【GHC】「攻めのPFM」とは何か、PFMは概念ではなく「設計図」
2026.5.8.(金)
PFM(Patient Flow Management)は、多くの病院で取り組まれているテーマです。しかし、その多くは「やっているつもり」で止まっているのが実情ではないでしょうか。
グローバルヘルスコンサルティング・ジャパン(GHC)のコンサルタントでMulti Disciplinary マネジャーの太田衛は、PFMの成否を分けるのはしっかりとした概念の理解や関係者の努力ではなく、「設計」であると指摘します(本記事はGHC×OPERe共催ミニウェビナー「令和8年4月にまず着手すべき「攻めのPFM」~改定を追い風にデジタルマネジメント~」の内容から一部抜粋して構成されています)。
「忙しいのに成果が出ない病院」の共通点
- PFMをどういう意味で使っていますか?
- PFMにはどのような効果があるか説明できますか?
- 関係する部門での解釈は同じですか?
PFMを推進する読者の皆様は、上記3つ質問に答えることはできますか?
PFMはしばしば「患者の流れを管理すること」と説明されますが、それだけでは現場は動きません。重要なことは、「PFM=導線×運用×KPI」の設計思想です。つまり、
- どの患者を対象にするのか(導線)
- 誰がどこまで担うのか(運用)
- 何をもって評価するのか(KPI)
この3点がそろって初めて、PFMは機能します。「忙しいのに成果が出ない病院」という病院に限って、この3つがそろっていません。
「リソース不足」ではなく「ロス」が問題
病院経営では「人が足りない」「ベッドが足りない」といった「リソース不足」に目が向きがちです。しかし実際には、「成果=能力×稼働−ロス」であり、ロスの削減こそが最もインパクトの大きい改善領域です。例えば、
- 同じ説明を何度も行う
- 問い合わせが分散する
- 手術準備が間に合わない
といった「当たり前に存在している無駄」は、見過ごされがちな経営課題です。
部門最適が「全体非効率」を生む
もう一つの重要な視点は、「分断」です。多くの病院では、「地域連携室」「外来」「病棟」「医事課」などがそれぞれ最適化されている一方で、全体としての患者導線は設計されていないことが多いです。その結果、
- ボトルネックが見えない
- 責任の所在が曖昧
- 改善が局所的に終わる
という状態に陥ります。
では、「攻めのPFM」とは何か。それは単なる効率化ではなく、(1)患者導線を設計し(2)ロスを可視化し(3)データで改善を回す――ことで、「提供量・収益・品質」を同時に高める経営戦略に他なりません。
すべてを一度に変える必要はありません。重要なのは、「手術症例か」「緊急入院か」「特定疾患か」など、「どの領域からPFMを設計するか」を明確にすることです。ここを誤ると、PFMは単なる「業務改善活動」で終わってしまいます。
診療報酬改定は、常に「あるべき医療提供体制」を示しています。今回のキーワードである「連携・段取り・効率化」は、まさにPFMそのものです。これからの病院経営において、PFMをどう設計するかは、競争力を左右する重要なテーマになるでしょう。
GHCでは今後も、データと現場の両面から「攻めのPFM」の実装を支援してまいります。