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鬼の目にも何とやら/Novel by トト@統合先プロフにて

鬼の目にも何とやら

5,574 character(s)11 mins

銀魂です。思いついたので書きました。最近こんなんばっかです。下書きなしプロットなしなので生産できました。適当です。★何か凄い戦いの後です。何か凄い戦いの。

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 顔に被せていた週刊少年座雑誌のジャンプが、身じろぎしたことで少しずれた。薄汚れた天井が目に入る。実家はそう遠くないくせに何故か我が物顔でしばしば寝泊まりまでする道場復興を志した青年が、まめに掃除をしてくれるおかげで、「薄汚れた」程度で済んでいるのは知っている。尤も、頼んだ覚えなどないのだが。いつも気が付くと勝手に掃除をして、手伝えと雑巾を投げて寄越してくる。
 ――――嗚呼、ソファで寝ちまったのか。
 起き上がって頭を振った。大きな欠伸を一つかくと、ぼんやりしている頭の中枢を叱咤する様に腕を回し―――そこで、無表情のまま彼は動きを止めた。肩に鈍く走る痛み。手をやって軽くさすってから、今更のように思い出す。少し前に、例によってこのかぶき町で一騒動あり、黒幕を叩き潰すためにこの銀髪の男は、木刀を握りしめて奔走した。だが、黒幕もまたおいそれとやられることはなく、なかなか苦戦を強いられた。挙句、万事屋で働いている二人が人質にとられたのだから、彼も心中穏やかではなくなった。
 ほとんどその後のことは覚えていない。し、覚えていたくない。ただ、滅茶苦茶な戦い方を披露して、最終的に黒幕を斃した。人質になっていた二人も、何とか無事に救出したが、無論彼は無傷では済まなかった。それどころか肩口から腕を落されるか落とされないかの瀬戸際のような、とんでもない大怪我だ。
 騒動が治まってから暫くは、かぶき町内の病院で療養し、つい先日、退院してこの万事屋に戻って来た。
 くしゃりと額から髪を掻き上げる。耳には何も音は入って来ない。時計を見やれば、まだ午前五時だ。普段ならば到底目覚めやしない時刻である。当然ながら、志村新八は来ていなかった。まだ自宅で寝ているのだろう。
(………神楽は?)
 この万事屋に完全に居候する形になっている、チャイナ娘の姿を探す。気配という気配がしない。試しに障子を開いてみたが、そこに布団は敷かれていることもなく、彼女はいない。また、その相棒である巨大な生物・定春もまたいなかった。この時間帯で神楽がいないというのも珍しい話で、だがキッチンを覗いてみれば酢昆布を食べ散らかした形跡があるので、特別急を要するような危ない目に遭っていることもなさそうだ。
(まー、アレだな、神楽もそんなガキじゃねえし好きに動くわな)
 キッチンに落ちている酢昆布の包み紙を取り上げるとゴミ箱に放り、それから流し台にふと視線を落とした。蛇口を捻り、冷たい水を流すと、そこにめがけて低く下げ、直に頭を突っ込んだ。後頭部からばしゃばしゃと冷たい水がぶつかっていく。あっという間にびしょ濡れになり、天然パーマでくるくると跳ねている銀髪がぺったりと頭の形にそって落ち着く。
「……あー………」
 水を止めて首を振り、猫の如く髪についた水気を飛ばす。そして、びっちょりと濡れた顔を拭うこともなくその場にずるずると座り込んだ。次いで、顔を覆う。
(………やっちまったよな)
 掌に伝わってくるひんやりとした感触。はっと息を吐いて見ると、濡れて感度が増している手にかかるのは、不規則で断続的な、明らかに震えていると分かる。手を離し、流し台の下でごつんと後頭部をぶつける。この時期に水を被るのは、やはり寒い。
 新八と神楽はどう思ったろう。もしかしたらもう来ないかもしれない。神楽も、だから今いないのかもしれない。
(………それが正解かもしれねぇよなぁ……)
 自嘲気味に笑みを浮かべる。

Comments

  • 桑箏

    September 20, 2024
  • ユーザー022
    December 15, 2023
  • まりゅーむ

    や、野性の空知だ… すげーよクオリティが高すぎです‼︎

    April 24, 2022
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