琉球新報は2月8日投開票の衆院選で、ファクトチェック(真偽検証)に取り組む独立系メディア「InFact(インファクト)」や、NPO法人「ファクトチェック・イニシアティブ(FIJ)」と提携し、選挙に関するデマやうそなどの検証に取り組んでいます。ここではInFactによる検証記事を転載します。
【衆院選26FactCheck】高市首相”スーパーのシステム改修に1年以上かかる”は本当か?
2月8日投開票で衆議院選挙が行われることになった。高市首相は1月19日に首相官邸で行った記者会見で、食料品について2年間に限り消費税の対象としないとの公約を掲げた。しかし、高市首相は就任後の国会審議では、消費税の税率を下げることについて「スーパーのシステム改修に1年以上かかる」旨の発言をしている。それが本当なら、公約を実現するのは数年先ということになるが、そもそも、この発言はどこまで明確な根拠に基づくものだったのだろうか。選挙を前に、消費税をめぐる高市首相の国会での発言についてあらためてファクトチェックした。
「スーパーのシステム改修に1年以上はかかる」(高市早苗首相)
<発言部分>
「あまり言いたくはなかったのですが、消費税率の引き下げについて、大手事業者の関連システムの改修に1年以上かかるとか、これもかなりシェアの高い大手のシステム関係の事業者ですが、レジの改修、これに1年以上かかるということで、まず物価高対策として即効性のあるものとしては、諦めた経緯がある」(2025年11月10日衆院予算委員会)
POSシステムと呼ばれるいわゆるスーパーのレジシステムについて国内シェアを多く占める大手企業3社(東芝テック、NECプラットフォームズ、富士通)にこの点について確認した。POSシステムとは、「Point Of Sales System(販売時点情報管理)」の頭文字をとった呼称で、レジを含む販売管理のシステム全体を指す。このシステムについてはKDDI BUSINESSが具体的に説明しているのでそちらを参照して欲しいが、その改修について前記3社が回答に際して具体的な社名を出さないことを条件に回答した。このため、社名は出さずに以下、その回答を紹介する。
A社
「税率を一律変更するにしても、食料品のみ税率を変更するにしても、顧客である店舗側で設定変更することが可能だ。メーカー側によるシステム改修をせずとも、顧客側でPOSシステムの設定変更をすることで税率変更に対応できる。仮にシステム改修など、メーカー側の対応が必要になったとしても、税制に合わせてシステムの検証を実施し、顧客へマニュアルを案内するというプロセスを要するものの、それも半年程度あれば対応可能。」
B社
「単純な税率の変更のみであれば、メーカーによるPOSシステムの改修は不要。ただ、内税商品の価格見直しなどが同時に発生する場合は、システム改修以外の部分で時間がかかることが予想される。顧客ごとに個別に改修をしている場合や、POSシステムの連携する外部システムとの影響によっては、大規模な改修が必要になるケースもある。なお、これまで単純な税率引き上げ(1997年4月の3%から5%)の際には3〜6か月の期間を、2014年4月の税率引き上げ時には総額表示への対応なども並行して実施する顧客もいたことから商品価格の一斉更新なども進めたため6〜12か月程度の期間がそれぞれかかった。」
C社
「POSシステムの改修に要する期間や費用を一概に回答することはできない。全国展開をしている顧客もいれば、1店鋪のみの経営をしている顧客もおり、モデルや仕様、カスタマイズの有無、他のシステムとの連携状況によって、対応がそれぞれ異なるからだ。」
つまり、A社は「半年程度もあれば対応可能」、B社は「単純な税率引き上げの際には3か月~6か月」で「総額表示への対応なども並行して実施する」ケースでは「6か月~12か月」、C社は一概に回答することはできない」という結果だ。C社の回答を考慮しても、以上のことからスーパーのPOSシステムの改修に一定の期間はかかるものの、1年以上の期間を要するとは必ずしも言えない。
システム改修とはPOSシステムを指していると考えられるが、この改修に1年以上を要するとは確定的には言い難い。半年以内にできるという大手事業者の証言もある。高市首相はその点も含めて丁寧に説明する必要がある。ただし、これは与党だけでなく、野党の議員からも聞かれる内容で、与野党ともに丁寧に説明する必要がある。
(インファクト・田中善之)
インファクトの以下のサイトでは、立岩陽一郎編集長の追記も読めます。
【衆院選26FactCheck】高市首相”スーパーのシステム改修に1年以上かかる”は本当か?