PM4時に時短社員は退勤→尻拭い続けた彼は限界迎え辞表を…“柔軟な働き方”がもたらす「助け合えば大丈夫」じゃない現実
あなたの会社でも、同じことが起きていないだろうか。優秀な人材を採用するために導入した「働き方の自由」が、気づけば現場を支えるエースを静かに追い詰めている。 人手不足の切り札として、時短正社員や副業人材を活用する「マイクロシフティング」が注目を集めている。給与水準で大企業に太刀打ちできない中小企業にとって、勤務時間の柔軟性は、確かに優秀な人材を惹きつける強力な武器だ。 しかし、その“善意の制度”が現場のバランスを崩し、最も責任感の強い人材から順に疲弊させていく。そんな構造に気づいている経営者は多くない。
本稿では、『社長が3ヶ月不在でも成長する会社の作り方』の著者である安東邦彦氏が北関東の製造業で実際に起きた事例をもとに、この問題の構造を解き明かすとともに、組織を壊さずに制度を機能させるための「2つの打ち手」を提示する。 ■優秀な時短メンバーが集まり、順調かと思いきや… 北関東の工業地帯に拠点を構える、従業員50名ほどの精密部品メーカーA社。技術力には定評がありながら、地方中小企業に共通する「エンジニア採用難」という壁に直面していました。求人を出しても反応は乏しく、たまに応募があっても経験不足。ようやく採用に至っても、激しい獲得競争の中で定着しない。
このままでは技術の継承すら危うい。2代目のA社長は、強い危機感を抱いていました。そこで打ち出したのが、勤務形態を柔軟にする「マイクロシフティング」の導入です。フルタイムという前提を外し、週3日勤務や短時間労働を認めることで、これまで届かなかった人材層にアプローチする。そんな狙いでした。 この戦略は、当初見事に的中します。大手メーカーを退職した経験豊富なシニア技術者、育児中でフルタイム復帰をためらっていた有能なデザイナー。以前なら決して出会えなかった人材が、次々と門を叩いたのです。
社長は確信しました。これで現場の負担は軽くなり、生産性は上がるはずだと。 ■負荷は“見えない形”で集中し始めた その期待とは裏腹に、現場リーダーのBさんの日常は、静かに崩れ始めていました。変化は、日々の小さな隙間から忍び寄ってきたのです。 午後4時過ぎ。取引先から急ぎの修正依頼が入る。担当の時短メンバーはすでに退勤しており、次の出社は2日後。困り果てた営業担当者は、Bさんのもとに駆け込みます。 「これ、今日中になんとかなりませんか」