メーカー社員、手術室で患者の体動かす 医師法に抵触か 関西医科大
関西医科大学総合医療センター(大阪府守口市)の手術室で2024年、医療機器メーカーの営業担当者が医師のそばで、患者の足を持ち上げるなど医師を補助する行為をした疑いがあることがわかった。手術室で患者の体を動かすのは医療行為にあたり、医療従事者以外による医療行為を禁じる医師法に抵触する恐れがある。朝日新聞はこの行為を映したとされる動画を入手した。 【動画】手術室で医師の隣、患者の足を持つメーカー社員 「当たり前のよう」 医療センターの杉山隆病院長は取材に「そういった事実があったという前提で確認を進めるよう指示している」と文書で答えた。患者側にはまだ伝えていないという。 メーカーは「ニューベイシブジャパン」(東京都中央区)。脊椎(せきつい)手術の際に背骨を固定するインプラントを製造販売する。営業担当者は売り込みで各病院に出入りする。 動画は複数あり、関係者によると、24年3月に医療センターであった整形外科手術の際に撮影された。動画では、手術室内で、医師とみられる人物が横たわる患者の足に包帯を巻く際、営業担当者とされる男性が患者の足を持ち上げたり、体に手を当てて支えたりしていた。周囲では看護師らとみられる人たちが見守っていた。 医師法は17条で「医師でなければ、医業をなしてはならない」と規定する。違反すれば3年以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金が科される。厚生労働省の担当者は取材に「医療従事者以外は診療の補助はできない。医師の指示があっても、患者の身体に触れれば医療行為となり、医師法違反に当たる恐れがある」と話す。 ■無資格でのX線操作も ニューベイシブ社を巡っては、営業担当者が24年に同医療センターなどでの手術に立ち会い、無資格でX線装置を操作していたことが25年4月、朝日新聞の報道で発覚。大阪府警が25年11月に同社の本社などを診療放射線技師法違反の疑いで家宅捜索し、慎重に捜査を進めている。 大阪府警は無資格X線操作に関する捜査の中で、営業担当者が患者の体を触る動画も確認。手術室内での行動を調べているという。 医療機器メーカーの営業担当者が手術室に入ることは「立ち会い」と呼ばれ、自社の医療機器の説明や不具合確認などは許されているが、それ以外は厳しく制限されている。 ニューベイシブ社は取材に「警察による捜査が行われていることから、回答は差し控える」とした。(編集委員・沢伸也、華野優気、黒田陸離) ■医療センター「事実あったという前提で確認する」 関西医科大総合医療センターの話 医師・看護師らへのヒアリングを通じ、どのような状況が生じ得たかの確認をしている。そういった事実があったという前提で確認作業を進めるよう指示をしている。 医療機器メーカーの担当者が機器の調整や立ち会いで患者の近くに位置することは一般的にあり得るが、患者の身体に直接接触する行為は、(医師法の)医行為にあたるかどうかに関わらず、医療従事者が行うべきものと考える。 当該患者は現在も経過観察のため通院しており、本件に起因する健康被害は生じていないと判断している。患者への説明は、整理と評価がまとまった段階で実施する予定だ。 同種事案の再発の可能性はないと考えている。医療安全の見地からの指摘はもっともであり、適切に対応していきたい。
朝日新聞社