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「愛子天皇」を誕生させない皇室典範の改正は、国民を分断し、天皇制を弱体化させ、国家を危うくさせる!

作家、ジャーナリスト
昨年11月ラオス訪問時、晩餐会での愛子さま(宮内庁インスタグラムより)

■国民世論の大勢を無視した皇室典範の改正

 5月半ばに、再開されて2回目の衆参両院による「皇族数確保策に関する全体会議」が開かれる。すでに各党の意見はほとんど出揃い、これまで意見集約ができていなかった中道も意見を表明することになっている。

 会議が目指すのは、皇室典範の改正だが、高まる一方の「愛子天皇」誕生という国民世論はほぼ無視されている。このまま行くと、男系男子継承はそのままで、皇族数を増やすためだけの改正案が成立することになる。

 国民の代表である国会議員が、国民世論の大勢を無視した法改正を行う。そんなことがあっていいのだろうか? そして、このような経緯で誕生する次期天皇は、はたして国民からの敬愛を集め、この国の象徴となりえるのだろうか?

■「日本列島を、強く豊かに」は実現しない

 国民世論の大勢でない天皇が誕生した場合、この日本はどうなるかと、考えたことはおありだろうか? 高市首相が掲げる「日本列島を、強く豊かに」は、実現しないだろう。そう思えてならない。経済政策、安保政策などの強化だけで、日本が再び輝く国になれるとは思えない。

 いくら政治権力がないとはいえ、天皇制はこの国を成り立たせる根幹である。そこから、国民の心が離れれば、国家そのものが危うくなる。

 愛子天皇待望論に対して、ネットでは、「女性天皇の容認は、皇統を弱体化させようとする外国勢力の陰謀」という話が流されている。しかし、これは話がまったく逆だ。

 男系男子という、偏狭な歴史観、伝統にこだわることこそ、天皇制を弱体化させてしまう。

男系男子継承への固執が天皇制を弱体化させる

 男系男子に限るという皇室典範は、側室制度があった明治時代に制定された。側室の子にも皇位継承権があったので、この制度は有効だった。

 しかし、大正以降は一夫一妻制が確立され、昭和天皇は側室を持たなかった。そして1947年、戦後初の皇室会議で11宮家51人の皇籍離脱が決定した。

 

 こうした時代変化のなかで、男系男子に固執し続ければ、どうなるか? いずれ男子が生まれなくなり、皇統の維持は困難になる。そのための皇室典範の改正だが、強硬保守派は、いまもなお明治期のアタマのままに男系男子に固執している。

 この強硬保守派の姿勢を見ていると、彼らこそが皇室を消滅させようとしているとしか思えない。万世一系による男系男子継承が日本の伝統と主張し、その主張がかえって皇室そのものを危うくしていることを理解しようとしない。

■女性である高市首相自身が女性天皇を否定

 高市早苗首相は、皇室問題に関しては強硬保守である。

 3月16日の参院予算委員会で、敬宮愛子内親王への皇位継承を求める世論を背景に、蓮舫議員が女性天皇について質問すると、「皇室典範は、皇位は皇統に属する男系男子がこれを継承すると定めております。ですから認められません」と、はっきり答えている。  

 

 さらに続けて、蓮舫議員が「世論は6割、7割、8割、愛子天皇を認めるという声があります。女性天皇容認とも。総理は女性天皇(を認めること)への法改正に歩みを進めることはありますか」と聞くと、高市首相はこう答えている。

「政府の有識者会議の報告も、今上陛下、秋篠宮皇嗣殿下、次世代の皇位継承資格者として悠仁親王殿下がいらっしゃることを前提に、この継承の流れをゆるがせにしてはならないとなっています」

「(有識者会議の)報告書を政府としては尊重しています」

■「愛子天皇」論、「女性天皇」論は棚上げに!

 皇室典範改正を目指す「皇族数確保策に関する全体会議」は、有識者会議の報告書に基づく自民党案を基本案として検討していくことになっている。

 その決意を、高市首相は4月12日の自民党大会で、「静謐な環境で皇室典範改正を行うことを目指します」と、明言した。

 「静謐な環境」がなにを指すのかはわからない。しかし、国家の根本に関わることを、国民世論の大勢を考慮しない「静謐な環境」で決めるようなことがあっていいのだろうか。

 4月30日、15日に行われた全体会議の議事録が公開された。それによると、会議には、衆参両院の正副議長と13の党・会派の代表者が出席(中道とチームみらいは初参加)し、有識者会議が2021年にまとめた〈1〉女性皇族が結婚後も皇族の身分を保持する〈2〉旧宮家の男系男子を養子として皇室に迎える――の2案に対して、出席者がそれぞれの見解を表明した。

 森英介衆院議長は「今国会中に皇室典範改正案の成立にまでこぎ着けたい」とし、憲法第1条の「天皇の地位は主権の存する日本国民の総意に基づく」を引き合いに「国民の総意は全国民を代表する国会議員の総意、すなわち立法府の総意だ」と語って、早急な合意形成を求めた。

 つまり、愛子天皇待望論、女性天皇容認論は棚上げにして、改正案をまとめようというのである。

■「男系継承による万世一系」は麻生氏の主張

 自民党案を仕切っているのは、高市首相誕生の立役者となった麻生太郎副総裁である。麻生氏は、徹底した男系男子継承論者。

 昨年4月、麻生氏は「安定的皇位継承の法制化を求める国民大会」で、「内親王・女王方の配偶者と子どもは皇族としないことが極めて重要だ。配偶者が皇族になるとすると、結婚のハードル自体が非常に上がってしまうなど、多数の問題がある」と語った。そして、女性皇族が旧宮家出身の男系男子と結婚する場合のみ、夫と子も皇族と認めると主張した。

 また、5月に開かれた自民党の「安定的な皇位継承の確保に関する懇談会」(麻生氏自身が会長)では、従来の方針通り、「男系継承による万世一系を維持・尊重する」と発言している。

 この自民党案に、公明党、日本維新の会、国民民主党はおおむね賛同している。

■旧宮家からの養子案は一時しのぎの弥縫策

 このような経緯を見れば、敬宮愛子内親王が皇位継承順位第1位の皇太子となり、次期天皇として即位されることはほぼないと言える。

 自民党が突如考えを変え、皇室典範の「男系男子」を「直系直子」と改正すれば別だが、そんなことはありえないだろう。

 よってここで言えるのは、現在の改正案、とくに旧宮家からの養子案は一時しのぎであり、結局、男子が生まれなければ同じこと。本質的な解決にならない弥縫策、先送りに過ぎないということだ。

■国民世論を考慮しない皇位継承の行方は?

 皇統の安定的な維持には、まず、男か女かという性別にかかわらず直系第一子が継承するというのが、もっとも合理的かつシンプルな解決方法ではなかろうか。

 男系か女系かという議論は棚上げしてもいいが、天皇になられるのにふさわしく、国民の敬愛を集める直系のプリンセスを、ただ女性であるという理由で除外してしまうのは、多くの国民が納得できないだろう。

 国民世論を考慮しない皇位継承は、国民を分断させ、皇室不要論へとつながる。そして、国家そのものを危うくさせる。輝く日本の復活のためにも、敬宮愛子内親王が次期天皇になられることを切に望みたい。 

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作家、ジャーナリスト

1952年横浜生まれ。1976年光文社入社。2002年『光文社 ペーパーバックス』を創刊し編集長。2010年からフリーランス。作家、ジャーナリストとして、主に国際政治・経済で、取材・執筆活動をしながら、出版プロデュースも手掛ける。主な著書は『出版大崩壊』『資産フライト』(ともに文春新書)『中国の夢は100年たっても実現しない』(PHP)『日本が2度勝っていた大東亜・太平洋戦争』(ヒカルランド)『日本人はなぜ世界での存在感を失っているのか』(ソフトバンク新書)『地方創生の罠』(青春新書)『永久属国論』(さくら舎)『コロナ敗戦後の世界』(MdN新書)。最新刊は『地球温暖化敗戦』(ベストブック )。

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