「取材はほぼゼロ」阪神で出場機会が激減、自身初の開幕2軍のナゼ…「それでも腐るような雰囲気が全くない」記者を驚かせた梅野隆太郎34歳の今
プロ13年目で初の2軍スタートを経験した阪神・梅野隆太郎。4月下旬、再起を懸けて1軍に合流した34歳の現在地に、元虎番記者が迫る。《NumberWebドキュメント全2回/後編につづく》 【レア写真】「学ラン姿の岡田彰布22歳…めちゃ男前だな」「えっ、坊主頭…高校時代の藤川球児17歳」&阪神優勝の瞬間、2人の選手が感動のハグ…現地カットを一気に見る ◆◆◆ 5月1日、午後3時過ぎ。男は番記者を1人も引き連れることなく、甲子園の室内練習場からクラブハウスへと続く階段をゆったりと上がってきた。 阪神はこの日から本拠地で巨人との3連戦に突入する。その初戦を前にした野手組の練習は、深夜から朝にかけて降り続いた雨の影響もあって室内で行われた。3時間後に「伝統の一戦」が迫っているタイミング。報道陣からすれば、練習後のぶら下がり取材は試合原稿用のエピソードを入手する最後のチャンスでもある。それなのに、背番号2へのマークは極めて薄い。 室内練習場の出口からクラブハウスの入り口までごったがえす数十人の阪神担当記者が、巨人戦が始まる直前にもかかわらず、誰1人として彼の背中を追いかけない。数年前は想像もできなかった光景である。元虎番でもあるこちらが少しばかり驚いていると、梅野隆太郎は落ち着いた口調で現状を明かしてくれた。 「1軍に上がってからも、何か節目のタイミングでもない限りはなかなか取材されませんよ。2軍にいたときも練習後の取材はほぼゼロと言ってもいいぐらいでした。ホームランを打った試合後に囲まれたりしたぐらいだったかな」 でも、それは仕方がないことなので――。そう言わんばかりに、梅野は最後まで明るい表情を貫いたままクラブハウスに姿を消した。
取材対応の後、梅野は苦笑いしていた
34歳の捕手は8日前の4月23日、すでにチームが22試合を消化した時点でようやく1軍に招集されていた。今季初の1軍合流だった。投手陣は直前の横浜スタジアム2試合で計23失点。首脳陣は負の連鎖に終止符を打つため、ベテランの経験値にきっかけを求めたのだろう。 その日、梅野はチームバスを降りて横浜スタジアムの駐車場を歩き始めると、とたんに10人前後の番記者から質問を投げかけられた。ただ、自分の立ち位置は誰よりも本人が一番把握していた。 「今の自分は『とにかく頑張ります』としか言いようがありませんからね」 1軍初合流の記事に必要なコメントを虎番に渡し終えたあと、梅野はそう言って苦笑いしていた。 実はチームバスが球場に到着した時点で試合の雨天中止は決まっていた。もともと翌日はゲームがない帰阪日。主力勢は横浜スタジアムに降り立つことなく、いち早く帰路に就くために、球場方面からUターンしたバスでチーム宿舎に戻っていた。 雨降る横浜スタジアムでの練習メンバーに入った。それは梅野の現在地を図らずも証明していた。いつ出番が訪れるかも分からない控えメンバー。だからこそ、男は多くを語れずにいたのである。
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