『諡法解』は西漢の学者
劉向 によって整理・編纂された散文作品であり、『逸周書』に収録されている。この文章は周代の礼制に基づき、周公旦と太公望の創始に仮託して、先秦の諡法制度を体系的に整理し、古代の諡号の評定規則と政治倫理を解説している。
全文は「諡は行いの跡なり」を核心とし、帝王将相の諡号の意味と対応する徳行の基準を条項ごとに解析している。例えば「経緯天地を文と曰う」「禍乱を克定するを武と曰う」などである。百余りの諡字の解釈を通じて、周代の礼制規範を示すとともに、儒家の道徳観念を融合させている。その条項ごとの対句を用いた簡潔な体例は、後世の諡法制度研究に文献的基盤を提供しており、また、古代の称谓语研究における重要な学術的源流と見なされている。
諡法 解
周公旦と太公望は、嗣王の業を開き、牧野の戦いで功を立てた。終に葬らんとするに及び、諡を制定した。ここに 諡法 を叙する。諡は行いの跡である。号は功の表れである。車服は位の章である。これにより、大いなる行いには大いなる名を受け、細やかな行いには細やかな名を受ける。行いは己より出で、名は人より生ず。
民、能く名づくること無きを神と曰う。
善を称え、賦を簡にするを聖と曰い、賓を敬し礼を厚くするを聖と曰う。
徳、天地に象るを帝と曰う。
民を静め則を法とするを皇と曰う。
仁義の在る所を王と曰う。
賞慶と刑威とを君と曰い、これに従いて群を成すを君と曰う。
制を立てて衆に及ぼすを公と曰う。
八方に応じて執るを侯と曰う。
一徳解かずを簡と曰う。平易で疵なきを簡と曰う。
経緯天地を文と曰う、道徳博聞を文と曰う、
学び勤め好んで問うを文と曰う、慈恵民を愛するを文と曰う、
民を愍み礼を恵むを文と曰う。民に爵位を賜うを文と曰う。
剛強にして理直きを武と曰う、威強にして徳を澼するを武と曰う、
禍乱を克定するを武と曰う、民を刑し克服するを武と曰う、志を誇り多く窮まるを武と曰う。
事を敬い上に供うを恭と曰う、賢を尊び義を貴ぶを恭と曰う、
賢を尊び譲りを敬うを恭と曰う、過ち有りて能く改むるを恭と曰う、
事を執り固く堅しを恭と曰う、民を愛し長弟を恭と曰う、
礼を執り賓を御するを恭と曰う、親の闕を芘するを恭と曰う、
賢を尊び善を譲るを恭と曰う、淵源流通を恭と曰う。
四方を照らし臨むを明と曰う、讒訴行わざるを明と曰う。
威儀悉く備わるを欽と曰う。
大いに慮りて民を静むるを定と曰う、民を安んじ大いに慮るを定と曰う、
民を安んじて古に法るを定と曰う、純行にして二ならざるを定と曰う。
諫争して威ならざるを徳と曰う。
地を辟きて徳有るを襄と曰う、甲冑に労有るを襄と曰う。
伐つこと有りて還るを釐と曰う、質淵にして諫を受くるを釐と曰う。
博聞多能なるを憲と曰う。
聰明にして澼哲なるを献と曰う。
温柔にして聖善なるを懿と曰う。
五宗これを安んずるを孝と曰う、慈恵にして親を愛するを孝と曰う、
協時に肇享するを孝と曰い、徳を秉りて回らざるを孝と曰う。
大慮を行い節を守るを考と曰う。
心を執り克く荘なるを斉と曰い、資輔を供え就くを斉と曰う。
豊年を好み楽しむを康と曰い、安楽にて民を撫するを康と曰い、民をして安楽ならしむるを康と曰う。
民を安んじ政を立てるを成と曰う。
徳を布き以て執るを穆と曰い、情を中にし貌に見るを穆と曰う。
敏にして敬順するを頃と曰う。
徳を昭かにして労有るを昭と曰い、容儀恭美なるを昭と曰い、聖聞周達なるを昭と曰う。
民を保ちて耆艾なるを胡と曰い、弥年寿考なるを胡と曰う。
強毅果敢なるを剛と曰い、前過を追補するを剛と曰う。
柔徳にして衆を考うるを静と曰い、己を恭しくして言鮮かなるを静と曰い、寛楽にして終わりを令しむるを静と曰う。
治めて眚なくんば平と曰い、執事に制あれば平と曰い、綱を布き紀を治むるを平と曰う。
義に由りて済うを景と曰い、義を布き剛を行うを景と曰い、耆意大慮を景と曰う。
清白にして節を守るを貞と曰い、大慮克く就るを貞と曰い、隠さず屈せざるを貞と曰う。
猛にして剛果なるを威と曰い、猛にして強果なるを威と曰い、強毅信正なるを威と曰う。
土を辟き遠を服するを桓と曰い、克く敬し民に勤むるを桓と曰い、土を辟き国を兼ぬるを桓と曰う。
道徳純一なるを思と曰い、大いに兆民を省みるを思と曰い、外内思索するを思と曰う。
前過を追悔するを思と曰う。柔質にして民を慈しむを恵と曰い、民を愛し好んで与うるを恵と曰う。
柔質にして諫を受くるを慧と曰う。
能く衆を思弁するを元と曰い、義を行い民を説くを元と曰う、
始めて国都を建つるを元と曰い、主として義を行い徳をなすを元と曰う。
兵甲亟に作るを荘と曰い、澼圉を克服するを荘と曰う、
敵に勝ち志強きを荘と曰い、原野に死するを荘と曰う。
しばしば征伐し殺伐するを荘と曰い、武あって遂げざるを荘と曰う。
克く殺し政を執るを夷と曰い、心を安んじ静を好むを夷と曰う。
義を執り善を揚ぐるを懐と曰い、慈仁にして短折するを懐と曰う。
夙夜警戒するを敬と曰い、夙夜恭しく事えるを敬と曰う。
方に象り益々平らかなるを敬と曰い、善く法典に合するを敬と曰う。
義を述べて克たざるを丁と曰い、迷いて悌せざるを丁と曰う。
功有りて民を安んずるを烈と曰い、徳を秉り業に遵うを烈と曰う。
剛克にして伐つを翼と曰い、思慮深遠なるを翼と曰う。
心を執り決断するを粛と曰う。民を愛し治めを好むを戴と曰い、典礼寒からざるを戴と曰う。
死して志成るを霊と曰い、乱れて損なわざるを霊と曰う。
鬼神を極めて知るを霊と曰う、勤めずして名を成すを霊と曰う、
死して神能を見るを霊と曰う、鬼神を好んで祭るを霊と曰う。
短折して成さざるを殤と曰う、家せずして短折するを殤と曰う。
顕わさずして国に尸するを隠と曰う、隠し拂いて成さざるを隠と曰う。
年の中に早く夭するを悼と曰う、行いを肆にして祀りに労するを悼と曰う、恐懼して従い処するを悼と曰う。
思わずして愛を忘るるを刺と曰う、愎狠にして過ちを遂ぐるを刺と曰う。
外内従って乱るるを荒と曰う、楽しみを好み政に怠るを荒と曰う。
国に在りて難に逢うを愍と曰う、民を使いて折傷せしむるを愍と曰う、
国に在りて憂いに連なるを愍と曰う、禍乱方に作るを愍と曰う。
早く孤にして短折するを哀と曰う、恭仁にして短折するを哀と曰う。
早く孤にして位を鋪くを幽と曰う、壅遏して通ぜざるを幽と曰う、動祭して常を乱るを幽と曰う。
威を克ち行い捷やかなるを魏と曰う。威を克ち礼を恵むを魏と曰う。
礼を去り衆を遠ざけるを炀と曰う。内を好み礼を遠ざけるを炀と曰う。内を好み政を怠るを炀と曰う。
心を甄り懼れを動かすを頃と曰う。
威徳剛武なるを圉と曰う。
聖善にして周く聞こゆるを宣と曰う。
民を治め克く尽くすを使と曰う。
行い中外に見ゆるを悫と曰う。
敵に勝ち壮志なるを勇と曰う。
功を昭かにし民を寧んずるを商と曰う。
古を状かし今を述ぶるを誉と曰う。
心能く義を制するを度と曰う。
和を好み争わざるを安と曰う。
内外貞復なるを白と曰う。
その国に生ぜざるを声と曰う。
無辜を殺戮するを厲と曰う。
官人実に応ずるを知と曰う。
凶年穀無きを糠と曰う。
名実爽わざるを質と曰う。
前過を悔いざるを戾と曰う。
温良好楽なるを良と曰う。
威を怙り行いを肆にするを丑と曰う。
徳正しく和に応ずるを莫と曰う。
勤めて私なく施すを類と曰う。
好んで民を動かし変えるを躁と曰う。
慈しみ和らぎ服し易きを順と曰う。
志満ちて窮み多きを感と曰う。
身を危うくして上に奉ずるを忠と曰う。
果敢に慮り果敢に遠くを趕と曰う。
政を息み外と交わるを携と曰う。
疎遠にして位を継ぐを紹と曰う。
義を彰かにして過ちを掩うを堅と曰う。
始め敏にして行い成るを直と曰う。
内外賓服するを正と曰う。
華やかな言葉で実質が無いことを誇という。
教え諭して倦まないことを長という。
民を愛することを刑罰において行うことを克という。
天に逆らい民を虐げることを抗という。
廉潔を好み自らを律することを節という。
善を選んでこれに従うことを比という。
好んで古いものを改めることを易という。
名と実が合わないことを繆という。
思い厚くして誤りがないことを願という。
心正しく大らかなことを匡という。
隠と哀はその方(方法)であり、景と武もその方である。施すことを文といい、除くことを武という。地を開拓することを襄といい、遠方を従わせることを桓という。剛をもって勝つことを発といい、柔をもって勝つことを懿という。正しく行うことを荘といい、過ちがあることを僖という。施して成し遂げないことを宣といい、恵みを与えても内に徳が無いことを平という。志を失って改めることがなければ、その明らかな部分によって名づけ、その他は全て象(似せる)である。和は会うこと、勤は労すること。遵は従うこと、爽は損なうこと、肇は始めること、憹は治めること、康は安らぐこと、怙は頼ること。享は祀ること、胡は大きいこと、服は敗れること。秉は順うこと、就は会うこと、寒は過ち、錫は与えること、典は常のこと、肆は放つこと、穅は虚しいこと、澼は聖なること、恵は愛すること、綏は安らぐこと、堅は長いこと、耆は強いこと、考は成すこと、周は至ること、懐は思うこと、式は法、布は施すこと、敏は速いこと、捷は勝つこと、載は事、弥は久しいこと。
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『逸周書・諡法解』は、成立時代が最も早く、影響が最も深く、最も古典的な諡法文献である。その冒頭では、「諡は行いの跡である。号は功績の表れである」と明言しており、
諡号 を通じて死者の生前の行為や功績に対し、棺を蓋う際の定評的な評価を行うことを目的としており、一定の官職や学識を有する者にのみ資格が与えられる。
諡号 は主に美諡、悪諡、平諡の三種類に分けられる。このうちほくそう以降、悪諡は廃止され、清滅亡後、諡号制度も廃止された。諡法の起源については、伝統的な説では西周初期の周公による制定とされるが、近代には
金文 の考釈に基づき、その形成は西周中期の周恭王の時期であると考える学者もいる。この文献は諡法研究の礎となる著作として後世に深い影響を与え、
魏晋南北朝 から宋代にかけて、その諡号用字を注釈・推演・増補する専門書が多数現れた。
『諡法解』の本文の核心的なスタイルは、諡字を分条列挙し、それに対応する徳行の基準を解釈することである。例えば、「経緯天地を文と曰う」は天地の道を成し遂げることを指し、「禍乱を克定するを武と曰う」は武力をもって禍乱を平定することを指す。その評価原則は「是以大行受大名、細行受細名」、すなわち死者の生前の行為の大小に基づいて相応の諡号を与えることを強調している。
この文献は周代の礼制規範と
儒家 の道徳観念を融合させており、儒家は「正名」思想を通じて諡法と等級・貴賤・褒貶を強調する考え方を結びつけた。徳行評価の性質に基づき、諡号は美諡・悪諡・平諡の三種類に分けられる。文・徳・武の類は美諡に属し、褒揚の性質を持つ。厲・幽・煬の類は悪諡に属し、貶斥の性質を持つ。懐・悼・哀の類は平諡に属し、同情の性質を持つ。
具体的な諡字の定義においては、例えば「辟土服遠を桓と曰う」、「克敬動民を桓と曰う」、「兵甲亟作を壮と曰う」、「叡圉克服を壮と曰う」、「名与実爽を繆と曰う」、「猛以剛果を威と曰う」、「強義執正を威と曰う」などがある。
伝統的な説では、諡法制度は
西周 初期に形成され、周公旦と太公望によって制定されたとされている。
近代の学者の中には、金文の考釈に基づき、諡号制度は実際には 西周 中期の恭王・懿王の段階で形成されたと考える者もいる。
秦朝はかつて諡法を廃止したが、漢朝がこれを復活させ、後世に継承された。
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『逸周書・諡法解』は、成立時期が最も古く、影響が最も深遠な諡法の古典文献である。魏晋南北朝時代、学者たちは『諡法解』に対して大量の注釈、推演、増補を行い、
杜預 の『春秋諡法』、
沈約 の『諡例』、賀琛の『新諡法』などの重要な著作が生まれた。これらの著作は、主に『逸周書・諡法解』における諡号の用字について評注や考証を行うことに重点が置かれており、唐代さらには宋代の諡法に極めて大きな影響を与えた。宋代に編纂された『編定六家諡法』には、『春秋諡法』、『広諡』、『諡例』、『新諡法』など、魏晋南北朝期の複数の諡法著作が収録されている。
出土文献、例えば60TAM316:082残巻の内容は、『逸周書・諡法解』と一致する点や相違点があり、その伝来と変遷の軌跡を裏付けている。後世、歴史人物の諡号を評定する際には、しばしば『逸周書・諡法解』の解釈を核心的な根拠としており、例えば
張飛 の「桓」、
関羽 の「壮繆」、そして馬超の「威」などの諡号は、その解釈がすべてこの文献に由来している。
劉向(紀元前77年頃—紀元前6年)は、別名を劉更生、字を子政という。西漢の経学者、目録学者、文学者である。
沛県 (現在の
江蘇省 に属する)の出身。楚の元王
劉交 の四世孫。漢の宣帝の時、諫大夫となる。漢の元帝の時、宗正に任ぜられる。宦官の弘恭・石顕に反対したことで投獄されるが、まもなく釈放された。その後、再び恭・顕に反対したことで投獄され、庶人に免ぜられた。漢の成帝が即位した後、登用され、
光禄大夫 に任ぜられ、「向」と改名し、中壘校尉にまで至った。かつて命を受けて秘書の校訂を率い、著した『
別録 』は、中国最古の図書公類目録である。『春秋穀梁伝』を研究した。『九嘆』などの辞賦33篇を著したが、多くは散逸した。現存するものに『
新序 』、『
説苑 』、『
列女伝 』などの書があり、『五経通義』には清代の馬国翰による輯本がある。もと文集があったが散逸し、明代の人が『劉中壘集』として輯録した。生涯の事跡は『
漢書 』巻三十六に見える。
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1.皇甫谧,逸周书,辽宁教育出版社,1997年03月第1版,48 2.郭丹主编,.先秦两汉文论全编:上海远东出版社,2012.07:569 3.浅析《黄绣球》中的称谓语 . 海讯科技 . 2024-03-23 4.Evolution of Warrior Spirit in the Han Dynasty and the Generation of Hero Culture . 西南大学 . 2011-11-20 6.谥号:一字定褒贬,宠辱片言中 . 腾讯网 . 2015-02-23 7.历史官职 . 个人汉字学习 . 2025-10-26 10.魏晋南北朝谥法制度研究 . 全国哲学社会科学工作办公室 . 2024-05-16 11.魏晋南北朝谥法制度的特点 . 澎湃新闻网 . 2019-12-17 12.米晓燕:曹丕诗歌的“文士气”及其文学史意义 . 爱思想 . 2026-01-05 13.谥:人不是按照一辈子来活的 . 甘肃纪检监察网 . 2022-08-29