ある阪神OBは、高橋が登板した今季すべての試合でバッテリーを組む捕手・伏見寅威の配球術を評価する。
「右打者の内角に直球をどんどん要求するので、変化球が効いてくる。打者の狙い球を察知しながら組み立てる配球でフルスイングをさせていません。伏見は日本ハムから昨オフにトレード移籍してきましたが、高橋の能力を引き出す最高の相棒になっています」
5度の手術を経験、育成契約にも
投手としてまばゆい才能を持っていることを誰もが認める左腕だが、プロ野球人生は故障との戦いだった。プロ入り後に5度も手術を経験し、リハビリを経て何度もはい上がってきた。22年4月にはトミー・ジョン手術を受け、同年から2年連続1軍登板はなく、23年オフには育成契約も経験している。
メジャー球団のスカウトは、視察して衝撃を受けた日本人投手として「山本由伸と高橋遥人」と答えている。山本はオリックス時代に史上初の2年連続「投手5冠」に輝くなど日本を代表する投手となり、今はドジャースのエースとして活躍する。一方の高橋は規定投球回に到達したシーズンが一度もない。それでも強烈に印象に残ったという。
「6、7年前ですかね。まだ高橋が1軍で駆け出しの時期でしたが、140キロ中盤の球速表示より威力を感じる直球で、ツーシームも凄かった。同じ左腕の宮城大弥(オリックス)、今永昇太(DeNA)が好投手であることは間違いないのですが、高橋は『どんな投手になるんだろう』と想像がつかないスケールの大きさを感じました。故障で1軍のマウンドから離れた時期がありましたが、今年の投球を見ていたらメジャーですぐに通用しますよ。登板間隔を空ける必要があるので評価は分かれますけどね」
阪神では佐藤輝明、才木浩人が将来のメジャー挑戦を熱望している。高橋についてもSNS上で「世界に見つかる」「こんないい投手をメジャーは放っとかない」などの声が聞かれるが、阪神を取材するライターは「本人は1年でも長く阪神でプレーしたい思いが強いでしょう」と話す。
「手術で投げられない時期が長かったにもかかわらず、面倒を見てくれた阪神に恩義を感じています。本人も『全然恩返しできていないので返していきたい』と話していますし、活躍しても浮ついたところがない。それにマイペースな性格なので、あまり環境を変えたくないのでは(笑)。30歳と若くはない年齢ですが、制球力が改善されて変化球の質が上がっている。彼の全盛期はこれからですよ」
マウンド上では堂々とした立ち振る舞いで快刀乱麻の投球を見せているが、試合後のお立ち台では独特のワードセンスと、しどろもどろになる姿がギャップとなりファンに愛されている。怖いのは故障だけだろう。先発でシーズンを完走したとき、どんな数字を叩き出しているだろうか。
(ライター・今川秀悟)
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