【傍聴記】むかわ町殺人死体遺棄事件【正当防衛】
令和7年9月、北海道むかわ町の空き地から男性の死体が見付かるというショッキングな事件があった。次々に色んな人が逮捕され、最終的には男女6人が逮捕された。
その中でも殺人罪と傷害罪で捜査されていた大上文彦容疑者の行く末が気になり、定期的に「むかわ町 死体遺棄」で検索していると
「むかわ町死体遺棄事件、殺人と傷害で不起訴処分」
というショッキングな一報が飛び込んだ。をいをい札幌地検よ何をやっとる!と絶望し、ついでに死体遺棄で逮捕された残り全員も不起訴処分となった(正式に言うと1人は別件で逮捕・起訴されたがその話は後日……)
あれだけ世間を騒がせた事件だったが最終的には大上のみ起訴され、おまけに「死体遺棄」でしか裁かれない。死体遺棄の法定刑は最大でも拘禁刑3年と非常に軽微な罪である。何とも胸糞悪い……と思いつつ大上被告を見に札幌地裁に足を運んだ。
事件番号:令和7年(わ)第745号
罪名:死体遺棄
被告人:大上文彦
36席中11席が記者席である。
裁判長は被告人を呼び捨てすることで有名(有名でもないが)なN裁判官である。
大上被告はパリッしたスーツに身を包み髪は短く刈られている。勾留中のストレスのせいか10円ハゲ(が少し伸びたモノ)が2つほど見受けられた。
起訴状によると
令和7年8月3日深夜の0時22分~3時56分頃にかけて北海道むかわ町の空き地に西村隆行さんの遺体を油圧ショベルを用いて運搬し土中約5~6mの地点に死体を埋めた。
大上被告、起訴内容全て認め弁護側も公訴事実は争わない。
大上文彦被告のプロフィール
昭和50年10月17日生まれ、本籍地は札幌市中央区、現住所は札幌市白石区である。最終学歴は中卒で現在に至るまで職を転々。前科6犯を有しており、常習累犯窃盗で懲役5年6月打たれた累犯前科がある。つまり今回は無罪にでもならない限り100%刑務所行きである。
検察側の証拠や被告人質問など総合的に見て大まかな事件の経緯は以下の通り(私の偏見や推認混み)
大上被告と西村さんが顔見知りになったのは令和7年5月頃。令和6年春頃に大上被告と男女の関係にあったA子(現在、覚醒剤取締法違反で公判中)、大上被告の2人が知人Wと盗撮トラブルになり示談金100万円を受領した。その際に首を突っ込みしゃしゃり出てきたのが今回の被害者の西村さんである。
西村さんは事あるごとに大上被告に因縁を付けるようになった。大きく事が動いたのは令和7年6月24日。大上被告は西村さんに激しい暴行を受け指を骨折、コンクリートを投げつけられるなどの警察沙汰になる傷害事件に発展した。しかし豊平署は「いい歳こいた50代おぢ2人のしょーもない喧嘩」の判断を下し何もせず放置。
同年7月7日、木刀を持って西村さんが大上被告の自宅に突撃し暴れ回り外壁や網戸を滅茶苦茶に。自分には「ヤクザの兄貴分」が付いていることを匂わせ(匂わせと言うより恫喝だが……)大上被告は西村さんからアイスピックで刺されるなどの暴行を受けた。無関係の人を何人も巻き込み、命の危険を感じた大上被告はまたしても通報するが白石署も豊平署と同様「事件性なし」何も対応せず。
その後も何度か警察沙汰になり双方検挙されるも事件として扱ってはもらえず、その日を迎えることになる。
西村さんが被告人車両に乗り込んだ際に「例のヤクザの兄貴分」に電話をして再度恫喝。恐らくこの際に揉み合いになり、死に至る致命傷を負わせたと思われる。西村さん大量に出血し、ただ事じゃないと感じた大上被告は病院に連れて行こうとするも、最初は普通に会話できていたのに出血多量で事切れ、死亡を確認。
殺人や傷害致死で起訴されたワケではないので、どのようにして西村さんが亡くなったのかは解明されずではあったが、大上被告はしきりに「袋のネズミになったも同然」「自分の命を守るために必死だった」「やらないと殺されると思った」と言っていた。
検察官「どうして西村さんの死亡が分かった時に通報しなかったんですか?」
大上被告「何度も警察沙汰になったのに警察は何もしてくれなかった。今回はいよいよヤクザの兄貴分も出てきそうになり、今までとはワケが違った」
西村さんの死亡を確認した後、弟分(推定)であるUY(死体遺棄で逮捕、のちに不起訴処分)に「車1台がすっぽり入るくらいの深さの穴を掘ってくれ」と依頼。
UYが死体遺棄で不起訴になったのは単に穴を掘るよう依頼されたから掘っただけであり、死体を埋める旨も説明されず、死体も見ていないからである。UYの言い分としては「兄貴分にお願いされたから(何となく怪しいと思いつつも)5~6mもの穴を掘っただけ」ということだろう。
その後、UYの掘った穴目掛け、油圧ショベルを使い西村さんの遺体を運び遺棄。その際に西村さんの腹部付近がズタボロになったそうだ。
「UYには仏さん見せるワケには行かないから、近くに来るなと言った。何のための穴なのかも、何を埋めるのかも一切言ってない」
「今回こそヤクザが出てきそうになって、自分がどういう形で狙われるのか不安だった」
「亡くなったことが(西村さんの)ヤクザの兄貴分にバレたら自分の命が危ないと思って………………隠すしかなかった」
「隠すと決めた以上、自ら蓋を開けることはない」
「今はただ……西村さんの冥福を祈っています」
ここで被告人質問終わり。主尋問30分弱、反対尋問20分弱、裁判官からの質問3個と驚くほどコンパクトな被告人質問であった(死体遺棄のみなので当たり前と言えば当たり前だが)
論告求刑
何人もの人を巻き込んだ犯行。むかわ町と言う超ド田舎の空き地の奥底に埋めた事もあって、誰かが言わなければ死体は発見される仕舞いだった。死後6週間が経過して腐敗も進み、油圧ショベルで乱雑に運搬したせいで遺体の腹部が著しく損傷していた。同種事犯の中でも極めて悪質な部類に入る。
死体遺棄罪の上限である「拘禁刑3年」を求刑。
弁論
被害者にも落ち度があった。被害者が恫喝しなければ今回の事件は起きておらず、大神さん自身も被害者に命を狙われそうになった。全国報道されて十分な社会的な制裁を受けている。前科6犯の全て財産犯であり粗暴前科はない。前刑の刑の執行終了から4年6ヶ月後の犯行。寛大な判決をお願いしたい。
最終意見陳述
先ずは西村さんのご冥福をお祈りします。全国ニュースになり何人もの人を巻き込んで、近隣住民の皆様を怖がらせてしまい申し訳ないです。一連の犯行全て自分一人でヤったことです。不慮の事故で西村さんが亡くなったことでヤクザに命を狙われると思い死体を埋めるしかなかった。問題の本質は私とA子が揉めたことです。A子が西村さんを焚き付けたせいでこのような事件に発展してしまいました。
最後にこれだけは言っておきたいです。私の国選弁護には何もしてくれませんでした。何のための弁護士なのでしょうか(以下、弁護人の愚痴を延々に述べる)
判決は1週間後に指定。
2026年2月5日9時50分 判決公判
N裁判長「被告人は証言台の前へ」
大上被告「はい」
N裁判長「大上文彦ですね?」(原文まま)
判決
「主文、被告人を拘禁刑1年10月の刑に処する。未決勾留日数中60日をこの刑に算入する。判決は以上です。」
判決の理由:ショベルで地中深くに死体を落下させ宗教的感情を害する悪質な犯行。また多数の前科を有しており前刑の刑の執行終了から4年6ヶ月後の犯行で、規範意識も著しく鈍麻している。
次々に逮捕者を出し大々的に全国ニュースになった割に5分足らずで閉廷。先日の田村修先生の控訴審判決は1時間半以上もあったのも相まって、物足りなさを感じつつ帰路に着いたのであった。
所感など
「いい年こいた50代オッサン同士が厨房以下の犬も食わぬ喧嘩して、なーにやっとるんだか」と呆れ果てたのが正直な感想。申し訳ないが被害者には1mmも同情できなかったし、周囲にこんな程度の低い人達がいなくて良かったとホッと胸を撫で下ろした。控訴せず確定だと思うんで、来月あたりには札幌刑務所あるいは月形刑務所にでも収監されることでしょう。


国選弁護人への愚痴を言う被告人、それなりに多いイメージありますけど(運ゲーでもあるし)、なんだかなあ、とおもいつつ。 読み応えのある記事、ありがとうございます。
こちらでは始めまして。 前科あるとはいえ、これで実刑は気の毒な気もしますね・・・ というか、警察もっと真面目に動けよ。ヤクザ相手には腰引けてますよね。長野一家殺害では、被害者との癒着疑われましたし。