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【意訳】60年代のオプアートが生み出す幻覚

How Op Artists of the 1960s Created Their Hallucinatory Effects

Alina Cohen Aug 21, 2018 4:55 pm

※英語の勉強のためにざっくりと翻訳された文章であり、誤訳や誤解が含まれている可能性が高い旨をご留意ください。
もし間違いを発見された場合は、お手数ですが 山田はじめ のTwitterアカウントへご指摘を頂けると助かります。

Source: https://www.artsy.net/article/artsy-editorial-op-artists-1960s-created-hallucinatory-effects

ギリシャ神話によれば、紀元前5世紀頃に生きていたアーティストのゼウクシスは葡萄をとてもリアルに描き、それをついばみに鳥が飛んできたほどであったという。人々はこの様な絵画的イリュージョンを数千年も楽しんで来た。画家は色、かたち、鑑賞者を騙す技法を使って二次元平面上へ錯覚の奥行きを生み出してきた。(有名な技法はトロンプ・ルイユと呼ばれたもので、フランス語で文字通り眼を騙す、という意味である。)
このような幻惑や知覚ゲームに着目したのが近代のオプティカル・アート:オプアートである。(ちなみに、キネティックアートはオプアートとしばしば関連付けられる。錯覚による知覚上の動きではなく、実際に動くもので作品を構成することを宣言したのがキネティックアートだ。)
1960年代頃、オプアートの領域で活動していたアーティストには以下のアーティスト達がいる。

ジョセフ・アルバース(ドイツ/アメリカ)
ヤコブ・アガム(イスラエル)
カルロス・クルズ・ディエズ(ベネズエラ)
ジーサス・ラファエル・ソト(ベネズエラ)
ブリジッド・ライリー(イギリス)
ヴィクトル・ヴァザルリ(フランス/ハンガリー)

彼らは色彩理論と幾何学的な法則性を利用し、視覚的イリュージョンに着目した作品を生み出し始めた。この年代の作品の典型は非常に鮮やかな色彩か完全な白黒の2パターンで、その図像はグネグネしているか渦を巻いており、静止した絵画やプリントでありながら、まるで動いているかの様に鑑賞者の眼を欺く。

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Bridget Riley, Untitled (La Lune en Rodage- Carlo Belloli) (Schubert 6), 1965 Screenprint in black 12 3/5 × 12 3/5 in | 31.9 × 31.9 cm

幾つか例を出そう。Untitled (La Lune en Rodage – Carlo Belloli) (Schubert 6) (1965) でライリーは、非常に狭い間隔で傾き歪んだ黒い横線をいくつも描くことで、まるで画面が振動しているかの様な錯覚を生み出している。
ヴァザルリのFor Duo-2 (1967)では、彩度の高い色(黄緑&オレンジ)と暗い色(ネイビー&青紫)で交互に塗られた正方形が何個も連結して描かれている。その結果、三次元的に積まれた立方体が前に出てきたり引っ込んだりして見える。このようにオプアート作品は、二次元平面上の遠近法の規則性を転倒させる印象的な模様を描いた、エッシャーのドローイングを想起させるものが多い。

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Victor Vasarely, Duo-2, 1967

1965年、キュレーターのウィリアム・C・サイツがNYのMoMAで“The Responsive Eye”(敏感な眼)という展示を企画した。このグループ展は当時のオプ・アートを先導していたアーティストを集めたものであった。サイツはここで、オプアートの起源は印象派にあると仮定した。
印象派は本人しか知りえない、作家が知覚した情景を描写している。それはつまり、この世界で鑑賞者全員に単一かつ共通の鑑賞体験を与えることなど単なる幻想に過ぎない、ということを示唆していた。

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Bridget Riley, Late Morning, 1967-8. © Bridget Riley 2018. Courtesy of Tate Liverpool.

ライリー、クルズ・ディエズ、アルバースらのとなりにアメリカ人作家であるフランク・ステラ、エルズワース・ケリー、アド・ラインハートを取り上げることで、“The Rsponsive Eye”はアメリカの抽象絵画と国際的なオプアートを直接結びつけて考えることを提案した。
サイツはカタログにこう描いている。“抽象絵画の大家たちは、色、色調、線、かたちが自律的に画面をコントロールすることを可能にした。”
つまりオプアートは、印象派のアイデアと抽象表現主義の技術を開発していったムーブメントである、と言えるだろう。アルバースは他のオプアート作家たちに触発され、色彩理論に関する実験と執筆活動を行った。彼が描く入れ子状の四角形は色彩の相互関係を考慮して選択されており、我々が知覚する色はそれがどの色に囲まれているかによって変わってくる。
2016年、NYのエル・ミュゼオ・デル・バリオは“The Responsive Eye”への応答として、オプアートに携わるラテン系アメリカ人に注目した展示を企画した。“The Illusive Eye:An International Inquiry on Kinetic and Op Art ”(錯覚する眼:キネティックアートとオプアートに関する国際的調査)と題されたその展示には、ゲルゴヘリオ・オイチシカリジア・ペイプなどの作家の作品が展示された。NYタイムズのケン・ジョンソンが書いたこの展示のレビューでは、オプアートが20世紀中盤において、クレメント・グリーンバーグなどの批評家によってコケ脅しに過ぎぬと批判されていたことを強調している。そのかわりにエル・ミュゼオ・デル・バリオでは、オプアートを神秘主義や深い知識に基づくコンセプトと結びつけることで、その地位向上を図っている。

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Lygia Pape, Sem título, 1959/1960 Xilogravura s/ papel japonês 23 3/5 × 13 1/5 in | 60 × 33.5 cm

7月、テート・リバプールで1960年代から現在までの作品を広く集めた展示、“Op Art in Focus”が始まった。(2019年6月16日まで開催中)キュレーターのダレン・ピはこう語る。
“私にとってオプアートは、よりテクノロジーの側面で世界と繋がっているムーブメントです。新しい鑑賞体験を生み出すために、アートとテクノロジーが融合しているのです。”

実際、我々はどのように世界を見ているのか、そしてどんなツールが我々の見方を鍛え、拡張してくれるのか?1960年にたった一人でこの疑問に立ち向かった者がいる。アメリカの科学者、セオドア・メイマンだ。彼はエレノア・J・ギブソンやR.D.ウォークが幼児がどの様に奥行きを感知するかを調べる“Visual Cliff”(視覚的断崖)の実験をおこなっていた同時期に、世界ではじめてのレーザー装置を作った。
この展示には26作品が出展されているが、ピはそのうち8つにライリーの作品を選んでいる。スクリーンプリントされたジグザグの白黒が賑やかでエネルギッシュな作品(Untitled [Fragment 1/7]  と Untitled [Fragment 3/11] )や、キャンバスにカラフルな縦線を描くことで構成された Late Morning (1967–68) などだ。“彼女の作品は直ちに判別できるほど特徴的で、その作品には60年代当時のテクノロジーが可能にした文明の加速の兆候を見て取れます。” とピは解説した。(確かに、Late Morning は放送休止中のテレビの画面を思い起こさせる。)
“ その頃から既に彼女の作品は美術史、および20世紀初頭の点描画法に根ざしたものでした。”

また、ピはライリーをデュシャンと関連付けて語っている。デュシャンはオプアートが生まれる数十年前に“機械化された視覚”に関する実験を行なっていた。1920年代から30年代を通して、このフランス人アーティストは同心円が印刷されたディスクを作っていた。モーターを搭載した装置が回転すると、ディスクは催眠術のような螺旋を描いて回転し、鑑賞者はイメージ自体が動いているかのような錯覚に陥る。(そのディスク作品は実際に回転しているため、この作品はオプアート的でもあり、キネティックアート的でもある。)

オプアートは1960年代に非常にマッチした創作物であった。鮮やかな図像の色と形は当時のモッズファッションを思い起こさせる。またオプアートに対する懸念として、心身に変調をきたすドラッグの使用と数十年間も相互関係にあった事が挙げられる。LSDやメスカリンは文字通り、色と形の見え方や感じ方を変えてしまう。
“メスカリンによって全ての色をより強烈に感じ、千里眼の様な感覚に目覚め、微細な違いに敏感になります。平常時が完全に盲目だと思えるほどです。”オルダス・ハクスリーは1954年に世間に強い影響を与えた本、「知覚の扉」でそう書いた。その本で彼はトリップ状態の様子をこう記述している。“震える剥き出しの輝くエネルギーから、赤い表面が膨張・拡大していき、まるで生命の様に絶え間無く変化している。”多くの場合、オプアートはこの様な強烈な視覚体験を形式化したものである。
今もオプアートは現代絵画と彫刻に影響を与え続けている。今回のテート・リヴァプールの展示で、ピはカナダ人アーティスト、アンジェラ・ブロックの作品 Aluminium 4 (2012) を出品した。

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Damien Hirst, Anthraquinone-1-Diazonium Chloride, 1994. © Damien Hirst and Science Ltd. / DACS 2018. Photo by Prudence Cuming Associates Ltd. Courtesy of Tate Liverpool.

4つのアルミニウムの箱が床の上に飾られ、それぞれ異なる色で発光している。箱の中を光で満たす専用の照明装置には、1600万以上の色の組み合わせがある。彼女は先人達が表現してきた無限に近い色彩の可能性を、現代のテクノロジーを用いる事で更に拡張させたのだ。
ダミアン・ハーストのスポット・ペインティング、Anthraquinone-1-Diazonium Chloride (1994) も本展示で鑑賞できる。
1986年から2011年まで、このイギリス人アーティストは1,000枚を超えるこのシリーズの絵画を制作している。この絵画は、白地に均等な間隔を置いて描かれたカラフルなドットで構成されている。(ドットとキャンバスの大きさはシリーズによって様々である。)
とはいえハーストは、この人間の色彩知覚能力を考慮して慎重に色を配置したこの作品よりも、ホルムアルデヒドのタンクに入った鮫を展示したり、大量に作った作品でオークション記録を塗り替える、などの離れ業で有名なのだが。
“もちろん、ハーストは普通、オプアートの文脈で語られることはありません。”とピは認める。“ですがスポット・ペインティングには形式的にダズル・エフェクト(幻惑効果)を生み出すのです。”
作品タイトルには大手製薬会社の薬の名前が参照されているが、この絵画の仕上がりは機械的かつ無感情なミニマリストの形式を取っている、とピは考える。抗うつ剤と鎮痛剤は現代におけるLSDやメスカリンの代用品であり、心身に変化をもたらす麻薬として使われているのだ。(公平を期すならば、マイクロドージングと呼ばれるような少量のLSDの摂取にも再ブームの兆しがある。)アーティストの色やかたちに対する知覚、および彼らの世界に対する認識もまた、これらのドラッグによって変わってくるのかもしれない。

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【意訳】60年代のオプアートが生み出す幻覚|山田 はじめ
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