母子安全のため減胎手術後の妊婦、大学病院3割が計42人受け入れ…読売調査で不明な実態の一端判明
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三つ子や四つ子などを身ごもる多胎妊娠に対し、母子の安全のため胎児の数を減らす「減胎手術」で、大学病院の3割が2020年以降、手術後の妊婦を少なくとも計42人受け入れた経験があることが読売新聞の調査で分かった。この手術は法的位置づけが不明確で、国内の実施数も十分に把握されていない。高度な医療を担う大学病院への調査でその一端が明らかになり、専門家からは早急なルール化を求める声が上がっている。
多胎妊娠は早産や、妊娠高血圧症候群などの合併症が懸念される。減胎手術はこれらのリスクを軽減するための処置だが、「命の選別」につながる倫理的課題も指摘されている。ごく一部の医療機関が実施を公表していたものの、大阪大のチームが25年夏、国内初の臨床研究を行ったと発表し、多施設共同での新たな臨床研究を計画していると明らかにした。
今回の調査は、国内の減胎手術の実態を探る目的で25年11月に実施した。全国医学部長病院長会議会員の82大学・大学校に付属する90病院に、多胎妊娠や減胎手術に関して尋ね、72病院から回答を得た。大学病院は、減胎手術後の双子の出産などリスクの高いケースに対応している。
それによると、20年1月から25年10月までの間に減胎手術を行ったことがあると答えたのは阪大のみだったが、17都府県の27病院が「他施設で減胎手術を受けた妊婦を受け入れた経験がある」とした。受け入れた病院への取材で、少なくとも計42人の妊婦が他施設で手術を受けた後、大学病院を受診していた。妊婦が手術を受けた他施設については、1986年に国内で初めて手術の実施を公表した諏訪マタニティークリニック(長野県)や、不妊治療を手がける地元の医療機関を挙げた。
また、同じ期間内に6病院が、減胎手術を受ける妊婦を少なくとも計9人、他施設に紹介したと答えた。
阪大が計画する新たな臨床研究に参加する意向の有無も尋ねたところ、8病院が「ある」とし、23病院が「検討中」とした。
生命倫理に詳しい北里大の斎藤有紀子准教授は調査結果について、「減胎手術は決して珍しいことではなく、現場の医師たちが何かしらの対応を必要としていることが分かった」と評価する。その上で、「実態を透明化し、母子にとってどんな方法であれば安全に行えるのか、速やかにルール作りを進めることが重要だ」と指摘する。
◆減胎手術 =多胎による妊娠中や出産のリスクを回避するため、一部の胎児を減らす目的で行われる。胎児に薬を注入し、心臓を停止させる方法などがある。