先日、千葉県香取市で田植えを行ってきた。ワタミは、稲作に本格参入する。子会社のワタミファームが、契約生産者と「ワタミ米」を生産していく。ワタミファームは、これまで有機野菜を生産してきたが、かねてから「日本人の魂」である主食のコメに取り組みたいと考えていた。
昨年、備蓄米を放出するほどのコメ不足が起きた。私は参院議員時代から政府や農協の価格コントロールや、減反政策に反対している。減反政策をとれば価格が上がるのは当然だ。円安が進めば、海外のコメも入手しづらくなる。コメを扱うビジネスは調達が厳しくなる。
外食産業として、生産段階から携わり、「生産から消費までをつなぐ持続可能な仕組み」のモデルを作りたい。自治体と企業、地域農業が連携することで、課題となっている水田の維持や、農家の高齢化による担い手不足の問題の解決の糸口になると思う。
ワタミグループではコメを、年間約1200トンを消費するが、すでに稲作に取り組んでいる、北海道のワタミファームと、今回の千葉県香取市で、年間消費の約半分の500~600トンを自前で調達するめどをつけられた。将来的には100%を目指す。
今後は契約生産者を広げて、米国への輸出もできれば、日本産のコメのブランドの拡大にも貢献し、円安でも夢が広がる。政府による減反政策や、米の価格のコントロールは自由競争を阻害するもので、いずれ無理が来ると思う。
政府のコントロールといえば、財務省は4月末に為替介入を行い、1ドル=160円後半から155円台までに円高が進行した。介入には、5兆円の外貨準備を使ったと報じられている。介入の原資は、短期の米国債とドル預金で、30~50兆円程度しかないと予想できる。長期の米国債は日米の関係性もあり、まず売ることはできない。
過去の介入時のように9兆円規模で実施したとすれば、あと、3~5回程度となる。円安の背景には、日米の金利差と原油高、貿易赤字、日本の経済成長の低迷という4つの要因が潜んでいる。少々の介入で流れを変えようとしても、その場しのぎにすぎない。
1992年に米投資家、ジョージ・ソロス氏が大量のポンドを売り、英国のイングランド銀行が敗れたことがあった。日本の外貨準備がもし底をつくと見抜かれたら、世界中のヘッジファンドが「円売り」を仕掛けて来ることを、今一番危惧している。為替介入で抵抗しても、政府が積極財政の姿勢を続ける限り、円は安くなり続ける。
コメと同様、政府のコントロールには限界がある。私は、そう遠くないうちに、1ドル=200円ぐらいになるのではないかと予想する。円安で、国民の円貯金は目減りする。為替介入直前、財務省の財務官は「これが最後の避難勧告だ」と強い表現を使ったというが、本来は、日本円だけを持っている国民に、そのメッセージを発するべきだろう。(ワタミ代表取締役会長兼社長CEO)