「言われたことはちゃんとやっていた」中堅社員が"解雇寸前"に…静かな退職からリアルな退職に追い込まれる人の「ズレの正体」
出世を望まず、最低限の業務だけを淡々とこなす「静かな退職」という働き方。しかし、「うまくやれている」と思っているのは、本人だけかもしれない……。人事コンサルタントで、著書に『ボスマネジメント』がある難波猛氏が、「言われたことはちゃんとやっていた」中堅社員が、「解雇寸前」に至ったケーススタディを紹介する。
最低限の仕事をしているつもりが……
「自己評価が高く、上司の評価とギャップがある社員」への対応は、会社や管理職から相談を受けることが多いテーマです。
ある中堅社員の例です。
彼は、上司から指示された業務を期限内に正確にこなし、大きなトラブルを起こすこともありませんでした。残業は最小限で、淡々と仕事を進める。その姿勢を、本人は「うまくやれている」と感じていました。
しかし、上司の見方は違っていました。「言われたことはやるが、自分から提案や改善行動をしようとしない」「この先、どんな役割を任せられるのかが見えない」。そうした評価が、水面下で積み重なっていったのです。
本人は、求められる最低限の仕事をしているつもりでしたが、上司は中堅社員として、自発的な挑戦や改善を期待していました。中間面談などで上司もやんわりと伝えてはいましたが、そのズレは解消されることはなく、時間だけが過ぎていきました。
その後、より挑戦を重んじる人事制度に改訂されたことで、その人の評価は下がり、任される仕事の幅も狭まっていき、パフォーマンス不足と判断されて業績改善プログラム(PIP/Performance Improvement Program)の適用が通知されました。
やんわりとしか伝えられなかった上司にも問題はありますが、上司や人事制度のメッセージをキャッチして軌道修正しなかったことで、本人のキャリアはかなり厳しい状況に置かれてしまいました。