中日新聞社(名古屋市中区)は20日、愛知県蒲郡市が職員用の内部ネットワーク(イントラネット)で新聞記事を共有したのは著作権侵害だとして、市に1億5000万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。
訴状によると、蒲郡市は遅くとも2012年12月から2024年7月までの間、中日新聞の記事を切り抜いてPDF化し、許諾を得ずにイントラネットで共有。市役所や消防署、市民病院などのパソコン約1000台で閲覧できる状態にし、著作権法の複製権と公衆送信権が侵害されたとしている。
共有されていた記事は市内で起きた事件や事故の他、市出身のスポーツ選手や芸能人、近隣自治体の話題なども含まれていた。全体で1万件以上のうち、通信社の配信記事や人事などの短信記事を除いた計7192件について、使用料相当分などの賠償を求めた。
中日新聞は昨年7月26日付朝刊でこの問題を報道。同日、鈴木寿明市長が中日新聞社を訪れ謝罪するとともに補償に応じる意向を示した。だが昨年10月に一転して、「行政目的」の利用は認められるとし「著作権侵害には当たらない」と通知。交渉による解決の提案も拒否していた。
中日新聞社は「新聞に掲載される記事や写真は多くの労力と厳密な作業を経ている貴重な知的財産。法律を順守するべき行政機関が長期間にわたって組織的に知的財産を侵害したことは許されない」とコメントした。一方、蒲郡市は「訴状が届いていないためコメントできない」とした。
蒲郡市に対しては、朝日新聞社と日本経済新聞社も同様の著作権侵害にあたるとして20日に提訴したほか、読売新聞東京、大阪、西部の3本社と毎日新聞社も6日に提訴した。
新聞記事の無断共有を巡っては、東京新聞(中日新聞社発行)と日本経済新聞の記事を社内で閲覧できるようにしていたとして、つくばエクスプレスを運行する首都圏新都市鉄道(東京都千代田区)に計約829万円の賠償を命じた2件の判決が確定している。
中日新聞社は官公庁や地方自治体と有料での記事利用契約を結んでいる。
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