- 1二次元好きの匿名さん26/05/10(日) 08:50:21
- 2二次元好きの匿名さん26/05/10(日) 08:51:57
(前スレのあらすじ)
諸事情により幼い姿になった日車は、
2ヶ月間を日下部と共に過ごしたあと、高専へ戻り生活していた。
任務にも出ず穏やかに過ごしていたものの、そんな環境に焦りを覚えた日車は、ある日任務への同行を希望する。
しかしその任務中、日車は呪霊に襲われてしまう。
何とか助かったものの、
その出来事をきっかけに日車は深く落ち込み、「迷惑をかけず、大人しくしておくべきだった」と考えるようになる。
そして来月には元の姿へ戻れることを支えに、残りの時間を高専で静かに過ごそうとしていた。
――だが、“来月”が訪れた瞬間、
日車は突然記憶を失ってしまう。
本人はそのことに気づいていなかったが、胸の奥には、拭いきれない違和感だけが残っていた。
とめどなく湧き出る不安感。
矛盾した記憶。
深く思考しようとすると引き留める日下部の声――。
焦燥と不安は次第に膨れ上がり、
やがて胸の奥で、昏い“何か”が蠢き始める。
そしてそれが暴れ出しそうになった瞬間、
何者かが日車を呼び止めた。 - 3二次元好きの匿名さん26/05/10(日) 08:58:15
- 4二次元好きの匿名さん26/05/10(日) 09:10:49
話しかけたのは誰だろう
- 5二次元好きの匿名さん26/05/10(日) 09:16:20
???「おーい、日車」
聞き流しかけて、しかし、現実の声だと認識し振り返る。が、そこには何も居なかった。
???「下だ、漫画みたいなこと言わせんな」
一拍、遅れて視線を落とすと、白と黒のふわふわした、つぶらな瞳の小さな生き物がこちらを見上げていた。
日車「パンダ君……」
名前を呼び、じっとつぶらな瞳を見つめていると張り詰めていたものがわずかな萎んでいくのが分かった。
パンダ「しおれた面してんな、俺を抱きしめるか? アニマルセラピーだ」
日車「ははっ……遠慮しておく」
パンダ「そうか? それより何でそんなとこで突っ立ってんだ」
日車「……少し、考え事を……」
誤魔化すため視線を逸らそうとして……止めた。 - 6二次元好きの匿名さん26/05/10(日) 10:01:02
保守
- 7二次元好きの匿名さん26/05/10(日) 10:37:18
新スレ感謝!
ゴア確定ですか…ホァ… - 8二次元好きの匿名さん26/05/10(日) 10:43:15
続き感謝
- 9二次元好きの匿名さん26/05/10(日) 10:54:03
このレスは削除されています
- 10二次元好きの匿名さん26/05/10(日) 10:57:00
日車(……いや、まて)
誤魔化さず、聞いてみてはどうだろうか。
俺の中にある、この矛盾した記憶について。
日車「……わがままを言って、虎杖と伏黒君の任務に同行したんだ。しかし、呪霊に襲われて迷惑をかけてしまってな。少し落ち込んでいる」
じっと、パンダ君の目を見る。
パンダ「そうか! でもまぁ、二人とも気にしてねぇだろ」
日車「二人は優しいからな……なぁ、虎杖はそのことについて何か言っていたか?」
パンダ「いや? でもまぁ、日車が落ち込んでて辛そうだって言ってたな」
日車「そうか……パンダ君、やはりアニマルセラピーをお願いしてもいいか?」
パンダ「お、いいぞいいぞ。サービスしてやる」
了承を得て、パンダ君の後ろへ回る。 そっと抱き上げ腕の中へ収めるとふわりとした綿の感触が腕に馴染む。 思っていた以上に柔らかく、温かい。
日車「体温があるんだな」
純粋な疑問が口から溢れた。
パンダ「ん? あぁ。普通に暑さ寒さは感じるから、調整できるようにしてくれたんだ。呪力はエネルギーでもあるから、割と簡単にできるらしいぞ」
日車「夜我先生にか? 前学長の」
パンダ「知ってんのか?」
日車「あぁ。日下部から話を聞いている。いろいろと世話になったと。それに、呪骸に関する論文をいくつか作成してただろう。拝見したことがある。とても聡明な方だとお見受けした」
パンダ「言い過ぎだろ! 頑固で厳しくて怖かったぞ! ……でも、優しかったな……うん……」
少しだけ遠くを見るような声だった。
夜我という人物は日下部にとって恩人でパンダ君にとって親のような存在だったと聞いたことがある。
しかし、私が術師になる前に亡くなったと……亡くな……ん? - 11二次元好きの匿名さん26/05/10(日) 10:58:06
このレスは削除されています
- 12二次元好きの匿名さん26/05/10(日) 11:10:16
スレ立て感謝ですスレ画に日下部が追加されてる!?
ほんわかしてられる状況じゃないんだけど小さい日車が小さいパンダ抱えてる絵面はかわいすぎる - 13二次元好きの匿名さん26/05/10(日) 11:21:36
パンダ見事に引っかかってんな
話を合わせちゃダメだったんだよ
知らないふりして「任務に行ったのか?」とか「夢でも見てんのか?」でも言って誤魔化さないと - 14二次元好きの匿名さん26/05/10(日) 15:31:06
今更すぎるけど、タイトルの台詞言ってんの日下部?
- 15二次元好きの匿名さん26/05/10(日) 18:23:42
このレスは削除されています
- 16二次元好きの匿名さん26/05/10(日) 18:25:41
―――――
――――
――
『世話になった人がいたんだ、ちょっと諸事情あって妹が駄目になったちゅーか、子どもを亡くして病んじまったんだ』
『夜我さん………あぁ、さすがに知ってるか。そうだ、その人に甥の呪骸を作ってもらったんだ。甥に似た呪骸をな』
『最悪だろ、死者を冒涜してるりでも縋るしかなかった……せめてもの責任をとタケルを創るとき夜我さんの助手をした……あの子の身体を……』
『……そのおかげで妹は本調子とは言えねぇが、会話が出来るようになった、物を食えるようになって、立って歩けるようになった。』
『希望をくれた、感謝してもしきれねぇ、けど◯◯◯たんだ。◯◯◯◯の時にな』
『……俺が大切に思った奴は皆消えちまう……愛情を持った奴は最悪な形で壊れちまう……』
酒に酔っているのか、日下部の顔は赤かった。
下瞼が滲み、焦点の合わない視線が俺へ向けられる。
『お前も……そうなりそうだな……』
―――――
――――
―― - 17二次元好きの匿名さん26/05/10(日) 19:21:28
ヤンデレアツヤだ~~~~~!!!!!
- 18二次元好きの匿名さん26/05/10(日) 19:26:40
日車(また……いや、これは単に思い出しているだけだな。先程のような強引に思考を誘導される感覚はない)
日車(……日下部は何と言っていた? 夜我さんはどう亡くなったと……)
日車「パンダ君」
パンダ「んぁ?」
日車「……いや」
白いフワフワした頭を撫でながら口を開き、そのまま閉じた。喉元まで出かかった問いを呑み込み、代わりに別の言葉を探す。
日車「夜我さんはいい人だったんだな」
パンダ「そうだな……ダメだしんみりする! 話変えようぜ!」 - 19二次元好きの匿名さん26/05/10(日) 19:46:05
すごいスレ画にアツヤが追加されてる!
パンダ抱っこしている日車さんとか可愛いの集合体だな。 - 20二次元好きの匿名さん26/05/10(日) 20:49:30
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- 21二次元好きの匿名さん26/05/10(日) 21:44:27
日車「……そうだな」
日車(この流れで問い詰めるには……いや、しかし後回しにするとはぐらかされてしまう可能性が高い)
日車(今しかない、今しか……)
ここで躊躇えば、機会そのものが流れる気がした。
いささか唐突だと思ったが廊下の先を指差す。
日車「パンダ君の言うとおり話を変えよう。この廊下の曲がり角を抜けた先に図書室があるな」
パンダ「? あぁ」
片腕に預けていたパンダ君の身体がわずかに重心を失って滑る。落とさぬよう支え直した拍子に力が籠る。
日車「行くとしても、乙骨くんや狗巻くん……他の誰かと一緒だった」
パンダ「おー」
短い返事、だがその短い間に思考を巡らせている気配があった。
日車「図書室の先には何もない。行き止まりだ」
パンダ「いや、なんか……あったろ。ほら、倉庫みたいな」
日車「そんな場所に用があるのか? 一人で?」
パンダ「…………」
返答が止まる。腕の中の体温が、わずかに強張った気がした。 - 22二次元好きの匿名さん26/05/10(日) 22:12:24
パンダ「……なにが聞きたいんだ?」
日車「いや、君がここを通りかかるのは不自然な気がしてな。私に個人的な用があったのかと」
パンダ「さっき虎杖と会ったんだ、そうしたら日車の元気がねぇって心配してて、釘崎が図書室に行ったって聞いたから様子を見に来た」
日車「先ほども話したが元気がなかったのは私が無理を言って任務に同行した末に迷惑をかけたからだ……任務に同行したことは君も知っているな」
パンダ「……あぁ」
日車「本当に?」
パンダ「あぁ、任務に行って……あっ」
日車「そうか、ありがとう。それが聞きたかった」
私がここへ来て5日間、一度も高専から出てはいない。 そもそも被呪者を任務に同行させることは余程のことがない限りあり得ない。
そのため被呪から時間が経っているとはいえ高専に場所を移してすぐの人間を任務に連れては行かない、同行を許すにしてももう少し様子を見るはずだ。
だから私が虎杖と伏黒君の任務に同行したことを聞いた際、パンダ君が一切疑問を持たず返答した時点でおかしかった。
確信した、記憶が混線している。
そしてその事実を周囲は俺に隠そうとしている。
パンダ「日車……」
日車「パンダ君」
抱えている身体に視線を落とす。
日車「君に……色々と聞いていいだろうか? 不安なんだ……何か忘れている気がして……」
パンダ「…………無理に思い出さなくていいと思うぞ」
日車「思い出してほしくないのか? 何があったんだ?」
パンダ「まだ一日しか経ってねぇ、もう少し……いや……でもなぁ……」
日車「一日?」
パンダ「……いいぜ、聞いてやる。変に溜め込まれても困るしな」 - 23二次元好きの匿名さん26/05/10(日) 22:13:43
このレスは削除されています
- 24二次元好きの匿名さん26/05/10(日) 22:16:43
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- 25二次元好きの匿名さん26/05/10(日) 22:24:21
続きが気になりすぎる
- 26二次元好きの匿名さん26/05/10(日) 22:24:40
『なんでそんなに思い出したがるんだよ』
『忘れてろよ、ずっと』
『辛いこと、嫌なこと、悲しいこと、なぁ、ひろみ』 - 27二次元好きの匿名さん26/05/10(日) 22:26:08
- 28二次元好きの匿名さん26/05/10(日) 22:30:16
何を? 何を決めさせようとしてる?
- 29二次元好きの匿名さん26/05/10(日) 22:44:39
何もわからんけど5で
- 30二次元好きの匿名さん26/05/10(日) 22:47:00
たまに出てきた謎ダイス?
あれ日車さんのメンタルとかそんな感じの大好きと思ってたんだけどもしかして日下部さんが関係してる? - 31二次元好きの匿名さん26/05/10(日) 22:52:21
19
- 32二次元好きの匿名さん26/05/10(日) 22:52:38
数値を高くするか低くするか決められるってことか
なら高いほうがいい? - 33二次元好きの匿名さん26/05/10(日) 22:54:08
あっ、安価踏んじゃった
私も19で - 34二次元好きの匿名さん26/05/10(日) 22:58:18
妹さんは自〇したんだな、いつかは分からないけど
そんで日下部視点では事件前の日車も〇殺前の妹さんと似た雰囲気を纏っていたと
でも日下部は日車に死んで欲しくなかったから、そのキッカケを忘れてもらうような呪いをかけて、かつソレ(あるいはその他の危険)に触れることなんてないよう隔離するための理由付けとして幼児化させた?
安価なら 63 - 35二次元好きの匿名さん26/05/10(日) 23:03:03
日車ということで102
- 36二次元好きの匿名さん26/05/10(日) 23:03:30
んー100で
- 37二次元好きの匿名さん26/05/10(日) 23:03:40
30
- 38二次元好きの匿名さん26/05/10(日) 23:05:45
あっ! あーーー!!
えっ? これそういう事か!! えっ!! 嘘でしょ!! - 39二次元好きの匿名さん26/05/10(日) 23:06:56
日下部さんって生きてる?
- 40二次元好きの匿名さん26/05/10(日) 23:10:02
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- 41二次元好きの匿名さん26/05/10(日) 23:11:12
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- 42二次元好きの匿名さん26/05/10(日) 23:17:41
- 43二次元好きの匿名さん26/05/10(日) 23:20:15
このレスは削除されています
- 44二次元好きの匿名さん26/05/10(日) 23:22:05
- 45二次元好きの匿名さん26/05/10(日) 23:22:34
なになになに怖い怖いこわい
- 46二次元好きの匿名さん26/05/10(日) 23:27:09
- 47二次元好きの匿名さん26/05/10(日) 23:40:10
日車「ありがとう」
パンダ「礼には及ばねぇ、それよりちょっと俺を降ろしてくれねぇか?」
「……ああ、すまない」
了承しつつ、すぐには腕を下ろせなかった。
アニマルセラピーはパンダ君を逃さないための方便だったのだが、ふわりとした毛並みが、触れている部分から静かに体温を返してくる、それが心地よく手放すのが惜しかった。
日車「このままではダメか?」
パンダ「俺に癒されるのはわかるが危ねぇんだよ。そこの窓見てみろ」
パンダくんに顎で示され、言われるまま視線を横にずらす。
すぐ隣の少し曇った窓ガラスに、幾筋もの亀裂が走っていた。サッシの枠もわずかに噛み合っておらず歪んでいた。
パンダ「見えるか?」
日車「あぁ、気が付かなかった。なぜここだけこんなに?」
パンダ「それは理解できねぇんだな?」
日車「えっ? いや……うっ、ん? あぁ……」 - 48二次元好きの匿名さん26/05/10(日) 23:49:31
日車(そうだ……パンダ君に会う前、俺は自分の記憶を、何かを思い出そうとして)
日車(すると何か……何かが多いな……上手く言語化できない……昏い、怒りとも憎悪とも絶望ともつかない……なにかが胸の内に膨れ上がって……そして……)
日車(耳鳴りがして……その奥で確かに聞いた……窓ガラスが……軋む音を……)
日車「俺がしたのか?」
パンダ「あぁ、そうだ。呪力が暴走していた。だから声をかけたんだ。本当は日車が図書室に入ってから声をかけるつもりだった」
日車「どうやって? 俺は…なん……」
パンダ「一旦止まれ、まず、日車が疑問に思っていることに答えたい。その前に俺を降ろせ、また呪力が暴走したら俺が木っ端微塵になる」 - 49二次元好きの匿名さん26/05/10(日) 23:55:16
謎が…謎が多い…展開が気になり過ぎて仕方ない
これ日車がいるのって現実の世界じゃなかったりするのかな - 50二次元好きの匿名さん26/05/11(月) 01:16:30
日車「……ああ、すまない」
今度こそ腕を緩める。ゆっくりと、慎重に。 抱えていた重みが地面へ移ると同時に、指先に残っていた柔らかな感触だけが遅れて離れていった。
パンダ「そんな名残惜しそうにすんなって、そんで不安にもなるな」
日車「不安になると暴走するのか?」
パンダ「まぁ……そんなとこだな。だからあまりに日車が不安定になったら話を止めるぞ、それでもいいな」
日車「それでいい、君を木っ端微塵にはしたくない」
パンダ「俺もなりたくねぇよ」
そう言って、パンダはわずかに口元を緩めた。ニヒルに笑ったのだろうと思い、俺もつられて口元を緩ませた。
パンダ「よしっ! 何から聞きたい?」
日車「そうだな……」
1.俺はいつからこの状態なんだ?
2.皆なぜ思い出すことを止めるんだ
3.日下部はどこにいるんだ
4.俺が高専に来た経緯を知りたい
5.記憶のことについて知りたい
6.パンダ君はなぜ俺を気にかけてくれるんだ?
(上記の1〜5はすべてパンダへの質問であり最大5回の安価が発生します。
ただし、質問の順序によって日車の記憶が刺激され、安価で選ばれた内容とは別の問いや記憶が割り込む場合があります。
ダイス結果により日車さんの暴走の可能性は低くなっています。
この会話により失われるENDがあります) - 51二次元好きの匿名さん26/05/11(月) 01:17:32
安価
- 52二次元好きの匿名さん26/05/11(月) 02:13:16
この安価はひとつずつ?それとも5回分一気に決める?
ひとつずつなら大まかな現状把握で1かな - 53スレ主26/05/11(月) 04:03:34
- 54二次元好きの匿名さん26/05/11(月) 04:37:18
- 55二次元好きの匿名さん26/05/11(月) 05:38:01
まず4を聞きたいな
1と5はその後で良いと思う
別の選択肢が出るまでは3は個人的に最後でいいかな - 56二次元好きの匿名さん26/05/11(月) 10:59:43
- 57二次元好きの匿名さん26/05/11(月) 11:44:21
19d30で出てる20ってなんなんだろう
19dってことはダイスの結果は19個出てるはずで上限30なら19回で出た最大値が20ってのも考えにくいこと思うと1つ目に出た値だろうか - 58二次元好きの匿名さん26/05/11(月) 11:50:25
- 59二次元好きの匿名さん26/05/11(月) 12:39:49
日車「俺が高専に来た経緯を知りたい」
口にした瞬間、パンダ君の表情がわずかに引き締まった気がした。
パンダ「あーんー」
日車「何か問題があるのか?」
パンダ「問題っつーか……まぁ、答えるのが難しいんだよなぁ」
ぽりぽりと頭を掻きながろパンダ君は廊下の壁へ背を預ける。
パンダ「まず日車の認識を聞きてぇ。なぜここにいると思う? どういう経緯で来たと認識してるんだ?」
日車「任務中に被呪した。その後、日下部の家で二ヶ月過ごした」
日車「そして一週間前に、日下部が長期勤務へ行くから、その間は高専で面倒を見てもらえと言われて連れてこられた……そう認識している」
パンダ「そうか、大体あってる」
日車「しかし辻褄が合わない」
パンダ「どこが?」
日車日車「時系列だ。さすがに察したんだが、記憶が抜け落ちている」
日車「昨日のことを思い出そうとしても出来なかった。だが、無理に辿ろうとすると、虎杖達と任務へ行った記憶が呼び起こされた」
日車「しかし、それは成立しない。俺は高専へ来てから一度も外へ出ていない」
矛盾している。
なのに。
日車「妙に生々しいんだ……記憶というより感情が……」
喉が詰まる。
日車「酷く恐ろしかった、病院の前に、呪霊がいて……その顔が"あの男に似ていて"……俺を……また……俺を……」
パンダ「おい、まて、そこまで……」 - 60二次元好きの匿名さん26/05/11(月) 13:20:47
日車「俺を――」
視界が揺れた。廊下の白色灯が滲む。
――あの部屋にも、それがあった。
白く、冷たい光、目が痛くてずっと伏せていた。
どこもかしこも痛い。
皮膚が擦れて痛い。
喉が裂けるように痛い。
息をするだけで胸が軋む。
なぜ……
『動くな』
低い声。反射的に身体が強張る。
知らない声だと思った。
――違う。
知っている。思い出したくない。身体が重い。
鉛でも流し込まれたように動かない。
手と足が焼けるように熱くて、感覚が鈍っていて、それでも食い込む硬い感触だけはわかった。
枷が――
日車(……枷?)
違う 違う あれは……
パンダ「日車!!!!」 - 61二次元好きの匿名さん26/05/11(月) 13:22:43
このレスは削除されています
- 62二次元好きの匿名さん26/05/11(月) 13:32:36
パンダ「日車!! 話を聞きたいんだろ!!」
鋭い声が鼓膜を叩く。
日車「ふっ……あっ、あぁ……」
パンダ「なら落ち着け!!」
叱責され
ぐらついていた意識が現実へ引き戻される。
今のは……何だ、今のは……。
パンダ「……止めるか?」
日車「何を……いや、続けてくれ」
パンダ「……分かった。ただ、話の途中で何か思い出しかけたら、一回考えるのを止めろ。そのたびに不安定になられたら、こっちも話を進められねぇ」
日車「……分かった、善処する」
パンダ「それでも何か思い出しちまったらその場で口に出してくれ、その方がフォローできる」
日車「面倒をかけてすまない……」
パンダ「いいって、何を思い……あー、話変えたほうがいいな。他に聞きたいことはねぇか?」
1.俺はいつからこの状態なんだ?
2.皆なぜ思い出すことを止めるんだ
3.日下部はどこにいるんだ
俺が高専に来た経緯を知りたい
5.記憶のことについて知りたい
6.パンダ君はなぜ俺を気にかけてくれるんだ?
安価 >>67
- 63二次元好きの匿名さん26/05/11(月) 14:32:50
2と5はいったん置いておいたほうがいいか
可能性が低いとはいえ暴走する可能性があるみたいだし記憶についてはそっとしときたい - 64二次元好きの匿名さん26/05/11(月) 14:38:23
大丈夫そうと思った4ですら地雷系だったかー日車ごめん
なら136のどれかだな
1が無難?もう何が正解かわからなくなってきた - 65二次元好きの匿名さん26/05/11(月) 14:49:24
4が地雷というよりパンダとの会話を通して今の状況や記憶を思い出しているわけだから何を聞いても地雷は踏むんだと思う。暴走しない程度に地雷を踏みつつ情報を得て会話を終わらせるって感じなのかも
- 66二次元好きの匿名さん26/05/11(月) 15:04:26
1を聞きたい
どれだけの時間が経過してるかはっきりしてないんだよな、日車の時間感覚も記憶障害でおかしくなってるし
衣替え挟んでるみたいだし実は結構な時間が過ぎちゃってるのかも - 67二次元好きの匿名さん26/05/11(月) 19:50:08
1を聞く
- 68二次元好きの匿名さん26/05/12(火) 01:36:46
安全そうなものから聞いて行きたいけど、どれも何かしら日車に影響出てくるだろうから難しい洗濯だなぁ
- 69二次元好きの匿名さん26/05/12(火) 02:24:06
日車(そうだな……次は……)
胸に手を当てて息を整える。下を向き、ゆっくり息を吐くと、否が応でも自身の小さな身体が目に入った。
確かめるように両腕を伸ばす。細く頼りない腕に子ども特有のなめらかな手の平。元の自分とはかけ離れた幼い姿。
日車「俺はいつからこの状態なんだ?」
パンダ「子どもになってってことか?」
俺が頷くと、パンダ君はひび割れた窓に顔を向けた。
パンダ「2ヶ月と少し……という答えじゃ納得してくれねぇか?」
日車「違うんだな」
パンダ「あぁ、その前に聞きたいんだが日車は今何月だと思ってるんだ?」
日車「えっ……それは……」
問われて、答えられないことに気づく。
日車「今……今は……」
パンダ君の視線を追い、窓の外を見る。
ひび割れたガラスの向こう。乾いた空気が窓越しにも伝わる。古い校舎はすき間風がよく通り、撫でるような肌寒さが皮膚を滑る。
空は薄く白み、校庭の隅には枯葉が吹き溜まっている。
――枯葉? - 70二次元好きの匿名さん26/05/12(火) 02:57:46
日車「……今は11月か?」
パンダ「正解だ。納得できるか?」
日車「いや……無理だ。日下部といた時、俺は一緒に釣りに行ったんだ」
その時の記憶がはっきり残っている。
日下部の家に一ヶ月近く閉じこもり鬱々としている俺を見かねたのか、ある日、日下部が釣りに行こうと誘ってくれたのだ。
外に出たいと何度訴えても、「外は危ねぇ」の一点張りで止められていたにも関わらず、あまりにも唐突なことに俺は呆気に取られた。戸惑う俺に、日下部は苦笑しながら言った。
『別にお前を閉じ込めたいわけじゃねぇんだ』
『できれば、青空の下で穏やかに過ごしてほしい』
そう言って帽子を被せられ、サングラスを掛けさせられた。その過保護さに呆れたのを覚えている。あの日の海は、とても暑かった。帽子もサングラスも疑問に思わないほど、強い日差しが照りつけていた。
日車「その時は真夏だった。8月……いや、7月の終わり頃だったように思う。だとしたら、今は10月でなければおかしい」
パンダ「そうなるよな。11月が一番厄介なんだ、季節が噛み合わねぇから記憶が戻りやすい」
日車「……戻りやすい?」
パンダ「あぁ。日下部といた頃の記憶、まだ残ってるだろ。本来ならその辺の記憶は冬に入る頃から薄れてくんだ」
日車「何故?」
パンダ「じゃねぇと、自分の記憶と今の季節がズレてることに気づくからな。夏の記憶を抱えたまま冬を迎えれば、嫌でも違和感が出る。」
パンダ君は窓から視線を外し、ゆっくりこちらに向き直った。
パンダ「そこで勘づく。時間が飛んでることとか、記憶がおかしいとかな。それで不安定になるのを防ぐためだ」
日車「……君は今、11月は厄介だと言ったな」
パンダ「あぁ」
日車「以前にも同じことがあったんだな」
パンダ「……」
日車「つまり私は、一年以上この状態を繰り返している」
パンダ「正解だ。納得したか?」 - 71二次元好きの匿名さん26/05/12(火) 03:02:41
納得など、できるはずがなかった。
日車「……一年」
想像以上に長い。 一年以上。俺はこの幼い姿のまま、記憶を削られ続けていたというのか。
日車「俺はここに来て五日目だと認識していた。しかし君を問い詰めた時、君はまだ一日しか経ってないと言っていた」
パンダ君は黙って俺を見る。
日車「つまり、一定期間経過すると“五日目”に記憶が戻るということか」
パンダ「大まかにはその認識でいい。細けえとこまで追求するときりがねぇからこの話はいったん終わりにしていいか?」
日車「……そうだな、そうしよう」
俺はいつからこの状態なんだ?
2.皆なぜ思い出すことを止めるんだ
3.日下部はどこにいるんだ
俺が高専に来た経緯を知りたい
5.記憶のことについて知りたい
6.パンダ君はなぜ俺を気にかけてくれるんだ?
安価 >>75
- 72二次元好きの匿名さん26/05/12(火) 03:37:46
最初にパート2を斜め読みしてしまってこれはやべえスレだと思って急いで一気見してきた
展開を察した状態でパート1見てしまって少し後悔したけど、でも逆にここまでノンストップで読めたのは幸いだった気もする
CP有りとか以前に物語としてあまりにも出来が良すぎるどうなってんだ
つかこの状態で一年って…枷も気になるし…呪力暴走するのも謎だし…もう先が楽しみでならない… - 73二次元好きの匿名さん26/05/12(火) 05:10:34
想像以上の答えが返ってきてしまった…
日下部のことは一番最後に聞いた方がよさそうだし、何となく関わってそうなパンダのことももう少し後かな
記憶リセットの話を切り上げた直後だけど、2か3の話はできるのだろうか - 74二次元好きの匿名さん26/05/12(火) 05:20:33
一年以上って言ってるけど流石に2年3年以上は経ってないよね…?虎杖がどういう状態かはわかんないけど伏黒や釘崎だって成長するだろうし…
日下部のこと聞きたいけど一番安牌に思えるのは6かな
パンダ側が一番情報調整しやすそう - 75二次元好きの匿名さん26/05/12(火) 07:16:05
6だな
2、3はまだちょい危険すぎる - 76二次元好きの匿名さん26/05/12(火) 07:42:51
日下部といた頃の記憶…え…?
- 77二次元好きの匿名さん26/05/12(火) 08:48:11
12月に入ると夏の記憶がなくなるけど11月の時点ではまだ残ってるから何かおかしいって気づいて不安定になるってことか。そんで多分なくした記憶は夏に向かって戻っていくと。
ということは子どもになった後の日下部と過ごした記憶があることそのものは問題ないと - 78二次元好きの匿名さん26/05/12(火) 08:57:39
- 79二次元好きの匿名さん26/05/12(火) 11:57:32
- 80二次元好きの匿名さん26/05/12(火) 12:10:56
次は何を聞くべきだ。聞きたいことはいくらでもある。整理しきれないほどに。
だが、畳み掛けて色々と聞くには、パンダ君が疲弊している気がした。俺とのやり取りの中でフワフワの柔らかい身体が少々草臥れてしまった雰囲気がある
日車「……パンダ君はなぜ俺を気にかけてくれるんだ?」
パンダ「はえ?」
パンダ君の口からどこか間の抜けた声が出る。
完全に想定外の質問だったらしい。パンダ君はつぶらな目を丸くしたまま数秒止まってしまった。
その間に問いを続ける。
日車「おそらく、今している話は俺に漏らしてはいけない類のものなんだろう? それなのに君は、こうして正直に話してくれている」
続けながら、自分でも整理しながら言葉を選ぶ。
日車「それだけじゃない。さっきだって、俺が暴走しかけたとき……危険を顧みず話しかけてくれた。下手をすれば、巻き込まれてただでは済まなかったかもしれないのに」
日車「つまり君は、リスクを取ってでも俺に関わってくれている。何故なんだ?」
パンダ「それは……俺はパンダだからな!」
日車「パンダ君」 - 81二次元好きの匿名さん26/05/12(火) 12:12:18
あからさまに誤魔化された言葉を受けて、思わず声が硬くなる。するとパンダ君はその変化を敏感に察したのか、小さく「はい」と呟いて視線を落としてしまった。
日車「あぁ、すまない、怒ったわけではないんだ」
パンダ「わかってる。けどなぁ」
即座に返事は来るが、どこか歯切れが悪い。
パンダ「俺の話は恥ずかしくてしたくねぇんだよな。仲間だから気にかけてるってのはあるし……あと、言い方は悪いけど、お前のこと不憫だとも思ってる」
日車「不憫……」
パンダ「それにな……さっきお前も言ってたろ。もう一年以上経ってんだ。さすがにこのまま放っとくのは違うと思うしそろそろ前に進まねぇと」
前に進む……そうか。俺は今停滞どころか同じ場所をぐるぐる回っているのかもしれない。記憶をなくしながら延々と、そんな俺の世話を周囲はしてくれていたのか……。
何も知らず、ずっと周囲に面倒事を背負わせていた。 皆に申し訳ない、本当に申し訳ない。しかし、湧き出る自責の念をそのまま飲み込むには、まだ何も見えていなかった。自分の身に何が起きているのか、それすらろくに掴めていない。まずは状況を把握するしかない。反省はその後だ。
日車「前に進むにはどうしたらいい?」
パンダ「今がチャンスだと思ってる。」 - 82二次元好きの匿名さん26/05/12(火) 12:13:27
即答だった。
パンダ「正直、一日目でここまで色々勘づいた状態で暴走しないことは無かったんだ。けど今普通に会話できてるだろ。だから今が絶好の機会だ、だからこうして色々話してやってる」
日車「暴走したらどうなるんだ?」
パンダ君は一瞬、口を閉じる。口ごもり、そして腕を組みながら肘を叩いた。
パンダ「それは……もうちょい後の方がいいな。日車が可哀想な目に合うとだけ言っておく」
日車「どうしても聞きたいと言ったら?」
パンダ「リスクが高ぇから話せねぇ、それに、暴走さえしなければ必要のない情報だ」
日車「……分かった。では、前に進むには君との会話の中で不安定にならず、自身の状況を自覚する必要がある、ということか」
パンダ「あぁ、それができたらまだ来月まで時間があるから色々調整できる……ほらっ、来月になると記憶が巻き戻るからそれまでに……」
日車「あぁ、1ヶ月ごとに戻るのか」
パンダ「そうだ、だから今のタイミングがいい」
日車「わかった……質問を続けていいか?」
パンダ「いいぜ、お次はなんだ?」
俺はいつからこの状態なんだ?
2.皆なぜ思い出すことを止めるんだ
3.日下部はどこにいるんだ
俺が高専に来た経緯を知りたい
5.記憶のことについて知りたい
パンダ君はなぜ俺を気にかけてくれるんだ?
安価 >>87
- 83二次元好きの匿名さん26/05/12(火) 12:19:00
2.皆なぜ思い出すことを止めるんだ
3.日下部はどこにいるんだ
これ2は凄惨な話に触れざるを得なくなりそうだし3はどんな地雷が埋まってるか分からなくて怖いんだよな
どっちも最悪の記憶の一端を思い出すだけで暴走しかねなそうというか
5.記憶のことについて知りたい
この聞き方なら5からかなぁ - 84二次元好きの匿名さん26/05/12(火) 12:26:00
>>83 2のほうがいい気がする
スレ主が安価は最大6回って言ってるのと
(質問の順序によって日車の記憶が刺激され、安価で選ばれた内容とは別の問いや記憶が割り込む場合があります)
こう説明してるからうまくいけば2の質問で5を消費できる気がする。もう記憶については色々と情報出てるし。
- 85二次元好きの匿名さん26/05/12(火) 13:07:07
日車さんは過去に呪詛師に囚われて暴行を受けたのは確定したね。そんでたぶんそいつが呪霊に転じてる。
今まで出てきてない日下部さんのことは心配だけど時系列的に生きてはいると思うんだよな 小さくなった日車さんと生活してたわけだし日下部さんに高専に預けられた感じだからちゃんと生きてはいると信じたい - 86二次元好きの匿名さん26/05/12(火) 13:28:27
ガチで数年前経ってるとしたら日車が日下部と生活してたのも数年前の記憶になるんかヤバ……
安価なら5 - 87二次元好きの匿名さん26/05/12(火) 14:30:30
2でお願いします
- 88二次元好きの匿名さん26/05/12(火) 14:33:43
2を聞いてみよう
今パンダが色々話してくれてるけど、本当に今まで一度も話す機会がなかったのか少し怪しい
段階踏んでなら話せたのでは?
過去の暴走が酷すぎて、もう日車はこのままでいた方が幸せだよ…みたく諦められてたりしたら悲しいけどそれはそれで - 89二次元好きの匿名さん26/05/12(火) 16:35:06
闇雲に問いを重ねても意味はない。
今、自分に必要なのは――状況の核心だ。
そこが分からなければ、今後どう動くべきかも判断できない。
日車「皆なぜ思い出すことを止めるんだ。それを聞きたい」
問いを向けた瞬間、パンダ君は僅かに黙り込んだ。軽口も誤魔化しもなく、言葉を選ぶような沈黙だった。
パンダ「これはある意味一番デリケートな質問だ。だから少しでも不安になったり、何か思い出したらすぐ言ってくれ」
日車「分かった」
返答を聞くと、パンダ君は小さく息を吐いた。
パンダ「まず前提として、日車は“忘れてる”わけじゃない」
パンダ「正確には、“思い出せなくなってる”んだ。人間は酷い怪我や耐えられない出来事を、自分を守るために記憶に蓋をすることがあるだろ」
パンダ君の話には覚えがあった。まだ弁護士として働いていた頃、被害当時の記憶をうまく辿れない依頼人は珍しくなかった。
暴力、事故、虐待――そうした強い恐怖や苦痛を受けた人間が、自らを守るために記憶を断片化させることがある。
法廷では時に「証言の不一致」と扱われるそれが、実際には精神の防衛反応であることも少なくなかった。 - 90二次元好きの匿名さん26/05/12(火) 17:04:38
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- 91二次元好きの匿名さん26/05/12(火) 17:05:39
日車「……解離性健忘、PTSDによる記憶障害。そういう類の話か。それが俺の身に起きていると?」
口にしながら妙な感覚が過った。浮かぶのは男の顔、知らない、否、知っている―― 痛くて 痛くて 毎日 毎日―― 声が聞こえて 押さえつけられて 切られて 絞められて 削られて ずっと ずっと――
日車「パンダ君」
発した声は自分でも驚くほど震えていた。頭の奥で誰かの悲鳴が反響する。いや、それは、自分の――
パンダ「何か思い出したか?」
日車「……俺は、何者かに、暴行を……」
パンダ「思い出せたな。でもここまでだ、今は止めろ」
制止の声が遠い。息が苦しい。耳鳴りがする。
パンダ「あと少しだ。落ち着け。ここで堪えねぇと一からやり直しになる」
日車「やり直し……」
やり直し、やり直し……
それは俺がしなくてはいけないことではなかったか? しかし――今は――
パンダ「そうだ。記憶を失って、やり直さなきゃならない」
日車「それは……困るな」
そう、今は駄目だ。
パンダ「ならしっかりしろ。本題にすら入ってねぇ」
日車「あぁ……」
パンダは短く息を吐き、両手を広げて距離を詰めた、小さな腕が腰に触れ、しっかりと縋る。 - 92二次元好きの匿名さん26/05/12(火) 17:07:59
パンダ「もう一回、アニマルセラピーだ」
日車「っ……駄目だ! 危険だ!」
パンダ「大丈夫だ」
繰り返す声はわずかな震えもなくしっかりしていた。ただ俺を信頼し、落ち着かせようとしているように。
日車「……ありがとう。少し落ち着いた」
パンダ「そうか。なら続けるぞ」
日車「あぁ」
パンダ「……さっき、“思い出せなくなってる”って言ったが少し違う。そんで日車の言った解離性健忘やらPTSDとも違う」
パンダ「“思い出さない”ようにされてんだ。意図的に、辛い苦しい記憶をな」
日車「……意図的に?」
パンダ「ああ……日車のことをな、とんでもなく愛した野郎がいたんだ。そいつは愛する人が傷ついて病んで壊れていくのが認められず、耐えられなかった……」
パンダ君の腕はまだ離れないまま、力がわずかに強まる。どことなく、震えている気がした。
日車「パンダ君、やはり怖いなら……」
パンダ「そう、怖かったんだ!そいつは愛する人を失うのが、何度も失ってきたやつだったから!」
言い切った瞬間、パンダ君の声がわずかに途切れる。
パンダ「……だからだ」
しかし、すぐに再開される。
パンダ「認められなかった、だから、辛い、苦しい記憶を消して、忘れさせて、幸せに生きられるようにしたんだ。その人がちゃんと前を向いて生きていけるように……」
日車「……その……人は……誰……」
パンダ「……確認しなくてもわかるだろ」
暗に示された言葉だけが静かに落ちた。 - 93二次元好きの匿名さん26/05/12(火) 17:09:10
日車「……皆が思い出すことを止めるもそれか? 俺は、一度、病んで、壊れた……のか? 俺がその切っ掛けになった理由を取り戻す事を恐れているのか」
パンダ「……そうだ」
日車「取り戻すと、壊れて暴走するのか?」
パンダ「……大体な」
日車「なにが……あったんだ……”記憶のことについて知りたい”」
パンダ「俺から話せることはもうねぇよ、それに、先に思い出しとかねぇといけねぇ記憶もあるし、その話は俺からじゃねぇ方がいい。多分今の状態ならアイツも教えてくれると思う」
パンダ「……そろそろ最後にしようぜ、こっから先は俺じゃ役不足だからな」
3.日下部はどこにいるんだ
安価>>96
- 94二次元好きの匿名さん26/05/12(火) 17:15:18
トラウマみたいになってるのかな?
それかそういう呪い?
えっ日下部大丈夫かな… - 95二次元好きの匿名さん26/05/12(火) 17:29:53
愛した野郎がいたって過去形…今日下部どうなってるのか聞くの怖いんだけど
選択肢3しかないじゃん! - 96二次元好きの匿名さん26/05/12(火) 17:36:27
3
腹をくくるしかないわ
時系列的に生きてはいると信じたい - 97二次元好きの匿名さん26/05/12(火) 18:12:00
このレスは削除されています
- 98二次元好きの匿名さん26/05/12(火) 18:19:44
記憶に蓋をさせていたのは呪いのせいじゃなくて日下部だったのか…泣きそうだよ…
- 99二次元好きの匿名さん26/05/12(火) 18:29:30
ENDが2つ失われました
- 100二次元好きの匿名さん26/05/12(火) 18:30:42
俺の……記憶を……操作しているのは……
日車「……なぁ、パンダ君」
嫌な予感が身体へと流れ込んでいく。
あえて、あえて触れないようにしていた。
しかし、触れずに避けてしまうと、疑念と不安幅し、最悪の事態ばかり夢想してしまいそうだった。
日車「日下部はどこにいるんだ」
パンダの肩が、ほんのわずかに強張る。その小さな反応さえ、今の自分には決定的な答えのように思えてしまう。
パンダ「日下部は……」
日車「俺が1年以上この状態だとしたら、日下部は? 日下部はどこにいる?」
パンダ君の言葉を遮るように重ねた声は、思った以上に鋭かった。
自分でも制御できていない焦りが混じっている。いや、制御してはいけない。すべて吐き出さないと、抑え込むとそれこそ暴走してしまう気がした。
日車「日下部と過ごした記憶が冬に向かって消えると言ったな。」
呼吸が乱れていく。
言葉にするたび、何かが胸の奥から削られていくようだった。
日車「何故日下部との記憶が消えなければならない。日下部はすごく優しかった!!辛いことなど1つもなかった!! なのに何故……」
嫌だ……嫌だ……
喉の奥で言葉が潰れる。
日車「もしかして日下部は……」
パンダ「あっ! 違う!! 日下部は無事だ!! なんもなってねぇ!!」 - 101二次元好きの匿名さん26/05/12(火) 18:37:03
怖いのに続きが気になってしょうがない
- 102二次元好きの匿名さん26/05/12(火) 18:40:32
このレスは削除されています
- 103二次元好きの匿名さん26/05/12(火) 18:44:59
日車「なら!!」
パンダ「少し誤解があった!! 全部消えるわけじゃねぇ!!」
声を被せるようにしてパンダ君が俺の言葉を切った。
パンダ「正確には薄まるって方が近い。記憶そのものが消えるんじゃねぇ、認識がぼやけていくんだ!!」
パンダ君はパッと俺から離れ、窓へと顎をしゃくった。
パンダ「アレみてぇに」
反射的に示された先を見る。ひび割れたガラス、歪んだ窓枠。俺の暴走の痕跡。
パンダ「最初! 自分が窓を割ったって自覚がなかったし、そもそも割れてることすら認識してなかったろ!」
パンダ「そういう感じに、都合の悪い部分が見えねぇようにされてる。消えるつーよりも意識の外にずらされるって感じだな!」
パンダ「だから最初に窓が見えるか確認したんだ! その……日下部の呪いというか封印術というか、それがどのくらい作用してるのか確認のためにな!!」
俺が必死だったからかパンダ君も同じ熱量で捲し立てた。はぁ、はぁ、と互いの息が切れる音が廊下に響く。
日車「日下部の封印術……が、強いと認識できないのか?」
パンダ「あぁ、そんで無理に認識させようとすると不具合を起こして呪力が暴れる。だからここまで日車が安定してるのは奇跡に近い。ほら、都合の悪いことは認識しないようにされてるから、会話が成立しねぇんだ」
日車「そうか……」
パンダ「そうだ」
互いに息を整え、落ち着いた頃、パンダは続けた。
パンダ「で、質問に答えると日下部は今、京都にいる」 - 104二次元好きの匿名さん26/05/12(火) 19:55:58
よ、よかった…日下部生きてた…
- 105二次元好きの匿名さん26/05/12(火) 20:14:44
生きてて安心したけどENDがどんどん失われていくの恐ろしいよ良い方に向かってるのか悪い方に向かってるのかもわからん
- 106二次元好きの匿名さん26/05/12(火) 22:16:34
一体どうなるか気になるなぁ
- 107二次元好きの匿名さん26/05/12(火) 22:20:50
日下部が京都にいるのは近い内に明かされるだろうからよしとしてもなんでわざわざこの状態の日車の側にいないのかが気になる
高専に預けるのが一番安心だった?日下部にも高専術師としての任務があったからその期間以上家に置いておくことができなかった?
そもそもなんで幼児化してるんだ
記憶に蓋をしたのが日下部だとは判明したけど幼児化させたのも日下部の意思なのか?これに関しては監禁のタイミングで既にそうなっていたのか…わからないことだらけだ… - 108二次元好きの匿名さん26/05/12(火) 23:09:33
これさぁ…日下部も害として見なされて引き離されたんじゃないかなぁ…
- 109二次元好きの匿名さん26/05/12(火) 23:50:56
日車の状況察してる人いる!?
パート1から薄々察してたんだけど多分合ってるっぽくてもう言いたいんだけど言っちゃうとこのスレの面白さが半減する気がして言えないの!!誰かいない!? - 110二次元好きの匿名さん26/05/13(水) 00:00:14
京都。予想外というほどではない。むしろ納得できる答えだった。
無事であるということに安心しつつも、胸の奥に引っ掛かるものが残る。
日車「俺を置いてか?」
あえて笑みを作って問うと、パンダ君は何とも言い難い顔をした。
パンダ「あたりまえだろ……なんで京都にいるのかは察せるか?」
日車「元々は出張だと言っていたが……」
己の小さな手を見る。
もう、分かっていた。
だが、それを自分の口で認めてしまえば、何かが決定的になる気がして恐ろしく、わざと曖昧に言葉を濁す。
日車「……俺を今の状態にしたからか?」
パンダ君は少しだけ目を伏せ、それから観念したように頷いた。
パンダ「……そうだ。ぶっちゃけ、日車は被害者に近ぇし、加害者と被害者を一緒にはできねぇよな」
パンダ「あと、日下部は日車を今の状態にした罰を受けに行った」
日車「罰を……」
思わず反芻する。
パンダ「安心しろ。罰そのものはもう受けて終わってる。一応あいつ、立場がある人間だから、おいそれと拘束して処分って訳にもいかねぇんだ」
パンダ「ただ、やったことがやったことだから、今は東京に戻って来れてねぇってだけで」 - 111二次元好きの匿名さん26/05/13(水) 00:17:26
胸中に安堵が広がる。
少なくとも、今の話を聞く限りでは、日下部が酷い扱いを受けているわけではなさそうだった。
拘束されている訳でも、命に関わるような処分を受けた訳でもない。それだけで、張り詰めていたものが少しだけ緩む。
日車「……日下部は納得して京都へ?」
問いかけると、パンダ君は少し困ったように頭を掻いた。
パンダ「まぁ、納得っていうか……反発はしてなかったな。むしろ、いつかその日が来ると知ってたって感じで受け入れてた」
パンダ「あとあれだ……えーとな、今から日車がここに来ることになった切っ掛けを話す……その時のこと、何か思い出すかもしれねぇ。だから、ちょっとだけ心の準備しとけ」
思い出す……つまり、暴走の可能性。
先ほどから何か漠然とした恐ろしいことが浮かび上がっている……怖い、しかし、前に進むためには避けては通れない。
日車「分かった。話してくれ」
パンダ「あぁ、行くぞ、たぶん今の日車の認識だと1週間くらい前か? 日車はマンションの中庭で本を読んでいたらしいんだが、その時、呪霊に襲われたんだ」
日車「――っ!」
喉の奥が、ひきつるように詰まる。ゾクリと悪寒が走り、同時に、視界の端がわずかに揺れた気がした。
- 112二次元好きの匿名さん26/05/13(水) 00:18:30
そういえば……俺があまりにも外に出たいというから、日下部が小さい中庭があるマンションに引っ越したんだった……そこまでするとは思わず仰天した俺を見て、元々引っ越すつもりだったと言って笑っていた。
だから、せっかくだから、朝早く、中庭に出て本を読んでいた。そしたら、急に暗くなって……目の前に……目の……前に……
パンダ「日車?」
落ち着け……落ち着け……止まれ、今はそれどころではないんだ……大丈夫、落ち着け、大丈夫……
日車「……大丈夫だ、続けて」
パンダ「あぁ……だが運良く、日下部もその場にいて日車を庇って戦闘になった。だから大事にはならなかったんだが、日車が……暴走してな、呪霊を逃がし、それで日車のこともバレて、京都送りっちゅーか、いったん総監部に送られた」
日車「総監部にか!!」
総監部、その名を聞いただけで嫌悪感が走る。あいつらは俺の邪魔ばかりする。罪を償い……刑に服し罰されたいという俺の願いを……願い……を?
日車(願い?……これは……)
頭の奥で、何かがかすかに引っかいた。言葉になりかけては、霧のようにほどけていく。掴めそうで掴めない感覚が靄のように広がる。
パンダ「日車、何を思い出してる?」
日車「……いや、何でも……違うな、大切なことではあるが……今の話には関係無さそうだ、続けてくれ」
パンダ「そうか、まぁ、そんで総監部に送られる前に日車を高専に預けたんだ。一応、日車は東京呪術高専所属の術師だったしな、下手に京都に連れて行くよりも安全だって判断したんだろ」
パンダ「ただ、そのくだりはずっと前に終わってて、今は単なる出張というか移動の扱いだな。日車を襲った呪霊がまだ祓除されてねぇから、その対処のために留まってんのもある」
一通り話し終わると区切りがついたのか、パンダ君は長く、細い息を吐いた。
様々な余韻が頭を渦巻く、パンダ君の話を聞いて、思い出しかけた記憶の断片が点々とある。特に……いや、パンダ君は言った。その記憶の前に前に思い出さなければならない記憶があると。
日車「その……中庭で俺を襲った呪霊は……」
しかし、その前に知りたいことがあった。
日車「虎杖との任務のときに俺を襲った呪霊と同じ個体か?」 - 113二次元好きの匿名さん26/05/13(水) 00:43:48
全然先が読めない…日下部の姿で襲った呪霊が呪いをかけたんだと思ってたけど違うのか…?
- 114二次元好きの匿名さん26/05/13(水) 01:02:21
日車さんの過去に関係してるのは日下部と謎の男と呪霊の三人で、男と呪霊は同一人物っぽいから実質二人か。もしかして呪霊はあまり幼児化とは関係無いのかな?
- 115二次元好きの匿名さん26/05/13(水) 01:17:34
呪霊についての話を聞くと、脳裏をよぎる顔があった。
知らない男の顔だ。だが同時に、本能がその男を知っていると強烈に訴えかけてくる。
その顔を思い出そうとした瞬間、身体の奥底から恐怖がせり上がった。
情報として処理しなければ、足も腕も震え出してしまいそうになる。
日車「っ、教えてくれ、早く……」
パンダ「……教えて、耐えられそうか?」
日車「あぁ……むしろ、教えてくれたほうがいい……はい、か、いいえ、でもいい、それだけでも……頼む……」
早く……正解が欲しい。
この曖昧さの中にいるのが、耐えられない。
パンダ「……そうだ、同じ個体だ」
日車「やはり……」
パンダ「何か腑に落ちたんだろうがマジで止めろ。そこはまだいいんだ。思い出さなくて」
日車「あぁ……あぁ……」
パンダ「全部思い出すためには順番が大事なんだよ、まずは一番最初を知らねぇといけねぇ」
日車「一番……最初?」
パンダ「あぁ……日車が最初にここに来た記憶……術師になった時の記憶だ」
空気がわずかに張りつめる。
その瞬間だった。
???「あれっ? 2人ともまだこんなとこにいたの?」 - 116二次元好きの匿名さん26/05/13(水) 02:23:40
うぉおおここまで一気に読んだが展開が読めねぇええ!!
続きが気になって寝れない。 - 117二次元好きの匿名さん26/05/13(水) 02:31:02
虎杖か?
悪気のない第三者の登場がここで話を台無しにするとかそういうのだったらすごく辛いな… - 118二次元好きの匿名さん26/05/13(水) 02:37:48
じゅ、術師になった時の記憶!?そこまで遡るの!?
ここで虎杖登場だったら小僧回し蹴りしちゃうかもしれない…でもこの口調は…いやワンチャン五条もあり得るか…五条なら許せ…うーん許せないな…もう核心に迫ってるのに!! - 119二次元好きの匿名さん26/05/13(水) 02:42:48
闇を払うような明るい声。半ば助けを求めるようにして振り返ると、そこに虎杖がいた。笑顔で手を振り、俺を見ている。
真っ直ぐな眼差し、己の弱さを直視してなお折れない澄んだ瞳、眩しく、輝かんばかりの光を宿した、見るのも耐え難い虎杖の目が、俺を捕らえる――
虎杖「図書館に行くんじゃなかったの? んっ? あれっ日車? 俯いてどしたの?」
――何故だろうか、彼の目を見ることができない。見てはいけない、見たら自身の醜悪さが暴かれるような、引きずり出されるような、そんな、予感がした。
虎杖「日車、ちょっとこっちに……」
パンダ「虎杖、大丈夫だ、日車は安定してる」
パンダ君が庇うように俺の前に立つ。俺より小さなフワフワした身体が先程からずっと頼もしい。
虎杖「ちょっと! パンダ先輩……」
パンダ「日車! ちょうど適任者が来たぞ! 一番最初を教えてくれるやつだ!」
虎杖「えっ? なになに?」
パンダ君が俺を見上げながら声を張り上げた。そんなパンダ君の様子に虎杖が明らかに混乱している。
パンダ「虎杖、日車に教えてやってくれねぇか。“死滅回遊”の時のことをな」
しかし、その単語が落ちた瞬間、沈黙が降りた。チラリと目線を上げると、虎杖の口元が笑顔のまま固まっている。 - 120二次元好きの匿名さん26/05/13(水) 02:58:03
あっ、これそろそろ日下部目線の話来るぞ……
流石に死滅回遊の話を1からはせんだろ
間延びするしここから日下部の話に飛びそう - 121二次元好きの匿名さん26/05/13(水) 02:58:43
そ、そういうことか…!
悪意のない第三者が台無しにとか回し蹴りとか言っててごめんな!!本当に適任だよ虎杖!! - 122二次元好きの匿名さん26/05/13(水) 03:03:32
やっぱ無いんだ!!回遊の時の記憶!!
そりゃそうだよね!!辛い記憶だもんね!! - 123二次元好きの匿名さん26/05/13(水) 03:04:32
>闇を払うような明るい声。半ば助けを求めるようにして振り返ると、そこに虎杖がいた。
だめだここで涙が滲んできた
廻廻奇譚のサビが…ウッ…ちょっとガチ泣きしそう…
- 124二次元好きの匿名さん26/05/13(水) 07:54:03
よかった~!!ドラマとか映画であるあるだけど状況把握してない虎杖が現れたことで嫌な方に事態が動く展開とかだったら虎杖が可哀想すぎるもん!!
- 125二次元好きの匿名さん26/05/13(水) 07:57:40
死滅回游の時のことってどこまでなんだろう
お労しい裁判〜劇場での邂逅〜高専合流〜宿儺戦までは原作通りなにもない感じで進むのかな
それともそこすら忘れて(蓋をされて)いるのか?
それと
>パンダ「……そうだ。ぶっちゃけ、日車は被害者に近ぇし、加害者と被害者を一緒にはできねぇよな」
>パンダ「あと、日下部は日車を今の状態にした罰を受けに行った」
ってところが謎だな…精神的に不安定になった術師の記憶に蓋をして安定化を図ったなら被害者と加害者なんて例えをしたり罰を受けるなんてしなくてもいいだろうし…わっかんねー!!
- 126二次元好きの匿名さん26/05/13(水) 12:05:54
死滅回遊……聞いたことがない、しかし、その単語を聞いた瞬間、頭の隅に陰る物があった。
虎杖「パンダ先輩……いきなりどうし……」
日車「…………死滅……回遊……?」
虎杖「っ!!」
俺の軽い復唱に、虎杖が息を呑む。弧を描いていた口元を両手で隠し、おそらく、澄んだ両目は大きく見開かれているのだろう。
虎杖「聞こえるの? 分かるの? 日車?」
日車「……あぁ、聞こえる……これも?」
パンダ君に視線を向けると、パンダ君はこくりと頷いた。
パンダ「あぁ、元は一文字も認識できなかった。何度耳元で繰り返しても聞き取れねぇ」
日車「辛い記憶だからか?」
パンダ「あぁ、でもな、日車が日車であるために必要な記憶でもある」
日車「……俺は、その、死滅回遊で何を……」
虎杖「日車」
問いかけようとした言葉を、虎杖の声が遮った。
虎杖「……パンダ先輩、どこまで話したの?」
パンダ「死滅回遊前後のことはまだ話してねぇ。さっきまでは日下部のことやら、記憶のことやら、高専に来た経緯やらを話していた」
パンダ「ちゃんと最後まで話せたし、日車も理解できた。だから今ならお前の話を聞いても落ち着いていられると思ってな」
だから話してやってくれ、そう言い募るパンダ君に、虎杖は短い沈黙で返し、細く息を吐いた。そしてゆっくりと両手を下げて拳を作り、大股で一歩踏み出した。二歩、三歩。距離を詰めるごとに、その足取りは妙に重さを増していく。だが止まらない。止まらないまま、虎杖がついに目の前で立ち止まる。 - 127二次元好きの匿名さん26/05/13(水) 12:07:41
虎杖「暴走したらどうすんの?」
パンダ「暴走しかけても自分で抑えられた」
虎杖「暴走したら閉じ込められるんだよ、何重にも札で雁字搦めにされて、ずっと」
パンダ「今の状態だと遅かれ早かれそうなるだろ。このままほっといてもいずれ思い出す。なら、1人で勝手に思い出されるよりも、安定している今、こっちから話してやったほうがいい」
虎杖「そんなの……分かんないじゃん。やだよ、俺、あんなに泣いてる日車見るの、怯える日車見たくないよ」
パンダ「だから!! 賭けるしかねぇんだよ! !いつかこういう時が来るって分かってたろ!!」
虎杖「でもっ!!……」
躊躇うように虎杖の声は途切れた。
思い悩むように作られていた拳がゆっくりと、解けるように開いていく。力を入れていた指先が、どこか迷うように宙を探り、静止した。
虎杖「怖ぇよ、思い出してほしい気持ちはあるけど、このままでいいんじゃないかって、そう思う時もある。」
虎杖「だって、忘れてると楽しそうだろ? 前よりずっと笑顔で、息がしやすそうで、幸せそうで……」
日車「虎杖」
まともに見ることができない虎杖の顔はどんな表情をしているのか、分からない、分からないが、 とても、悲痛な表情をしている気がした。
日車「……虎杖も、パンダ君も、他の皆も、俺を心配して口を閉ざしてくれているのだな。俺が弱いばかりに……」
虎杖「それは違う!! そうじゃ……」
日車「しかし!! 俺は子供ではないんだ!! 何も知らず、分からず、守られていい存在ではない!!」
日車「何があったのか、俺の身に何が起きたのか、話してほしい、たとえそれが、俺にとって受け入れ難いものであったとしても!!」
虎杖「っ!!」
激昂に近い声を上げながらも、頭の中は静かだった。静かすぎるほどに。空白のようなものが広がっていて、その中央に何か取り返しのつかないものが沈んでいる気配だけがあった。それでも。
日車「知らないままでいることの方が、恐ろしい……だから……お願いだ……頼む……」
懇願するように頭を下げる。このあとに返される言葉が拒絶だったとしても、引くつもりはなかった。縋り付いてでも、話を聞き出そうと、そう、決意していた。
虎杖は何も言わない。空気だけがじわじわと重く沈み込んでいく。やがて、その沈黙の中で、わずかな衣擦れの音がした。 - 128二次元好きの匿名さん26/05/13(水) 12:09:05
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- 129二次元好きの匿名さん26/05/13(水) 12:10:18
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- 130二次元好きの匿名さん26/05/13(水) 12:11:22
虎杖「日車、俺の目を見て」
その言葉は刃のような鋭さを持たない。なのに、妙に逃げ場を削ってくる。
少し頭を上げると、虎杖の膝が目に入った。俺の目の高さに合わせるようにして、しゃがみ込んでいる。
彼の目を見る。簡単なことだ。しかし、実行に移そうとすると、どうしても顔を上げることができない。怖いのではない。忌避しているわけでもない。しかし、見てはいけない。神聖なものを、穢れた俺ごときが見てはいけない。そんな意識に苛まれた。 - 131二次元好きの匿名さん26/05/13(水) 12:12:26
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- 132二次元好きの匿名さん26/05/13(水) 12:22:09
虎杖「……はっ」
彼の目を見る事が出来ずにいると、引きつるような吐息が漏れ聞こえた。見ると、虎杖の肩が揺れている。
日車「虎杖?」
虎杖「ははっ……はははっ、ははっ……」
押し殺したものを少しずつ吐き出すように、虎杖は笑い出した。喉の奥で何度も詰まりながら、途切れ途切れに声を立てる。
虎杖「久しぶりだ、こんな日車。ははっ、なんか懐かしいな……ははっ……はっ……」
日車「虎杖……どうし……」
虎杖「大丈夫……ちょっと嬉しかっただけ……」
笑いはまだ喉の奥に引っかかったままだったが、それでも虎杖は、そのつっかえを振り払うように息を吸い直す。
虎杖「よしっ、パンダ先輩、同席してくんないかな? 日車が何をどこまで知ってんのか分かんないし」
虎杖がそう言ったあと、パンダ君はすぐに返事をしなかった。目だけがこちらと虎杖の間を一度だけ行き来して、それから軽く鼻を鳴らす。
パンダ「あぁ、いいぜ!今度こそ図書室に行くぞ。二人とも付いてこい!」
言うや否や、パンダ君は俺と虎杖の間から抜け出し、図書館へと歩き出した。遅れて、虎杖が俺に話をしてくれる気になったのだと気づき、急いでその背中を追おうと一歩踏み出すと、足が宙を蹴った。 - 133二次元好きの匿名さん26/05/13(水) 12:23:18
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- 134二次元好きの匿名さん26/05/13(水) 12:24:51
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- 135二次元好きの匿名さん26/05/13(水) 12:33:53
日車「っ!! 虎杖!! まて!! 自分で歩ける!!」
抱き上げられたと気づいて抗議するも軽々と片腕に収められてしまう。
虎杖「日車いっつもそう言うね。小さいんだから甘えなって」
日車「ならパンダ君も!!」
パンダ「俺は先輩だからいい」
日車「パンダ君……」
にべもない返答に、少し悲しくなった。そんな俺を見てか、虎杖が笑っていた。非力で面倒をかける自分が情けない。置かれた状況を碌に理解できていない現状に焦燥が募る。
強制的に運ばれながら、虎杖のフードの掴んだ――その時、ふと、目に入った色が引っかかった。色が違う。見慣れた赤色ではない……あぁ、そうか……
思い当たり、脱力した。虎杖が楽しそうだったから、素直に運ばれることにしたのだ。
これから自身を取り巻くすべてを知ることができる。教えてくれるのだ、二人が。
ならばもう、今この瞬間だけは、思い悩む必要がない気がした。 - 136二次元好きの匿名さん26/05/13(水) 13:03:21
そろそろ来るぞ……
- 137二次元好きの匿名さん26/05/13(水) 14:48:30
想像以上に悲しい展開になりそうで震えてる
- 138二次元好きの匿名さん26/05/13(水) 16:16:27
よく日車さんは抱っこされてるんだねw
ちょっとほんわかした。 - 139二次元好きの匿名さん26/05/13(水) 20:56:20
虎杖がここまで拒否すると思わなかった
今は安定してる?ほんとに?大丈夫?うーんわかったよ、みたいな感じになるかと思ってた - 140二次元好きの匿名さん26/05/13(水) 21:21:25
暴走した日車ってかなり危険性が高いのか?
- 141二次元好きの匿名さん26/05/14(木) 00:20:22
虎杖の目を見れない日車の時期が懐かしいんだね…思い出してきている証拠だな。
- 142二次元好きの匿名さん26/05/14(木) 01:09:33
『どうして俺に構う! 俺は罪滅ぼしがしたいんじゃない!! 刑に服して償いたいんだ!! そのためなら生きていけた……しかし……こうなっては……』
『君には関係ないだろう? 俺が死のうが生きようが……俺に生きてほしい? なぜ?』
『君は俺のことをどう思っているんだ!! 俺をどうしたいんだ!!』
???『好きなんだ、お前のことが、どんな形であっても生きてほしい』
『すまない……日下部……』 - 143二次元好きの匿名さん26/05/14(木) 01:14:51
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――― - 144二次元好きの匿名さん26/05/14(木) 07:15:31
記憶喪失&子ども化前は付き合ってなかったのか
死滅回遊の記憶がある限り日車は幸せにはなれないけどそれを失うことを日車が望む訳ないしどうすりゃいいんだろうね - 145二次元好きの匿名さん26/05/14(木) 07:16:39
!?
付き合ってなかったの!?寛見呼びだったのに!? - 146二次元好きの匿名さん26/05/14(木) 10:52:29
>???『好きなんだ、お前のことが、どんな形であっても生きてほしい』
>『すまない……日下部……』
この「すまない」は何に対しての「すまない」なんだろ
君の気持ちには応えられないって意味なのか、生きていてほしいってことに対してそれは無理だって意味のすまないなのか
- 147二次元好きの匿名さん26/05/14(木) 11:13:51
死亡フラグが折れないよぉ…
- 148スレ主26/05/14(木) 13:02:07
(注意)
ここから先は残酷で非倫理的な描写が続きます
そのためその場面では外部サイトを使用しますが
外部サイトを見ない人のために次のレスでは日車さんに何が起こったのかを掻い摘んで提示します。 - 149二次元好きの匿名さん26/05/14(木) 13:09:09
冷え込んだ空気が容赦なく首を撫で、トレンチコートの襟元を引き寄せる。
冬は嫌いだ、特に十二月は駄目だ、碌なことがねぇ。宿儺との決戦を思い出すのもあるが、それ以上に、あいつを失った日を思い出す。
——違う、冬はただのきっかけに過ぎねぇ。ただの、と言ってしまうには血生臭く、凄惨で、救いのない――
あいつの生白い肌が赤黒く侵されて、それでもまだ、わずかな体温を残していた感触が、手の中に焼き付いている。
日下部(駄目だ、集中しろ……任務中だろ)
呪霊の捕捉に成功したと、連絡が来たのは昼前だった。ずっと待ちわびていた報せだった。
本当は俺の足で奴を追い、もっと早く俺の手で始末してやりたかった。
だが下手に京都を離れりゃ、あいつが総監部に奪われちまうかもしれないと、そう思うと、できなかった。
俺が殺したはずだった、しかし、とどめを刺しきれなかったのか、何らかの縛りの影響か……奴は呪霊に転じ、未だ日車に執着している。呪霊に転じて尚、日車を手に掛けようとしてやがる。
今日で終わらせる、日車のこれからも続く平穏のために… - 150二次元好きの匿名さん26/05/14(木) 13:23:05
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『なんてこと……なんて残酷な……』
『氏神として崇められた呪霊の成れの果て……生贄を捧げ、力を得る、そのためだけに……』
『呪具の中に、呪霊が封じ込められていたと?』
『いいえ、おそらく順序が逆でしょう。生贄を捧げ、祀る、信仰心と生贄達の怨念から呪霊が生まれ、石に取り付き呪具化した』
『生贄の怨念が混じっているから、殺して捧げるだけでは駄目だった。』
『とにかく痛めつけ、絶望を与え、苦しませる……お前も同じように苦しめと言わんばかりに……』
『儀式の再現だからな。どれだけ痛めつけられようが、落命には至らないんだろう。効果期間は、生贄を捧げる儀式が執り行われていた期間が採用されているのか』
『そんな感じだろうな……しかし、ここまでされても生きているとは……』
『呪詛師の術式と相性が良すぎた……だから日車さん程の人が……』
『うるせぇよ』
『結局、日車が攫われたのは生贄として捧げて力を得る……封じられた呪霊を己の式神にするための単なる材料だったつーことだな。』
『代償が強いほど力を得る。強い術師を捧げるほど力を得るからわざわざ日車を選んだと……ははっ、何だよそれ……』
『ふざけんなよ』 - 151二次元好きの匿名さん26/05/14(木) 13:52:39
動悸が……動悸がする……
- 152二次元好きの匿名さん26/05/14(木) 14:04:36
えっ…は…?こええよ…「あいつを失った日」ってどういう意味だよ…なにがどうなったら今の状況につながるんだよ…
- 153二次元好きの匿名さん26/05/14(木) 14:44:35
あっこれ死滅回遊はついでだ
単に辛い記憶だから消されたんだ
本当に消したい記憶はこの記憶だ - 154二次元好きの匿名さん26/05/14(木) 20:35:20
(閲覧注意)
暴力・流血・損壊描写などのゴア表現、拷問を含む残酷な描写、倫理的に過酷な状況描写が含まれます。
心理的に強い負荷を感じる可能性がありますのでご注意ください。
※パスワードは今日の日付です
Writeningwritening.net - 155二次元好きの匿名さん26/05/14(木) 20:39:27
- 156二次元好きの匿名さん26/05/14(木) 21:05:59
上記SSを未読でも
下記の展開は問題なくご覧いただけます。
※次のレスはSS冒頭と同じ内容です - 157二次元好きの匿名さん26/05/14(木) 21:06:42
こうなるまでの記憶なんて戻らない方がいい…
日下部だって壊れるよ…