5年間で数千万円の使い込み
翌日、亮次さんから「いろいろありすぎて、相談に乗っていただいていいですか?」と電話がありました。兄はこの5年間で会社のお金を数千万円単位で使っていたことが判明。そのお金の使い道は、複数の女性と占いだったそうです。
「兄は『仕事を頑張らなくちゃと思うと、体が女性を求めてしまう』と話していました。身勝手すぎて怒りしかありません。兄は大学卒業後、23歳で会社に入ってから、複数の社員女性と関係を持ったそうです。あの女性も、20代からの付き合いで、『割り切った関係だ』と言っていますが、会社の代表としてそれはおかしいだろうと」
おそらく兄は性依存症になっているのではないかと思いました。兄は祖母から「一人の人間」としてではなく、「跡取り」として育てられた。おそらく祖母は、兄を安心感と承認欲求を満たすための道具のように扱ったのではないでしょうか。
幼い兄は、それに反抗できなかった。父を頼ろうにも無関心ですし、実母はどこにいるかわからない。父の後妻である亮次さん兄弟の母は、祖母に遠慮して兄とは距離を置きました。そんな孤独感を癒したのが性交渉だったのでしょう。容姿端麗な長男ならば、相手を探すのはまったく苦でなかったと思われます。
「絶対社長でなければならない」強迫観念
私は「お兄さんは圧倒的に孤独だったのでしょうね。だから、自分が代表になって会社が自由になると感じたとき、心の穴を埋めるように、好きなことをしたんだと思います。一度、カウンセラーや精神科にかかってみるといいと思いますよ。このままでは同じことの繰り返しになる可能性も高いです」とアドバイスしました。
また、長男は「祖母の言うことは絶対」「失敗は許されない」という抑圧的な空気の中で育っています。幼い兄は、生き延びるために「支配する側でなければならない」と思いながら育ったのでしょう。だから、兄の妻にモラハラを行った。亮次さん兄弟の経営プランに反対するのも、居場所がなくなる危機感ではないかと感じました。
亮次さんは「そうかもしれません。兄の生育環境を解説いただくと、兄の理不尽な行動の背景がわかる。兄は祖母の被害者だったとは思っていたけれど、想像以上に傷を負っていたんですね。兄がいなかったら自分がその被害に遭っていたかと思うとぞっとします」と言い、ひとまずカウンセラーのところに連れて行くということで、その日は終わりました。
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