為末大が語る“最高レベルの運動会”ダイヤモンドリーグ
「人間がどのくらいすごくなれるのか」を見る楽しさ
為末さんは「ダイヤモンドリーグを日本に持ってくることが夢」と語る。その戦いが5月10日に開幕する
【画像提供:WOWOW】
先ほどもお話ししましたが、ひとつは『日常』という点です。例えばオリンピックなどで、陸上の人気が高い国に行くと、ある選手が登場しただけで盛り上がったりするのですが、そこにはダイヤモンドリーグでの勝率が競っていたり、対戦相手との間に因縁があったりと、背景や理由が存在しています。それらの背景は日常を見ていないと分からないものであり、日常を知らないことには非日常も面白くないわけです。選手たちが普段試合をしている場所がダイヤモンドリーグである、という点がまず魅力です。
また、選手の対決に興奮するという日本の基本的なスポーツの楽しみ方がある一方で、陸上においてはそれぞれの選手が前の記録と比べてどれくらい伸びたかという見どころがあります。個々人の、自身との戦いもダイヤモンドリーグの楽しみのひとつですね。
――国ごとに選手の特徴はありますか?
文化的背景という面では、例えばジャマイカからジャンパーが出てくると僕らは面白いと思う。「なぜジャンパーが入ってきたのだろう?」「新しいコーチがあの国に入ったのかな?」と。なぜなら、ジャマイカは今までスプリンターしか出てきていない国だから。そういった文化的な背景とセットで見ると非常に面白くなります。大まかに覚えてもらいたいのは、ジャマイカとカリブは短距離選手、アメリカからはジャンパー、北欧はジャンプか投てき、そしてアフリカからは長距離の選手が生まれるということです。
サリー・ピアソン(オーストラリア/ロンドン五輪・女子100メートルハードル金メダリスト)はまさしく例外ですね。調べてみると、アメリカに金メダルをもたらした有能なコーチが、オーストラリアに移住していたという背景があるものです。そういう意外性を自分で見つけながら見るのは面白いと思います。それも試合を見続ける楽しさですね。
――選手たちのレベルはどのくらい高いものでしょうか?
「最高にレベルの高い運動会」という認識で見てもらうのが一番分かりやすいと思います。陸上競技場だと実際の距離や幅がまひしがちですが、走り幅跳びで8メートル以上の記録が出たとして、普通の横断歩道の幅が8メートルと言われています。棒高跳びだと信号機の高さより高かったり、走り高跳びの2メートル40センチは電話ボックスの高さと同じくらいです。日常生活で自分が見ているさまざまなものを、人間が越えている。そういったことを少しだけ想像しながら、人間がどのくらいすごくなれるのかという、その頂点を見ることも楽しみです。
――会場の雰囲気はどうですか?
とても良いですし、選手にもとってやりやすい。屋台なども出ていますし、お祭りなんですよね。ローザンヌやオスロは陸上専門の競技場で、トラックの真横に観客席がズラーっと作ってあって、本当に観客の手が届くくらいのスレスレのところを走って行くんですよ。
陸上の試合だからと言って特別かしこまっている訳でもなくて、観客はビールを飲んだりウインナーを食べたりしながらリラックスしている。だから運動会というのが近いのですが、普通の運動会と異なるのはレベルが本当に高いということ。選手としても、出ていて面白かったですね。あの雰囲気を作るのは相当難しいと思いますが、ダイヤモンドリーグを日本に持ってくることが僕の夢です。
<了>
「陸上ワールドツアーダイヤモンドリーグ」:トップアスリートたちが世界各地を転戦し、男女計32種目で世界最速・最高・最長を決める陸上ワールドツアー。世界新記録誕生の瞬間を見逃すな!
・「開幕直前!陸上ワールドツアーダイヤモンドリーグ」 4月28日(日)午前11:45〜[WOWOWプライム]※無料放送
・第1戦 ドーハ(カタール) 5月10日(金)深夜0:45〜[WOWOWライブ]※生中継
・第2戦 上海(中国) 5月18日(土)夜8:50〜[WOWOWライブ]※生中継
・第3戦 ニューヨーク(アメリカ) 5月25日(土)深夜2:30〜[WOWOWプライム]※生中継
・陸上ダイヤモンドリーグハイライト 5月11日(土)午前11:55 ほか[WOWOWプライム]