「冷蔵庫の値段は30分の1、ノートPCは69分の1に?」消費減税つぶしのために物価上昇を隠蔽する政府発表統計のカラクリ 機能向上など付加価値上昇分で統計上の価格に反映する計算
高市自民党が圧勝した総選挙の公約に掲げていた「食品の消費税ゼロ」。物価高が日本を襲うなか、すぐにも実現に向けた動きが進むものと思っていたら、そうなっていない。代わりに与党内で突如として浮上したのが「消費税1%」案だ。不可解な経過を辿る議論の裏側を探ると、そこには財務省を核とする“増税マフィア”の策謀がめぐらされていた。【全3回の第3回】
冷蔵庫の値段が30分の1、テレビは10分の1に
政府は実質賃金を高く見せるように統計方法の変更を行なっていたが、物価統計のウソはそれだけではない。物価統計(消費者物価指数)は年金の支給額や公共料金の算定から、日銀の金利にまで関わる最重要指標の一つだが、政府発表の数字には実際の物価上昇より低く見せる様々な仕組みがある。 掲載のリストを見ていただきたい。 厚労省の物価統計から、主な耐久消費財の物価を1990年(または統計採用年)と2025年で比較した。 それによると、冷蔵庫の価格は30分の1、テレビ、洗濯機、ゲーム機は10分の1、ノートパソコンに至っては2000年の69分の1の価格に値下がりしたことになっている。 調査品目の冷蔵庫は「5ドアタイプ」が対象だが、現在、ネット通販サイトを見ると1台13万~20万円程度で売られている。それが1990年当時は30倍の値段だったというなら、400万~500万円程度だったことになるが、そんなはずはない。 原因はこれも物価統計の計算方法にある。
政府の物価統計に疑問を呈してきたエコノミストの斎藤満氏(元三和証券調査部長)が語る。 「これは電気製品などの『機能向上』や『容量増加』などを付加価値が高まったとみなし、統計上の価格に反映させて計算するからです。パソコンであれば価格が同程度でも25年前モデルと比べると処理速度は何十倍とケタ違いに速くなっている。その付加価値向上分で価格が何十分の1に下がったとみなす。こうした品質調整は外国の物価統計でも行なっているが、日本の場合は現実の価格との乖離が大きすぎる」 政府にとっては、物価は実際より低く見せかけたほうが都合がいい。 「インフレ率を低くすれば年金の支給額を増やさなくて良いから社会保障費の負担を抑えることができるし、金利も低めとなって国債の利払い費も少なくて済む。だから物価統計を操作するメリットがある」(同前) 政府統計と本当の物価上昇との差は国民の負担としてのしかかる。 経済ジャーナリストの荻原博子氏が指摘する。 「物価上昇で消費税も所得税も、税率が上がっていないのに税収はうなぎのぼり。国の税収は5年前より年間20兆円も増えている。税率を上げる増税は国民の反発を受けて実現しにくいが、物価が上がることによる国民負担増、いわゆる『インフレ増税』なら容易いわけです。いわば国が取りすぎた税金であり、それを国民に戻すためにも、消費税減税は絶対必要です」 食品税率1%論争で時間を稼ぎ、物価上昇を隠蔽する統計のウソを使って減税つぶしを進めるという詐術に騙されてはならない。 ▼▼▼第1回記事▼▼▼ 【はじめから読む→】社会保障国民会議で突如浮上した「消費税1%」案、「食料品消費税ゼロ」を実質的に骨抜きにする財務省の狙い ※週刊ポスト2026年5月22日号