日本にとって、ロシアによるウクライナ侵攻の問題は、単なる道徳論ではない。これは、日本を含む多くの国々が恩恵を受けてきた「ルールに基づく国際秩序」を維持できるかどうかという問題である。もし日本の一部の政治家がロシアの行動を既成事実として受け入れ、正常化し始めるのであれば、それはウクライナ以上に日本自身を傷つけることになる。なぜなら日本の西側には、急速な軍拡を進め、歴史修正主義的な姿勢を強め、日本に対する歴史的な反感や不満を抱える、はるかに強大な隣国が存在しているからだ。
目先の問題を解決するために、中長期的な利益や安全保障を犠牲にするというのは、ほとんどの場合、敗北につながる選択である。日本自身、決して安泰な立場にあるわけではない。海空戦力そのものは一定の能力を維持しているものの、艦艇数の制約、防衛関連法制、防衛予算の限界、軍艦建造能力の不足、さらには軍務に対する社会的な忌避感など、多くの要因が中国に対する日本の相対的な立場を弱めている。
日本が長年にわたり大規模な軍備拡張に踏み切らなかった理由は、アメリカの安全保障の傘の下にあり、最終的にはアメリカが日本を防衛するという前提が存在していたからである。その前提自体はいまなお有効である可能性が高い。しかし近年の中東におけるアメリカの対応、とりわけホルムズ海峡の安全確保すら十分に行えなかった現実は、アメリカがより巨大で能力の高い核保有国と本格的に対峙する準備ができているのかという疑問を生じさせている。
それでもなお、侵略戦争や領土併合を行う国家が国際社会から孤立し、先進国から排除されるという国際的な安全保障・政治秩序は、世界の安定と貿易を維持するうえで不可欠である。そしてその安定は、天然資源に乏しく、輸入と輸出、さらには安全な海上輸送路に大きく依存する島国である日本にとって、特に重要な意味を持つ。
ならず者国家との関係正常化は、まさにその秩序そのものを損なう行為である。もし各国が短期的な政治的利益のためにこうした原則を軽視し続けるのであれば、将来、中国と台湾の間で有事が発生した際に、世界が大きな代償を払うことなく中国との貿易を継続したとしても、何ら不思議ではない。その結果、中国は日本を含む地域全体に対する経済的・軍事的支配力をさらに強めていくことになるだろう。
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