【意訳】マイクロソフト・ペイントがアーティストに与えた想定外の影響
Microsoft Paint’s Influence on Artists Is Bigger Than You Might Think
Artsy Editorial By Abigail Cain
Aug 8th, 2017 12:10 pm
※英語の勉強のためにざっくりと翻訳された文章であり、誤訳や誤解が含まれている可能性が高い旨をご留意ください。
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Source: https://www.artsy.net/article/artsy-editorial-microsoft-paints-influence-artists-bigger
2017年7月24日、使い古されてきた画像編集ソフトであるマイクロソフトペイントが、知らぬ間にまな板の上に乗っていたことが判明した。
このソフトウェアは32年間もWindowsの基本機能のひとつであったが、ひっそりと削除対象リストに載せられていたのだ。
(最新のマイクロソフトの画像作成ツールになったのは3Dペイントである。)
「帰ってきてくれMSペイント!」
インターネットは迅速かつ大きな反応をみせ、それはマイクロソフトの耳にも届いた。翌日の発表で、ペイントは改善がなされていなかったこと、削除した代わりにウインドウズ・ストアにて無料ソフトとして配布され、誰でも90年代の懐かしさに浸れるようになることが伝えられた。
このようにMSペイントはアメリカの大衆、中でもクリエイターや美術家の心をがっちりと掴んでいた訳だが、それはなぜだろう?
注:結局、2026年現在もmicrosoft paint はしぶとく現役である
一見、このソフトに大した特徴は見当たらない。パトリック・ディヴィソンは、ジャーナル・オブ・ビジュアルカルチャーに寄稿した文章内でこう推測する。“革新性や技術の高さだけでメディアの歴史的・文化的価値を評価しろと言うのなら、MSペイントに語るべき点など特にないでしょう。”
だがアーティストのジェフリー・アラン・スカダー 曰く、MSペイントは洗練されたツールではなかったからこそ、以下のような理由で使われてきたと言うのだ。
“確かにMSペイントは粗雑なツールですが 、人が何かを茶化したいときなどは、何が描いてあるかすぐ分かる事だけを重視するのです。”
スカダーはUCLAでデジタルペインティングコースを教える人物でもある。
“MSペイントを使えば、とても簡単にMSペイントで描いた感じがする画像を作ることができます。このツールで描かれた画像は、何を使って描いたのかがとても読み取り易いのです。”
今日までマイクロソフトが数十年に渡って開発してきたプログラム達に対し、MSペイントが包括的に貢献してきたことは紛れもない事実であろう。
その始まりは1985年、Windows paintがWindows 1.0のOSの一部としてリリースされた時である。
アップルが1年早く独自の画像編集ソフトとしてマックペイントを大々的に発表したため、ウインドウズペイントがその対抗ソフトとして開発された。
両者の名前は当時の専門用語として浸透していく。80年代、2つはコンピュータ上でドローイングを描くソフトか、ペインティングを描くソフトか、という点で明確に区別されていた。
マックペイントはベクタ形式を利用して完璧にくっきりとした幾何学的な線を引けるためドローイング的であり、ウインドウズペイントはラスタと呼ばれる色のブロックを用いたもので、ぼんやりとした線かピクセレート(ドット化)されたカクついた線のどちらにするかの切り替えが可能であり、ペイント的であった。
なので、当時はラスタ派かベクタ派かによってユーザーが二分されていた。マックのドローイングツールは建築家やグラフィックデザイナーなどプロに使用されていた一方、ウインドウズのペイントツールは専らアマチュア用であった。そしてそのユーザーには当時13歳であったオースティン・リー[Austin Lee]も含まれていたのだ。
NYを拠点として活動するアーティストとして成長したリーは、子供時代に家族がパソコンを買い与えてくれたと語る。90年代に10代を過ごした彼とその友人は架空のバンドを考え、それをMSペイントの様なツールでイラストにしていた。それだけでは終わらずに、リーは16、17歳頃になて本物の絵筆を手に取ることになる。
同じくNYを拠点とする画家、トルーディ・ベンソンにとってデジタルペインティング用ソフトウェアは幼い頃の遊び道具であるとともに、彼女の美的感覚を構築するにあたって必要不可欠なものであった。
彼女の父親はプログラマーで、自宅には常に数台のPCが転がっていた。彼女は小学校入学よりも早く、マックペイントとウインドウズペイントを使っていたのだ。そしてその経験は、彼女が後におこなう様々な芸術家としての訓練とは全く異なるものであった。
彼女は当時をこう語る。「子供の頃、実際の紙にドローイングを描いたり小さな絵を描くときは、いつも人やモノを描いていました。でもコンピュータ上では、ツールボックス上の色んな記号を使って遊びながら抽象画を描いていたんです。」
数年後、ベンソンはペレット研究室にて具象画家としての修士号を取得した。戯れに抽象画を始めた最初の年、彼女の心の中に幼い頃に描いていたMSペイントのスケッチが蘇ってきた。
すぐさま彼女はあのデジタルな記号や線に似せた作品を描き始めた。以前と違うのは、それらが油絵具でキャンバスに描写されている、ということであった。
現在のベンソン作品はそこまでMSペイントに関連していない要素もコラージュ的に組み合わさっている作品へと進化したが、デジタルペインティングツールの影響は今も残っている。
「今も私は浅い感じのレイヤーを沢山使ってますし、それは未だに落書きレベルのクオリティです。」
同様に、リーのペインティングにおける不安定な線と鮮やかな色調もMSペイント的である。彼は基本的にまずはタブレットかフォトショで作品を描き、その後にスタジオで物質的な作品へと変換する。
「それは、考え始めるきっかけとしての行為なんです。もし実際の絵具を使って絵を描いているとしても、僕の脳内にはまずカラースライダーが浮かんできます。でもその色を正確に再現することが俺にはできないので、色彩の関係性によってなんとかしている訳です。僕にとってはデジタルで描くことが通常モードなんです。」
スカダーは、このデジタルツールを使わずに大きなサイズに描かれるデジタル風の絵画の発展についてこう認識している。
「彼らは制作手法に焦点を当て、マテリアルと正反対な情報を持たせた抽象表現を行うことで、我々のドローイングやペインティングに関する考え方を根底から変えてしまいました。」
彼のクラスでは、みんなが使用できるソフトウェアを使う事よりも、自分自身でプログラムを開発することを奨励している。彼は最初の授業で、それがデジタルペインティングコースのやり方やで、と宣言するのだ。
もちろん、若い現代アート作家だけがMSペイントを使うのではない。90代のハル・ラスコは驚異的に複雑なデジタルペインティングによってインターネット上のアドベンチャーを楽しんでいる。
また、デヴィッド・オライリーはオクトキャット・アドベンチャー(※リンク先動画注意)を作って、Youtube上でカルト的人気を得た。なお、スカダーがお気に入りのMSペイントユーザーは SHADOWBEARMUSEUMである。「このツールをこんな使い方している人は今まで見たことありません。でも、彼ですらMSペイントユーザーという銀河を構成する星々のたった一つに過ぎないのです。」
このように、MSペイントアート業界は、そのプログラムのシンプルさによって促進されてきた。ベンソンはこう語る。「私はこのツールが持つアドバンテージは、数多あるその他のデジタルペイントツールより圧倒的に使い易いことにあると思います。」また、フォトショップのような毛色の異なるツールがアップデートの度に複雑になっていく一方、MSペイントは実用的なまま1995年から2007年まで何も変わらなかった。
だがそのシンプルさよりも偏在性の方が重要だったのかも知れない。32年間、MSペイントはウインドウズがアップデートされる度に、その新しいOSへと組み込まれてきた。マックペイントが発売当初195ドルだったのと違い、MSペイントはウインドウズのPCを買った者なら誰でも無料で使えた。
「だからこのツールは皆が触れ易かったのです。でも重要なことは、実際にMSペイントを使って驚くべきものを作ることができるという点です。」とベンソンは語る。「私はそれがMSペイントの一番の長所だと思っています。」


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