1500万円かけた給油設備に軽油届かず――運送業者がスタンド巡り 「元売りは直系優先、仕方ない」と販売関係者 燃油サーチャージ法制化求める声も
中東情勢悪化による燃料費高で、鹿児島県内の運送業が一般車両中心のガソリンスタンド(GS)で給油し始めている。自社敷地内にある給油設備(インタンク)への軽油供給が滞っているからだ。県トラック協会は「物流を維持するために国や自治体は何かしらの支援を」と訴える。 4月下旬、鹿児島市卸本町のガソリンスタンド「Misumi鹿児島支店」にトラックが入ってきた。川畑貴也店長(32)は「3月頃からトラック運転手の来店が増えた」と話す。給油した運転手はインタンクに軽油が供給されなくなったといい、「給油できるスタンドを調べて輸送経路を考えないといけない」と表情を曇らせた。 ■ ■ ■ 県トラック協会によると、規模の大きい業者ほどインタンクを備える。インタンクを施工する鹿児島市の第一興業開発の時田謙社長(61)は「建設費用約1500万~2000万円のほか、危険物取り扱いの資格者が必要」という。設備投資は必要だが、元売りが取引先に販売できなかった余剰分や、海外で精油された軽油を安価に仕入れられるなどのメリットがある。
軽油1リットル当たりの価格は現在、2月に比べ20円程度高い。インタンクだと平均で1リットル当たり約5円節約でき、運送業にとっては割安感から無視できない。 だが、中東情勢の悪化で風向きが変わった。県内の軽油販売関係者によると、どの元売りも供給への不安を抱えており、運送業者への提供を絞らざるを得なくなっている。「(業者への提供より)直系のスタンドを優先するのは仕方がない」と話す。 ■ ■ ■ 鹿児島市の昭和貨物はインタンクとスタンドを併用する。加納潤一社長(67)は「インタンク用の軽油を買えてはいるが、最近は仕入れの見積価格が示されず、後決めばかり」とこぼす。今後を見据え、割引があるスタンドの給油カードを作ったという。3月からスタンドのみの利用にした同市の三九運輸も各種カードを増やして備える。 日置市の橋口ホールディングスは自社タンクローリーでインタンクへ軽油を運ぶ。単価を抑えられているものの「仕入れ先から見積もりを得られないこともある」と不安視する。
県トラック協会は4月3日、燃料安定供給に関する要望書を塩田康一知事に申し入れた。鳥部敏雄会長(69)=セイコー運輸社長=は「ピーク時から軽油価格はある程度改善した」というが「運輸業など公共性が高い事業への支援がおろそかではないか」と政府の支援のあり方に疑問を呈す。燃油価格に応じて運賃を上乗せする燃油特別付加運賃(燃油サーチャージ)の法制化など経済の生命線ともいえる物流を支える仕組みの改革を求める。
南日本新聞 | 鹿児島