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「瞑想すると、逆にイライラするのはなぜか」―静かになるほど“抑えていた感情”が見えてくる

吉河幸祈富

瞑想をすると、心が落ち着く。
そう思って始めたのに、逆にイライラしてしまうことがあります。

座っているだけなのに、なぜか落ち着かない。
呼吸に集中しようとすると、余計にそわそわする。
普段なら気にしないようなことまで、急に気になってくる。

そして、こう思う人もいます。

「自分には瞑想が向いていないのではないか」
「瞑想したら悪化しているのではないか」

でも、これは珍しいことではありません。

瞑想中にイライラが出てくるのは、失敗とは限りません。
むしろ、普段は見ないようにしていた感情に、初めて気づき始めている可能性があります。

今回は、瞑想すると逆にイライラする理由を、心理と脳の仕組みから丁寧に説明します。



■ イライラは、突然生まれたものではない

瞑想中にイライラすると、多くの人は「瞑想のせいでイライラした」と感じます。
しかし実際には、そのイライラは突然生まれたものではないことが多いです。

普段から、少しずつ溜まっていた可能性があります。

仕事で気を使っていた。
人に合わせすぎていた。
言いたいことを飲み込んでいた。
疲れているのに休めていなかった。

こうした小さなストレスは、日常の中では見えにくいです。

なぜなら、私たちはすぐに別の刺激で気をそらすからです。
スマホを見る。
動画を流す。
予定を詰める。
誰かと話す。
仕事に集中する。

こうしている間、感情は一時的に見えなくなります。
しかし、消えたわけではありません。

瞑想では、外からの刺激を減らします。
すると、普段は見えにくかった感情が浮かび上がってきます。

つまり、瞑想でイライラが増えたのではなく、もともとあったイライラに気づいた可能性があるのです。


■ 静かになるほど、内側のざわつきが見えやすくなる

静かな部屋に入ると、小さな音が気になることがあります。
時計の音。
空調の音。
外の車の音。

音が急に増えたわけではありません。
周りが静かになったから、今まで気づかなかった音が聞こえるようになっただけです。

瞑想中のイライラも、これに似ています。

普段は外側に注意が向いています。
やること、見るもの、聞くもの、人とのやりとりに意識が向いています。

しかし瞑想では、注意が内側に向きます。
呼吸、体の感覚、胸のざわつき、頭の中の思考に気づきやすくなります。

すると、今まで背景にあった小さな不快感が見えてきます。
体のこわばり。
浅い呼吸。
焦り。
我慢していた怒り。

これらが見えると、「瞑想したらイライラした」と感じることがあります。

でも実際には、静かになったことで、内側のざわつきがはっきりしたのです。


■ 感情を抑えると、体には緊張が残る

イライラの背景には、感情の抑圧があることがあります。

感情の抑圧とは、怒りや不満、悲しみを表に出さず、心の中に押し込めることです。

もちろん、社会生活では感情をそのまま出さないことも必要です。
いつでも怒りをぶつけるわけにはいきません。
場に合わせて振る舞うことも大切です。

しかし、感情をずっと無視し続けると、体には緊張が残りやすくなります。

怒りを我慢すると、肩や首に力が入ります。
不安を抑えると、呼吸が浅くなります。
言いたいことを飲み込むと、胸や喉に詰まりを感じることがあります。

瞑想中に体へ注意を向けると、こうした緊張に気づきやすくなります。
そして、その緊張と一緒に感情も浮かび上がってくることがあります。

つまりイライラは、心だけの問題ではありません。
体に残っていた緊張として現れることもあるのです。


■ 脳は「何もしない時間」に慣れていない

瞑想中のイライラには、もう一つの理由があります。

それは、脳が「何もしない時間」に慣れていないことです。

現代の生活では、退屈を感じる前に何かをしています。
少し暇になればスマホを開きます。
移動中は音楽や動画を見ます。
寝る前にも情報を入れ続けます。

脳は、常に刺激がある状態に慣れています。

そのため、瞑想で急に何もしない時間を作ると、脳は落ち着かなくなります。
刺激がないことに不慣れだからです。

このとき、退屈、そわそわ、不快感、イライラが出てくることがあります。

これは、瞑想が間違っているというより、脳が刺激の少ない状態に慣れていないだけです。

最初は落ち着かなくて当然です。
むしろ、刺激に慣れすぎた脳が、静けさに適応しようとしている段階だと考えるとよいです。


■ 扁桃体が敏感なときは、静けさも不安として感じる

イライラは、怒りだけではなく不安から生まれることもあります。

脳の中には、危険や脅威を察知する扁桃体という部位があります。
扁桃体が敏感になっていると、はっきりした危険がなくても警戒しやすくなります。

普段忙しくしているときは、この警戒感をごまかせます。
やることがあるため、不安を感じる余裕が少ないからです。

しかし瞑想で静かになると、何もしていない状態そのものが不安に感じられることがあります。

「この時間に意味はあるのか」
「何かしなきゃいけないのでは」
「このままで大丈夫なのか」

こうした思考が出て、イライラにつながることがあります。

この場合のイライラは、実は「落ち着けない不安」の別の形です。

だからこそ、無理に落ち着こうとするほど苦しくなることがあります。
まずは、「今、落ち着けない状態なんだ」と気づくことが大切です。


■ イライラが出たときに、やってはいけないこと

瞑想中にイライラが出たとき、多くの人がやってしまうことがあります。

それは、イライラを消そうとすることです。

「落ち着かなきゃ」
「こんな感情を持ってはいけない」
「瞑想中なのにイライラしている自分はダメだ」

こう考えると、イライラはさらに強くなります。

なぜなら、感情に対して二重に反応しているからです。

最初にイライラがある。
その次に、「イライラしてはいけない」という否定が起きる。

この二つが重なると、心の中の緊張はさらに増えます。

瞑想では、イライラを消す必要はありません。
まずは、「イライラがある」と認めます。

これは、感情に従うことではありません。
感情を正確に見るということです。

感情を認めると、そこに少し距離が生まれます。
その距離が、瞑想の練習になります。


■ イライラしたときの具体的な対処法

瞑想中にイライラしたら、まず呼吸に戻ろうとします。
ただし、強く集中しようとしなくて大丈夫です。

軽く、呼吸の出入りに気づきます。
吸っている。
吐いている。

それでもイライラが強い場合は、体の感覚に注意を向けます。

肩に力が入っているか。
胸が詰まっているか。
お腹が硬くなっているか。
顔に力が入っているか。

イライラは、体のどこかに感覚として現れていることが多いです。

その場所を見つけたら、無理にゆるめようとしなくて大丈夫です。
ただ、「ここに緊張がある」と気づきます。

この気づきだけでも、反応は少し変わります。

もし座っているのがつらければ、目を開けても大丈夫です。
ゆっくり歩く瞑想に切り替えても構いません。

大切なのは、我慢して座り続けることではありません。
自分の状態に気づきながら、無理のない形で戻ることです。


■ イライラは「悪い感情」ではなく、情報である

ここで大切なのは、イライラを悪いものとして扱わないことです。

イライラは、心と体からの情報です。

疲れている。
我慢している。
休みたい。
本当は嫌だった。
刺激が多すぎた。

こうしたサインとして出ていることがあります。

瞑想は、このサインを見つけやすくします。
だから、イライラが出てきたときは、単に邪魔者として消そうとするのではなく、少しだけ耳を傾けてみるとよいです。

もちろん、瞑想中に深く分析しすぎる必要はありません。
ただ、「これは何かを知らせているのかもしれない」と受け取るだけで十分です。

そうすると、イライラとの関係が変わります。

敵ではなく、内側の状態を教えてくれる信号として見られるようになります。


■ 続けると、イライラへの反応が変わっていく

瞑想を続けると、イライラが完全になくなるわけではありません。
しかし、イライラへの反応は少しずつ変わります。

以前なら、イライラした瞬間に「もう無理」となっていた。
でも、少しずつ「今イライラしているな」と気づけるようになる。

以前なら、すぐに人にぶつけていた。
でも、少し間を置けるようになる。

以前なら、イライラしている自分を責めていた。
でも、「疲れているのかもしれない」と見られるようになる。

この変化はとても大きいです。

感情が消えるのではありません。
感情に巻き込まれにくくなるのです。

瞑想で育つのは、感情をなくす力ではなく、感情を見られる力です。

この力が育つほど、イライラは少しずつ扱いやすいものになっていきます。


まとめ

瞑想すると逆にイライラすることがあります。
しかし、それは失敗とは限りません。

普段は外の刺激で見えにくくなっていた感情や緊張が、静かになることで見え始めている可能性があります。

脳は何もしない時間に慣れていないため、退屈やそわそわをイライラとして感じることもあります。
また、扁桃体が敏感なときには、静けさそのものが不安として感じられることもあります。

大切なのは、イライラを消そうとしないことです。
「イライラがある」と気づき、呼吸や体の感覚に戻ることです。

イライラは悪い感情ではありません。
内側の状態を知らせる情報です。

瞑想は、感情をなくす練習ではありません。
感情に気づき、巻き込まれすぎずに扱う練習です。

だから、瞑想中にイライラが出てきても、それは失敗ではありません。
むしろ、自分の内側を少しずつ見られるようになっているサインかもしれません。


著者紹介
吉河 幸祈富
東京大学経済学部(経営学科)卒業、人生工学者
瞑想塾 塾長
・瞑想アプリRelookコンテンツディレクター 
Brain-Psycho-Lab【16タイプ性格×脳科学】note 監修
・「Ai-KNOW」|心理分析プラットフォーム 監修
・「人生工学〝いま〟から人生を変える科学的方法」|Kindle版 著
株式会社ikigai 代表

 

▼「いーち」「にーい」ゆっくり呼吸を数える瞑想です。

▼指先、頭頂部、心臓…体の一部に意識を集中させる瞑想です。

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吉河幸祈富@INTJ/16タイプ心理アドバイザー (@ks_mikami) on X
よしかわゆきと/INTJ/5w6/Ne-ILE?/△584/VLEF/MBTI認定ユーザー合格/上級睡眠健康指導士/YouTube登録者計10万人/Brain16/適応障害&ADHD→心理学→悟り→/7000人の性格分析&コーチング/人生工学創始者
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