外国人生活保護受給者は本当に多いのか?──外国人4%、日本人1.6%?
近年、日本の生活保護制度における外国人受給者の存在は、しばしば議論の的となってきた。巷では「外国人が生活保護を大量に受給している」といった声も聞かれるが、果たしてその実態はどうなのであろうか。本稿では、公開されている統計データに基づき、外国人生活保護受給者の現状を考察する。
外国人生活保護受給者数の推移
まず、外国人生活保護受給者数の全体的な推移を見てみよう。厚生労働省のデータによると、2012年には71,890人であった外国人生活保護受給者数は、2023年には63,547人と、8,343人の減少を見せている。この数字だけを見れば、外国人生活保護受給者は減少傾向にあることが明らかである。
この減少傾向の背景には、特定の国籍の受給者数の変化が大きく影響している。特に顕著なのが韓国・朝鮮国籍の人々である。2012年の38,299人から2023年には32,315人へと、5,984人もの減少を記録しているのだ。これは、同時期に日本に在留する韓国籍の人数が2012年の530,421人から2023年の410,156人へと減少している傾向と一致している。在留者数の減少が、そのまま生活保護受給者数の減少に繋がっていると考えるのが自然であろう。
一方で、中国籍の生活保護受給者数は増加傾向にある。2012年の8,527人から2023年には9,471人へと増加しており、これは中国人の在留者数が2012年の653,592人から2023年には821,838人へと大幅に増加していることと関連していると考えられる。在留者数の増加が受給者数の増加に繋がるという、韓国・朝鮮国籍とは逆の現象が起きているのである。
人口比から見る外国人生活保護受給の実態
単純な受給者数だけではなく、人口比で見た場合の外国人生活保護受給者の割合はどうであろうか。生活保護を受給できる可能性のある在留資格を持つ外国人は、永住者、永住者の配偶者、特別永住者、日本人の配偶者、定住者、そして難民認定された者(難民認定により基本的に定住者の在留資格となる)に限られている。これらの在留資格を持つ外国人の総数は、2012年の1,359,973人から2023年には1,589,127人へと増加している。
この資格保有者数に対する生活保護受給者の割合を見ると、2012年には5.29%であったものが、2023年には4%へと減少していることが分かる。つまり、対象となる外国人の全体数が増えているにもかかわらず、その中で生活保護を受給している割合は減少しているのである。
では、日本人の生活保護受給者の人口比と比較してみよう。2012年の日本人人口は1億2,602万3千人に対し、生活保護受給者は201万8,545人であり、その割合は1.60%であった。2023年には日本人人口が1億2,435万2千人、生活保護受給者が192万5,820人となり、割合は1.55%とわずかに減少したに過ぎない。
これらの数字を比較すると、**外国人の生活保護受給割合が4%であるのに対し、日本人は1.55%**となっている。受給人数そのものは外国人63,547人に対して日本人192万5,820人と、圧倒的に日本人の方が多く、この事実は揺るがない。しかし、人口比で見れば、外国人の方が高い割合で生活保護を受給しているという結論に至る。
「外国人の方が生活保護を多く受けている」という認識は、単純な人数比較では誤りであるが、人口比という視点に立てば「正しい」とも言える複雑な現実がここには存在するのである。
「当分の間」が問いかける制度のあり方
生活保護制度は、憲法第25条に定められた「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を保障するための、日本国民のための制度である。しかし、戦後混乱期の1954年(昭和29年)5月8日、厚生省社会局長通知「生活保護法による保護の実施要領について」において、「生活に困窮する外国人に対しては一般国民に対する生活保護の決定実施の取扱に準じて左の手続により必要と認める保護を行うこと」と、暫定的に外国人の生活保護が認められた経緯がある。この「当分の間」が、実に71年間も続いているのが現状なのである。
当時の通知は、おそらく在日朝鮮人などの特定の集団を念頭に置いたものであろう。しかし、70年以上の歳月が流れ、当時の対象者も多くが他界されていることだろう。この暫定的な措置が71年間も継続している現状は、もはや「当分の間」と呼ぶには無理がある。
歴史的経緯を理解した上であっても、これほど長期にわたって暫定措置が固定化されている現状は、制度として見直しの時期に来ているのではないかと考えられる。
必要とされる議論と制度の見直し
人道的な支援の重要性は言うまでもない。しかし、同時に、生活保護制度が悪意をもって利用される可能性も否定できない。一部の外国人が生活保護を不正に受給したり、制度の趣旨を理解せず安易に依存したりするケースも皆無ではないだろう 。このような状況が続けば、制度本来の目的が揺らぎかねない。外国人の生活保護を廃止にすることが望ましいが、完全に廃止となると人道的問題により国際的に非難される可能性もある。
本来、生活保護は自立支援を目的とするものである。外国人の生活保護受給においても、単なる金銭給付に留まらず、自立に向けた支援。本来は母国で生活支援を受けるべきものであるはずなので、母国への帰国支援なども視野に入れるべきではないだろうか。
また、生活保護の立て直しや帰国の検討を真摯に行わない場合、あるいは不正受給が疑われる場合には受給停止、悪質場合は詐欺として懲役刑や退去措置の適用を検討するなどの厳格な対策を検討するなど外国人への生活保護を厳格化する時期、また廃止し新たな人道支援システムへ向けて徐々に縮小するべき時期に来ているのではないだろうか。
70年間続く「当分の間」の暫定措置を、今こそ見直す時期が来ているのではないか。国民の税金で支えられている生活保護制度の持続可能性と公平性を確保するため、そして真に困窮する人々への支援を継続するためにも、外国人の生活保護のあり方について、より深い議論が求められている。
おわりに
本稿で示された数字と考察が、日本の生活保護制度における外国人受給者の実態について、読者の皆様がより多角的な視点を持つ一助となれば幸いである。そして、この国の福祉制度を、真に困窮するすべての人々のために守り続けるためにも、建設的な議論の深化を切に願う。



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