キャリア・教育

2018.03.30 10:00

性同一性障害特例法に潜む「強制不妊手術」という人権侵害

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「旧優生保護法」(1948〜96年)のもと、知的障害などのある人たちに不妊手術が強制されていた問題が広く報道されています。「日本でそんな野蛮なことが起きていたなんて……」「ひどすぎる」「人権侵害以外何ものでもない」そんな声が聞こえます。

しかし、いまも望まない不妊手術を強制する法律が存在することをご存知でしょうか。いわゆる「性同一性障害特例法」(2003年成立)です。自分のジェンダー・アイデンティティ(性自認)を法的に認めてもらうためには、トランスジェンダーの人たちは、この法律に従って戸籍変更手続きをする必要があるのです。

日本政府は、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー(LGBT)の人権を改善する世界的な流れに加わり、国内政策を少しずつ改善し、国際的な取り組みを支持してきました。しかし性別認定手続(つまり戸籍変更)を定める「性同一性障害特例法」は、日本のこれまでの前進に対する汚点のひとつです。

自らのジェンダー・アイデンティティを確立するため、戸籍の変更を希望するトランスジェンダーの人たちは、いわゆる「性同一性障害特例法」に基づき、家庭裁判所に申立てをする必要があります。10年以上前にこの法律が成立したときには、日本の性的マイノリティにとって画期的な出来事でした。

しかし、この手続には、基本的人権の侵害・差別にあたる要件が組み込まれていました。それは、結婚していない成人で、子どもがいないこと、さらに「性同一性障害」(GID)であるとの精神医学的な診断を受け、不妊手術を受ける、という要件です。

「性同一性障害特例法」は、法的な性別変更(戸籍変更)の要件として、「生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること」を義務づけていますが、これは「強制不妊」に該当します。

「強制不妊」が人権侵害であることは論を待たず、世界保健機関(WHO)など、健康と人権を扱うさまざまな国際機関が広く批判しています。拷問に関する国連特別報告者は2013年、トランスジェンダーの人たちに「自らが望む性別への変更の要件として、望まないことが多い不妊手術を受けることを義務づける」ことは人権侵害だとし、各国政府に対し「あらゆる場合において強制又は強要された不妊手術を違法とするとともに、周縁化された集団に属する個人を特別に保護すること」を求めています。

日本では、2016年、超党派の国会議員連盟が、「性同一性障害特例法」の要件緩和に向けて議論を始めると報道されましたが、本格化せず、法改正には至っていません。他方で、一昨年、健康に関する国連特別報告者と拷問に関する国連特別報告者が送付した「性同一性障害特例法」に関する書簡に対して、厚生労働省は日本がLGBTの権利擁護を進展させていることを誇りに思うと回答しました。

しかし、日本政府は、現行の医学モデルと戸籍変更の手続きを擁護し、ある人が本当にトランスジェンダーかどうか、すなわち法的認定に値するか判断する際に「客観性と確実性」が必要だから、と主張しました。

戸籍変更の条件として、望まない手術を強制することは、日本政府の人権上の義務に反するものです。そして、2020年、東京オリンピック・パラリンピックに向けて日本政府が進もうとしている「LGBTの人権を擁護する国」というイメージにも反するものです。

不妊手術を望むトランスジェンダーの人たちもいることは事実ですが、不妊手術を望まないトランスジェンダーの人たちにまで国家がそれを強制することは、人権侵害に他なりません。「優生保護法」による強制不妊手術の被害者の救済が議論されるようになったいまだからこそ、「性同一性障害特例法」による強制不妊手術も止めるべきです。いますぐにこの法律を改正することが必要なのです。

文=土井香苗

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2026.04.24 16:00

世界的プロジェクトのデザイナーが語る、空間が経営価値へと昇華する瞬間

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国際デザインアワードを受賞した京都のホテル、一流グローバル企業のオフィス—。GARDEが手がける空間は、いつも世界的なプロジェクトの中心にある。
英国で内装建築のMAを取得した錦織杏奈と、フィレンツェ大学で建築を修め来日後にグローバルオフィスを設計し続けるフランチェスコ・リストリ。国籍も専門領域も異なるふたりのデザイナーが語る、世界的に注目されるプロジェクトが生まれる背景と、空間づくりの哲学とは。


創業から40年超。ホテルやレストランといったホスピタリティ空間全般、さらにオフィスや店舗などあらゆる分野で、一流のグローバルクライアントの高い要求に応えてきたGARDE。掲げるキーワードは、「空間が創る、情緒的経営価値」。その空間を訪れるお客様、働く従業員まで含め、すべてのユーザーの心地よさを追求した空間デザインが、クライアントの経営価値そのものに影響を与えてきた。

そのデザインを手掛けてきた一人が、2015年にGARDEに入社したフランチェスコ・リストリだ。フィレンツェの大学で建築を学んだのち、母国イタリアと日本の文化に親和性を感じたことから来日。建築の知識とグローバルなバックグラウンドを生かせる環境に共鳴し、GARDEの入社を決めたという。

入社後は、ホスピタリティからレジデンシャル、商業施設など複数分野でのデザインを担当したのち、現在はオフィスチームに在籍。GAFAMをはじめとした一流グローバル企業の日本オフィス設計のほか、東南アジアエリアにもプロジェクト範囲を広げている。

※ホスピタリティ=ホテルやレジデンス、レストラン、オフィスや商業施設など。


「もともと、歴史的な建物の修復と再生に興味があり、大学時代は教会を研究題材にしていました。イタリアと日本に共通しているのは、新しいビルと古い建築物など新旧が交ざり合い、同じ街、エリア内に共存していることです。空間設計においても、その地域の文化、歴史をしっかり学んだ上で、デザイン要素に取り入れていくことは欠かせません。文化を読み取っていくプロセスには、イタリアでの学びが生きています」(フランチェスコ)

ホスピタリティデザインを手掛ける錦織杏奈も、グローバルなバックグラウンドを持つデザイナーの一人だ。イギリスの大学院で内装建築を学び、インテリアに関わる仕事がしたいとGARDEに新卒で入社した。ブランド事業部でローカルアーキテクトを経験したのち、入社2年目にレジデンスやホテルを担当するホスピタリティのデザイン事業部へ、自ら手を挙げて異動を叶えた。

「大学院で学んだのはリサーチの重要性です。その街に何が足りないか、開発の一環で何が必要かを調べ尽くし、デザインに至るストーリーを組み立てていく。デザインコンセプトを立てるまでに大半の時間を費やします。その学びはGARDEのプロジェクトに通じています」(錦織)

世界に評価されるホスピタリティデザインの哲学

 

街の魅力や建築物そのものが持つ歴史や文化を尊重し、良さを生かしながら新たなデザインを考えていく――。2人の強みが引き出される形で生まれたのが、2021年にオープンした「カンデオホテルズ京都烏丸六角」だ。京都市登録有形文化財である伝統的な町屋「旧伴家住宅」をホテルとしてリデザインし、国際的なデザインアワードであるMUSE Design Awards 2022で金賞受賞に加え、iF DESIGN AWARDやAsia Pacific Property Awardsなど、6つの主要アワードで受賞を果たした。

「有形文化財ゆえに、梁に釘を打ってはいけないなどさまざまな制約がある中で、『ビジュー(宝石)』をコンセプトに、歴史的建造物がジュエリーを身に着けるような明るいデザイン空間を作り上げたいと考えました。町屋ならではの畳空間や中庭といった意匠を生かしつつ、こだわったのは京都の路地を思わせる通り土間の吊り下げ照明。1階から天井を見上げれば、眩い照明の輝きを楽しめ、2階にあるバーの小窓からは、星空のように見える仕掛けになっている。訪れたお客様の記憶に残る空間ができたのではないかと思っています」(錦織)

また、錦織が設計からインテリアデザインまで一貫して手掛けた「ホテル阪急グランレスパイア大阪」では、都市と自然が融合する「Natural State」をデザインコンセプトに掲げ、ターミナル駅直結の都市公園である「うめきた公園」との連動性、親和性にこだわった。

「JR大阪駅前・きたうめだの街づくりの一環として誕生したこのホテルでは、隣接するうめきた公園と連続する情緒的価値をデザインで生み出すことを目指しました。都市空間と自然が溶け合うコンセプトを貫いてカタチにできたことには大きな感動がありました。また、お客様にとってストレスのない導線を設計することも、ホスピタリティデザインの仕事の一つ。チェックイン時の導線によってレセプションカウンターの位置や幅員までこだわり抜けたことも、達成感につながっています」(錦織)

出社率を8割に押し上げたオフィスデザインの力

クライアントの高い要望をどうデザインに落とし込んでいくか。超一流グローバル企業からベンチャーまで、幅広い業態のオフィスデザインを手掛けるフランチェスコは、「その空間で過ごす人たちの体験」をより良いものにすることが何よりも大切だと話す。

「かつてオフィス空間といえば、業務が支障なく進むような執務エリアがあればそれでよかったでしょう。しかし、コロナ禍を経て再び出社回帰が進んでいる今、オフィス空間は働く従業員一人ひとりのWell-beingにつながるような環境であることが求められています。

社員同士のコミュニケーションが生まれるようなラウンジエリアやハイテーブルのある打ち合せスペースなど、空間による仕掛けがますます重要視されています。ホスピタリティデザインもオフィスデザインも、中心にあるのは“人の体験”。毎日出社したいと思える空間を作ることで、人々の生活がより豊かになっていく体験価値を提供することが、デザインの目的だと思っています」(フランチェスコ)

あるグローバルIT企業の渋谷オフィスをデザインした際には、宮下公園の要素を含め、渋谷という街全体の文脈を意識しながら、日本の伝統や日本建築のエッセンスを融合させたデザインを取り入れた。その結果、グローバル全体での社内評価において、その渋谷オフィスは社員から最も評価の高いオフィスとして1位に選ばれたという。また、オフィス空間のリデザインにより、6割だった出社率が8~9割まで急伸するなど具体的な変化につながっている企業もある。

「空間によって、働く人たちが元気になり、事業成長をもたらす。空間が経営価値を高めるとは、こういうことかなと思っています」(フランチェスコ)

2024年5月には、世界13万社の中で上位15%に付与される、企業のサステナビリティ評価を提供するEcoVadisのシルバー評価を取得しているGARDE。錦織は、世界的な制度による認定が、一流ブランドや企業のプロジェクトを任される機会につながっていると話す。

「グローバルクライアントから環境配慮素材の選定を求められる機会も増えています。お客様が心地良いと感じ、特別な気持ちややすらぎ、幸福感を覚えてくださる空間をつくることはもちろん、その空間が社会や環境への責任ともつながっている——そういった意識がGARDEのデザイナーには根付いています。自分でチームへの異動を申し出て実現できたように、挑戦を後押ししてくれる風土があるからこそ、そうした空間づくりに向き合い続けられると感じています」(錦織)

物件のリサーチからコンセプトの立案、デザイン設計と実際の導入まで、ワンストップで手掛けられるGARDEのプロジェクト。ホスピタリティからレジデンシャル、オフィスまで、幅広い分野に携われるチャンスの多さも、GARDEで働く魅力だとフランチェスコは話す。

「グローバルなお客様に対して、グローバルなチームを組成して動いていくので、日本にいながら海外で働いているかのような感覚になります。チームは固定されず、要求が高い一流クライアントに向き合う案件もあれば、『こんな面白い物件があるから提案を考えてほしい』と自由な発想を求められるプロジェクトもあり、デザイナーとしての経験の幅はいくらでも広がっていきます。分野やエリアを横断して経験を重ねていきたい人と、ぜひ一緒に働きたいと思っています」(フランチェスコ)

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2017.09.13 11:15

的中率約8割、「同性愛者を見抜く」AIと悪用への懸念

Ollyy / shutterstock.com

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少しショッキングなAI研究が注目を浴びている。

今回、スタンフォード大学の研究チームが、「Deep neural networks are more accurate than humans at detecting sexual orientation from facial images」というレポートを公表。人工知能を使って人間の顔写真データを分析することで、「同性愛者かストレートか」を高精度で見破ることができるという研究結果を報告したのだ。

研究チームによれば、開発されたアルゴリズムを使うことで、ゲイorストレートのどちらであるか、男性の場合は81%、女性の場合は74%の確率で区別することができたという。

研究者であるMichal KosinskiとYilun Wangは、米国出会い系サイトに集まった3万5000枚以上の顔画像データを利用。「ディープニューラルネットワーク」を駆使して、その画像から特徴を抽出した。なお、識別対象の人物の画像を一人あたり5枚使用したところ、その精度はさらに向上。男性91%、女性83%に達したという。一方で、人間のモニターが同じ“作業”を行ったところ、精度がアルゴリズムより低い(男性61%、女性54%)ということも検証された。

研究チームは、「顔には、人間の脳によって知覚・解釈されるよりも、性的指向に関するより多くの情報が含まれている」と、研究の成果について説明した。なお、今回の研究は「ストレートか否か」を識別することに関心が向けられているが、トランスジェンダー、もしくはバイセクシュアルの人々については考慮されていない。

このような人工知能の使い方については、当然ながら、不安視する声も挙がり始めている。例えばガーディアン誌は、ソーシャルメディアなどを通じて数十億の顔画像データを入手できる政府が、人々の同意なしに国民の性的指向を検出することができる、とその脅威を示唆した。現在、LGBTの人々に不利な政策を敷く国はまだまだ少なくないが、その“迫害”のために同様のソフトウェアが使われることを危惧した形だ。

そこまで行かなくとも、カミングアウトしていないパートナーの性的嗜好を割り出す意図を持って、ソフトウェアが安易に使われ始める可能性は否定できない。

同研究が何かしらの悪意を持って始まったわけではないということは、確認するまでもないだろう。とはいえ、AIに人間以上の判断能力があると認知されてしまった途端、新たな社会的問題を生み出しかねない。AIという有用なテクノロジーをどう使うか。好奇心や大義名分は理解できるが、立ち止まってふと考える姿勢も研究者には必要なのではないだろうか。

文=河鐘基

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2017.09.25 12:30

職場で嫌味を言われたら 心の強い人が取る対処法

Andreas Saldavs / shutterstock.com

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友人同士でタイミング良く、気の利いた言葉をかければ良いユーモアになる。しかし、心の中でくすぶる怒りを隠した遠回しな批判は、嫌味となる。

例えば、「年の割にはきれいだ」といった褒め言葉になっていないお世辞や、「話していることについての知識がある印象を与えていれば、もっと売り上げが伸びただろうに」などのひねくれた言葉だ。

世界は少しずつ、意地悪で批判的な場所へと変わっているようだが、そうした批判に引きずられてストレスを感じる必要はない。

強い姿勢を保つことが大切な理由

ミシガン州立大学が実施した2016年の調査では、失礼な言動は職場で広まることが分かっている。同大学の研究者らはまた、皮肉や嫌がらせなどの嫌味な言動を受けた人が、相手の意図を理解しようとして心のエネルギーを無駄にしていると指摘した。

こうして精神的に疲弊し、衝動や感情の制御が難しくなった結果、意地悪な行動をされた人はいら立ちを抑えるエネルギーが尽き、怒りを爆発させやすくなっていた。

残念なことに、嫌味を言う人が1人いるだけで、油断するとその傾向は集団に広がってしまう。しかし、こうした嫌味の言葉を受けているときでも、精神的に強くあり続けることは可能だ。

心の強い人は、次の方法で嫌味な言葉に対処している。

相手に屈しない

他者に自分の考え方、感じ方、行動を左右されると、相手に支配されてしまうようになる。否定的な嫌味の言葉で自尊心を傷つけられ、一日を台無しにされたくはないはずだ。

もし嫌味を言う癖のある人がいれば、その人に生活の大部分を支配されないようにしよう。同僚が無礼をはたらいたときも、良い一日を送ることに専念する。また、上司の心ない言葉で自信をなくさないようにしよう。

動揺する気持ちを整理して、深呼吸をして冷静になり、正当な理由がある場合はその場から立ち去ること。

自分の価値観に常に忠実である

精神的に強い人は自分の価値観を理解していて、たとえ意地の悪い人に直面しても、自分の価値観に合わせて生きることを優先している。

心の強い人は、「人に敬意を払って接することは重要だ」と心の中で何度も繰り返す、自分の信念と合わない状況からは抜け出すなど、常に誠実であることが精神的な安らぎを保つ鍵だと知っている。

相手と同レベルでやり合いたいという衝動にどんなに駆られても、それは避けよう。堂々と胸を張って、自分は相手よりも優れた人間なのだと思えた方が良いはずだ。
次ページ > 時には無視するのが一番

編集=遠藤宗生

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