《ニュースを追って》茨城・下妻の無断撮影・投稿 公立校 入校管理に苦悩 地域開放と両立ジレンマ
茨城県下妻市の公立小・高の卒業式や入学式で児童生徒が無断撮影され、交流サイト(SNS)に投稿された問題を巡り、県内の公立学校が安全管理に頭を悩ませている。入校者管理を徹底したい一方、「地域に開かれた学校」を目指したいという思いもあり、両立にジレンマを抱える。SNSによる子どもの写真拡散も新たな課題となり、対応に苦慮する。 ■難しいバランス 「どこの学校でも起こり得る問題」。下妻での問題を受け、同県結城市の公立中学校の校長は気を引き締め、校門や教室の施錠を徹底する。教員による校内の巡回も強化しており、「物を用意しようとするとお金がかかる。正解は見つかっていないが、今ある資源でやっていく」と話した。 各校を悩ませているのが地域開放との両立だ。体育館は地域住民のスポーツ活動にも使われ、夜まで利用できることもある。水戸市教委の担当者は「教員も最後までは残れない。施錠は利用者の方にお願いしている」と現状を説明する。 行事の際の入校者管理については「可能な限り地域の人に参加してほしい行事もあるので、バランスが難しい。閉鎖的になってもいけない」と胸の内を明かす。 一方、同県つくば市は近年新設した小学校3校で、地域開放と防犯の両方に配慮した設計を導入。地域住民に開放する部屋と、学校関係者だけが出入りできるエリアの間に鍵付きの扉を設けた。扉を越えて侵入すると警報が鳴るセキュリティーも導入している。 ■顔が分かる関係 昨年度まで同県水戸市の公立小の校長を務めていた常磐大教職センター長の鈴木宏一さんは「学校や保護者、地域の連携を強め、顔が分かる関係を築くことも部外者の侵入防止につながる」と提案する。 SNSによる写真拡散については、ドメスティックバイオレンス(DV)被害から避難している場合など、特に配慮が必要な子どももいる。「学校側は肖像権の同意書を配り、写真使用には相当気を遣ってきた」と語る。誰もが気軽に写真を撮ってSNSに投稿できる時代になったことを踏まえ、「行事で入ってきた人にどうアナウンスするかは課題」と指摘した上で、「意図せず写真を載せられたことによる不利益を防がなければならない」と警鐘を鳴らす。 下妻市内で無断撮影された卒業式や入学式の投稿は、現在削除されている。写真を投稿した学習塾の経営者は取材に対し、「教え子や塾の卒業生が式典に参加していたため、軽い気持ちで行って撮影してしまった」と釈明。式典の途中で会場に到着したところ、受け付けが既に撤去されていたため、そのまま中に入ったといい、「申し訳なかった」と謝罪した。 県教委はこの問題を受け、県内全ての公立学校に入校者の管理を徹底するよう通知を出した。
茨城新聞社