死因は「不明」や「交通事故」…中国で相次ぐ科学者たちの「不可解な死」、その真相は?
科学者の不審死や行方不明はアメリカでも起こっている
中国で急成長している人工知能防衛分野の中心人物で、国防科技大学の馮暘赫(フォン・ヤンフー)は2023年7月1日未明、北京で起きた原因不明の自動車事故で死亡した。享年わずか38歳だった。 【動画】FBIが捜査している、行方不明または死亡した核研究者11名…亡くなった研究者に関する衝撃的な新情報が明らかに この早すぎる死には多くの疑問が残っている。 たとえば、中国国営の科学ニュースサイト『Sciencenet.cn』の追悼記事は、「なぜか」馮の死を「犠牲になった」と表現した。さらに、馮は「なぜか」中国共産党のエリートや国家の英雄、革命烈士のための北京の特別な墓地、八宝山革命公墓に埋葬された。 しかし馮の死は、軍事AI、極超音速兵器、宇宙防衛といった極めて機密性の高い分野で働く一流科学者の予期せぬ死の一例にすぎないと、中国内外のメディアは報じている。 馮のような科学者の死は、現在アメリカで調査が進められているアメリカの科学者の失踪や死亡の波と呼応している。このような科学者の死亡事案はアメリカで11件、中国で少なくとも9件確認されている。 このことは一部の軍事アナリストの間で不穏な疑問を呼び起こしている。静かな「科学者戦争」が進行しているのではないかというものである。
台湾を想定した戦争シミュレーションの黒幕だった?
米中間の競争は激動する国際情勢の下で激しさを増している。この競争は、経済力だけでなく決定的な軍事力をももたらす科学技術分野でも繰り広げられている。 中国では、メディアやSNSの報道、追悼記事が、科学者の死を交通事故やその他の詳細不明の「事故」、あるいは原因不明と伝えている。死亡時の年齢は26歳から68歳まで広範に及ぶ。 中国国営紙『チャイナ・デイリー』によると、馮は北京で仕事の会議を終えて帰る途中、午前2時35分ごろに死亡した。同紙は追悼式の主催委員会の通知を引用し、馮が「重大な任務」に従事していたと報じたが、詳細は明らかにしていない。Sciencenet.cnは「公務遂行中に犠牲となった」としている。 中国人民解放軍を研究する西側シンクタンクの経験豊富な匿名の研究者は、この問題の極めて高い機密性のため、「この種の問題に関わることは健康に良くないと思う」としつつも、「馮は台湾のシナリオを想定したAIシミュレーションの中心人物であり、事故が深夜に起きたというのは非常に不自然だ」と本誌に語った。 「自動車事故で死亡した人物が通常『命を犠牲にした』と表現されることはない」と述べたほか、馮が北京の八宝山革命公墓に埋葬されたことについても「非常に不自然だ」と指摘した。 「死亡が発生している分野は、極超音速、群知能シミュレーションを含む軍事AIなど、実際に大きな差を生み得る技術である。これらの技術分野が集中しているように見える。目的は特定の集団を完全に排除することではなく、革新的な研究を進める最も優秀な人材の一部を排除することで抑止効果を生むことにあるのかもしれない」 ただし、一部の事例は「完全な事故」である可能性が高いとしている。 仮に中国の敵対勢力が関与しているとすれば、「中国の進展を遅らせようとしている可能性がある。状況はますます異常に見えてくる」と語った。 在米中国大使館は本誌に対し、「関連する状況を把握していない」と回答した。 「中国は常に協力と健全な競争を通じて科学技術の進歩を推進することに尽力してきたという点は強調したい」 また、ホワイトハウスのアンナ・ケリー報道官は、中国で科学者が不審な死を遂げていることへの明言を避け、「ホワイトハウスはこれらの事案を調査し、アメリカ国民に透明性を提供するため、関係機関間の連携を継続している。調査に先行する発言は控える」というコメントにとどめた。