さて読んでいこう。
先行論文として、杉山産婦人科から2015年にTh1/Th2比が高い反復着床不全の患者に、タクロリムスを使った/使わないで
胚盤胞ですらない day 3形態良好胚移植で
使用群:妊娠率64%、生児獲得率60%(N=25)
未使用群:妊娠率0%(N=17)
という報告があった。
これはRCTではない。
この報告はこの報告でツッコミどころ満載で、使用群での妊娠率・生児獲得率が高すぎだし、逆に未使用群の妊娠率が低すぎる。
小規模コホートの危うさが満載に出ていて、PGT-Aもやってないのに妊娠率・生児獲得率が高すぎて流産率が低すぎる。
けど、ここまでは前座。
今回の論文は
この2015年の報告から、「先行研究では妊娠率0%だったけど、この報告から未治療群の妊娠率を5%と仮定」
つまり5%より高いかどうかを検証するためにNが設定されている。
ちょっと待てよ。RIF症例といえど胚盤胞移植で妊娠率が5%より高いかどうかを検討してるってのが大前提なので、この時点でかなりトーンダウン。まぁ最初からトーンダウンしてるけれど。
で、症例はN=24で、これまたタクロリムスの有用性を示すなら
タクロリムス未使用群と、使用群で分ければいいのに
なぜかタクロリムス低用量群と高用量群の二群を作っている。
そして、二群作っているのに今回の比較は
過去の論文から5%の妊娠率と比較した場合
低用量群も高用量群もp<0.0001で、5%より有意に妊娠率が高かったです!っていう論文でした。
高用量 vs 低用量の比較が実質的に意味を持っていない。
それに、やはり違和感を覚えるほど妊娠率が高すぎる。
しかも生化学的に妊娠した症例が全例胎嚢が確認され臨床的妊娠に至っている。これも実臨床を行なっていればかなり違和感を覚える。母集団の選び方・外部対照の置き方・偶然・施設要因・未測定交絡の影響が強く出ているだけの可能性が高い。
この論文から言えるのは「タクロリムスが免疫性不妊に有利である」ではなくて
言えることは、
タクロリムスを16日間使った短期的な重篤有害事象は今回は見られなかった。
低用量群・高用量群ともに、観察された臨床妊娠率は高かった。但しNが少なく、選択バイアスなどの可能性は濃厚に残る
次のプラセボ対照RCTを行う根拠にはなる。
現時点で実臨床でタクロリムスを患者さんに推奨する根拠にはなり得ない。
Quote
SCARS
@SCARS0127
なんか方々で話題だったから論文読んでみよう。
色々詳細は書いていくけれど、普通に論文を批判的解釈することに慣れてて、かつ実臨床を普通にやってれば
読む前から「あ〜、なんかやってんな〜、まずありえないくらい妊娠率高すぎだしこのp値比較対象なんだよ、ていうかN少ねぇなぁ」 x.com/ncchd_pr/statu…