日本の原油輸入は、4月に激減も5月以降は6-8割程度まで回復見込み
概論
日本の原油輸入は、財務省通関統計を元にバレル換算すると、3月に例年(過去5年平均)の9割となる6,944万バレルであった。
3月は、2月28日の米/イスラエル・イラン開戦前にホルムズ海峡を通過した原油タンカーが3月20日頃まで安定的に日本に到着していたことから、減少幅は限定的であった。
4月は例年に比して激減する見込みである。私は船舶追跡サービスから、例年の25.6%となる2,081万バレルと予測した。要因は3点挙げられる。
①ペルシャ湾からの原油輸入が滞っていること
②アラブ首長国連邦Fujairah、サウジアラビアYanbuといった中東代替ルートからの調達も進んでいないこと
③米国から調達した原油はほとんど到着していないこと
5月以降は例年の6-8割程度まで回復する見込みである。これは中東代替ルートや米国から調達した原油が本格的に到着し始めたためである。
5月は例年の73%となる5,096万バレルと予測した。これは、現在航海中の船舶に限ってカウントした値であり、蓋然性は高いと考えている(無論、今後転売や到着遅れ等による数量増減は考え得る)。
6月は米国から喜望峰周りで航海しているVLCCが続々到着見込みである。米国以外の原油調達が5月と同量であれば、例年の82.6%となる5,411万バレルの調達が見込まれる。
経済産業省は、5月15日にXに投稿したポストで「原油の代替調達は、現時点では5月は約6割、6月は約7割以上の目途が立」ったと明らかにした。
【中東情勢・重要物資】
— 経済産業省 (@meti_NIPPON) May 15, 2026
原油の代替調達は、現時点で5月は約6割、6月は約7割以上の目途が立ちました。
こうした代替調達の進展等を踏まえ、5月の第3弾の国家備蓄放出の決定は行わないことといたします。
また、民間備蓄水準は、5/16から当面1ヶ月間は現在の水準(55日分)を維持します。#中東情勢
今回の我々の分析では、実際には経済産業省の公表値よりも10%上振れする可能性があるとの結論になった。繰り返しだが、我々の予測は現時点の航海・AIS設定値に依存しており、今後数量の変動はあり得る点に留意されたい。
船舶ごとの到着見込み(5月14日現在)
KplerやMarine Trafficのデータから、タンカーごとの週次到着見込みを作成した。
5月から本格的に中東代替ルート(図内の青着色、「迂回ルート」と表現)から調達した原油の到着が本格的に始まり、5月下旬からは米国産の原油調達が本格的に始まっていることが分かる。
日本の原油調達は中東代替ルートと米国に大きく依存しており、今後もその構図は大きく変わらないと考えられる。中東代替ルート、特にUAEのFujairahは2つある積み出しバースのうち、イスラム革命防衛隊の攻撃によって1つが利用不能になっており、積み出し能力が限定的であること、米国の輸出能力は限界に達しつつあり、これ以上の大幅な調達増は見込めないことから、今後も原油調達は綱渡りの状態が続くと考えられる。
中東・米国以外の原油調達先確保は、今後の日本の原油需給を占う上で極めて重要であると考えられる。また、日本は例年夏・冬に原油調達量が増加する傾向にある。ホルムズ海峡の封鎖は長期化が懸念されているが、夏・冬は放出される備蓄原油への依存度が高まることが予想される。現在政府はガソリンに補助金を拠出しており、今後電気料金・ガス料金の補助金拠出を検討しているようだが、今必要なのは「節エネ」である。一刻も早いエネルギー節約の議論が必要であると考える。


