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高橋浩祐

米外交・安全保障専門誌「ディプロマット」東京特派員

「日本から世界へ」をモットーに対外発信に注力。英軍事週刊誌「ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー」前東京特派員。令和元年度内閣府主催「世界青年の船」日本ナショナルリーダー。米ボルチモア市民栄誉賞受賞。ハフポスト日本版元編集長。元日経CNBCコメンテーター。1993年慶応大学経済学部卒、2004年米コロンビア大学大学院ジャーナリズムスクールとSIPA(国際公共政策大学院)を修了。朝日新聞やアジアタイムズ、ブルームバーグで記者を務める。Naval NewsやNK News、Nikkei Asia、世界の艦船、軍事研究、東洋経済、週刊文春、英紙ガーディアン、ストレーツ・タイムズ等に記事掲載。

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    見解トランプ政権が始めた「プロジェクト・フリーダム」は、ホルムズ海峡の航行支援を通じて海上輸送の安全確保を目指す一方、イランに対しては強い軍事的圧力をかけるという、極めて矛盾を抱えた政策だった。実際、米軍の関与拡大はイラン側の警戒や反発を強め、停戦後の不安定な状況をむしろ刺激した側面も否めない。 特に重要なのは、トランプ政権自身が「イランとの最終合意に向けた進展」を理由に短期的とは言え、船舶通過の支援停止を決めた点だ。交渉を進めながら同時に軍事的圧力を強めるのは、いわば「アクセルとブレーキを同時に踏む」ようなものであり、外交的には持続が難しいのは当然だろう。 アメリカの対イラン交渉では、イランの核問題が最大のハードルとして立ちはだかっている。

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    解説フィリピンは海軍力の増強を急いでいる。中国が軍事的圧力を強める中、南シナ海での海洋権益を守るためだ。中国海軍が空母や駆逐艦、潜水艦などを含む400隻以上の艦艇を保有するとされるのに対し、フィリピン海軍はフリゲート4隻とコルベット1隻を中核とする限定的な戦力にとどまる。 このため、フィリピンは日本の護衛艦が中古であっても能力向上に資する現実的な選択肢として注目。あぶくま型護衛艦の取得に強い関心を示してきた。 あぶくま型は基準排水量約2000トンの小型護衛艦で、1989年から1993年にかけて6隻が就役し、艦齢は30年以上に達した。対空ミサイルは搭載していないが、76ミリ砲や近接防御火器(CIWS)、対艦ミサイル「ハープーン」、対潜ロケット「アスロック」、魚雷などを備え、バランスの取れた戦闘能力を持つ。沿岸警備や対潜戦など、フィリピンのような群島国家の海上安全保障任務に適した艦艇といえる。

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    見解トランプ大統領お得意の「あと何週間」発言がまた出ました。これまでも「戦争はすぐ終わる」「数週間で片付く」といった見通しを繰り返してきましたが、現実はそう簡単ではありませんでした。 今回も「2~3週間」と具体的な数字を出していますが、軍事的な分析というより、政治的なメッセージやディールの一環と見るべきでしょう。「時間は重要ではない」と言いながら期間を区切るあたりにも、一貫性より交渉優先の姿勢がにじみます。 イランに濃縮ウランの引き渡しを迫る以上、短期間で事態が収束する保証はありません。むしろ、こうした「楽観的すぎる予測」を繰り返してきた過去が、トランプ大統領の発信への信頼性を損ねてきた側面は否定できないでしょう。 次はまた「あと数週間」と言うのか、それとも前提が変わったと説明するのか。いずれにせよ、この“期間付き終戦予告”を額面通り受け取るほど、国際社会は単純ではないはずです。

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    見解なぜ自衛隊は軍隊ではないとされてきたのか。その出発点は、自衛隊の前身である1950年の警察予備隊の創設にさかのぼる。朝鮮戦争を受け、日本は再軍備を迫られたが、憲法9条は「戦力の不保持」を定めていた。このため、警察予備隊は実態としては軍事組織でありながら、「警察」の名目で設計された。 この時点で憲法と現実の乖離が生じた。これを埋めるために自衛隊は「自衛のための必要最小限度の実力組織」であり、憲法が禁じる「戦力」に該当しないとする解釈が長年積み重ねられてきた。 しかし、防衛力強化が進む中、「自衛隊は軍隊ではない」と維持し続けることは、対外的な説明の面でも難しくなっている。日本にリーガルマインド(遵法精神)があるならば、現実に即して「自衛のために国防軍を保有する」と明記する改憲を検討すべきではないか。自衛隊を軍隊として位置づけることで、逆に政府による解釈改憲の余地を狭めていく必要がある。

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    見解今回明らかになった英政府の公電は、日本の非核三原則が「原則」と「実際の運用」で食い違っていた可能性を示している。核を持ち込ませないとしながら、冷戦期には核搭載の可能性が高い米空母が寄港してきた。この点に英国が疑問を抱いたのは自然だろう。 一方で、英国が寄港を断念した事実は、三原則が一定の歯止めとして機能していたことも意味する。重要なのは、原則を変えるかどうか以上に、その運用をいかに誠実かつ分かりやすく国民に説明できる形にするかだ。過去の密約も含め、曖昧な運用を放置してきたことこそが、核問題をはじめとする健全な国防議論を妨げているのではないか。

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    見解高市首相は2月の衆院代表質問で、国民民主党の玉木雄一郎代表の問いに対し、自衛隊は憲法9条2項の「戦力」に当たらないとの政府見解を維持した。一方で改正には強い意欲を示す。 しかし、約22万人規模と先進装備を有する実力組織を「戦力ではない」と説明し続けるのは無理がある。いずも型護衛艦の軽空母化や長射程ミサイル配備、防衛費増額などで防衛力は格段にアップし、集団的自衛権の行使容認も含め、「専守防衛」の解釈も広がってきた。厳しい安保環境への対応は不可欠だが、解釈改憲の積み重ねは限界に近い。憲法と現実の乖離を直視し、9条をどう見直すのか、国会で真正面から議論すべきだ。 詳しくは、本日、東洋経済オンライン配信で、Yahooニュースにも転載された拙稿の「憲法9条と現実の乖離はどこから始まったのか――占領期の再軍備証言が暴く『ねじれ』と日本の安全保障の原点と限界」をぜひお読みください。

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    補足1950年の警察予備隊創設の実務担当者だったコワルスキー大佐の回顧録を読むと、憲法9条の「平和主義」と現実の安全保障の乖離が、朝鮮戦争という緊急事態の中で「例外的措置」として始まったことがよくわかります。9条と自衛隊の「ねじれ」は占領期から始まっていました。 コワルスキー氏は回顧録の中で次のように指摘しています。 「伝統的にいって、一国の憲法は神聖な文書である。時には不評な法律に固執しないことが、便宜上望ましいことがあるが、憲法には改正というプロセスがあって、是正されるようになっているのである。したがって憲法の改正を行なわず、憲法を真向から侵して行なわれた日本の再軍備は、法について扱いにくい問題を残し、根本的な疑いを起こさせたようである。」 70年以上経った今も、この根本的な疑いは解消されていない。その指摘は、現在にも重く響く。

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    見解2月28日の米国とイスラエルによる対イラン攻撃以前、ホルムズ海峡は普通に開放されていた。今回のイランの提案は、米国とイスラエルによる攻撃の停止と引き換えに海峡を再開放するというものだが、これではトランプ政権が軍事行動に踏み切った開戦の意義そのものが問われかねない。提案を受諾すれば、結局は攻撃前の状態に逆戻りするだけであり、文字通り「元の木阿弥」となる。 トランプ政権にとって重要なのは、単なる現状復帰ではなく、イランの核問題でオバマ政権時の合意を上回る成果を得ることにある。そうでなければ、軍事行動の正当性を国内外に説明できず、とりわけ国内では政治的に厳しい立場に追い込まれる可能性がある。 確かに今回の提案は停戦の糸口ではある。しかし同時に、「核問題の前進なくして、米国民に何を成果として示せるのか」という問題がトランプ大統領の不満の背景にあるとみられる。そのジレンマが浮き彫りになっている。

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    見解注目すべきは、イラン情勢をめぐる欧州側の発言や対応がトランプ大統領の不興を買い、兵力配置の見直しに直結している点だ。従来のように「安全保障は政治的対立と切り離して維持される」という前提は崩れつつある。 一方で、ドイツのラムシュタイン空軍基地のような戦略拠点は維持される見通しで、米国が欧州から手を引くわけではない。むしろ関与の度合いを選別する「選択的関与」へと移行しつつあると見るべきだろう。 問題は、この変化に欧州がどこまで対応できるかだ。ドイツは国防費増額に踏み出しているが、それが戦力として結実するには時間を要する。短期的には、抑止力の空白や不確実性の高まりは避けられない。 今回の決定は、NATOの「欧州の柱」を現実の課題として突きつけると同時に、米欧関係がより取引的な性格を強めていることを示している。日本にとっても、同盟の前提が変わりつつあるという点で、決して対岸の火事ではない。

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    見解その中国は核戦力の増強を急速に進めている。2025年9月に北京で行われた軍事パレードでは、地上発射型大陸間弾道ミサイル(ICBM)、潜水艦発射型大陸間弾道ミサイル(SLBM)、空中発射弾道ミサイル(ALBM)といった、核弾頭搭載が可能な陸海空の「核の三本柱」(Nuclear Triad)を内外に大いに誇示した。一方、日本は非核三原則を堅持しており、核戦力という選択肢を持たない。何をか言わんやである。

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