医師・看護師らの紹介手数料が年900億円、病院経営を圧迫…無料のハローワーク機能強化へ
看護師や医師らを確保するため人材紹介業者に支払う手数料が膨らみ、医療機関の経営を圧迫していることから、厚生労働省は今年度、手数料が無料のハローワークの機能を強化する。支払われた紹介手数料は全国で年計900億円に迫り、医療団体から診療継続に支障が出かねないと懸念する声も上がっているためだ。 【グラフ】医療などの職業仲介を巡るトラブル例
紹介手数料は通常、就職した職員の年収の20~30%が相場とされ、看護師で100万円かかる場合もある。厚労省によると、国内の紹介業者に支払った手数料は2024年度、医師で283億円、看護職で598億円だった。それぞれ19年度比で約3割、約6割増え計881億円になった。
東京都内のある中規模病院では25年に看護師ら31人を紹介業者を通じて雇い、当直医の確保も含めると手数料総額は約4000万円に上った。物価高やすでに雇用する職員の給料増もあり、赤字を計上した。
収入の柱である診療報酬は看護師の配置数で増減するため、特に看護師の確保は重要だ。離職などで看護師が減れば報酬は下がる。同病院がハローワークに求人を出しても応募はほぼなく、やむを得ず中途採用の8割は紹介業者を頼る。看護師たちが利便性の高さなどから主に民間の紹介業者を使うためといい、同病院の担当者は「紹介手数料の支出を削減し、赤字を圧縮したいが難しい」と語る。
日本医師会は3月、病院団体と、手数料の上限設定など紹介事業への規制強化を厚労省に要望した。松本吉郎会長は「医療機関の人材確保が困難になり、地域の医療提供体制を揺るがすリスクになる」と訴える。
厚労省は上限設定に慎重姿勢を示す一方で、今年度、看護師が活用しやすくするため、ハローワークの機能強化を図る。ハローワーク職員が年間を通して医療機関を訪ねて求人を集めたり、看護師向けの公的な紹介サービスと求人情報を共有したりする。
診療報酬は保険料や税金などで賄われている。財務省は「医療機関の経営原資が必要以上に手数料に流れ、保険料の上昇を招くことがないよう対応を図る必要がある」としている。