カルビー「白黒パッケージ」に“反戦”の意図はあるのか 広報部に直撃して返ってきた「回答」と浮かび上がる「実態」
「白黒パッケージ」は反戦のメッセージなのか――。カルビーは12日、「ポテトチップス」や「かっぱえびせん」など14商品のパッケージを白黒印刷に変更すると発表した。中東情勢の緊迫化によって、印刷インクに使われる原材料の調達が不安定となったためだという。一方、この対応について、SNS上では「カルビーの反戦メッセージが込められているのでは?」と深読みする投稿もあり、物議をかもしている。キットカットを主力商品にもつネスレ日本の元社長として、食品業界や企業ガバナンスに精通する高岡浩三氏に見解を聞いた。 【写真】「ポテトチップスの神」と呼ばれるカルビーの幹部社員はこちら * * * 〈“戦争は色を失う”ということを直接的に伝えようとする意図もあるのではないでしょうか。カルビーは広島の会社で、創業者の松尾孝氏は原爆が落ちた後の市内や戦中戦後の食糧難の中でお菓子を作ることからスタートしています。関係がないと思っていても、じわじわと私たちの生活から彩りを奪っていくことが戦争〉 カルビーの発表を受け、れいわ新選組の前衆院議員・八幡愛氏は自身のXにこんな投稿をした。白黒パッケージを反戦メッセージと結びつける独自解釈には「無理がある」と批判もあがった一方、 〈カルビーのゲルニカ(反戦の象徴)だ…〉 〈(パッケージから)カルビーのポテトのキャラがいなくなっている辺りから、故意的に遊びの要素を削ってわざと盛り下がるようにしていると私は感じた〉 などと追随する声も散見された。 しかし、ネスレ日本の元社長であり、現在は経営アドバイザーとして活躍する高岡浩三氏は、八幡氏の投稿を「思わず笑ってしまった」と前置きしてこう話す。 「上場企業が政治的な意図を込めてこんな大胆な対応に出たら、経営陣は株主総会で袋だたきに遭いますよ。許されるはずがない。勝手な臆測にさらされて、カルビーさんが気の毒です」
■カルビーを追い詰めた「よほどの事情」 白黒パッケージについては、「話題作りのためでは?」「プレミア感があって逆に売れるのでは?」という見立てもあるが、高岡氏はこれらも「素人考えだ」と一笑に付す。 「一瞬目立って売れたところで、売り上げ全体に与える影響は微々たるものでしょう。それより、ポテトチップス売り場でカルビーの白黒パッケージの隣に他社のカラフルな袋が並んでいたら、そのほうがはるかにおいしそうに映るし、消費者は手に取る。マイナスのほうがはるかに深刻です。今回のカルビーの判断は、よほどの事情があったとしか思えません」 白黒パッケージに切り替える対応がさまざまな臆測を呼んでいることについて、カルビー広報部に取材すると、「商品の安定供給を最優先とする観点から当面の対応策として実施するもので、他意はありません」との回答があった。 それでは、高岡氏が推察する「よほどの事情」とは何なのか。 政府はこれまで、原油や、原油を精製してできるナフサについて、備蓄や代替調達が機能しており「足りている」という説明を繰り返してきた。しかし、ナフサの加工品のうち、塗料の原材料となるトルエンやキシレンについては、さまざまな業界で利用されるがゆえに「足りない」事態が起きていてもおかしくないと高岡氏はみる。建設現場で大量に消費されるペンキなどの生産用に在庫が買い占められた結果、食品パッケージのインクといった小口商材の生産にしわ寄せが行くというわけだ。