凛母 「ところでプロデューサーさんこの後少し時間ありますか?」


P 「? はい、ありますよ」


凛母 「ウチの凛の話を聞きたくて。 あの子から聞いてはいますけどプロデューサーさんから直接聞きたいなと思いまして」


P 「そういうことなら、勿論大丈夫ですよ …お店は閉めても大丈夫なのですか?」


凛母 「はい、そろそろ閉店準備の時間だったのでご心配ないですよ。…それじゃあここでは何ですから上がって下さいな」


P 「はい、お邪魔いたします」


凛母 「いま、お茶を出しますのでちょっとだけ待ってて下さいね 紅茶で大丈夫ですか?」


P 「はい、お願いしますっ」


P (凛のお母さんってやっぱり凛にそっくりだなあ。 凛も大人になったらああいう綺麗は奥様って感じなんだんだろうな)


凛母 「お待たせしました。 どうぞ」 コトッ


P 「ありがとうございます」


凛母 「後から聞いてなんですけど砂糖とミルクは入りますか?」


P 「あ、ストレートが一番好みなので大丈夫です」


凛母 「そうですか」


凛母 「早速ですけど、どうですか? ウチの凛は? 上手くやれてますか?」

P 「はい、私の目から見ましても快調に仕事をこなしていらっしゃると思います。 仲間内でも大変仲が良く楽しく過ごされているかと、凛さんの成長は目を見張るものでメキメキと頭角を表してますね。 今後もどれほど
伸びるか未知数で大きな可能性に溢れています。ですので私はこれからも凛さんをしっかり見て、支えていきプロデュースに臨む所存です!」


凛母 「まぁ♪ ウチの子をしっかり見てくれてるのですね」


P 「勿論です! 私は凛さんのプロデューサーですから」


凛母 「ふふっ、頼もしいです。 プロデューサーがあなたでよかった。そうそう凛はあなたの話をよくしてるんですよ」


P 「ぼ、私の、ですか?」


凛母 「はい♪ これこれプロデューサーがどうとかあれやと色々、ですっ」


P 「はっ、恥ずかしい限りです…」


凛母 「そういえば、昨日は珍しく台所を使っていいか聞かれましたね。 朝いつもより早く起きてお弁当を作ってあげるんだと言ってて。 …誰に作ってあげたんですかねぇ」


P 「え、ええっとそれは」 アセアセ


凛母 「ふふっ、分かってますから大丈夫ですよ。 凛の気持ちを親の意思で無下になんてできませんもの」


P 「は、はい」


凛母 「プロデューサーさん。 今後とも凛をよろしくお願いします。 …色々と、ね?」 ペコッ


P 「そんな! こちらこそ何卒よろしくお願いしますっ!」 バッ


凛母 「…ふふっ 」


P 「…あはは」


ガチャッ


凛 「ただいまー、お母さん誰かきてるの?」


凛母 「あら、凛。 おかえりなさい♪」


P 「よっ」


凛 「えっ、プ、プロデューサー? どうしたの?」


P 「ちょっと用事で花を買いにな。 それでお母様から凛の話を聞きたいってな」


凛母 「そういうこと。 凛、よかったわね〜 プロデューサーに大事に想われてて♪」ニコニコッ


凛 「ちょ、ちょっとお母さん!?」


凛母 「あ、そういえばプロデューサーさん。 お弁当、美味しかったですか?」


P 「はい! 食べる人のことをよく考えていて僕の好物もたくさんあって、とっても美味しかったです!」


凛 「な、何でプロデューサーにあげたの知ってるの!?」 アセアセッ


凛母 「そんなの見てればわかるわよ。 誰かを想って作る気持ちにお母さんの私が気づかないわけないでしょ?」


凛 「うう… は、恥ずかしい…」//


凛母 「…ところでプロデューサーさん。 どうですか? 今晩はウチでご飯を食べていきませんか?」


P 「え?」


凛 「ちょ、ちょっと!?」


凛母 「私とお父さんは歓迎ですよ! お父さんも話を聞きたくてさっきから…チラッ」


凛父 「……!?」 バッ


凛 「お父さんまで…」


凛母 「プロデューサーさんが宜しかったらですけど… どうでしょうか?」


P 「ええっと、ご迷惑にならないようでしたら…」


凛母 「では、決まりですね! それじゃあ凛の部屋にでも上がって待ってて下さいな♪」


凛 「お、お母さん!?」


凛母 「ふふっ いいじゃないっ。 …こういうチャンス滅多にないんでしょう? 頑張らなきゃ …?」 ボソッ


凛 「う、ううー…」 ///


凛 「う、うん。 分かった。 …そういうことだからさプロデューサー私の部屋に行こうよ?」


P 「い、いいのか? 女の子の部屋に俺なんかが上がって…」


凛 「プロデューサーだからいいんだよ」


P 「そうか、分かった」


凛 「うん、行こうか」 スタスタ


凛母 「それでは、プロデューサーごゆっくり〜」


P 「は、はい!」


凛 「もう、珍しくこういう時は固くなるんだから」 クスッ


凛母 「…」


凛父 「…感じがいい青年だね。 彼は」


凛母 「ええ。 彼なら安心して凛を預けられるわ。 何より凛が好いてる人だもの、長い目で見てあげないとね♪」


凛父 「そうか、凛は彼が…」


凛母 「あら寂しいの?」


凛父 「そりゃ寂しいさ。 だが、彼は凛のことをしっかり理解できていて、親の私たちが見ていないものをたくさん引き出している。彼なら凛を任せてもいいかもしれないな」


凛母 「…本音は?」


凛父 「凛を取られて悔しい」


凛母 「あらあら、お父さんには私がいるじゃない」


凛父 「いや、嫁と娘の感情は別物だよ。 ベクトルというか…」


凛母 「は?」


凛父 「アッハイ、アイシテイマス」


凛母 「ふふっ」


〜〜〜〜


P 「それにしても」 キョロキョロ


P 「シンプルな部屋だな」


凛 「どんな部屋を想像してたのさ」


P 「いや、もっとぬいぐるみとかファンシーなものとかSA」


凛 「女の子っぽくない部屋で悪かったね」ジトッ


P 「そ、そんなことないってははっ …お、これ懐かしいな」ジッ


凛 「うん、みんなとの思い出をこうして飾ってるんだ」


P 「そうかそうか。 あ、これってニュージェネ初のライブやCDデビューの時の… おお、これなんかあん時の大型ライブの写真だ! いやー、当時は緊張したよなー!」


凛 「うん、他事務所合同じゃなくて、初の単独でアイドル総出のライブだったからね。 プロデューサーも緊張しすぎてずっと落ち着きがなかったよね」


P 「そうだったなぁー。 あ、緊張といえば凛は対して緊張しなかったな」


凛 「そりゃ、プロデューサーが一番酷かったからね。 いやでも冷静になるよ」


P 「あのときはごめんな。 俺が舞台に出るわけでもないのにな…」ハハッ


P 「そういえば、卯月もひどく緊張してたな… 卯月の元気印でもある笑顔が若干固かったし ああ、智絵里もそうだな… いつもよりブルブル震えててか弱い小動物みたいですごく可愛かったな」


凛 「…」


P 「でも、流石はアイドルだ。 本番ではさっきまでのことが嘘みたいに上手くこなしてて舞台ではしっかりキラキラ輝いてたし、見事に成功だった。 みんなの頑張りのお陰でここまでウチは大きくなれてさ… ほんと感謝しかないよ」


凛 「そんなことよりプロデューサー」


P 「ん? ああ」


凛 「この写真… 覚えてる?」 スッ


P 「おお! これって凛をスカウトして直ぐの写真だよな。 懐かしいな〜、初めてのボーカルレッスンの時だな」


凛 「うん、トレーナーさんが撮ってくれたんだって。 せっかくだから一枚貰ったんだ」


P 「後ろの方にオレもいるな」


凛 「うん、私とプロデューサーが写ってる初めての写真がこれなんだ。 だから、一番思い出深いのがコレ」


P 「そっか。 なんかさ、色々思い出すな…」


凛 「そうだね…」


凛 「…そ、そういえばプロデューサー。 次の休みっていつ?」


P 「ん? 次の休みだったら四日後だな。 どうかしたか?」


凛 「そっか」ホッ


凛 「え、えーとさ私もその日は休みなんだ」


P 「ああ、知ってるよ。 大事な休日だから有意義に過ごすんだぞ」


凛 「そ、その日!」


凛 「た、たまたま休み同じなんだからさい、一緒にどこか行かないかなって… ほ、ほら」
←スマホ見せる


P 「へー、水族館が新しく開園するのか。 凛って水族館好きだったっけか?」


凛 「う、うん。 オープンしたんだし気になって、せっかくお互いに休み貰ったんだし。 …どうかなって?」


P 「いいぞ」


凛 「えっ い、いいの?」


P 「ああ、どうせやることもなかったしな。 それに水族館なんて久々だからたまにはいいかなって」


凛 「そ、そう」 ホッ


P 「でも、これってデートでいいのか?」ニヤニヤッ


凛 「へ!?」 //


P 「なんだか言い方がデートみたいでなぁ」


凛 「……」//


凛 「う、うん。 そう捉えてもいいよ」//


P 「そっか。 嬉しいよ」ニコッ


P 「ほんとはアイドルと遊びに行くなんてダメなんだけど。 まあ、ちひろさんにも言われたしそうだな、じゃあオレが凛の家に迎えに行くよ」


凛 「うん、お願いって、ちひろさん?」


P 「こっちの話。心配ご無用だ」


凛 「ふーん、まあいいや。 それじゃ、四日後。 よろしくね」


P 「心得たよ」


凛母 『凛ー、プロデューサーさーん。 ご飯ですよー!』


凛 「はーい、今行くー!」


P 「はい!」


P (その後オレは渋谷家の夕飯を馳走になり、食事の時間を楽しんだ。 時折、凛の両親から色々聞かれてオレの答えに一挙一動反応する凛が可愛かった。 まさか夕飯に招かれるとは思わなかったがこれはこれで大収穫だろう。 デートの約束もしたしな)


P (…これからどうするかはさておき。 とりあえずは今を楽しもう)


凛 「プロデューサー? どうしたの?」


P 「いや、なんでもないよ。 このカレーは絶品だなぁって」


凛母 「まあまあお上手何ですから♪」


P 「はははっ」


P 「あれ? というかハナコが見当たらない…」


凛 「ああ、ハナコなら私より強い犬を倒しに行くって行ったきり戻ってきてないよ」


凛母 「あの子は結構フラッと何処かに行っちゃいますからねぇ」


凛父 「彼女の闘いの遺伝子がそうさせているのかもな」


P 「ナニソレ」


〜〜〜〜〜


P 「そんでもってデートの当日になりました」


凛 「何か言った?」


P 「いいや、何も」 ブーン


凛 「こっからどのくらいかかるんだっけ?」


P 「んー、40分ってとこかな。 まあまあ時間あるから眠いなら寝ててもいいぞ」


凛 「ううん、大丈夫。 それよりさ」


P 「ん?」


凛 「今日の服装どうかな?」


P 「ん、…ああ」ジッ


凛 「そ、そんなジーッとみなくても…」


P 「うん。似合ってるぞ。 色合いもしっかり考えてるし、凛が私服でスカート履いてるの初めてみたから新鮮で可愛らしいよ」


凛 「う、うんありがとう」


P 「オレのためにオシャレしてきてくれたのか」ニヤニヤッ


凛 「そ、そんなんじゃっ」


凛 「うう… そ、そんなとこかな…」//


P 「ははっ 嬉しいよ」 ナデナデッ


凛 「も、もう運転中なんだからちゃんと前みときなよ!」//


P 「ほいよ」サッ


凛 「あっ…」


凛 「そ、そういえば。 プロデューサーが私服なの初めてみたよ。 いつもスーツだったし」


P 「休日くらいは流石に私服だぞ」ははっ


凛 「Tシャツにジーンズって…」


P 「え?」


凛 「今度さ。 プロデューサーの服、選んであげるから一緒に行くよ」


P 「ええ… このままでも別にいい気が」


凛 「仮にもアイドルのプロデューサーなんだからそこら辺無頓着だと他の娘にガッカリされるよ」


P 「うっ」グサっ


凛 「わ、私もその方が嬉しいしさ。 で、プロデューサーが今度休み入れる時、私も入れといてね」


P 「わ、分かったよ」


凛 「決まりだね」フフッ


P (あれ? ナチュラルにまた出かける約束取り付けられたような… まぁいいか)


〜〜〜〜


P (しばらく車を走らせ目的地に到着した俺たちは早速入園料金を払い。 水族館に入場する。 入り口を超えたすぐ先には巨大な水槽に色鮮やかな魚たちがスイスイ気ままに泳いでいる。 ああ、改めてデートしに来たんだな俺って)


凛 「なんだか沢山泳いでるね」


P 「そうだな。 魚の種類について詳しくわからんけど綺麗な色の魚が沢山いるな」


凛 「うん。 あ、この魚って映画で観たことある」


P 「カクレクマノミだな。 確かイソギンチャクと共存してる魚なんだっけか」


凛 「へえ」


P 「というか、一際デカイのがいるな」


凛 「思った。 マンボウだねあれ。初めてみた」


P 「想像よりデカイな… 知ってるか凛? マンボウって実はひ弱なんだぜ」


凛 「そうなんだ。 こんなに大きいのに」


P 「なんでも、メンタルが弱い魚なんだと。 飼育するのも大変らしいな」


凛 「なんだか、身近にそんな人いるような気がする…」


P 「奇遇だな。俺も今考えてたとこだ…」


〜〜〜〜


P 「ここは個別の展示コーナーらしいな」 スタスタッ


凛 「そうみたいだね」 スタスタッ


P 「あの水槽の前に人が集まってるな」


凛 「なんだろうね」


P 「あー、サメかー」


凛 「これも映画で見たことあるやつだ」


P 「ホオジロザメか。サメの中でもメジャーなサメだな」


凛 「スピルバーグ監督のやつだよね確か。 あ、あっちにもいろんな種類のがあるみたい」テクテクッ


P 「あ、凛」


P 「ん、あっちの端っこのコーナーやけに人気がないな… 行ってみるか」


〜〜〜〜


凛 「プロデューサー」


P 「ん? ああ凛、ごめんごめん。 ちょっとここが気になってさ」


凛 「何みてたの?」


P 「これ」 サッ


凛 「……タコ?」


P 「ん、タコ」


凛 「…まったく微動だにしないね」


P 「このやる気がない感じ。 誰かに似てると思ってな…」


凛 「そうだね。 ね、つぎ行こうよ」


P 「おお」


〜〜〜〜


P 「おー! すげえ!」


P (次にたどり着いたのは、水中トンネル。 ガラス張りの透明な通路を思わず立ち止まりゆっくりと周りを見渡す。 ガラス越しに目一杯映る水中の魚たちがのびのびと泳いでいる)


凛 「これは… すごいね。 キレイ…」


P「ああ、なんかこういうの見るとテンション上がるな!」


凛「ふふっ、プロデューサー子供みたい」


P 「折角のデートなんだ、楽しむことには全力で。かつ童心は忘れない。 俺の指標さ」


凛 「なにそれ?」 クスッ


P 「ははっ! …お、凛。 あっち見てみ!」


凛 「え? 」クルッ


P 「すごいな、大群をなして泳いでる。アレはイワシかな? 」


凛 「…何にしてもすごいね。 アレだけの数でちゃんと均一で乱れなく泳いでて」


P 「そうだなぁ。 コイツらはスイミーみたいに、大群で泳いでいることによって外敵から身を守ってるのかね」


凛 「どうなんだろうね」


P 「ま、じっくり見ながらいこうぜ」スタスタッ


凛 「うん」 テクテクッ


〜〜〜〜


P 「と、そろそろお昼か」


凛 「そうだね。 どうする?」


P 「そうだなあ。 そろそろ昼飯にするか。 凛、あそこのもうちょい行った先にフードコートがあるらしいからそこでいいか?」


凛 「うん、いいよ。 …でも」


P 「ん?」


凛 「私、お弁当作ってきたから。 プロデューサーの分」


P 「おお! そうなのか。 ありがとな凛」


凛 「ふふっ、どういたしまして。 じゃあ、混む前に早く行こうプロデューサー」


P 「勿論だ」


〜〜〜〜


P 「意外に空いてたな」


凛 「そうだね。 オープンしたばかりなのに」


P 「まあ、今日は平日だしなぁ」


凛 「…さ、プロデューサーどうぞ」サッ


P 「おお、ありがと。 …よっ」 パカっ


P 「おー! 美味そうじゃん! …いやそうじゃないな美味いに決まってるそうだそうに違いない」


凛 「見た目はいいから早く食べてよ」


P 「ん、じゃあ遠慮なく。 …いただきます! …ん」パクッ


凛 「…どうかな?」ジッ


P 「…ん! 美味しいよ! やっぱ凛の料理は美味いなぁ。 毎日食べたいくらいだ」


凛 「へっ!?」//


P 「特にこのトンカツとか魚のフライとかさ手が込んでるなって、このオニギリも焼き鮭だし。 わざわざ焼いてるんだろ?」


凛 「う、うん」


P 「うん。手間だったろうにわざわざ俺のために作ってくれたんだよな? ほんとアマタが下がるよ 」


凛 「私が好きで作ってるんだからプロデューサーは気にしないでよ。 ただ感想を言ってくれればいいからさ」


P 「そういうわけにもいかないってわざわざ作ってくれたんだから感想とお礼はちゃんとな」


凛 「ふふっ それじゃ私も…」 パカッ


P 「!」 ピコンッ


P 「凛」


凛 「? 何?」


P 「あーん」 ヒョイッ


凛 「え!?」


P 「ほれ、お口あーんだ」


凛 「いや意味わからないから!? しかもこれ作ったの私だしっ」//


P 「まあまあ、こういうのは気分だよ気分。 ほら、今日はデートなんだろ? だから…な?


凛 「…うう」//


凛 「あ、あーん」


凛 「…ん」 パクッ


P 「どうだ?」


凛 「どうも何もこれ作ったの私だからねっ! ま、まあ悪くはなかったけどさ」 //


P 「そうかそうか」


凛 「プ、プロデューサーも! ほら!」 グイッ


P「お、俺もか」


凛 「私だけとかズルイじゃん。 ほらあーんして」


P 「おう」 アーン


P 「ん、美味い」


凛 「当たり前だよ」フフッ


〜〜〜〜


P 「つぎはどうするか」スタスタッ


凛 「さっきイルカのショーがこの後すぐってアナウンスされてたけど、行く?」テクテクッ


P 「おおー、そうするか」


凛 「なんか、乗り気じゃないね」


P 「ああ… 子供の時にイルカのショーに言った時さ」


凛 「うん」


P 「ワクワクして最前列で見てたんだよ。 そしたらさ思いのほか元気でな。 ガンガン勢いよく着水するもんだからびしょ濡れになってなぁ。 帰りが悲惨だったんだよ」


凛 「最前列じゃなければいいじゃん」


P「それもそうだけどやっぱ前の方が一番楽しく見れるだろ?」


凛 「確かにそうだね。…濡れないようにカッパの貸し出しもあると思うし借りれたなら前に座ろうよ」


P 「借りれたらな」


P 「普通に借りれたな。 しかも150円。安いな」


凛 「しかも、ど真ん中の一番前だしね」


P 「ついてるなぁ」


凛 「そうだね。 あ、そろそろ始まるみたい」


〜〜〜〜


P 「いやー、なかなかよかったな!」


凛 「プロデューサーすごいはしゃいでたもんね」クスクスッ


P 「だってラストの真打にシャチが出るんだぜ! しかもすごいジャンプだったし! 強そうででかくてかっこよかった」


凛 「小学生の感想みたい」


P 「そういう凛もなんだかんだ楽しんでじゃん」


凛 「そりゃあね」


P 「そろそろ最後のコーナーみたいだな」


凛 「そうみたいだね」


P 「案内には幻想的な世界って書いてあったけどなんだろうな」


凛 「行ってみればわかるよ」


P 「そうだな」


P 「…おお! 」


凛「…」


P 「なるほど、クラゲか。 すごいな確かに幻想的な光景だ」


凛 「うん。 いろんな光の集合体がガラスいっぱいに集まってて… 妖精みたい」


P 「海水浴場では恐ろしい奴らだけど。 演出というかこういう場では綺麗以外に言葉が出ないな…」


凛 「……」 ジーッ


P「…しばらくみてようか」


凛 「…うん」


凛 「…そういえばさ」


P 「ん?」


凛 「今日って写真撮ってないよね?」


P 「…ああ、言われてみれば」


凛 「せっかくいい場所だしさ。 ここで撮ろうよ」


P 「ああ」


凛 「それじゃあ撮るよ… あ、プロデューサーもっと近づいて」


P 「ここらか?」


凛 「うーん、もうちょい」


P 「じゃあ、思い切って」ズイッ


凛 「わっ」


P 「これでいいか?」


凛 「う、うん大丈夫」 //


凛 「じゃあ、撮るよっ」 //


P 「いえーい」 ピース


パシャッ


凛 「うん。 ちゃんと撮れてる」


P 「どれどれ」


凛 「ほら」スッ


P 「おおいいじゃん! あとで俺にも送ってくれな」


凛 「勿論」 ジーッ


凛 「…ふふっ」


P 「なんだそんなに嬉しいのか」


凛 「あ、えっと。 やっぱりこうやって思い出を作るのはいいなって!」 ワタワタッ


P 「じゃあ、これからも沢山作ってかないとな!」


凛 「う、うん」


P 「なんたって俺は凛のプロデューサーだからな! どんな時だって一連托生だろ?」


凛 「…うん、そうだね。 一連托生…だもんね」


凛 「…それじゃあ、もう一枚いい?」


P 「心得た」


〜〜〜〜


P 「いやー、今日は楽しかったなあ! 時間もあっという間に過ぎてたみたいだし」 ブロロッ


凛 「そうだね。 私も今日は楽しかったよ」


凛 「ねえ」


P「ん?」


凛 「この後って何かある?」


P 「ん? ないぞ。 凛を送り届けるだけだな」


凛 「そしたらさこの後ご飯とかどうかな?
名残惜しいしさ」


P 「ああ、いいな。 ついでだし行っとくか。 何か希望はあるか?」


凛 「特には。 あ、でも魚以外でお願いね」


P 「ははっ分かってるって! 流石に水族館の後はいかないよ。 …うーんそしたらラーメンとかどうだ? 急に食べたくなって」


凛 「ラーメンって… まぁいいけど」


P 「凛ならそういうのあんま気にしないだろ? それに今から行くとこは味噌ラーメンで有名なところなんだ。 結構レビューで人気みたいで前から気になってたんだよな」


凛 「そうなんだ。 私はプロデューサーが行きたいところならどこでもいいよ」


P 「ん? どこでもいいのか?」 ニヤニヤッ


凛 「常識の範囲内でね!」//


P 「ははっ、分かってるって」ブーン


〜〜〜〜


凛 「思ったより美味しかった」


P 「そうだな。 具沢山で。 味もとても良かったな」


凛 「結構並んでたしね」


P 「そうだな。 早めに食べれて良かったよ」ブーン


凛 「プロデューサーはさ、良かったね」


P 「へ? 何が」


凛 「1人寂しい休日にならなくてさ。 女の子と過ごしてさ」


P 「お、おお」


凛 「私以外にもそうなの?」


P 「そんなわけ、 こうゆうことは凛としかしてないよ」


凛 「ほんと?」ジーッ


P 「そうだって! 確かにまゆや智絵里や周子や志希なんかにはよく言われるけどさっ 流石にアイドルとおいそれと遊びになんか行けないよ」


凛 「じゃあ、なんで私にはさ」


凛 「…私とは一緒に出掛けられるの?」ドキドキッ


P 「んー」


P 「…まあ凛はさ、俺にとっては特別といいますか… 自然体でいられる中だと思うし… それに何より一緒にいると落ち着くというか」


凛 「そ、そうなんだ」 //


P 「なんだ自分で言っといて恥ずかしいのか」


凛 「だ、だって」


P 「可愛いやつだな」ナデナデッ


凛 「も、もう! 子供扱いしないでよ」


P 「あ、めんごめんご」 サッ


ギュッ


凛 「や、やめてほしいなんていってないよ」


P 「そ、そうか? …じゃあ」 ナデリナデリッ


凛 「…ふふっ♪」


P 「と、そろそろ着くな」


凛 「そうだね」


P 「改めて今日は楽しかったよ。 久々にリフレッシュできたというかさ。 また誘ってくれよ」


凛 「え、いいの?」


P 「なにいってんだよ。 いいに決まってるだろ」


凛 「わ、わかった。 それじゃあ今度また休みが一緒だったら…」


P 「ああ。できる限り休日は被らせるようにするよ」


凛 「うん。 あ、あと今度プロデューサーの服。 買いに行くこと忘れないでねっ」


P 「勿論だよ。 楽しみにしてる」


P 「着いたな。 それじゃ凛また事務所でな」


凛 「…うん、プロデューサーもまた…」


凛 「…え、えっと」


P 「ん?」


凛 「…」ジッ


P 「?」


凛 「…」ドキドキっ


P 「ど、どうした?」


凛 「な、なんでもない!」 //


凛 「それじゃあプロデューサーまた!」//


P 「お、おおー」フリフリッ


P 「…」


P (なんか、告白する流れかと思ってドキドキしちまった… まあでもしたらしたで振らなきゃいけないしなあ。 …そろそろ仕上げに入らねばいけないよな) ブロロロ


〜〜〜〜


P 「今日も一日頑張るぞい!」


凛 「おはよ、プロデューサー」


卯月 「おはようございます!」


P 「ああ、おはよう! 今日も頑張ろうな」


凛 「それとこれ… はい」サッ


P 「おお、弁当か。 いつもすまんな」


凛 「気にしないで。 私が好きでやってるんだし」


P 「そうか。 じゃあありがとな。 凛」


凛 「うん」


卯月 「凛ちゃんとプロデューサーさん仲が良くて羨ましいです!」


凛 「そう?」


未央 「いやいや、普通仲が良いだけでお弁当
とか作ってこないって!」


ありす 「どうしたんですか? みんな集まって」 トコトコッ


桃華 「Pちゃまに凛さんがお弁当を作ってきたみたいですね」 ヒョコッ


莉嘉 「えー! Pくんずるーい!」


P 「なんか知らんが賑やかになった」


ちひろ 「ふふっ プロデューサーさん役得ですすね♪」


P 「ちひろさん」


ちひろ 「プロデューサーさんも満更ではないでしょう?」


P 「ま、まあそうですけど。 というか普通に嬉しいし…」


凛 「プロデューサー…」


未央 「これは相思相愛の予感!」


卯月 「ラブラブなんですね!」 ブイッ


凛 「も、もう囃し立てないで! プロデューサーもなんか言ってやってよ」


P 「え? ああ、そうだなあ。 まあ静かに見守っててくれな?」


凛 「えっ」


桃華 「まあ。 Pちゃまは恥ずかしがらないので?」


P 「まあなー」


ありす 「羨ましい…」ボソッ


凛 「そ、そんなことより早く仕事行くよ!」


未央 卯月 「「はーい」」


凛 「それじょあね。 プロデューサー」


P 「確か凛たちって、午後からダンスレッスンだったよな?」


凛 「うん。そうだけど」


P 「帰り時間があったら顔出すよ」


凛 「そっか。 わかった」


P 「そんじゃ。 頑張ってこいよ」


凛 「言われなくても」ニコッ


P (その後、年少組に凛との関係を根掘り葉掘り聞かれたりちひろさんにからかわれたりで大変だった… 待ちに待ったお昼になり凛が作った弁当を食べながら今後のことを少し考える。 ーーできれば今日で決着をつくるか。 そう決心したオレはレッスン場に車を走らせた)


〜〜〜〜


P 「失礼します」 ガチャッ


ルーキートレーナー 「あ、プロデューサーさん」


P 「どうも、お久しぶりです。 今日はうちの娘達の様子を見に」


ルーキートレーナー 「そうなんですか! ぜひこちらのほうへ!彼女たちも喜びますよ」


P 「そうですかね…」ハハッ


ルーキートレーナー 「みんなープロデューサーさんがきたわよー!」


凛 「プロデューサー」


未央「遅めの登場だね〜」


P 「すまんな、ギリギリまで営業先で粘ってた」


卯月 「でも、プロデューサーさんがここに来るのはそうとう久しぶりの気がします!」


美嘉 「そうそう★」


周子 「レアだレア〜」


杏 「プロデューサー。 最近頑張ってるだから休みちょーだい休み!」


P 「開口一番にそれかねチミは」


杏 「週休8日を希望するー!」


P 「はいはい飴が欲しいんだろ飴 ちょっと待ってろ」ゴソゴソッ


杏 「なんか投げやりな気がする…」 モゴモゴ


つかさ 「よしよーし。 ってナチュラルに貰うんだな…」


P 「で、調子どうだって…聞くまでもないか」


凛 「うん、いつも通り」


P 「そっかそっか。 …と凛、弁当ありがとう。 美味かったよ」サッ


凛 「うん、どういたしまして」 ベントウモライ


美嘉 「ん? お弁当?」


P 「ああ、これはカクカクシカジカで」


美嘉 「へ〜、そうなんだ★ 凛やる〜」


周子 「羨ましいわ〜 プロデューサー私にも〜」


P 「なんでだよ」


P 「と、そろそろレッスン再開だろ。 少し見てるから気合い入れてくれな」


「「「はーい」」」


〜〜〜〜


凛 「あれ? プロデューサーは?」


ルキトレ 「プロデューサーさんなら途中で帰りましたよ」


凛 「え? そうなの」


ルキトレ 「この後、事務所で打ち合わせらしいです」


凛 「ふーん」


美嘉 「寂しいの?」ニヤニヤッ


凛 「べ、べつに」


未央 「ん〜 素直になっちゃいなよ!」


卯月 「凛ちゃん!」


凛 「ま、まあ少しだけ… ほんの少しだけね!」


周子 「ていうかさ」


周子 「凛ちゃんってプロデューサーのこと好きなんだよね?」


凛 「!」


周子 「いや、驚かれても…」


凛 「え、そ、そんなわけ」


つかさ 「いや、周知の事実だろ」


杏 「あー、杏から見てもバレバレだと思うよー」


未央 「まあまあ隠してもムダだって〜 さっさと吐いちゃいなよ☆」


凛 「ううー」//


凛 「そ、そうだよ! わ、私はプロデューサーの事が好きっ だよ」


卯月 「わ〜」 パチパチッ


周子 「正直になったねー」


美嘉 「そしたらさ! 告白とかするの?」


凛 「え、えっとそれは」


美嘉 「プロデューサーああ見えて人気あるからね〜 誰かに取られる前に捕まえとかないと、ね★」


凛 「で、でもアイドルとプロデューサーだし」


つかさ 「そんなの関係ないんじゃね? 結局は好きかどうかで周りの目なんか気にしてたら始まらねえって、 なんだ? お前のプロデューサーの恋慕ってそんなもんなのか?」


凛 「ち、違う!」


凛 「私はプロデューサーが好き。 それは本心。 でも、それでプロデューサーの迷惑になるなら私は… この想いはどこかにしまっといたほうがいいのかもって、そう思うんだ」


卯月 「凛ちゃん…」


周子 「んー、でもさ」


周子 「その先、ずっとこのままプロデューサーを想ってても始まらないんじゃない?」


凛 「それは…」


周子 「ならさ! アタックしちゃおうよ! だってプロデューサーだって満更でもなさそうだしさ」


卯月 「凛ちゃん。 この前プロデューサーと水族館に2人で行ったんだよね?」


凛 「うん」


卯月 「そういう経験がないからですけど、普通だったらまずデートに行ったりなんかしないと思います! それ以前にお弁当だって断っているはずです! でも、プロデューサーさんは凛ちゃんの好意を無下にしてないのですからこれはプロデューサーだって凛ちゃんの事が気になってるんだと思います!」


未央 「そうだそうだ!」


美嘉 「凛。 どうかな? 私たちは2人の中を応援するよ? 大切な仲間だと思ってるし。 だから2人には幸せになって欲しいなって」


凛 「みんな…」


凛 「……うん。 わたし、プロデューサーに会ってくるそれで今日…」


凛 「想いを伝えてくるっ」


卯月 「凛ちゃん!」


未央 「おお!しぶりんよく言った!」


つかさ 「ま結果は分かってるけど一応…頑張れ」


美嘉 「一語一句伝えるのは難しいかも知れないけどプロデューサーならそれをきっと受け止めてくれるはずだよ! 頑張れ凛っ」グッ


杏 「とりあえずがんば〜」


周子 「がんば〜」


凛 「みんな、ありがとう」


ルキトレ 「ふふっ、それじゃ今日はお開きにしましょう。 …凛ちゃん、私からも。 頑張ってね」


凛 「ありがとうございます」


凛 (プロデューサーは事務所にいるんだっけ。 2人きりになるよう連絡しないと。 …緊張するなぁ… 流れでつい告白するって言っちゃったけどプロデューサーがなんて返すのか… でも、ずっとこのままなのは私もダメだってのは前から思ってた。 だから伝えるんだ。 他の娘に取られて後悔しないように…伝えるんだ)


〜〜〜〜


P 「…タバコ吸うかぁ」 ジュッ


P (…仕事が終わって今オレは自分の車で凛を待っていた。先程凛から連絡があって話があるから2人で話したいと… 事務所じゃなんだから車のほうが安心するだろとオレは待ち合わせを車内に変更して現在待っている。 もしかしてこれは?と思ったけどもしかしてなんだろうな。 覚悟を決めるか )


P 「ふー」 スパーッ


凛 「」 コンコンッ


P 「ほいほい」ガチャッ


凛 「お待たせプロデューサー。 待った?」


P 「待ってないよ。 …それでどうしたんだ? 2人きりで話なんて」 タバコケシケシッ


凛 「…えっとさ」


凛 「…」スーッハーッ


凛 「わ、私は」


P 「ああ」


凛 「プロデューサーが好き」


P 「…」


凛 「アイドルとプロデューサーの関係なのも分かってる。 それでも…私はプロデューサーが好き。 プロデューサーの恋人になりたいっ」


P 「凛…」


凛 「このまま仲良しの関係じゃ満足できなくなったのかな… プロデューサーを独占したいと思うし、ずっと一緒にいたい。 アイドルを辞めた時わたしには何が残るか考えたの。 名誉? 功績? 感謝? 違う。 わたしが欲しいのはプロデューサーだって、プロデューサーと居たいんだって分かったんだ」


凛 「だから、プロデューサー答えて。 こ、告白したんだからさ、へ、返事してよ」


P 「オレは…」


凛 「…」ドキドキ


P 「……凛」


P 「凛。 オレは答えられないよごめん」


凛 「…っ」


凛 「…理由。 聞かせてもらってもいいかな?」


P 「2つある。 1つ目がまず俺たちの関係はあくまで仕事の範疇ってことだ。 そりゃ休日には遊ぶくらいの中ではあるさ。 でもな、やっぱりオレと付き合うってことは危険が伴う行為なんだ。 いつどこでスキャンダルがあって凛のアイドル活動の妨げになってもおかしくない、そうなってはいけない。 絶対にな」


凛 「で、でも」


P 「次に2つ目。 …これは酷なことを言うかもしれんが」


凛 「…」


P 「オレは元々凛をそういう目で意識したことない」


凛 「えっ」


凛 「う、嘘でしょ」


P 「嘘じゃない」


凛 「じゃあ、今までのことはなんだったの! ご飯食べに行ったり、遊びに行ったり、私の部屋でお喋りしたり… 全部私のことを意識しないで接してたってこと?」


P 「そうなるな」


凛 「な、なんでよ 勝手に勘違いして盛り上がってさ… 私がバカみたいじゃん!」ウルッ


P 「ごめん… 凛のことは妹のような感覚でいままで接してた。 勘違いさせてたようならほんとにごめん」


凛 「そ、そんなのって… そんなのってないよぉ!」 ポロッ


凛 「ひっ、く、ぐすっ…」 ポロポロッ


P 「…ごめん」


凛 「あやま、らないでよっ! な、なんで。 なんでこうなるのっ」ポロポロッ


P 「凛…」


P (不意に彼女を見てオレは彼女を抱きしめてあげたくなった。 …だがすんででやめる。 オレにそんな資格はない。 微塵も。)


〜〜〜〜

P (しばらく時間が経ち、凛は泣き止みオレに正面を向ける)


凛 「…プロデューサー 私帰るね。 今日はありがと」


P 「…ああ」


P (今さら送っていくなんて言えるわけないよな)


凛 「今日のことは忘れて。 いいね?」


P 「あ、ああ」


凛 「ふ、ふふ。 それじゃあまたね。 プロデューサー」 ガチャッ バタン


P 「…」


P (かなり無理してるよな… そりゃそうだよな振られた直後なんだもんな。 凛には悪いがこの選択が間違いとは思えなかった。 何よりも彼女の為を思うと…な)


P 「…しばらく気まづいだろうなぁ」


P (その夜家に帰ると、凛からメールが届いていた。 今後出かける予定だったことも弁当も全てキャンセルになった。 未練を断つ…ということだろうか。 なんにせよ行動がはやい けど、オレは彼女をどうフォローすればいいのか分からない…どうしようもなく自責の念にかられた)


凛 「ふぅ…」メール送信


凛 「これでいいんだ…」


コンコンッ


凛母 「凛ー! ご飯って呼んでるでしょ! 食べないの?」


凛 「今日はいいっ いらない」


凛母 「…そう。 分かったわ」 スタスタッ


凛 (誰とも顔を合わしたくない… 今は…)


凛 「どこで間違えたのかな?…」


凛 「…うっ、ううっ」 グスッ


凛 「プ、プロデューサー」 ポロポロッ


凛 (いまの私、すごい惨めだ。 どうしようもなく悲しくなってくる… この先のことに不安がいっぱいで情緒がおかしくなりそう…)


凛 「わ、私はっ こ、恋人になりたかっただけなのにっ ひっ、それも許されないの? ひぐっ、プロデューサー…」 ポロポロッ


〜〜〜〜


P (あれから数日経ったが事務所の雰囲気はどうも少しギクシャクしていた。 というか主にオレと凛の関係のことで。 以前からオレたちの中を囃し立てていた未央や卯月や美嘉はどこか申し訳なさそうな気まずいようなそんな様子でオレたちに接している。 凛はというといつも通りな感じで淡々とオレと話すようになった。 変わったところはというと前に増して影があるというか、どこか不安定な感じではあるが仕事はキチンとこなしている。 これはこれで成功だったのだろう。 てか、そう思わなきゃやってられない)


P (今回のことは少なくとも他のアイドルたちにも知られてはいるようだし。 オレとしてもこんなことは何度もしたくない。 だからできればおこがましいかもしれないがオレには恋慕の情を向けないでほしい)


P 「と、今日はあのユニットのことでのライブイベントの打ち合わせか。 …そらそろ行くか」


P 「では、ちひろさん ちょっと打ち合わせに行ってきます」 ガチャッ


ちひろ 「はい、行ってらしゃいっ」


凛 「……」


ちひろ 「…」


ちひろ (うひー! 気まずい〜っ 凛ちゃんああ見えて立ち直ってそうに見えるけど自然と目がプロデューサーを追っちゃってるのよねっ どうみてもこれは未だに未練があるわよねえ… もう、プロデューサーさんが全部悪いんですからね! 私知りませんからね!)


〜〜〜〜

P 「おさよーさん。 みんな揃ってるか?」ガチャッ


フレデリカ 「あ、プロデューサ〜 おはようー」


P 「おうおはよう。 あれ? 1人いないような」


奏 「それがさっきから連絡してはいるのだけど 全然繋がらなくて…」


周子 「ま、寝てるだろうねー」


P 「あんにゃろう」


美嘉 「まだ時間には余裕あるし、どうする? プロデューサー」


P 「はぁ… 仕方ないか」ヨイショッ


P 「ちょっと迎え行ってくるよ。 すぐ戻る」


ヘレデリカ 「はーい行ってらー」


P 「おう、ついでに説教だ説教」 ガチャッ


ガレージ前


P 「…」 ピンポーン


P 「でないな」


P 「鍵は… なんだよ空いてるじゃん不用心だなぁ 勝手に入るぞー!」


P 「…」スタスタッ


志希 「…んぅ…」スースー


P 「……」ハナツマミ


志希 「…んごっ…ふっ…ええ?」パチクリ


P 「よっ。 起きたか」


志希 「んー? …なんでキミがー?」


P 「今日はLIPPSの打ち合わせだろうが。 連絡しても来ないから迎えきたんだよ」


志希 「へー」


P 「へーておまえな…」


志希 「にゃははっ まあ、遅刻しないようにキミが来てくれたんだから結果オーライだって 」


P 「そうだな。 じゃサッサと準備だ準備」


志希 「んー? なんかいつもと温度差が違うような」ジッ


P 「なんだよ」


志希 「せっかくこんなに可愛い女の子と2人きりなのに何もしないなんて」ニヤニヤッ


P 「馬鹿言うな 担当アイドルに手を 」


志希 「だせるわけないだろ、でしょ? 想定の範囲内〜♪ じゃ、ちょっと準備してくるね〜」


P 「全く。 あいつのペースに狂わされそうだ…」


P (最近なかったと思ったらすぐこれだもんな… まぁ前みたいに突然失踪したことに比べれば可愛いもんだけど)


P (志希… ウチのプロダクションのなかでもかなりの異例の経歴の持ち主で所属することになった理由も特殊なやつだ。 というかぶっ飛んでる)


志希 「終わったよ〜」


P 「はやいな」


志希 「キミが急かしてるんでしょ? 。そんなことより〜」ガバッ


P 「おっ、とと」


志希 「ん〜♪ やっぱりこのニオイは癖になる〜♪」


P 「おい嗅ぐなって恥ずかしい」


志希 「えー、私は恥ずかしくないけどー」


P 「オレが恥ずかしいの! こんなん他の人にみられたら勘違いされるだろ?」


志希 「分かってるって。 ちゃんと場所を考えてからやれってことでしょ? はいはーい了解でありまーす」


P 「はぁ、まあいいか好きにしてくれ…」


志希 「んー? いつもだったら強引に引っ剥がすのに今日は珍しいねー」


P 「思考を停止してる」


志希 「ま! 私としては願ったり叶ったりだからいいけどね。 んーっ セロトニンが分泌されていくぅー♪」


P 「と、時間そろそろやばいな すまんが終わりだ」


志希 「はーい、十分堪能したしー志希ちゃん大満足! やっぱりキミにハスハスするのはいいねぇ」


P 「オレがお前にハスハスしたらまずいけどな」


志希 「私的には別にいいけどねー」


P 「えっ ほんとか!?」


志希 「やっぱりそこに食いつくんだねー♪ 別にいいよーいつもしてるんだしー」


P 「冗談だ」


志希 「釣れないんだからー」


P (と、そんなこんなで志希を車に乗せ、待ちぼうけをくってるあいつらの元へ駆けつける。 LIPPSの面々は怒るというわけもなく慣れた感じで快活に志希を出迎えた。 打ち合わせ自体は特に何事もなく順調に終わった)


フレデリカ 「おわったおわったー」 ンーッ


周子 「お腹すいたーん。 プロデューサーご飯奢ってよ」


P 「馬鹿言うな。 この後も仕事だ」


美嘉 「じゃあ、プロデューサー以外でご飯行かない?」


奏 「ごめんなさい。 私はこれから撮影だから…」


フレデリカ 「えー、シキにゃんはー?」


志希 「私は行けるよー」


P 「嘘をつかな嘘をっ これからオレと一緒に営業だろキミは」


志希 「にゃははっ ばれちったー♪」


美嘉 「じゃあ、3人で行こうか」


周子 「そだねー」


フレデリカ 「はーい」


P 「じゃあ、オレたちもいくぞ」


志希 「はいはーい」


〜〜〜〜


P 「志希。 腹減ってるか?」


志希 「そうだねー。 まあ減ってるといえば減ってるかな」


P 「そうか。 じゃあ軽くだけどどこか寄ってくか 何か希望あるか?」


志希 「ピザ!」


P 「時間かかりそうだな… というかここら辺ピザ屋あったけか… あ、目の前のマックでもいいか?」


志希 「えー、ピザがいいー!」


P 「ちゃちゃっと食べなきゃ営業に間に合わないだろ? 希望に応えられなくて申し訳ないが我慢してくれ」


志希 「まーいいけどねー」


〜〜〜〜


P 「マックって来るの久しぶりだな。 20歳超えてから数えるくらいしか行ってない気がする…」


志希 「へー、キミはあんまりこういうとこ行かないんだ?」


P 「そういうわけじゃないけど… やっぱり時間がなくてなぁ。 ついコンビニか弁当屋を頼っちまうんだよな」


志希 「ふーん」


P 「志希はよく来るのか?」


志希 「私もあんまり。 付き合いでいくくらいかにゃぁ」


P 「そっか。 て、注文早く決めなきゃな」


〜〜〜〜


P 「結構食べるんだな」


志希 「まあねー。 朝食べてないしさ」パクパク


P 「…うんマックの味だな。 代わり映えしないというか 」 ムシャムシャ


志希 「志希ちゃん的にはタバスコが置いてあったら好印象だったりー」


P 「ああ確かに。 このナゲットとかタバスコ合いそうだもんな」


志希 「でしょー? やっぱりカプサイシンの刺激がほしいのですよ」


P 「オレは志希ほど引くくらいタバスコかけないけどな」


志希 「人の好みにケチつけるなんてナンセンスー」


P 「それもそうだな」


志希 「ていうか、今日はどう風の吹き回しなのかにゃー?」


P 「何がだ?」


志希 「初めてたての頃とは違っていまは営業キミと2人で行くって結構レアだよね? 今はアイドルランクもAにいくくらいなのに私と一緒に仕事なんて久しぶりだなぁと」


P「ああ、…それはまあなんだ。 今日のことがあったからな。 それからお前が失踪されても困るというか。 監視みたいもんだよ監視」


志希 「ふーん、そっかそっか♪ 志希ちゃん把握ー」


P 「そんなことよりはやく食べるぞ。 流石に
ディレクターさんの前で遅刻はできん」


志希 「ぶー、女の子に早食いしろっていうのかー」


P 「仕方ないだろ」


志希 「プロデューサー…みない間にすっかり冷酷な人間になって…」


P 「なってねえわ!」


志希 「にゃははっ」


P (まったく。 つかみどころがないというかなんというか。 初めてあった時から全く変わってないな)


志希 「初めてあった時から全く変わってないな」


志希 「そんなこと考えてるでしょー?」


P 「人の思考を読むな!」


志希 「にゃふふっ キミの考えることなんてすぐ思うつくよー 簡単簡単♪」


P 「まったく…」


なんやかんやあって営業終わり!


志希 「どうだった私の立ち振る舞い? 完璧だったでしょう」 フフンッ


P 「なにかやるかと思って内心ドキドキだったけどな… まあでも余計な心配だったよ。 うん、やっぱすごいな志希は」


志希 「にゃはは! とうぜーん! 志希ちゃん天才ですからー♪」


P 「はいはいそうだなーお前は天才だなーエライエライ」ナデナデ


志希 「ん〜 勝利の美酒に酔いしれるー♪」


P 「と、じゃあ事務所に帰るぞ」サッ


志希 「ちょいちょいちょいー」


P 「ん?」クルッ


志希 「ハスハス〜」 ガバッ


P 「またかよ! 何回やれば済むんだ…」


志希 「こういうのは回数の問題じゃないんだよねー 何度も言ってるけどキミのニオイは特別惹かれるのだよー♪ 」スンスンッ


P 「オレの匂いって… 香水はつけてないし柔軟剤だって変わったものは使ってないんだけどなあ。って誰かに見られたらまずいっつのホントにはよいくぞ」


志希 「は〜い」


P 「この後、志希はなにもなかったよな? どうするこのまま家まで送ってこうか?」


志希 「ちょっと事務所でやる事あるから真っ直ぐでいいよー」


P 「やる事ってなんだよ」


志希 「それは秘密ー」


P 「なんだよ気になるじゃんか」


志希 「あんまり深く詮索するようじゃ女の子にモテないよ?」


P 「言ったなお前〜!」カミワシャワショ


志希 「きゃ〜♪」


P 「なぜ嬉しがる」


〜〜〜〜


P (志希と事務所で別れ、デスクで企画書に目を通していたオレはちひろさんに社長が呼んでいる旨を聞き急ぎ足で社長室に向かった)


P 「海外ロケ…ですか?」


社長 「うむ、唐突かもしれないが先ほどやっと決まってね」


P 「あの企画が通ったんですね」


社長 「そうだ。 アイドル1人につきその国の文化や風習や現地人との交流を収録して尚且つミュージックビデオの撮影も兼ねてる例の企画だ」


P 「ひとまず動き出して安心しました」


社長 「それでなのだが」


社長 「1人目はすでに決まっている」


P 「誰でしょうか?」


社長 「一ノ瀬くんだ」


P 「えっ 一ノ瀬ですか?」


社長 「意外かね?」


P 「えっと… はい。 てっきりこういった案件は芽衣子やむつみが適しているかと」


社長 「妥当だね。だが、最近の一ノ瀬くんの人気は右肩上がりでね。 ユニットの影響も大きいが個人の人気も大変注目されている。 私としてはここで彼女をプッシュするべきと考えていてね」


P 「はぁ」


社長 「それでなのだが。 一ノ瀬くんの海外ロケは君に同行を頼みたい」


P 「ぼ、ぼくですか?」


社長 「君以外に適任はいないだろう? 元々彼女は君についてきてアイドルを始めているのだからモチベーションも上がるはずだよ。 …というより他のプロデューサーでは彼女の魅力を引くだすのは難しいだろうしな」


P 「それは嬉しい話ですけどえーと僕の予定は…」


社長 「スケジュールの事なら心配しないでくれ。 私の方から別のモノに任させるから君は今回のことに集中してくれたまえ 」


P 「分かりました」


社長 「分かってると思うが、くれぐれも…ね?」


P 「こ、心得ております!」ビシッ


社長 「そうか。 ではよろしく頼んだよ」


P 「はい! 失礼致します」


バタンッ


P 「……はぁ。 海外ロケかぁ。 それじたいは構わないけど志希と、かぁ」


P 「とにかくこの事をアイツにも伝えなきゃな」 レンラクチョウカラツウワピッ


prrrrr


志希 「どったのー? キミが私に電話なんて珍しいねぇ」


P 「志希。 いまどこにいる?」


志希 「一階のカフェでカフェイン摂取中〜」


P 「了解。 少し用があるからいまから向かうな」


志希 「突然だねぇ。 はーい了解ー」


〜〜〜〜


志希 「それで用件って何かにゃ?」


P 「今度、海外ロケがあってだなその第一回目のアイドルが志希に決まったんだ」


志希 「へ〜」


P 「興味ないんだな?」


志希 「志希ちゃん的には退屈しなければなんでもいいかにゃー」


志希 「…それでわざわざ直接言いに来たってことは」


P 「そうだ。 オレも同行することになったからよろしく頼む」


志希 「わおっ、それは嬉しいニュースだね〜 で、場所は〜?」


P 「ああ。 喜べフランスだ。 香水が有名だしこれも嬉しいニュースだろ?」


志希 「ん〜、そっちよりは〜」


志希 「キミが一緒の方が嬉しいかな」


P 「えっ」


志希 「だって、その間はハスハス独り占めできるからねぇ!」


P 「ああそっち」ホッ


志希 「んん、何を想像してたのかにゃあ?」


P 「べ、べつに何でもないよ」


志希 「ふーん、まあキミの考えなんて読めるけどねー」


P 「じゃあ察してください…」


志希 「はいはーい♪ ……まぁキミの思った通りで解釈しても問題ないけど」


P 「え?」


志希 「なんでもなーい。 この後もキミは仕事でしょ? さ、社畜は元の位置に戻りたまえー」


P 「お、おう… て、社畜言うな!」


志希 「にゃははっ♪」


P 「まったく…」スタスタッ


志希 「……」


志希 「……♪」


〜〜〜〜

三週間後!


P 「時は過ぎ去るのが早いものだなぁ。 ホントに一瞬だ」


志希 「それだけ充実してるってことじゃなの?」ヒョコッ


P 「ま、そうかもなぁ」


P 「というか、なんでメインのキミがエコノミーにいるんだね」


志希 「んーなんとなく?」


P 「せっかくのビジネスクラスだったんだからお言葉に甘えればいいのに」


志希 「キミがいないと退屈なのはかわりないよ」


P 「なんだよ嬉しいこと言ってくれるじゃん」


志希 「あ、結構ハートに響いた感じ?」


P 「響いた響いた」ナデナデ


志希 「ー♪」


志希 「それにしても飛行機って退屈だねえ 家の中にあるものでも持ってくればよかったにゃあ」


P 「この中では絶対実験させんぞ? というか液体は基本持ち込みノーだからな」


志希 「分かってるってー♪ ケミカル的なのはここではしないよん」


P 「離陸したばっかなんだしなんか映画でも観てれば?」


志希 「それしかすることないもんねぇ。 はー…」


P 「よし、じゃあオレは仕事でもしますか」パソコンヨイショ


志希 「キミはどこでも仕事しようとするね〜 たまにはブレインを休めないと」


P 「切りがいいとこまでやったらすぐ寝るから大丈夫だよ」


志希 「そ、…えい」パシャッ


P 「…なぜ今撮った?」


志希 「旅の思い出〜 みんなのグループに送るー」


P 「せめてフランス着いてから撮れよ…」


〜〜〜〜


志希 「到着〜♪」ンーッ


P 「長かった…」


P 「志希。 オレスタッフさんと打ち合わせしてくるからここで待っててくれ」


志希 「了解でありますっ」


P 「…いや、やっぱいいや。 オレと一緒に行動するぞ」


志希 「んー?」


P 「フラフラ何処かに行かれても困るしな。 というわけでササット行くぞ」グイッ


志希 「強引なんだからー♪」


なんやかんやあってホテル到着


P 「夕食の時間は2時間後だからフロントで待ち合わせな。 何かあったらオレの部屋に来てくれ。 一応お前の隣だ」


志希 「へー、隣なんだ。 一緒でもよかったのにー」


P 「…なんで一緒じゃないか言わなくても分かるだろ?」


志希 「分かってる分かってるってー、そんな怖い顔したらだめだよ〜」


P 「そんなつもりはなかったんだけど…」


志希 「…最近、他の娘とも距離というか一線引いてるよね?」


P 「…」ピクッ


P 「なんのことだよ?」


志希 「あくまでシラを切るなら追求はしないけどねー」


志希 「でも、もうちょい態度は柔らかい方が志希ちゃん的にはgoodかなー」


P 「…態度はこれから改めるよ すまん」


志希 「いえいえー それじゃ私は部屋に戻るねえ フカフカのお布団シルブプレ〜♪」


P 「…」


P (そんなに態度に出てたかな? 無意識にそうしてるのかもしれん …あーまだあの時のことが尾を引いてるのかもしれんな)


Pの部屋


P 「疲れたし少しだけ仮眠するか。 1時間だけならいいだろ…」


コンコンッ


P 「…」


コンコンドンドンデローッ


P 「…はぁ」


ガチャ


P 「なんだよ志希」


志希 「んー、やっぱり思った以上に退屈で遊び来ちゃった♪」


P 「はぁ、疲れたからちょっとだけ仮眠させてくれ… 眠いんだ」


志希 「勿体ないなー 時間は有効に使うべきだよ」


P 「オレは使ってるつもりだ」


志希 「お邪魔します!」シュタッ


P 「あ、おい」


志希 「んー、フカフカ〜」ボフッ


P 「おいオレの布団にダイブするなよ」


志希 「あれ? キミの匂いがしない」スンスン


P 「そりゃまだくつろいでないからな」


志希 「じゃあいいや」 パッ


志希 「そんなことより何かお喋りしようよ」


P 「喋ると言っても何を話せばいいやら…」


志希 「キミは旅行とか好き?」


P 「唐突な話題だな。 まあ好きか嫌いだと好きだな」


志希 「国内? 海外?」


P 「もっぱら国内だったなあ。 海外はこの仕事を始めてから行くようになったな… もちろん仕事でだが」


志希 「今まで行った国は?」


P 「えーと、イギリス、イタリア、ドイツ、アメリカ、ハワイ、韓国… 改めて言うと結構行ってるんだな」


志希 「フランスは初なんだね?」


P 「そうだな。 私情挟むけど行ってみたかった国の1つだから感慨深い」


志希 「ふーん」


P 「志希は? 」


志希 「旅行はあまり、てか全く行かなかったかにぁ ずっと研究してたし」


P 「アメリカの大学だったよな?」


志希 「そうそう♪ そこでずっとケミカルやってたしねー まあ飽きて戻ってきたんだけど」


P 「そういえば言ってたな」


志希 「ま、その後キミにあって退屈なんてものを弾き出す勢いでここまできたからね〜 」


志希 「でもねえ、ずっと研究してたからかにゃぁ? みんなが友達と楽しそうに遊ぶ事とかケンカしたり恋とかしたりしてさ、そういう青春って私には無縁だったんだよね〜」


P 「志希…」


志希 「べつに後悔してるわけじゃないんだー 今が楽しければいいしねー。 友達もいるしキミもいる。だから満足はしてるんだぁ。 …
いまのとこは」


P 「…最後なんて?」


志希 「こっちの話ー」


P 「なんだよ… ってもう飯の時間か。 よしチャチャっと行くぞー」


志希 「はーい」


〜〜〜〜


P 「んー、美味かったぁ! フランス料理なんて初めて食べたよ」


P 「今日はホテルにいるだけだし。 明日から撮影だからなどっか行こうかな?」


志希 「いいね〜 どこ行く〜」


P 「なんでナチュラルにいんだよ1人で行くんだよ お前とだと不安だから寝てろ」


志希 「ひどっ!」


志希 「そんなこと言うんなら勝手に失踪しても志希ちゃん知らないもんね〜」


P 「ああそれは困るな… 仕方ないかじゃあ一緒に行くか」


志希 「んー想定内の会話〜キミならそう言うと思ってた〜」


P 「と、部屋で待っててくれ。 少ししたら行くよ」


志希 「準備?」


P 「いや、タバコ吸う」


志希 「ん〜、感心しないな〜 キミの喫煙については個人の自由だけどさ」


P 「なんだよ。 流石にアイドルの前では吸わないぞ」


志希 「そっちじゃないよ。 せっかくのキミのニオイがヤニの臭いと混濁されちゃうのが好きじゃないんだよね」


P 「そんなに臭うか? …まあ志希がいうならそうなんだろうな」


志希 「タバコやめろ〜」


P 「こればっかりはどうもなぁ」


志希 「…」ジッ


P 「…」


P 「はあ、分かったよ。 一生ってわけには行かんがフランスにいる間は吸わないよ」


志希 「うんよろしいー♪」


P 「オレはもういいとして志希は準備大丈夫か?」


志希 「だいじょぶだいじょぶドンウォーリー♪ すぐいけるよん」


P 「おっけー、じゃあフロントでタクシー呼んでくるよ」


志希 「君ってフランス語話せたっけ?」


P 「…すまん、行くのやめようか」


志希 「ちょっとちょっと! それじゃ英語は?」


P 「サッパリです…」


志希 「そんな時は志希ちゃんの出番〜♪ 任せて〜」


P 「すまん、頼む…」


〜〜〜〜


志希 「で? なんでエッフェル塔なのかにゃぁ? 明日も行くのに」


P 「そうなんだけど。 夜のエッフェル塔ってどうなるか知ってるか?」


志希 「ライトアップしてるけど、それだけじゃないってこと?」


P 「もうすぐで20時だな。 みとけよ」


志希 「わおー、ピカピカ〜」


P 「エッフェル塔は日没したからの0分から五分の間にこうやって綺麗な点滅を繰り返すんだ。 たしかシャンパンフラッシュって言ったか」


志希 「ゴージャスだね〜 …キミはこれを1人で観に行こうとしてたの?」


P 「なっ、寂しそうな目をするなよ! 仕方ないだろ… テレビで観てから一目焼き付けたかったんだよ」


志希 「可愛いとこあるねぇ。 ツンツン〜」


P 「突っつくな! …見ろ周りをっ カップルだらけだろうが空気を壊させるな空気を」


志希 「じゃあさ」 ススッ


志希 「こうすれば恋人っぽいかにゃ?」ピトッ


P 「…」


P 「…まあな」


志希 「あれ? キミのことだから慌てるかと思ったけど」


P 「…こういうのも気分だ、っていえば納得するか?」


志希 「ふーん、優しいのか冷たいのか最近のキミの対応は二転三転、不可思議に思うよ」


P 「理由なんて知ってるだろ?」


志希 「凛ちゃんのこと?」


P 「っ」


志希 「だよねー。 隠してるつもりだろうけどみんなとっくに知ってることだよ?」


P 「 ははっ、やっぱり知れ渡ってんのか」


P 「…分からないんだ」


志希 「んー?」


P 「アイドルにどう接すればいいか」


P 「なんていうかさ、オレみたいなやつを憎からず想ってくれるのは本当に嬉しいと思ってる。 でも、ダメなんだ。アイドルにそうな感情持つなんてもってのほかなんだよ」


P 「最近お前らに変に冷たくしてた訳はそれだよ」


志希 「なるほどねえ。 それでキミはこれからどうしたいの?」


P 「オレは… これからも続けると思う」


志希 「んー、それだと困るなあ」


P 「なんでさ」


志希 「だって、キミがそうだと私のモチベーションが上がらないし」


P 「…」


志希 「私はキミと本心でこれからもアイドルをやっていきたいと思ってる。けど、キミが私達を突き放そうとするなら… どれくらいの娘がアイドル活動ヤル気になってくれるかなぁ」


P 「それは」


志希 「用は必要以上にキミが気をつければいいだけだよ 」


P 「… 」


志希 「私がアイドルをやってる理由。 キミは勿論分かるよね?」


P 「…退屈しないからか?」


志希 「キミだよ。 キミの匂いに惹かれたんだよ。 私、ギフテッドだからね。アイドルやらなくても色んな可能性があった訳だよ」


志希 「勿論、退屈しないのもほんと。 親友もできたしねえ。 でも、私はキミがいない世界なんて億劫でしかないからね。 キミがいなくなったら私もドローン、しちゃうかもね♪」


P 「…どうすればいい? どうすればいいと思う?」


志希 「そんなの簡単だよ。 前みたいに戻せばいいだけ」


P 「でも」


志希 「でもじゃなくて、不用意に関わらなければいいだけでしょ」


志希 「けど」


志希 「私にはそういう態度だと、失踪しても知らないかもねー」


P 「おい」


志希 「本気だよー。 私のモチベの糧はキミなのだからー♪」


P 「…はあ。 結局はお前には優しくすればいいってことか?」


志希 「構ってあげればいいのだよあげれば」


P 「…なるべく善処するよ。 他の娘にもな」


志希 「んー、志希ちゃんとしては、…断定してほしいかな」ジッ


P 「っ…」


P 「わ、分かったよ。 する、するよ。 ウチの大人気アイドル様に頼まれては無下にはできんしな」メソラシ


志希 「よろしいー♪ て、いつの間にかうんたらフラッシュ終わってるね」


P 「シャンパンフラッシュな」


志希 「突然のセルフィー」スッ


P 「って、夜のエッフェル塔は撮ってもいいけどブログにはあげるなよ」


志希 「?」


P 「夜のエッフェル塔は著作権があるんだよ。 Yout○beやSNSで調べてもあんまりないのがその理由。 昼なら著作権はフリーなんだけどな」


志希 「へー」パシャッ


P 「おい」


志希 「個人で所有する分ならオッケーでしょ?」


P 「まあ、そうだけど。 んー信用ないなー」


志希 「まあまあ、担当アイドルを信じなよ! ほらキミもこっちに来なって」チョイチョイ


P 「おお」


志希 「いえーい」


P 「…いえーい」


パシャッ


志希 「んー、ばっちりー」


P 「…そんじゃ帰るか。 今から帰るとなると着くのは9時半か。 まあ、早めに寝るんだぞ。 明日からは忙しいくてこんな暇ないんだからな」


志希 「分かってるってー♪ 夜更かしダメ、ゼッタイ!」


P 「そうだ。 じゃあ、タクシー乗り場まで歩くか」


志希 「はーい」


〜〜〜〜


ホテルに戻ってきたよ!


Pの部屋 ガチャッ


P 「……」


P 「ふう」ボフッ


P 「なんかどっと疲れたなぁ。 もうシャワー浴びて速攻で寝よう」


P (ていうか、一部のアイドルだけじゃなくてまさかみんなに知れ渡ってるとはなぁ。 女の情報網というやつか)


P (でも)


P (あえて態度を変えてたのって次のターゲットを探してただけなんだよね)


P (凛の一件でまだオレのこと好いてる娘がいたら… それまではこんな対応して様子見してたんだけど)


P (志希かぁ。 正直何考えてるかほんと分からんしたまにイラっとくるときもあるけど、…好意か あの様子だとあるんだろうなぁ)


P (…決まりだな。 志希には悪いけどこれもみんなのためだ)


〜〜〜〜

志希 「おはよう〜」フワァ


P 「ちゃんと時間通りに来たな。 遅れるかと心配したぞ」


志希 「キミが起こしに来ればいいのに〜」


P 「ヒントは周りの目だ」


志希 「堅物なんだから」


ディレクター「ははっ、じゃあ揃ったことだし移動しようか」


P 「はい。 日程と台本はキチンと読んだよな?」


志希 「モチモチ!、私を誰だと思ってるー 天才志希ちゃんだぞ♪」


ディレクター 「ははっ、志希ちゃんは元気だねー」


志希 「元気と体力には自信があります! あ、あとチャームも!」ビシッ


ディレクター 「これはこれは。 撮影が楽しみだよ。 期待してるよ!」


志希 「了解であります!」


スタッフ 「準備できたので車に乗ってくださーい! すぐ出せます!」


P 「はいただいま!」


志希 「ねーねー」ツンツン


P 「なんだ?」


志希 「ちゃんと志希ちゃんの仕事ぶりを網膜にジーっと焼き付けるんだよ♪ 」


P 「当たり前だ。 いっぱい観察してやるから覚悟しとけ」


志希 「にゃはは! いい心意気ー」


〜〜〜〜


P (天候も恵まれてロケーションも最高。 まさに仕事日和の1日だ。 その後はすんなりと事が進んで行った。 志希はやっぱ天才なんだなって再確認させられたよ。 だって台本も一度で完璧に暗記するわ撮影もカメラマンとディレクターが指定したポージングや表情を一発でこなし、予定よりずっと早いスムーズな流れだ。 パリの主要な観光名所を巡っての撮影を終わり、次はカフェでの撮影だ)


カフェの店員 「○△×◻︎〜」


志希 「○△×◽︎ー♪」


P (あ、コーヒー頼んだのは聞き取れた)


志希 「〜♪」


ディレクター 「はいカット! いいねー! 完璧だよ志希ちゃん! ほんと取り直しが一回もないし僕が仕事してきた中でそんなの片手で程しかないよ」


志希 「にゃふふっ、志希ちゃん完璧ですから〜♪」


ディレクター 「ははっ! そうだったね。 本当に完璧だよ。 じゃ、次の撮影いこっかー」


志希 「はーい」


P 「なぁ」


志希 「んー?」


P 「いつの間にフランス語覚えたんだ? 昨日は話してなかったよな?」


志希 「あー、昨日あの後やることもなかったからねー。 動画とかでフランス語勉強してたんだ」


P 「すご、すごすぎるな」


志希 「だから天才なんだってばー あ、でも発音の方はよくわからないからちっと可笑しいかも」


P 「あの店員さんと普通にやり取りしてたから間違いなく通じてたと思うぞ? てか、ホントは通訳さんが見えない所でいる前提の撮影だったし 」


志希 「キミも少しは勉強すればー」


P 「普通の人は一日ちょっとで話すのなんて無理なんだよなコレが」


志希 「だろうねー」


〜〜〜〜


P 「最後の撮影も滞りなく終わった。ちなみに明日からはミュージックビデオの撮影が主に占めている。 パリ以外の所の世界遺産で撮るのでオレは旅行気分のふわふわした気分で眠りについた。 ちなみに志希は常時パワフルに動いていてプロ意識を感じさせるような成長がみれて非常に満足のいく一日だった。
…ハスハスは帰ったらさせてやった」


次の日!


志希 「名前だけは知ってたけどこんなに広いとは思わなかったよ」


P 「そうだな… てか、全部周るとなれば普通に1日潰れそうだなぁ」


志希 「ここってたしかトイレないんだっけ?」


P 「それは昔の話な。 今は流石にあると思うぞ? …多分」


志希 「えー、そこら辺でみんな致してたら不快な匂いしかない大きい建物じゃん! 糞尿の臭いなんて鼻腔が狂いそう〜」


P 「ヴェルサイユ宮殿にそんなこと言う奴初めて見たよ… あ、でも教科書で見たことあるような有名な絵画とかここには飾ってるらしいぞ。 どうだ芸術なんて」


志希 「……先生!志希は興味が3分しか持続しない子です!」


P 「だよなぁ」


次の日!


P 「はえー、すごい雄大なだなあ」


志希 「すごい人だね〜」


P 「有名な観光地だからそりゃな」


志希 「んー、アジア圏というか所々日本語が聞こえるね。 お店の商品やメニューの文字も日本語書いてあるとこ多いし」


P 「それだけ日本人には人気なんだろ」


志希 「お城みたいなとこだよねぇ。 小さい島の上にあるし不思議なとこ〜」


P 「長いから省くけど、かいつまむと司教の夢にここに修道院を造れって言われたらしくて造ったらしいぞ。 モンサンミッシェルが城みたいなのは要塞としても起用されてたからしい」


志希 「ふーん」


P 「興味ないんすね…」


志希 「正直ねー、君がいなかったら退屈になってたよ」


P 「そうか。 撮影する場所はあの頂上の教会から撮るらしいから疲れるだろうが我慢してくれな」


志希 「えー、疲れるからおぶってよ」


P 「バカ言うなって。 ほら、いくぞ」グイッ


志希 「んー、強引なのも悪くないー♪」


P(なんやかんやあって志希の撮影も終わりを迎えた。特にアクシデントもなく仕事自体はトントンと順調に進み、製品化が楽しみだ。 俺たちは搭乗時刻まで手持ち無沙汰な事もあり窓から次々と飛翔していく飛行機をぼんやりと眺めていた)

志希 「やっと日本に帰れるねえ」

P 「まぁな。といってもたった四日間しか滞在してないけどな」

志希 「んー、そうなんだけどさぁ。 志希ちゃん的にはちょっぴりセンチだったりー」

P 「…まあ、そうだよな。 あっちには仲間がいるもんな」

志希「そそ。いなくなってその大切さがわかるっていうか。……そう思える事って限りなく充実してるのかも私」

P「…ああ、そうだな」

志希「そういえば、来週からライブなんだっけ?LLIPSの」

P「よく覚えてるじゃんか。正直内心驚いてる」

志希 「そでしょー? 褒めて褒めて」

P 「えらいえらい」 ナデナデ

志希 「ついでにハスハスさせろ〜」

P「それはダメです」

P 「…今回のライブの規模は今までとは違うぞ。会場の大きさもお客さんの数もな」

志希「へー」

P 「興味無いんだな」

志希 「まあね。キミがとってきた仕事なんだし、私はそれに応えるだけだよ」

P 「…いつになく今日は素直だな。どうした?熱でもあるのか」

志希 「にゃはは! 実はさっきから眠いのだ〜。あまり考えずに喋ってるだけだよん」

P 「…お疲れ様な。志希の成長がみられて凄くいい仕事ができたよ。本当ありがとな」

志希「労いの言葉はいいからさー」トスンッ

志希「膝、借りるね」

P 「おい寝るなってっ…はぁ…お前は大人気アイドルの自覚をだな…」

志希 「ねね、頑張ったんだからさ何かご褒美が欲しいなー。プリーズ!」

P 「ええ、やだよ」

志希 「ノリが悪いなあ、そこはイエスかウイかはいでしょ」

P 「…何が所望だ?」

志希 「遊園地。遊園地連れてって」

P 「遊園地って…あまりアイドルと遊びに行くのは…」

志希 「凛ちゃんとは行ったのに?水族館」

P 「…分かったよ。連れて行くよ。遊園地な。誓う約束する」

志希 「いえーい、あいぷろみすゆー」

P 「でも遊園地ってどこだよ? とし◯えんか?花や◯きか?」

志希 「んう、…どこでもいいよ。キミとだったら」

P 「そ、そうか。じゃあ、近いうちに日程は伝えるよ」

志希 「…スゥ…フゥ…」

P 「寝つきはやっ……」


P 「…ハア…お疲れ様」ナデナデ

志希「……」

P 「黙ってるとこんなに可愛い顔なのに…勿体ない…ははっ、俺が独り占めするのもなんだか悪いな」ナデナデ

志希「…♪」///


………………
帰国後

P 「おお、集まったかー」

奏 「ええ、揃ってるわよ」

美嘉 「来週のライブの話だよね?」

P 「ああ、前から聞いてるとは思うが、LLIPSのここまで大規模なライブは初だからな。 やっと最終調整も終わりそうだしこれで…」

フレデリカ 「はーい、プロデューサー! しつもーん」

P「話の腰を折るんじゃない…なんだよフレデリカ ?」

フレデリカ 「そういえば、志希にゃんとのフランスデートはどだったの?」

P「…はぁぁぁぁぁ」クソでかため息

P 「それ今関係あるか?」

フレデリカ 「えー、いいんじゃん教えてくれても!」

周子「そうだよ。そっちの方が気になるしさ」

志希 「教えろ教えろ〜」

P 「おい当事者」

奏「貴方達…随分本番に自信あるのね。プロデューサーの話を優先しましょうよ」

美嘉 「まあまあ、ぶっちゃけそのためのレッスンも打ち合わせも沢山してきてるし後は本番で出し切るだけじゃない? …私も気になるしね〜 志希は教えてくれないし」ジーッ

志希 「にゃはは!二人だけの秘密なのだー」

P 「いや、二人だけではなかっただろ…スタッフさん逹もいただろ」

周子 「てかさあ、奏ちゃんも気にならへんの?」

奏「……まあ、気にならないといえば嘘になるわね」

フレデリカ 「フランスデートのお話聞きたい人〜!」

「「「「はーい」」」」

P 「デートじゃないんだけどな……分かったよ。少しだけだぞ。てか、志希も手を挙げるのか…」

〜お話チュッ〜

P 「な、普通だろ? ただ普通に仕事しただけなんだって」

奏 「その割には二人のツーショットの写真がグループに沢山流れてたのだけど…」

P 「え、そうなのか…」チラッ

志希 「〜〜♪」クチブエピュー

P 「まあ、想い出作りだよ。 こうやって二人で仕事なんて珍しいからな。…その延長線みたいなものだ」

周子 「ええなぁー、そうだプロデューサー私ともどっか行こうよ」

P 「いや、仕事で行ったんだからな?」

フレデリカ 「志希ちゃんばっかずるいと思いまーす! 裁判長ー!」

周子「うむ、被告人は有罪!よってしゅーことフレちゃんにもどこか連れていく、連れて行きゃなきゃ許さない刑に処する」

P 「暴君すぎるだろ!? 法治国家のかけらすらねえぞ」

周子 「まあまあええやん」グイッ

フレデリカ 「いいじゃんいいじゃんー」ピトッ

P 「やめろってくっつくなよ」

志希「……」ジー

美嘉 「…? 志希?」

志希「んぅ?どしたの?」

美嘉 「ええっと、ううんごめん。気の所為みたい」

志希 「そー」

美嘉 (志希のあの目…もしかして嫉妬してたのかな? …え?志希が? 今まで独占欲とは無縁な感じの子そうだったのに)

美嘉 「…前みたいな事にならなければいいけど」

奏「何?何か言った美嘉?」

美嘉 「ううん、独り言」

美嘉(…プロデューサー)

prrrr

P 「ん? …悪い、ちょっと電話だ」

P 「はい、◯◯です。え!加蓮が!? …分かりました。至急向かいます。…はい、失礼します」ピッ

周子 「どーしたん?」

P 「…レッスン中に加蓮が熱出して倒れたんだってよ。心配だからすぐに行ってくる。ごめん、ライブの話は後日だ」

志希「プロデューサー」

P 「ん?」

志希 「それって、他の人に任せればいいじゃん。わざわざプロデューサーが行く事?」

P 「他の面々は営業やら付き添いやらで忙しいし、比較的手が空いているのは俺だけだからな。…何より、加蓮が心配だし。てか、そんな薄情なこというなよ志希」

志希 「じゃあ、私も連れてってー」

P 「ダメだ。これからLLIPSの面々でテレビ局に行くだろうが」

志希 「……にゃははじょーだん、じょーだんだよ」

P 「ああ、それならいいんだ。…ごめん、後は頼んだぞ。仕事はしっかりな」バタンッ

志希 「…」

奏 「まぁ、仕方ないわよ。私達は私達にできることをやらなきゃ」ポンッ

志希 「そうだねー」

フレデリカ (?…シキちゃんどうしたんだろ。お腹空いてるのかな?)


ライブ当日

P 「ハァ…ハァ…ッ」タッタッタ

P 「志希は!? 志希は来たのか!?」バタンッ

奏 「ダメ。連絡しても既読がつかない」

美嘉 「電話も出ないし…どうしたんだろ」

P「クソ!…後少しで始まるんだぞ!? 志希のヤツ一体どうしたんだ」

P(寝坊かと思ったら家にもいないし…なんなんだよ一体!)

周子「…もしかして、何かに巻き込まれたとか」

奏「プロデューサー、警察に連絡した方が良さそうよね?」

P 「いや、それは本当にどうしようもない時だ。…なあ、昨日誰か志希と一緒にいた奴はいるか?」

フレデリカ 「…あ、そういえば!」

P 「なんだフレデリカ !?」バッ

フレデリカ 「ち、近いっ近いって〜…えっとね、昨日はシキちゃんとご飯食べたんだけどその時プロデューサーの話をしてて」

フレデリカ 「それで、約束がどうとか言ってたようなー」

P 「…あ」

美嘉 「プロデューサー?」

P 「…心当たりがあった。すまん、ちょっと抜ける。予定通りとは違うが至急さっきスタッフさんと話し合って演目をズラしたからその通りに動いてくれ」

奏 「分かったわ」

P 「せっかくの大型ライブだってのに不安にさせてごめんな。必ず連れてくるから待っててくれ!」ガチャバタンッ!

P 「待ってろよお志希い!」ダダダッ

〜〜〜〜

志希 「……」

P 「…よ」

志希 「プロデューサー…」

P 「やっと…ゼェ…見つけたぜ…ハァ…志希…ウッ…」

志希 「ええ…肩で息してる…どんだけ探し回ってたの」

P 「仕方ないだろ…ライブ当日にすっぽかされては敵わんからな」

志希 「怒らないんだ?」

P 「本来はな。…けど、一つ言わなきゃいけないことがある」

P 「ごめん、志希! 仕事が忙しかったとか言い訳はしない。遊園地行く約束…したもんな」

志希 「ふうん、思い出してくれたんだ」

P 「…楽しみにしててくれたんだろ? じゃなきゃココにいないもんな。それでなんだけどさ」

P 「明後日、ここに行かないか? 二人で」

志希 「私はいいけどキミはイイの?仕事でしょ」

P 「有給とるよ。もっと早めに言ってくれよとか言われそうだけど約束破った俺が悪いからな。何が何でもとる」

志希 「…ふふ、そっかそっかあ。…じゃあ信じますかあ! にゃはは、それにしてもよくここが分かったねえ」

P 「ぶっちゃけ勘だ。最初花や◯きに行って見事に時間ロスしたしな…して、とし◯えんに来たら寂しそうに入口のベンチに座ってたから一目でわかったよ」

志希 「ところで、時間大丈夫なの?」

P 「結構アウトだ。…でも、急げばなんとかなる手筈だ」

志希 「謝らなきゃなあ。みんなに」

P 「俺も一緒に謝るよ。…よし、ダッシュだ!かっ飛ばしていくぞお!」グイッ

志希 「ちょ、ちょっと急発進すぎる〜…悪くないけどっ」


P (この後、メンバーのみんな、スタッフの皆様に全力で謝罪した。みんな笑って許してくれ、その優しさになんだかホッとした反面申し訳なくなる。困惑していたファン達もドームに現れた志希の登場により安堵し、彼女の軽快なトーク、蠱惑な歌と踊りにすっかり夢中になっていた)

P 「ま、結果は大成功だったんだなこれが」

志希 「なんか言ったあ?」ギュー

P 「言ってない。てか、離れてくれみんな見てるだろうが」

志希 「ええ、ご褒美のハスハスじゃん〜キミもいいっていったはずだけどなぁ?」

P 「いや、時と場所を…それに俺いま汗臭いし…」

志希 「気にしなーい気にしない♪ お口チャックだ〜」ギュー

志希 「それに、私はこの匂い大好きだからね〜 んーっこの天然コロン〜」クンクンッ

P 「い、いやスタッフの人から生暖かい目で…あ!奏、美嘉助けてくれ! 」

美嘉 「知らなーい。自業自得じゃん?」

奏 「いいでしょハグくらい。見てて微笑ましいわ」

P 「いや、至近距離で匂いを嗅がれてるんだけど…恥ずかしいんだけど」

周子 「そんなん役得やん」

フレデリカ 「シキちゃん、ワンチャンみたいで可愛いな〜」

P 「…はぁ、もう好きにしてくれ」

志希「〜〜♪」 スンスン

P (…もうここらで終わりにしたいよな。そうだな明後日が勝負だな)


〜〜〜〜

P 「おはよーさん。来たぞー」 ガチャッ

志希 「おはよ〜。待ってたよお」トテトテッ

P 「おお、珍しく起きてる」

志希 「そりゃ楽しみにしてましたから〜。ねね?今日の服装どう?オシャレじゃない?イケてるイケてるう?」

P 「おおイケてるイケてる。マジマブい。じゃあ、チャチャっと行きますか」

志希 「にゃははっなんか流されてる気がする〜。その前に」ソロリッ

志希 「ん〜♪ 朝イチのハスハス〜」ガバリコ

P 「おうふ、いきなりですか…」

志希 「あり?今日は抵抗しないんだ?」

P 「まあ…なんだ。今日は特別だ。お前さえよけりゃ好きなだけしてくれていいぞ」

志希 「おお!太っ腹〜」

P 「んー、いつもこれだと面白みがないよな。…よし」

志希 「〜♪ えっ」

P 「ハスハス〜♪」ガバッ

志希 「何やってるの?」

P 「いつもやられっぱなしだったからな。たまには意趣返しをと」

志希 「何その目には目を〜ってやつ。まあ、いっかあ」

P 「って、いつまでもこんな事していられないよな。よし、行こうぜ志希。朝ごはんは食べたか?」

志希 「まだかにゃあ。キミは?」

P 「家の残りモンを食ってきたよ。まだならいく道中コンビニ寄るからそこで何か買って食べてくれ」

志希 「はーい、了解であります♪」

P (志希、いい匂いだったな。…あれ?俺客観的にみたらだいぶキモいな。ええい邪念は振り払え、はいさいやめやめ)


P (目的地に向かう傍ら俺たちの会話はだいぶ賑やかで途切れることはなかった。ネコのように気まぐれな志希も傍目でわかるほど楽しそうなのが伝わる。 道中コンビニで辛そうなホットドッグを頬張る志希を尻目に俺もなんだか気分が高揚してしまう。紙パックのミルクティーを零されたが笑って許した。それくらい今が楽しいって事だ)

P (いやいや、何やってんだよ俺。今日実行するって決心したばかりじゃないか。…マズイなこのままじゃ沼にハマりそうだ)


ワイワイガヤガヤ キャーキャー ドドド!!!

P 「おお、平日なのに混んでる混んでる。盛況だなあ」

志希 「わーお! 盛り上がってまいりましたあ! ねね、どこ行く? ジェットコースター行こうよッ」

P 「まあまあ慌てなさんな。先ずは園内マップをだな…ふむふむ、館内施設も豊富なんだな」パラリッ

志希 「ダメ〜、今日はフィーリングで廻ろうよー」バッ

P 「まあ、そうだな。適当に歩き回って乗りたいヤツを乗るのも楽しいよな。ジェットコースターはあの奥に見えるな。よし行くか」

志希 「ゴーゴー♪」

ガタンゴトンガガガッ

P 「なあ、志希」

志希 「わぉ、たかいたかーい!人ゴミ〜 なあに?」

P「思い出したんだけど、…そういえば俺、絶叫系苦手だったわ」

志希 「へー、そうなんだ。でも、もう止まれないよ?」

P 「……」

P 「いやだああああああ!助けてくれえ! 神さまあ!チエリエルー!」

志希 「にゃはは♪ 無駄無駄あ♪ザッツトゥーバッド〜」

P「む、むーりー…っぎゃあああああ!!←下降

志希 「イェーイ♪」


P 「クヒィ…ヒィ…偉い目にあった…」

志希 「ふう〜エキサイティングー! ねね、もいっかい乗ろお?」

P 「勘弁して下さい…お、みてみろモニターで俺たちが乗ってた写真があらあ」

志希 「ぷぷっ、キミ、酷い顔だねえ。この世終わりみたい」

P 「実際そうだったからな。反面、志希はメチャクチャいい笑顔だな」

志希 「そりゃアイドルですから!」

P 「純粋に楽しんでるだけだろ…係りの人に言えばこの写真貰えるみたいだな。よし、すいませーん」

P 「ほれ、2枚もらってきたぞ。 ほいよ」サッ

志希 「…えへへ」ギュッ

〜〜〜〜

P 「ああ、この大きな振り子運動の船…懐かしいぜ」

志希 「あれえ?バイキングは大丈夫なんだ?」

P 「まあな。ジェットコースターやフリーフォールみたいな豪快なのがNGなだけだし。これならなんとかな」

志希 「ねえねえ!手を挙げてみて!こうするともっと面白いよ!」

P 「確かにみんな挙げてるな。よーし!」バッ

P 「…あ、だめ。やっぱ怖い無理」

志希 「ヘタレめー」

P 「なんとでも言え!今の俺は圧倒的弱者だ…」


P 「ふう…志希。いい時間だしそろそろ飯にするか」

志希 「さんせーい。私もお腹すいちった♪ カロリー摂取〜」

P 「あっちに確かフードコートあったよな。そこでいいか?」

志希 「ちょっとウェイト…」マップカクニン

志希 「おお、少し行ったところに小洒落たレストランはっけーん。ここにしようよ!ピザもあるしさ」

P 「ああ、そういえ好物だもんな。そうだな、そっち行くか」

ガヤガヤッワイワイッ

志希 「キミは何にするの?」

P 「んー、俺はペスカトーレにしようかな」

志希 「オーケー。すいませーんっ」

店員さん 「はいさい!」シュバッ

志希 「マルゲリータとペスカトーレお願いします♪」

店員さん 「かしこまり!」ババッ

P (どっかで見たような…)


店員さん 「お待たせいたしました! マルゲリータピザとペスカトーレです。ごゆっくり〜」

志希 「わーお!美味しそう。ナイススメル〜」

P「こっちも美味そうだ。海鮮たっぷりだし」

志希 「タバスコドバドバ入れて〜♪ ふんふん〜」

P 「…俺と志希とでは食の好みが見事に分かれそうだな」

志希「んう?キミはこの刺激的な味は好みじゃない?」

P 「嫌いというほどではないけど、好きではないかな」

志希 「ふうん。ま、人それぞれだよねー。んー美味ちい♪」パクッ

P 「ほんと、美味そうに食べるな。…ん、このパスタも結構イケる」

志希 「…ねえね」

志希 「あーん」 カワイイオクチカイコウ

P 「…あーん」

志希 「んう、こっちも美味しい♪ 幸せだなあ。エンドルフィンドバドバ〜」

志希 「…こっちのもほしい?」

P 「あ、大丈夫です」

志希 「にゃははっ!即決ー」

P 「あ、志希。ここを少し進んだらミラーハウスがあるらしいぞ」マップパラパラ

志希 「鏡の家?」

P 「…ああ、壁一面が鏡の迷路なんだよ。結構迷うんだよなこれが」

志希 「へえ」

P 「興味あるか?」

志希 「ちょっちだけインタレスティング〜」

P 「そっか。じゃあ食べたら行ってみるか」

〜〜〜〜〜

志希 「にゃははー!面白ーい!ファンタースティック〜」タタタッ

P 「おい。先行くなって志希!他のお客さんもいるんだから…」

ゴッ

志希 「〜〜ッ」オデコオサエ

P 「言わんこっちゃない…お、おい大丈夫か?志希」

志希 「ヘーキヘーキ♪…ちょっぴりジンジンするけど〜」

P「おいおい、見せてみろ」オデコサッ

志希 「え、う、うん」

P 「…うん、何ともないようだな」

志希 「…ねえ、その心配って私がアイドルだから? 外見で商売してる身として?」

P 「何言ってんだよ。お前だから心配なんだろうが」コツンッ

志希 「うにゃっ…えへ〜」///

〜〜〜〜

P 「ちょ志希、ハンドル…ハンドル止めてくれえ!」

志希 「グルグルまわ〜る!にゃはは高速スピン〜♪」グルグルッ

P 「俺らだけだから!コーヒーカップでこんなマジになってんの俺らだけだから! ま、マジで止めてくれえ!」

志希 「嫌よ嫌よも好きのうち〜、君もツンデレなんだから〜」グルグルッ

P 「ちょ、出るから!食べたもの口から出ちゃうからあ!!」

P 「……ウプッ」

志希 「あ、やば」


志希 「楽しかったにゃあ」ホッコリ

P 「マジで恨むからな…」

志希 「にゃは♪怒らない怒らない〜」

P 「…で、次はどうするんだ?何か候補はあるのか」

志希 「そうだねえ…もう日も暮れそうだしー」

志希 「あ、…これ」

P 「観覧車か。ま、とりにふさわしいよな。…でも、いいのか?絶叫系じゃなくて」

志希 「キミと乗りたかったからね」

P 「おお直球…なら、希望通り行きますか」

志希 「行きましょう♪」


志希 「わお!高い高ーい。上昇、上昇♪」

P 「でも意外だな。志希が観覧車に乗りたいだなんてさ」

志希 「そう? …そうかもね〜 キミがいるから特別乗りたいのかもね」

P 「…どういう意味だよ」

志希 「男の人と一緒に出かけるなんて、全くなかったからね。ナッシングー。最後なんていつだろう…ダッドと一緒に釣りに行ったくらいかにゃあ」

P 「ダッド…志希のお父さんか。今は日本に帰ってきてるんだっけ?」

志希 「ううん、相変わらずアメリカで研究三昧だよん。ママも寂しがってるんだからたまには顔出しに来ればいいのにね」

P 「志希は寂しくないのか?」

志希「……ん」

志希 「ママもパパも今はそばにいないけど、キミやみんながいるから寂しくはないよ」

P 「そっか」

志希 「…私が小さい頃はパパもよく私の面倒を見てくれて、私はパパと一緒に居られるからって理由でよく研究室に遊びに行ったりしてさ。…それが始まりだったかな」

志希「パパがいるからアメリカに行った。 ギフテッドなんてどうでもよかったんだ。そんな才能よりも私はママとパパといたかった」

P 「志希…」

志希 「…もう一度でもいいからあの頃に戻りたいなあ」

P 「…」

P (飽きたから。その一点の理由で日本を帰国した。それは本当なのかと思っていた。でも、それだけの理由ではないだろう。恐らく父との何らかの確執があったはずだ。…それに地元に戻らず東京で暮らしているのもそうだ。お母さんと会えるのに会わない。深い事情があるんだろう。それにきっとご両親の仲は…)

P (いや、余計な詮索はやめよう……俺はこれ以上…彼女に踏み込んでいいのか)

P (けど…目の前の悲しそうな女の子を助けたいと思った)

p 「志希」

志希 「ん?なに…」ガバッ

P 「…寂しい思いをしないよう俺頑張るからさ」ギュッ

志希 「…」

P 「あっちで何があったのかは知らない。けど、今が充実してるこの環境を壊さないように…いや、それ以上の躍進ができるよう頑張るからさ。志希も挫けないでついてきて欲しい」

志希 「…もちもち、オフコース♪ それよりも君がこんな行動をするなんて予測できなかったなあ」

P 「…嫌か?」

志希 「嫌じゃないよ。むしろ好きかな」

P 「そりゃどうも」

P (志希はいつも通りの様子に見えるが頬がほんのり赤かった。無論、俺もだ。…慣れてないことをするもんじゃないな…)

P (決めたはずなんだけな。今日が実行する日だって。…絶好の機会のはずなのに俺は)

p (この関係を終わらしたくないと思った)

〜〜〜〜

志希 「ねえねえ」

P 「ん?なんだ」ブロロッ

志希「私の家通り過ぎたけど」

P 「おおマジか。悪い、引き返すよ」キイッ

P (行きとは違い、帰りは静かだった。俺はその時間、悶々と悩んでいた。…先延ばしにするかどうか、判断がつかなかったんだ)

P 「着いたな。…今日はお疲れ様。楽しかったよ」

志希 「まあ待って」グッ

P 「ん?」

志希 「ご飯まだでしょ?上がってよ」

P 「え、いいよ。家で食うから」

志希 「いいから」

P 「お、おお。じゃあ、ご好意に甘えて」


志希 「ふふーんどお?志希ちゃんもちゃんと料理できるんだよ?」ドヤっ

P 「オムライスか。普通にうまそうだな」

志希「ささ、食べましょー♪」

P 「おお、いただきます」

志希 「マイタバスコどばーっ」

P 「……はは」

志希「ねね、プロデューサー」

P 「ん?」

志希 「凛ちゃんみたく、私も捨てるの?」

P 「!?」

P 「何だよそれ」

志希 「キミを見てればねえ。観覧車からキミの雰囲気が一変してたし。私じゃなくても分かるよ。…ねえ、それでどうなの?当たってる?」

P 「…」

P (俺がこの時思ったのは最低な言葉だった)

P (これで踏ん切りがついたと、彼女の問いかけに違うと言えば嘘になるから。それにこれ以上彼女といたら俺は間違いなく…)

P 「…捨てるなんてことは絶対にしない。志希も凛もみんな大切なアイドルだ」

P 「けど……この関係はそろそろ断つべきだと思う」

志希 「…それってどういう意味?」

P 「具体的には今日のような事はもうない。…これからはあくまでも仕事の関係だ。公私キッチリ分けた節度ある付き合いを俺はしたい」

志希 「にゃはは♪面白いねえ!」


志希 「…本気で言ってるのそれ?」

P 「本心だ」

志希 「そんな事してもいいと思ってるの? キミがこんな判断を下すなら私にも考えがあるよ」

P「なんだよ?」

志希 「前回のライブみたいなことをされると困るよね?」

P 「…ああ、確かに困るな」

P 「けど、自己責任だ。俺だってそう何回もやられちゃ庇えるものも庇えない」

志希 「…私がキミを好きって言ったらキミの考えは変わる?」

P 「…変わらないよ」

志希 「にゃはは♪そっかそっかあ。私振られちったー」

志希 「面白くないね」

P 「…俺を嫌いになってくれても構わない。けど、分かってほしい。これはお前を…」

志希 「嫌いになれるわけないじゃん」ズイッ

P 「ッ」

志希 「むしろ好きだよ、大好き。いつのまにかキミに夢中になってる私がいるんだ。独り占めしたいと思ってる。それくらいキミが好きなの」

P 「志希…」

志希 「じゃあさ、キスしてよ。終わりにしたいんでしょ?なら…キスしてよ」

P 「何でそうなる…」

志希 「いいから…」メヲトジ


P 「…」

P 「…」ユビニクチビルチョン

志希 「…これがキミの決断?」

P 「ごめん、志希。俺はお前を恋愛の対象に見れない。年の離れた妹同然にみていた」

志希 「…はは!なにそれえ。私に魅力がなかったって事?にゃはは、とんだ茶番〜♪」

P 「…俺、帰るよ」

志希 「…プロデューサー、私は諦めてないからね?きっとこれからも執着するから。ずっと、ずーっと」

P 「それでも構わないよ。…けど俺はその想いには答えられない。絶対にな」ガチャバタン

志希 「……」


志希 「何だろ?…今日はもう何もやる気しないにゃあ。寝よ」

志希 「…」

志希 「あれ?なんだろうコレ」ポロッ

志希 「涙ってヤツ?にゃはは、私って単純〜」ポロポロ

志希 「ふんふん〜 my secret eau de toiletteー♪ 」

志希「じきに君はfalling loveの兆しみせる 恋は化学式 君にはきっとcrazy things〜♪ 」ポロポロッ


P 「……」ブロロッ

P 「ああ、ダメだ。何を悔やんでるんだ。選択したのは俺だぞ?彼女たちを傷つけたのは俺なんだぞ」

P 「後悔しちゃ…ダメだろ」

P 「恐らくこの話は近いうちに知れ渡る。 その時俺は…」

…………

P 「…はあ」

P (せっかくの休みだっていうのに、何もやる気が起きんな)

P (いや、理由は分かっているんだけどさ)

P 「それにしても腹、減ったな。飯でも食い行くか」


P 「いやあ…久しぶりに食ったけど美味かったな!」

P 「俺はす◯丼よりしおす◯丼派だ」キリッ

P 「…そこの公園で少し休むか。タバコ吸いたいし」スタスタッ

P 「ふう…」スパーッ

? 「プロデューサーさん?」

P 「ん?」クルッ

智絵里 「やっぱりプロデューサーさんだ。えへへ、こんにちは」

P 「お、おお智絵里。奇遇だなこんなところで」タバコケシケシ

智絵里 「ここで何をしていたんですか?」

P 「単なる休憩だよ。それより智絵里は?」

智絵里 「私は日課のお散歩です」

P 「そっか。…じゃあ、俺はそろそろ行くよ。休暇を楽しんでくれ」

智絵里 「◯◯さん」

P 「ん?」

智絵里 「最近、事務所に良くない噂が広まってます」

P 「…そうみたいだな」

智絵里 「何でかわかります?」

P 「…ノーコメントだ」

智絵里 「…そうですか。でもプロデューサーさんの本心、私には分かりますよ。えへへ、鬱陶しかったんですよね?他の子の好意が」

P 「え?」

智絵里 「前々から私も思ってました。プロデューサーさんも迷惑してましたもの」

P 「そ、そういうわけじゃないよ」

智絵里 「ふふ♪嘘をつかなくてもいいですよ。私には分かるんですから」

P (ああ…思い出した。彼女は…智絵里を俺は)

智絵里 「でも前のように露骨に私を遠ざけるような事…しないで下さいね? 寂しいし何より…ふふっ」

P 「…っ」


P (智絵里との出会いはまだ俺がプロデューサー業をはじめたての頃…ニュージェネの営業で各地を東奔西走していた時だ)

P (その日は事務所のオーディションの日だった。そこの廊下で何か悩んでいるような、怯えるように震えている少女がいた。それが緒方智絵里だった)

P (話を聞くとオーディションに応募してこれから面接というものの、緊張と怖気のせいで前へ進めない。だから俺はその娘の背中を押してやった)

P 「ーー大丈夫。きっと上手くいくよ。自分を信じて」

P (彼女はみごと合格を勝ち取り我が事務所に所属が決まった。引っ込み思案の彼女にとってそれは大きな一歩に相違ない。これからの躍動が楽しみだ。そう思っていたが不思議な縁か彼女の担当に選ばれたのは俺だった)

智絵里 「緒方…緒方智絵里…です。あの…その…一生懸命、アイドル目指して…がんばります…よろしくお願いします…その…ふつつかものですが…見捨てないで…ください」

P 「はは、見捨てるなんてそんな事しないよ。…これからよろしくな智絵里!」

智絵里 「は…はい」

P (今だから言うが最初の頃の智絵里はとても拙かった。ダンスでもボーカルレッスンでも周りのみんなに置いていかれるくらい彼女は不器用だった)

P (社長やトレーナーさんから苦言を言われた事もある。そのとき智絵里は泣いていた。けど俺は諦めようとは微塵も思わなかった。智絵里の苦手だったレッスンも居残りをしたり公園で発声の練習をしたり…とにかく彼女に俺は付き合った)

p (小さな仕事を着実にこなしつつ俺たちは進んでいった。智絵里は緊張しがちな性格で仕事先の相手にもオドオドとしていて心配だったが、それは杞憂に終わった。彼女のポテンシャルの高さを俺は知っていたからだ)

P 「そして彼女の単独ライブが決定したとき、俺は子供のように恥ずかしいくらいはしゃいでいた気がする。智絵里本人に窘められるくらいに…」

P (もともと本人は内気な性格を変えたいからウチに応募したといった。友達もできたしライバルもできた。彼女は順風満帆そのものだった)

P (彼女が変わったのはいつだったか…そうだ、あのクローバーか)

P (移動先の空いた時間に俺はよく読書をしていた。みかねた智絵里に俺は四葉のクローバーを閉じた栞を貰った)

P (彼女の趣味が四葉のクローバー探しなのは知っていたし、なんなら一緒に探した事もある。俺は智絵里のプレゼントに大層喜んだ)

P (後に分かったが、彼女は依存しがちな子だった。俺にべったりだった智絵里に最初こそ微笑ましいと思っていたが…)

P (半年前に智絵里はユニットを組んだ。キャンディーアイランドだ。個性がバラバラだが彼女たちの可愛らしい雰囲気はこのユニットのテーマにマッチしていたから俺が提案した)

P (智絵里たちは喜んでいたが一瞬でその表情は曇った。…俺がキャンディーアイランドの担当を外れたからだ)

P (…俺もそれなりに忙しかった。正直いうと新人アイドルの育成に俺は力を入れたかったのもある。アイドルランクも上がり、知名度も増えた彼女たちのプロデュースに俺は必要ないのではないかと疑問が生まれた)


P (結果は揉めに揉めた。特に一部のアイドルの反対が多かった。…その中には智絵里がいた)

智絵里 「◯◯さん…約束…破るんですか?私を見捨てるんですか」

P (俺はその時の智絵里の目に恐怖を覚えた)

P (思えばこの計画を始めたのも彼女が原因だったのかもしれない。…彼女が俺に好意を向けていたのは知っていた)

P (智絵里のアプローチをのらりと回避し、俺はジワリとだが彼女と徐々に距離をとった)

P (恋人が出来たと嘘をついた事もある。即座に見破られたがな)

P (このままじゃいけないのは分かっている。何より第一、俺は彼女たちを守る為にこんな事してるんだ。保身のためなんかじゃない)

P (…終わりにしよう。これで決着つけるんだ。嫌われてもいい、だから…俺の事なんか好きにならないでくれ…)


…………

ディレクター 「はーい、お疲れちゃーん!いやー今日も良かったよ」

P 「はい、ありがとうございます」

ディレクター 「いやあ、流石君が選んだだけのユニットだけあるよ。これなら数字も…
むふふっ」

P 「ええ、楽しく収録が出来て、オンエアが楽しみです」

ディレクター 「君もお疲れ様ね。そんじゃ次もよろしく〜」

P 「はい、失礼します」


P 「ふう…」

P 「よし、みんな帰るぞ〜」ガチャ

かな子「ふぇ!? は、はい」モグ

P 「…今何食ってた?」

かな子 「えへへ…クッキーを少々」

P 「かな子…ちゃんとカロリー消費の事を考えるんだぞ。アイドルなんだから見た目は大事だ」

かな子 「は〜い」

P 「それより、挨拶回りは終わったか?」

智絵里 「はい、後はプロデューサーさんを待ってるだけでしたから」

p 「そっか…なら行くか」ムンズッ

杏 「んぎゃっ!何もそんな起こし方しなくてもいいんじゃんか〜!」

P 「なら毎回起こす身にもなってくれ…ほら、ご褒美の飴だ」

杏 「ええー、パチパチするやつよりイチゴのやつがいいー」

P 「そうか。なら今日は飴抜きだな」サッ

杏 「い、頂きまする」コロコロっ

P 「この後のスケジュールはないし …どうする送っていこうか? みんな寮だし」

智絵里 「プロデューサーさん」

P 「ん?」

智絵里 「この後、ご飯でも行きませんか?…打ち上げも兼ねて」

P「…珍しいな。智絵里が打ち上げだなんて。でも、ダメだ。お前らとおいそれと食事に行けないよ。それに俺はこれからやる事が…」

かな子 「あっ、良いですねそれ! 行きたいです」

杏 「杏は別にいいかなあ。それより家に帰ってやりっぱだったマ◯オメーカーを…」

智絵里 「杏ちゃんも行きたいよね?」

杏 「あ、はい。行きたいです」

智絵里 「みんな、プロデューサーさんとご飯行きたいそうですよ?」

P 「少し待っててくれ…」スマホイジリ

P 「まぁ…飯食い行くくらいだったらいいか。よし…何か希望はあるか? あ、タピオカ以外でな」

杏 「別に夜ご飯で食べようと思わないよ…んう杏はどこでもいいよー」

かな子 「美味しければなんでもいいです!」

智絵里 「プ、プロデューサーさんが行きたいところならどこでも…」

P「俺かあ?…そうだなあ。ちょうど肉食べたいと思ったしステーキとかどうだ?」

杏 「まあいいんじゃない?」

かな子 「いいですね♪」

智絵里 「賛成です」

P 「決まりだな。ちょうど行きつけの所があるんだ。そこに行こう」

「「「はーい」」」

…………

P 「うん、これこれ。…幸せだなあ。ボカァ肉を焼いてる時が一番幸せなんだ」ジュー

杏 「プロデューサー肉切ってー」

P 「自分でやれよ…ほいっほいっと。これでいいか?」

智絵里 「結局やるんですね…」

P 「は!? つい癖で…」

かな子 「んー♪おいし〜♪」ホワワ〜ン

P 「なんか自分の世界に入ってる…智絵里、ゆっくり咀嚼するんだぞ? ゆっくりな」

智絵里 「は、はい…あむっ」

杏 「いや、プロデューサーも過保護すぎだからね?」

P 「そういえば、智絵里は明々後日地方のロケだよな?」

智絵里 「はい…青森の…えーと」

P 「S村だな。ミステリースポットが有名な場所だとか」

智絵里 「…プロデューサーさんと一緒がよかったです」

P 「仕方ないだろ。俺もその日は新人の子の付き添いなんだよ。…ま、オンエアされたら必ず観るからそれで手打ちで」

智絵里 「はい…」

杏 「…」

杏 「プロデューサーこの肉いらないの?じゃあ杏貰うねー」ヒョイッ

P 「ああ!?俺の肉が!杏〜」

杏 「だ、だってピンポイントで残してあったんだもん」

P 「俺はお楽しみは最後にとっておく派なの!」

杏 「じゃあこの付け合わせのブロッコリーあげるから」

P 「いらんわ!」

智絵里 「ふふ…」クスッ

…………

P 「ええ!◯◯さんが風邪!?」

ちひろ 「はい、そうなんですよー」

P 「僕に電話したってことは…」

ちひろ 「ええ、ご明察です。智絵里ちゃんの同行をプロデューサーさんにと社長が…」

P 「ええ!?でも、こっちだって予定が…」

ちひろ「そっちに関しては社長直々に付き添うとの事らしいです。…ですのでプロデューサーさんは急ぎ智絵里ちゃんと合流して下さい」

P 「分かりました…」

P (はあ…なんでまたこのタイミングで)

P (でも…決心はついていたし。後はタイミングだけだよな)

P 「よし」

P 「到着ー。ん〜寝れた寝れた」ノビー

智絵里 「ふふ、プロデューサーさんグッスリでしたね」

P 「まあなあ。片道三時間は仮眠にはちょうどいい時間だよ」

スタッフ 「あ、プロデューサーさんちょっと」

P 「はい」

スタッフ 「ここで少し駅前の雰囲気を撮ったら村に入ります。その後は村の公民館で歌を披露する感じですけど…曲は風色メロディとhappy×2 Daysの二曲で宜しいです?」

P 「ええ、それで問題ないですよ。村の観光名所をまわるのは明日ですよね?」

スタッフ「ええそうです。キリストの墓は余り歩かないですけどピラミッドの方は山の中を結構歩くので緒方さんの体力的にはどうでしょうかね?」

P 「心配ないです。その為に日々努力してるんで!最高の絵を撮れると思いますよ」

スタッフ 「それは期待できそうです! では…準備が整い次第声かけるんでよろしくですー」タタタ

智絵里 「プロデューサーさんと一緒の仕事…すごい久しぶりな気がします」

P 「そうだなあ。最近は所属アイドルも増えたしな。あまり構ってやれなかったかも」

智絵里 「私…すごく寂しかったです」ギュッ

P 「智絵里…」

智絵里 「頭…撫でてください。頑張りますので…景気付けに…ナデナデして下さい」

P 「智絵里がいいんだったら…」ナデナデ

智絵里 「…え、えへへっ♪◯◯さんの手、大きくて気持ちいいです」

P 「…」


智絵里 「憧れが 想いに変わるー♪ 愛を歌う鳥のようにー♪」

P (…流石だな。あんなに苦手だったダンスと歌を今では自分の武器に変えて。…おお、なんか込み上げるものがあるな)

P (ロケは順調に進んだ。まあ、智絵里なら特に心配はしていなかったけど。その後宿の撮影をし食事風景を撮ってお開きになった)

P 「飯うまかったな。…旬の山菜を使った釜飯があんな美味いとは…」スパーッ

智絵里 「プロデューサーさん♪」

P 「ん?どうした智絵里。まさか…お前も吸いに来たのか」

智絵里 「吸いません。プロデューサーさんを探してました」

P 「お、おお。とりあえずここを出ようか智絵里にこんな場所居させちゃ悪い」タバコケシケシ

P 「で…どうした?」

智絵里「さっきお風呂から出たら、女将さんにここは星がよく見えて綺麗だって教えてもらって…一緒に行きませんか?」

P 「星かあ…そういえば最近気にしたことすらなかったな。…で、どこから観るんだ?」

智絵里 「はい♪ 旅館を少し出た高台からがオススメらしいです」

P 「ならチャチャっといくか」

…………

p 「ほへー、すっごい」

智絵里 「わぁっ」キラキラ

P (なんと言えばいいか。真っ黒のカーテンにキラキラの模様が散りばめられたように星は眩く煌めきを放っていた。語彙力が乏しいのが悔やむが恋人が好みそうなロマンチックな風景と言えば分かるだろう)

p 「それにしても長閑な場所だな。周りには店とか全く見なかったし…住民の人は買い物とかどうしてるんだろ」

智絵里「隣町まで車なんですかね? けど…不便でも私はココ、好きかもしれないです」

P 「まあ、田舎はなあ。人が暖かいとかいうしな」

智絵里 「◯◯さんの地元もこんな感じですか?」

P 「ここより田舎ではなかったよ。特に生活に不便したこともないし。けど…車社会の町でなあ。都会の生活に慣れると断然都市部の生活に落ち着いちゃうよ」

P 「智絵里は三重県だっけ? よくそんな遠いとこまで上京してきたな。行動力あるよ」ナデナデ

智絵里 「えへへ♪…どうしても自分を変えたかったんです。いつもオドオドして、周りの顔を気にして、指示待ち人間でした。でも、プロデューサーさんに出会ってから変わったんです。…だから」

智絵里 「ずっと…私を…見守ってて下さい」

P 「…ああ、約束する」

p (側から見たら俺たちは恋人に見えるのだろうか?いや、年の離れた兄弟か? …どっちでもいい。結局俺は『選ぶ』勇気がない。それがひどい結末を迎えることになっても後悔はないだろう)

P (ああ…星が綺麗だなあ)

…………

智絵里 「わあ…大きい…」

P 「本当にな。これがキリストの墓っていうのは懐疑的だが迫力はあるな」

智絵里 「向かいの方は弟さんのお墓なんですよね?」

P 「らしいな。イスキリだっけ?…おお、エルサレムから石が寄贈されてるみたいだな」

智絵里「キリストさんが磔の刑から逃げ出して日本にやってきたってすごい話ですもんね…」

P 「隣の博物館で話を聞いたら信じてみたくなる内容だったな。まあ、ロマンはあるとは思うけど…」

智絵里 「館長さん優しかったですね。トマト頂いちゃいましたし」

P 「ロケで訪ねられるのは珍しいのかもな。それにしてもトマト美味かったな」

智絵里 「はい!けど…博物館の中にあったあのカゴに入っている赤ちゃんは少し怖かったです…」

P 「思った。夜ひょっこりみたら子供泣きそうだよなアレ」

P (何とも不思議な村だよなあ…)


P 「ほへえ…こんな山道の脇にあるのか」

智絵里 「ええッと大石神ピラミッド探検ルート…プロデューサーさん、どっちから行きますか?」

P 「そうだな…先にこの巨石群の所に行くか。そっちは山を登るみたいだし。…あの鳥居の先か」スタスタッ

……………

智絵里 「不思議なところでしたね…パワースポットっていうか」

P 「ああ…なんか岩!て感じの巨石がゴロゴロ転がっていたな。ピラミッドなのかアレ」

智絵里 「人為的に積み上げていた石でしたし…何らかの意図があるんでしょうね」

P 「どっちかというと昔の人の祭壇のようにみえたな…ううむ不思議だ」

…………

P (ちょっとした観光気分が入り混じったロケは終わりを告げた。俺自体今回の仕事はとても楽しかった。…今現在はロケバスで東京に帰る駅に向かっている。横には俺に体を預けた智絵里が気持ちよさそうに眠っていた)

智絵里 「スゥ…スゥ…」

P 「…」ナデナデッ

智絵里 「…♪」///

P (…なんだか父性が刺激されるような感覚だな。子供を持つ親ってこんな気分なんだろうか)ナデリ

P 「明日からまた忙しくなるし。気合入れなくちゃな。さて…仕事仕事」パソコンパカ

智絵里 「…」ギュッ

P 「ん?智絵里?」

智絵里 「止めちゃ…嫌です」

P 「あ、ああ」ナデナデッ

智絵里 「…えへへ」

智絵里 「…ずっと…この時間が続けばいいのにな」ボソッ

P 「…」

P (俺は聞こえていないフリをした。その言葉に応えたらどうなるか…容易に想像出来たから)

…………

ちひろ 「では改めまして…キャンディーアイランド、アイドルランクA突破おめでとうございます!」

いえーい! ワイワイ!ガヤガヤ!

かな子 「あ、ありがとうございます!」

杏 「はいはーいどうもー」

智絵里 「どうもありがとうございます♪」

P (…よくやってくれたよな。まさか、一年足らずでランクAを突破するなんて…ウチが初めてなんじゃないか?…感慨深いものがあるよホント)

P 「でも、まさかこんな堂々とパーティを開催するなんて社長も粋な事するよなあ」

智絵里 「プロデューサーさん」テクテク

P 「ん?なんだよ。主役がこんなところにいちゃダメじゃないか」

智絵里 「どうしてもプロデューサーさんにお礼を言いたくて…その本当にありがとうございます。ここまで導いてくれて」

P 「これは俺の力じゃないよ。君たちキャンディーアイランドの実力だ。俺はほんのすこし背中を押しただけだよ」

智絵里 「謙遜しないでください」

P 「あ、ああ。…と悪い、ちょっとトイレ」

智絵里 「…」ジィー


P 「…ふぅ」スッキリ

智絵里 「プロデューサーさん」

P 「おわ!? 智絵里…なんだよ驚かせてさ」

智絵里 「あの…二人でここから抜け出しませんか?」

P 「へ?…いやいや、主賓が抜け出すパーティーなんて前代未聞だぞ。ダメだダメ」

智絵里 「…お願いします。どうしても◯◯さんと一緒に行きたいところがあるんです」

P 「…はあ、どこだ?なるべき近いところで頼むぞ」

智絵里 「あっ…えへへ、はい!」パアッ


P 「ここって…」

智絵里 「覚えていますか?」

P 「ははっ忘れるわけないだろ。あの時遅くまで練習したりした公園だよな」

智絵里 「はい!…なんだか気持ちが込み上げてきちゃって。どうしてもここに行きたかってんです」

P 「懐かしいなあ。…よくあそこの原っぱで四葉のクローバーを探してたっけ」

智絵里 「覚えててくれたんですか?」

P 「もちろんだよ。智絵里から貰ったあの栞だって大切に使ってるぞ」

智絵里 「…◯◯さん」

智絵里 「…」ギュッ

P「…智絵里」

智絵里 「…私」

智絵里 「プロデューサーさんが好きです。大好きです。…ずっと一緒にいたい。◯◯さん…私と…お付き合いしてください」

P 「智絵里…」

P 「ゴメンな。俺はその気持ちに応えられない」バッ

智絵里 「…あ」

P 「…今の智絵里はきっと勘違いしているだけなんだ」

智絵里 「…勘違い、ですか?」

P 「そうだ。たまたま親身に付き添ってくれる年上の男…そいつがいつも身近にいるからライクとラブの感情を履き違えているだけなんだ」

智絵里 「ち、違います!私は…」

P 「…どちらにしても俺は君の想いに応えられない。…なあ、なんで俺を好きになった?」

智絵里 「プ、プロデューサーさんは私を変えてくれて…優しくて…かっこよくて、一番に私たちを考えてくれる。そんなの好きになる方が自然だと思います。…好きに、なっちゃいますよっ」

P 「…………ああそうか」

P 「…そうか…原因は俺にあったんだな。不用意に『お前ら』に優しくしすぎた。…それが皮肉にも…」

P 「智絵里…もう俺のことなんか好きにならないでくれ」

智絵里 「や、嫌です!…お願いします。み、見捨てないで下さいっプロデューサーさんに嫌われたらわたし」ポロッ

P 「嫌いになるわけないだろ。だだ、付き合い方を変えるだけだ。もう、…俺に好意を持たないように」

智絵里 「…ひっ…ぐす…」ポロポロ

P 「…泣かないでくれよ。俺も辛いんだよ」

智絵里 「…ふふ」

P 「…智絵里?」

智絵里 「ふふふ!そうですか…わたし分かっちゃいました」

智絵里 「プロデューサーも辛かったんですよね」

智絵里 「でも、いいんですよ?我慢しなくて…」

P 「な、何言ってるんだよ…」

智絵里 「プロデューサーさんの気持ち…わたしは痛いほどわかりますよ。言えないですもんね、自分の気持ち。素直になったら邪魔されますもんね…他の子に」

智絵里 「でも、他の子とはわたしは違います。純粋にただ…プロデューサーさんを想っています。本当に貴方が大好きなんです。…ねえプロデューサーさん、本当のことを言ってください」

P 「ほ、本当に俺の本心だ。それ以上言わせないでくれよ」

智絵里 「嘘です!プロデューサーさんはわたしを否定しない。ずっと私だけを見守っていてくれるんです。約束したじゃないですか」

P 「解釈の違いだ。俺は何もそうな風に言ったんじゃない」

智絵里 「プロデューサーさん…見捨てないで…私をずっと見ていてください…捨てないで下さい…」ギュッ

P 「っ」バッ

智絵里 「きゃっ」

P 「智絵里がそう思うならそう思えばいい。けどな、俺ははなからこんな人間だ。希望を持たせておいて引きずり落とす…最低な人間なんだよ」

P 「ははっ結局アイドルを守るためといっても性根は自身の保身ためだったのかもな。俺は…自分の立場を失うのが嫌なだけだったんだ」

智絵里 「…え?」

P 「何でもない、忘れてくれ。…先に行くぞ。智絵里も遅くならないうちに戻って来なさい。今夜の主役なんだから」スタスタ

智絵里 「プロデューサーさん…」

智絵里 「…」

ザッザッザ

? 「やっほおー♪」

…………


ーー今でも鮮明にあの日を覚えています。

私は人の目を気にしてばかりの内気な女の子でした。 学力は平凡。運動は苦手で歌も人に自慢できるものではありません。

優しい両親のもとに生まれ、友達と放課後、教室でお喋りしたり遊びに行ったりする。普通の女の子です。

けど、そんな私にも憧れはあります。私はアイドルが大好きでした。

テレビにかじりついて観るのは大勢の人の前で歌とダンスと可愛らしい見た目で歓声を沸かすアイドル。

陰気な自分とはまさに正反対の自信に溢れたその表情の彼女たちに焦がれ、私はこうなりたいと思いました。

ーー変わろう。自分を変えるんだ。

そう決心して東京行きの切符を買い、新幹線に揺られて目的の場所に到着します。

アイドル募集をしているという事務所は新進気鋭の小さな事務所でもなく大きなビルの大手マンモス事務所でもなく、建物の規模は大きいものの外観は格式高いような、ゴシック調のそれはまるでシンデレラのお城のような。そんな素敵な事務所でした。

受付の人にオーディションの旨を話し、奥に通されます。

エレベーターに乗った私の心臓は今までで一番聞いたことないような。声色をあげるようにドクドク鳴ります。

ふと頭に何かがよぎります。

ーー怖い。失敗したらどうしよう。

頭の中は恐怖、緊張、焦燥感がひしめきあいます。グルグルとそれらがミックスされ、まるで共鳴しあい音楽を奏でているようです。

その音を聞いた途端、私の足は動かなくなりました。

目頭が熱くなります。自分を変えたいのは嘘だったのでしょうか? わざわざ東京までやってきたのに私は…臆病な人間でした。

自分が心底嫌になり、口から可笑しな息が漏れ、足がプルプルと震えてゆきます。

ーーやめよう。私はアイドルに向いていなかったんだ。こんな事であがってしまうような内気な自分には無理だったんだ。

せっかく東京まで来たんだし…観光でもしようかな。

そう考えると、一人の男性が私のもとに近寄ってきました。

ーーそれが運命の出逢いでした。

初対面の人に内心を吐露したのは初めてです。それ程自分は参っていたのでしょう。

その人は私の話を聞いた上で穏やかに笑いました。

ーー大丈夫。きっと上手くいくよ。自分を信じて。

そう言って、彼は優しく送り出してくれました。

結果は見事、合格を勝ち取り。私は晴れてアイドル生活を始めることになりました。

お母さんお父さんに許可を取り、三重から東京に引っ越して学校も変える。今までの環境を変えるにはとても勇気がいります。けど、それでも私はアイドルになりかったのです。

でも、忘れていました。自分の苦手分野を。私が越えようとしても越えられなかった壁が立ち塞がったのです。

レッスンはいくら練習してもまったく上達しなかったのです。

歌もダンスも…他の子に置いていかれ迷惑をかけてばかりでした。

トレーナーさんの失望が入った目や偉いおじさん達の言葉を私はバネに変えるほど強くありませんでした。

何度も泣きました。

けど

あの人は…プロデューサーさんだけは最後まで私を見捨てませんでした。

運良く彼の担当になったのは素直に嬉しかったです。あのオーディションで自分を奮い立たせてくれた恩人ですから嬉しくないわけがありません。

プロデューサーさんは私を見限らないでくれました。

ダンスレッスンもボーカルレッスンもレッスン場で居残りをしていた時は見兼ねて彼も一緒に残ってくれました。

休日は私に付き合って公園でよく特訓もしてくれました。そのお陰で私は以前と比べて上達できたのです。

他の子の前座やバックダンサー、地方のPR活動などの小さな仕事を二人で堅実にこなしてきました。

そして、私の活動は徐々に大きくなりCDデビュー、初めての単独ミニライブ、初めての単独握手会など…沢山のことを経験しました。

ーー本当にたくさん。

それも全部プロデューサーさんのお陰でした。彼のおかげで私はアイドルができます。彼がいなかったら…そんな事考えたくありませんでした。

同時に私は彼をいつの間にか好きになっていました。彼と恋人になりたかったのです。

読書が趣味の彼に贈ったあの栞…四つ葉の花言葉を知っていますかプロデューサーさん?…ふふ。

けど、私の想いとは裏腹に彼は私とじわじわと距離を置いていきました。アプローチが彼に如実に伝わるほどバレていたのでしょう。彼の行動に胸がチクリと痛みます。

そして、杏ちゃんとかな子ちゃんとユニットを結成した日。彼が私の担当を外れると言いました。

ーーなんで?

あの時の私は動転と焦りと悲しみが一気に襲いかかってひどく取り乱していた気がします。

他の子の反対も相当でした。彼は事態を受け止め担当を残留することになりました。

ーー見捨てないで下さい。そう約束したのに…

久しぶりに彼と仕事ができ、私はとても浮かれていました。

あの村でみた綺麗な星空。とても気分が高揚してしまいます。私はある決心をしました。

夜の公園で想いを伝えました。私の一世一代の初めての告白です。

結果は、私の想いはただの一方通行のようでした。

それはまだいいのです。彼がまだ私を好きになる可能性があるなら…それはまるで蜘蛛の糸のように…希望という糸に私は縋ります。

ーー彼は私の想いを否定しました。この恋は偽物だと。

いくら大好きな〇〇さんでも許せませんでした。しかし、彼は私に冷たく言い放ち去っていきます。残ったのは惨めに飛散した私の恋心。

彼の背中をジィーと見つめます。自分でも驚くほど黒い感情がふつふつと湧き上がりました。

ーー彼を独り占めしたい。

その時、彼女が現れたのです。

志希「やっほおー♪」

智絵里 「…志希ちゃん」

志希 「うんうん、智絵里ちゃんもやっぱりダメだっかあ」

智絵里「みてたの?」

志希 「一部始終ねえ。…ねね、それよりさ」

志希 「話しない?彼の…さ」

智絵里 「なんですか?」

志希 「にゃはは!話というのわあ〜」

志希 「彼…欲しいんだよね?協力しない?」

その悪魔のような囁きに私の迷いはありませんでした。

智絵里 「…どんな話?」

私は…彼が…〇〇さんが…欲しかったから。

…………


自分のことを一番知っているのは自分だと思う。

けど、私がここまで人に執着するような性格だとは思わなかった。

桜舞う四月。出会いと別れのその季節、あの人との出会いは当然訪れた。

ーーどこにでもいる普通の高校生。進路はまだ決めていない。でも家業の花屋を継ぐことになるんだろうな。そんな事を漠然と考えていた。

やりたい事なんてなにも…熱中するような事なんてなにも。

我ながら冷めた性格だと思う。

今の私がアイドルをしていると知ったら過去の私は驚愕するんだろうな。

ーー最初は不審者かと思った。

帰り支度を済ませ、校門を出る。友達とカラオケで歌う約束をしたからワイワイと繁華街に向かう最中。

彼は現れた。

ビシッと私を見つめ、早足でこちらに歩み寄る彼に不穏を感じた私は、すぐさま通報できるようにスマホ片手に彼と対峙する。

ーーなに?

私のぶっきらぼうな一言に彼は面食らうが、すぐに表情を取り繕い名乗った。

へえ…アイドルのプロデューサー?アンタが?

まさかスカウトってこと?へえ、そんな漫画みたいな事本当にあるんだ。

私は断った。

けどアイツは思ったよりしつこかった。

友達に助けられたり、無視したり。挙句に通報したりしてアイツを遠ざけた。でも、諦めなかった。

いい加減しつこく私はそいつに感情を爆発させた。

いい加減にしてよ!なんで私なんかを…

彼はその言葉を待っていたかのように口を開く。

ティンときたんだ。君なら必ずトップアイドルになれるって。そんな予感…いや、それ程の逸材だって。

アイドルに興味がなかったっていうと嘘になる。本当は何かを待っていたのかもしれない。何か夢中になれるものが。

こうして六度目のスカウトで私は彼の誘いに乗った。三顧の礼以上だ。諸葛亮もビックリだね。

長くなるから省くけど、その間沢山の衝突があった。意見の相違、大人と子供の感受性、多くの失敗…振り返ると私はプロデューサーと長い道のりを歩いてきたんだなと実感する。

私は彼に応えるため精一杯努めたと思う。私たちの為に彼は仕事を頑張ってとってきた事に報いなければならないからだ。

プロデューサーが下げたくない頭を下げ、嫌な大人に媚びへつらう姿を沢山見てきた。けど、それは全て私たちのためだと知ってたから。

初めてのユニットやライブ、CDデビューにテレビ出演、それにモデルの仕事やラジオのレギュラー。

沢山の仕事を彼と一緒に乗り越えてきた。私をスカウトした当初、彼は新人だったらしくなんでも初スカウトは私だったらしい。それを聞いて私はなんだか嬉しく思ってしまったのと同時に胸が暖かくなった。

最初こそ分からなかったけど、時が経つにつれ私は彼が好きなんだと自覚した。キッカケは…なんだろ、いっぱいありすぎて思い出せないや。

それと同時に私は他のアイドルも彼に好意を向けている事を知った。

…私は存外嫉妬深い性格だったようで、何度もプロデューサーの事が好きな子を邪魔してきた。内容は…言いたくない。

彼は知らないだろうけど意外にモテるらしい。

プロデューサーが知ったらどんな顔するのかな?

ニュージネがアイドルランクAを突破したその日、事務所では大きな祝賀会が開かれた。

プロデューサー泣いてたっけ? 周りの大人の人にべた褒めされてさ。よほど嬉しかったみたい。 …その顔をみて私は切なくなり彼に思い切りキスがしたくなった。

それほど私の恋心は日に日に増長していったんだ。

だからなのだろう。あの日プロデューサーに誘われて食事に行ったり、自室で二人きりでお喋りしたりデートしたり。

その日々の私はまさに人生のおいて有頂天だっただろう。

でも、予想すらしていなかった。あそこまで優しくしておいて振り落とされるなんてさ。

私は自暴自棄になっていた。

何もやりたくない怠惰な厭世観…それも全て彼のせいだ。

あれだけ期待させておいて…私は女とすら意識されていなかったらしい。

何度も悔しくて悲しくて泣いた。けだ、悟られたくなかった私は誰にも話さずこの事を留めた。

彼が志希に接近したのを知った私は、ある日事務所に志希を呼び出した。

彼女とプロデューサーの関係には特殊な何かがあったのは知っていた。だから尚更私は気が気ではなかった。

絶対にプロデューサーを他の女に取られるなんて考えたくもなかったから。

飄々とした志希は私の言葉に耳を貸さなかった。

彼女はニコニコ顔で私の心臓をえぐるような一言を放つ。

ーーにゃははっ!凛ちゃん振られたからって私に当たるのは違うんじゃないかにゃあ。

彼女の頬を平手で叩いた。

その後は取っ組み合いの喧嘩になった。幸い周りの人に無理やり仲裁されて解決したが、それと同時に私は絶対に志希と彼をくっつけるのを阻止しようとした。

着々と計画が運びいざ実行しようとした矢先、私に朗報が入る。

彼女がプロデューサーに振られたらしい。
私はつかの間の安堵感に包まれたが、それは彼の狙いがようやく分かった瞬間だった。

…ああ、そっか。分かったよ。アンタが…プロデューサーが私を遠ざけた理由。『そういう』事だったんだね。

プロデューサーが智絵里と地方ロケに訪れている頃、事務所の屋上で黄昏ていた私に声をかけてきたのは志希だった。

「やっほお。凛ちゃん」

「あれだけの喧嘩をしといてよく普通に接する事ができるね」

「にゃはは!気にしない気にしない♪ それより大事なことは今だよ」

「何か用?」

「彼…欲しくない?」

「…ごめん、ちょっと何言ってる分からない」

「二人で彼を独占しようって事だよ」

「…本気で言ってるの?なんで私にそんな話を」

「マジだよ〜。私もキミも等しく彼に否定された同士なんだからー」

「…私はね。それでも彼が欲しいんだあ。彼の気持ちがわかった瞬間…ああ、もう手に入らないのかにゃあ。そう頭がよぎったんだ。凛ちゃんにこの話をしたのは凛ちゃんはぜったいに乗ってくると思ったからだよ。…だからさ、もう我慢しなくていいんだよ?」

「プロデューサーをとっちゃおうよ」

志希の言葉に私は

「…いいよ。それで、どうするの?」

呼応するように賛成した。

どうせ、もうあの幸せな関係には戻れないのだから。

もともとおかしくなっていたんだと思う。彼の魂胆が分かった今…私が彼の意中になれることはないだろう…そんな諦めもあった。

だけど…だからこそ。諦められなかった。

だって私が彼と乗り越えたきて出来た今は、他の女よりもずっとずっと濃密だから。

他の女に取られるくらいなら私が…

私はもともと我慢してたんだよ?でも、それを壊したのはプロデューサーなんだからね?

あんな楽しいこと沢山経験したらさ、告白するに決まってるじゃん。

ならさ

もう

我慢しなくてもいいよね? プロデューサー。


…………


ん〜久し振りのジャパン〜♪ 人多し〜にゃはは!

数年ぶりに帰国した日本はちっとも変わってなかった。そりゃ数年では大した変化はしないよね。

帰る家はあるけどママのところには何となく帰りたくなくて…私はアテもなくそこらへんをブラブラとお散歩していた。

ちょうど表参道を歩いている中、不思議な匂いが鼻腔をつく。

嫌いな匂いではなかった。寧ろ…好きな匂い♪

その匂いをさせた人に私は近寄る。

楽しそうに綺麗な女の子と話している。モデルの付き添いかにゃ? 女の子が撮影している合間離れて様子を見ている彼に私は声をかけた。

最初こそ驚いていた彼と話すうちに私は彼が気になり、ついていくことにした。

匂いでわかるんだよね。彼がいい人だって。

アイドルのプロデューサーをしているとは思わなかったけど、そんな事はどうでもよかった。私はアイドルになった。

キミの事がもっと知りたいから。

彼を困らせてきたと思う。そりゃレッスンはサボるし、遅刻はするし…にゃは、問題児〜。

だってつまらないんだもん。私の興味は3分しか持続しないの。

でもさ、なんとなくなんだけど分かるんだよね。仕組みがさ。だから大抵は一発でこなせるんだよね。それをみたトレーナーやプロデューサーは天才だなんて言うけど、そりゃギフテットですから。伊達に13で渡米してませんから。

だからレッスンなんてものは退屈で無意義だありまして…まあ、彼にどうしてもとせがまれて結局行くんだけどね。

ユニットも組んだ。そこでフレちゃんやしゅーこちゃん。奏ちゃんや美嘉ちゃんと出会った。優しくてとっても大事なお友達♪

アイドルの生活は想定以上で刺激的だった。研究三昧だったケミカルよりもずっと。

こっちには嫉妬僻みで私の私物をグチャグチャにする人もいないし、成果を横取りしようなんて人もいないしねえ。何で邪魔なんてするのかな?そんな事しても実力は変わらないのにね。

パパだってそう。私はパパに喜んで欲しいから、一緒にいたいからわざわざ勤めてる大学に来たのに…我が子に向ける多大な期待の目から異様な恐ろしい化け物を見るような目を向けられるとは思わなかったんだ。私に超えられるのが怖かったのかな?

その瞬間、私は何もかもにモチベーションがなくなり帰国を決意した。

加えてパパとママは仲が悪い。ま、現在が別居みたいなものだからね。

私が両親を繋ぎ止めるキーになれればと思ったんだけれど…現実は上手くいかないものでして。

ママはパパとよく似ている私をどう思っていたのかな?愛してくれているのかな?なら、なんであの時アメリカに行かないでって言ってくれなかったの?私待ってたのに。

んう…やめよ。つまらないことをいちいち振り返るって意味がないしね。

それよりも人との繋がりに希薄な私がここまで長いこと彼に興味を持ち続けている事に不思議でならない。

キミはそれほど何か特別モノを持っているってことなのかな?…にゃはは!私に目をつけられるなんて光栄だね!とってもグロリアス〜

この感情が一重に恋心なら私にしては気づくのが遅かったかな。彼と出会った瞬間にビビッと化学反応が起きたのは間違いないからね。

だから私はキミが欲しいんだ。キミがいいの。他の誰でもないキミなんだよ。

口にはしなかったけど、フランスでの何ちゃらフラッシュでの会話でキミの魂胆は見抜いていたよ。

でも、言い出せなかったんだあ。言ってしまうとキミがどんな反応をするかなんて容易だったから。

遊園地の帰り、車内で彼が思い悩むような表情をしたとき私は、彼を帰したくないと思ったんだ。

この最高に楽しい時間を終わらせたくなったのかも。

食事中も上の空の彼…そろそろ終わらせるのかにゃあ。そう思って私は彼に尋ねた。

ま、結果はご存知の通り私は彼に想いを伝えて見事に玉砕しましたとさ。

不意に涙が出る。自分でも気づかないほど彼を好きになっていたのに戸惑いを感じた。

で、ここからが本題。

もう手に入らないなら。無理やりゲットするしかないよね。

だってそれほどキミを好きになったんだから。私はキミの夢中なのだ〜♪

案がポンポン浮かび上がるが、私一人では難しいのではないかと多少のジレンマに陥る。協力者を募るべきだろうか。

うーんでも私の話においそれと協力するなんて人…ああそういえばいたね。

作戦を練るなか私はピンと彼女が頭に浮かんだ。

私だけってのも可哀想だよね。なら、いっか。待ってて凛ちゃん。

凛ちゃんとは事務所で先日大喧嘩したなかだけど概ね賛成してくれるだろう。キミはその事を知らないだろうけどね。何食わぬ顔で私に渡仏のお話を切り出したんだから。

結果凛ちゃんは賛同してくれた。あの子も私と同じ気持ちだったのかにゃあ? まあそりゃそうだよね。

凛ちゃんと着々と準備を進めている最中、私は気分転換に事務所に顔を出した。

いつもより騒がしい事務所に違和感を感じ、社員の人にわけを尋ねるとどうやらパーティー真っ只中とのこと。

ちょっと空腹だったし行ってみよっかなあ。ハングリーハングリー〜♪

コツコツと廊下を歩いていると彼と智絵里ちゃんがちょうど隅っこのほうで話していた。対象はっけーん。

そのまま二人で外に出ようとする彼らの後を尾行する。

そして私は目撃した。

…そうなんだ。またキミは同じことするんだね。少しは学習した方がいいんじゃないかな?

一部始終を見ていた私は智絵里ちゃんに近寄る。不審な眼差しで私を見据える彼女に開口一番。

「ーー」

協力者はもう一人増えた。

にゃはは!やっぱりもつものは仲間だよね!結束とか努力とか友情とかキミが大好きな言葉だもんね。

キミだって本当は我慢しているんだよね?アイドルを守る為とかそんなつまらない理由でこんな事しているんだもんね。

ならさ

キミが壊そうとした関係、修復してあげるよ。

私が

にゃははあ!

………


p 「……んぅ」パチクリ

p 「…あ〜よく寝た気がする。…さて」ムクリ

ガチャリッ!

p 「…は?」

p (両手両足を金属で繋がれている…何だこの非日常感)

p 「何だこれ。てかここどこだ?」キョロッ

p (…思い出せ。確か昨日はそう…いつものように仕事していて…あれ?いつ眠ったんだ俺?)

p 「おーい!誰かいるんだろ!?何なんだよここ!」ガシャガシャッ

p 「ドッキリか? いや、俺みたいなやつドッキリかけても需要はないか。…本当にどこなんだここ?」

p (一面が白い病室のような部屋。そこの一角のベッドに囚われている俺。そして、ポツンと鎮座するテーブルにあるのは…何だろうこれ注射器?)

スタスタスタ

p (…足音か?上から聞こえる、てっことはここは地下か?)

ガチャッ

凛 「あ、目が覚めたプロデューサー?」

p 「凛…」

凛 「プロデューサーの体、案外重くてさ。ここまで運ぶの大変だったんだからね」クスッ

p 「そんな事はどうでもいい。おい凛、何だよこれ。ここはどこなんだよ!何で俺は閉じ込められているんだ!?」

ガチャッ

智絵里「…あ、プロデューサーさん。やっぱり目が覚めたんだ」

志希 「いいタイミングだね〜。どう志希ちゃん特製の眠り薬は効いた?」

p 「智絵里、志希まで…」

凛 「何でプロデューサーがここにいるかの理由だったよね? …自分の胸に聞いてみなよ。心当たりあるじゃん」

p 「…ああ、心当たりあったな」

凛 「じゃあ、そういう事だよ」

p 「理由になってねえよ!ふざけんじゃねえここから出せよ!」

志希 「それは無理なんだよねえ」

p 「は?」

志希 「だって私たちはキミをここから出したいと思ってないし何より」

志希 「ここは私たちの楽園なんだよ」

p 「何…いってるんだよ」

智絵里 「私たちどうしようもないくらい。プロデューサーさんが大好きなんです。でも、〇〇さんは私たちの想いに答えてくれない。拒絶だけ」

凛 「なら、プロデューサーをみんなで私たちのモノにすればいいんじゃんって話がまとまったんだよ」

志希「ねね、いいじゃん。こんなに可愛い女の子たちとずーっと一緒に暮らせるんだよ?嬉しくないの?」

p 「嬉しいわけないだろうが!? いいか、お前たちの好意を無下にしたのだって理由があんだよ!お前らを守る為だったんだ。大切なお前らのアイドル活動を潰したくなかったんだよ。だからこんな事はやめー」


凛 「ねえ何でそんなに嫌なの?」

凛 「私たちはみんなアンタが好きなんだよ?男だったらこういうの好きだと思うんだけど」

p 「…何度も言わせるなよ。勘弁してくれ。俺にだって人を選ぶ権利があるんだ」

志希 「ま、やっぱこうなるよね。仕方ないか。うんうん♪仕方ない」

p 「何を勝手に納得してるんだよ」

智絵里 「志希ちゃん、『する』の?」

志希 「うん、何言っても多分無駄だろうしねえ。…じゃあ、悪いけど少しチクっとするよ〜」スッ

p 「お、おいおい。何を持ち出して…この注射器の中身は何だよ!?何をする気だ!」

凛 「私たちを『好き』になる薬だよ」

志希 「前に惚れ薬を作れるって言ったよね?あれホントの事なんだよね。…まあ少しキミの自我はなくなるけどそんな事些細な事だよね」チャキッ

P 「い、嫌だ。やめてくれ」ブルッ

智絵里 「動いちゃめーですよ」ギュッ

凛 「覚悟決めなよ。男でしょ」ギュッ

P 「くっあ…ああ…」ブルブルッ

凛 「あ、抵抗しないでね。したらこれで目、抉るから」アイスピックガンキュウチラリ

P 「ひっ」

志希 「えい♪」プスッ

P 「あがっ!?」

志希 「ちゅーにゅー」

P 「あっ!?あああああ!?」

凛 「うわ凄い。目がチカチカしてる」

智絵里 「志希ちゃん。どのくらいで効果は出るんですか?」

志希 「ま、五分そこらってとこかな。それまでコーヒーでも飲もっか!」

凛 「私コーラ」

智絵里 「私は緑茶で…」

志希 「にょはは!統一感なさすぎ〜」

バタンッ

P 「あっあっあっあっあっあっあっあっ」

ーー想い出が消えていく。次々と浮かび上がる家族や友人、仲間たちとの記憶がパージされていく。俺は何でここにいるんだ。何で俺がこんなことをされなくちゃいけないんだ。これも全部あいつらのせいだ。絶対に許さねえ。あの小娘ども。俺が何をしたっていうんだよ。好きだ。全員警察に突き出してやる。大好きだ。早く会いたい会いたい会いたい会いたいキスしたい会いたい。

……

智絵里 「〇〇さん。調子はどうですか?」トコトコッ

P 「あ?…あっ智絵里」

智絵里 「えへへ。気になって一人で来ちゃいました。寂しかったですか?」

P 「…」

P 「うん。寂しかった。ギュッてして」

智絵里 「…!? ふふ、はい。いいですよ」ギュッ

P 「あふ」

智絵里 「寂しさなくなりました?」

P 「…智絵里」

智絵里 「はい?」

P 「んっ…」

智絵里 「ん!? …んむう」

智絵里 「ぷはっ…これってキ、キス」

P 「口も寂しかったんだ。いいだろ?」

智絵里 「はい、もっとしたいです♡」

…………

凛 「ねえ志希」

志希「わあお、なになに?」

凛 「効果効きすぎじゃない?」

智絵里 「…んっ、ちゅっんぅ…あっ…んんっ♡」

P 「…」レロレロッ

凛 「凄いね二人とも私たちがいるの全く気づいてないよ」

志希 「発情してるね〜。そのままセックスでもおっぱじめそう」

凛 「それは嫌かな。ね、智絵里」

智絵里 「んっ…凛ちゃん?」

凛 「智絵里ばっかりずるい。私にも変わってよ」

智絵里 「少しだけ…もう少しだけまってて」

志希「…!」ティン

志希 「智絵里ちゃん。今日はプロデューサーを独り占めしてていいよ」

凛 「ちょっと志希!?」

志希 「それで明日は凛ちゃんが独占。明後日は私が。ローテーションで行こうよ。彼だって一つの体しかないんだしいろいろ大変でしょ」

凛 「…うん、それいいね賛成。智絵里は?」

智絵里 「私も賛成です。…なら、時間が惜しいし〇〇さんと二人きりになりたいので早く戻ってください」

志希 「辛辣〜♪」

凛 「…明日までの我慢」

バタン

智絵里 「ふふ、それじゃプロデューサーさん。二人だけの時間をゆっくり楽しみましょうね♪」

p 「うん」

ーーまさに蜜月の日々。俺は何も考えずただ肉欲に溺れた。

数週間後…

P「…」

P (一人だとすることがないな。みんな仕事に行ってるし…ああ早く帰ってこないかな)

ガチャッ

P 「お…随分早く帰ってきたじゃないか。何だよ忘れ物か?」

? 「ふふ…お久しぶりです。〇〇さん」

P 「…ああ、まゆか。久しぶり」

まゆ 「はあい。貴方のまゆですよお」ニコッ

P 「よくここが分かったな…」

まゆ 「女の勘ってやつですよお。たどり着くまでに時間はかかりましたが…」チラ

まゆ 「それ、外しますね。ここから出ましょう…すごくえっちな匂いが充満してますし不愉快なんで」

P 「え、何でだ?」

まゆ 「はい?」

P 「だから、何でここから出る必要があるのさ」

まゆ 「〇〇さん?」

P 「俺はこの生活を悪くないと思ってるよ。食事も睡眠も十分に与えてくれるし、何より俺を求めてくれる。これ程嬉しいことはないよ。あ、でも排泄の世話は恥ずかしいから一人でしたいかな」

まゆ 「…」

まゆ 「おそかった…みたいね」ボソッ

P 「何か言ったか?」

まゆ 「いいえなんでも。…気は変わらないのですか?」

P 「だから変わらないって。ほっといてくれよ」

まゆ 「事務所には貴方の帰りを待っている人が沢山いるんですよ?みんな〇〇さんがいなくてさびしいんです…私だって」

p 「どうでもいいよそんなこと…今の俺はそれが気持ちいいか、気持ちよくないか。それで判断するだけだ」

まゆ 「……分かりました。けど、私は諦めるつもりは毛頭ありません。必ず、〇〇さんを…」

P 「いいよまゆ、諦めてくれて。お前が俺のこと好きなの知ってたし。てか俺は凛、智絵里、志希でいま手一杯なんだ。これ以上増えたら俺枯れちまうよ」ハハッ

まゆ 「貴方の口からそんな言葉、聞きたくなかったです……また、顔を見せます。〇〇さん」バタンッ

P 「何だったんだ…変なやつだなあ」

…………

凛 「プロデューサー。どうしたの?」

P 「ん?」

凛 「さっきまで元気に盛ってたのに…急に冷静になっちゃって」

P 「…何でもないよ。賢者モードってやつだ」

凛 「え?もう終わりなの」

P 「え、まだやるのか?」

凛 「だって一回二回じゃ満足できないし…」

P 「あー頑張っていま勃たせるからちょっと待ってて」

凛 「私も手伝うよ。ソレ舐めればいい?」

P 「いや、こっちに尻向けてて。そっちの方が興奮するから」

凛 「プロデューサーこの体位好きだよね。なんか獣の交尾みたいで私はあまり好きじゃないんだけど…」クルッ

P 「おー、エッチじゃん」ジーッ

………

志希 「あっんん♡…ふう。気持ちよかったにゃあ」

P 「お前って意外と性欲強かったんだな」

志希 「そういう子はキミ的には嫌い?」

P 「大好きだ」

志希 「いい返事だね〜、キミもこんなに出したんだし…責任を取る気はあるのかにゃあ?」

P 「俺の子供孕んだらいいよ」

志希 「ふうん、言質はとったからね。ねえ、みんな聞いた〜?」

凛 「勿論」

智絵里 「はい…」

P 「そういえば夢中になってたけど、君たちいたね」

凛 「妊娠すればプロデューサーと結婚…えへへ」

智絵里 「〇〇さん、頑張って元気な赤ちゃん産みますね…!」

志希 「ねね、まだ終わってないよね?続き、しようよ」

P 「せっかくならみんなでしようぜ」

志希 「いいねえ!それも悪くない〜♪」

凛 「ええ、あれ疲れるし恥ずかしいんだけどな…」

智絵里 「なら凛ちゃんは見学でいいですよ」

凛 「やらないとは言ってない」

P 「はは」

ーーやっと分かった。俺が今までどれだけ無駄な事をしていたのか。こんなに幸せになれるんだったら最初から受け入れてればよかったんだ。

どうせ、俺の自我はもうない。後のことなんかどうだっていい。今を大切に生きていけばもうそれでいいや。

部屋は色欲で満たされ濃厚な雄と雌の匂いや甘美な嬌声、肉がぶつかり合う水音で溢れており、それは一種の生き物の巣を作り上げた。

ああ…もうとりとめのないほど俺は、彼女たちの虜になってしまった。

贖罪とは言わないが、俺は最後まで彼女達に付き合おうと思う。

彼女たちを狂わせたのは俺なんだから。

…………

プロデューサーが失踪して3ヶ月経ちました。今では多少なりとも落ち着いてはいますが、当初事務所内は悲嘆にくれていました。

同業のプロデューサーの方達や彼の上司、彼がプロデュースを担当していたアイドル達は極めて冷静ではありませんでした。

最初は体調不良が祟ったのかと思いましたが、あの真面目な彼が連絡一本も寄こさない訳ありません。

心配してかちひろさんが彼のマンションに駆け寄った時はすでに室内はもぬけの殻でした。いよいよ事の重大さに気づき警察に通報をしましたが現在でも進展はないそうです。

プロデューサーさんは今どこにいるのでしょうか。

卯月「…はあ」

未央「どうしたの?しまむーため息なんてついて」

卯月「未央ちゃん…」

未央「プロデューサーのこと?大丈夫だって!きっと何食わぬ顔で戻ってくるよ」

卯月「でも…」

未央「しぶりんだって今は必死で堪えてお仕事してるんだから、私たちも頑張らなくちゃね」

卯月「うん…そうだよね」

そうだよね。凛ちゃんだって気丈に振る舞っているけど胸中はきっと不安でいっぱいだもんね。なら、自分だけいつまでもこんな暗い顔しちゃいけないよね。笑顔は私の印だもん。

卯月「ようし!頑張るぞ!行こ、未央ちゃん」

未央「その心意気や良し!…でさ、話変わるんだけどさ」

卯月「え、なに?」

未央 「まゆちゃんってどこ行ったの?」



                         終わり

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