ふざけんな、ありがとう、いびつな人間讃歌の輝きと悪癖 「アギト -超能力戦争-」
こんな感じで来るとはねーーー、いや楽しめたけど、楽しめたけれども、およそファン以外にも広く開かれた作りでは全くないんじゃないだろうかこれは
あくまでも本編ありき、なんなら当時の劇場版ありきという意味では金のかかったおまけ映像くらいの内容とも言えるわけで、オタク接待に振り切ったファンムービーなのは否めない
いやそれがダメだとは言っていないしむしろ大歓迎な側面もあるんだけど、、、このめんどくささと憎めなさ自体がアギト的と言えるかもしれないな
今回の映画およびアギト展に向けて、10年ぶりくらいかな〜テレビ本編・当時の映画「Project G4」・テレビスペシャルを全て見返したんです
これがもう、井上敏樹脚本ということを踏まえての鑑賞が初めてだったもんで、その緻密さ・大胆さ・無茶苦茶っぷりに驚かされまして
なけなしの正義と勇気で一歩ずつ進んでいく、不器用で変な人たちのあたたかい群像劇で見事なヒューマンドラマでした
劇場版もしっかりシリアスで良い!子どもには少し怖いくらいのどっしりとした緊迫感、多くは語らない映画的演出の豊かさなど、こういう路線で令和の今も映画作ってみてほしいなと思わされる作品だった
そんなこんなで今回、予告の段階ではけっこう期待度も高かったわけですが
いざ観てみると悪ふざけの極地みたいなコメディ要素とひたむきな人間ドラマを両立させる、体幹どうなってるんだみたいなアクロバティックさはテレビ本編以上の高低差があって、改めて井上敏樹脚本の破壊力と優しさを感じる映画でした、、、そして思った以上にいつもの東映特撮
とはいえ2026年に作られる映画としてはちょっとあまりにも、倫理観やモラルの線引きが勢い任せすぎてノイズはけっこう多かったな〜
ギャグとしての色じかけはともかく、小沢さんの見た目や年齢にまつわる一連のあれは普通に面白くなかったし
そういった粗とかアンバランスさを極力廃したマーケティングがひとまず大勝利、なのは間違いないと思います
なんだかんだ言ってもラスト、氷川さんと豆腐に関するあの場面で心わしづかみにされちゃったもんなーー!人間の進化や成長って本来きっとああいうものであって
というか氷川さん・小沢さんは全編通して素晴らしかった!演じるお二人の演技スキルが当時よりも圧倒的に高い、それでいて連続性も感じさせる見事なたたずまい
セリフのキレも相まって、このふたりがスクリーンを独占してたといっても過言ではないな
ゲストキャラで出演のゆうちゃみはいくらなんでも演技が下手すぎたけど、セリフとキャラ設定の腕力でしっかりチャームのあるキャラクターになってた
もちろん北條さんや翔一の魅力も健在、オリジナルキャストで固めるというのはやっぱりメリット大きいね
G3とG3-Xがバイクで出動するシーンの悪い冗談みたいな合成とか、仕上がりの厳しい場面はまぁ複数ありつつ、全体的なルックはかなり頑張っている方じゃないだろうか
超能力者が卓球&電撃で人を殺す??とか、そういうトンチキ描写もてんこ盛りでありながら、けっこう大勢の市民が惨殺される深刻な話でもあって
それにともなってライダーたちの戦いも当然緊迫感が増すというものなんだけど、ここらへんがね〜〜この作品で特に乗れなかった部分で!同じこと思った人も多いんじゃないかな、いくらなんでもっていう
テレビ本編では明確に人間ではない化け物としてのアンノウンが出てきて、そのアンノウンは積極的に人間を殺す存在なので、ライダー側もある種無条件に戦って殺していいというバランスにはなってるんです
ところが今回、敵にあたるギルアギトは人間が超能力を得て姿が変わってるだけなので、「殺していい対象」とみなすにはいくらなんでも人間すぎるんですよね……
いやもちろん彼らは悪意をもって市民を惨殺して回ってるんだけど、であればなおのこと法で裁くべき対象なわけで
よりにもよって人間代表の氷川誠がそれを割とあっさり殺す、そのあとも大して苦悩せずみんなどんどん殺しまくる、これはさすがにもっと他にやりようなかったかね?????
せめて爆発したら人間に戻りますくらいの理屈はいくらでもつけられるだろうに
その線引きに納得しづらいせいで、くだらなさ・コミカル描写とは全然別問題として話に乗れない展開が後半はかなり多かったです、よりによってアギトで人間をこんな扱いするなんて、さすがに
で、その流れがあるので、木野さんの巨大化・モンスター化も別に気持ちは盛り上がらなくて
そうでなくても結局またいつものライダー映画、やりたいことに技術や予算が追いついてないチープなアクションシークエンスに成り果ててしまっているという見せ方のまずさもあって、だいぶ拍子抜けのクライマックスでした
世代のせいもあって、あの手の巨大クリーチャー戦にワクワクしたこと本当に一回もない気がするんです
ほんと毎回がっかりするし安っぽい、例えば『運命のガイアメモリ』なんかはストーリーの積み上げでしっかり盛り上げた良い例だと思うんだけど
まぁもちろん木野さんはデザイン面ではね、シャイニングフォームのその先にはああいう化け物になる未来もあるっていうのはグッときたりもしたけれども
最終的に氷川さんがあれほど体を張る理屈もよく分かんなかったし(もう少し他の倒し方も全然ありそう)、アギトのエネルギーを借りてのキックならそれって劇中で言うところの「人間」の力で倒すというカタルシスでは全然ないだろうし
個人的に氷川さんのライダーキックを見たい!とか思ったこと自体なくて、なんかまぁ、嬉しい人には嬉しいんだろうなくらいの感じでした
このあたりを予告で見せないのは単なるサプライズ目的だけではないんだろうな〜と、そう思わずにはいられない
どうせならもっと違うところにお金かけてさ、映画としてきっちり残る本気のものを作ってみるのもいいんじゃないかなと思うけど、まぁ難しいんだろうな…
でもまぁファンサービスもできる限り自然な形で組み込みつつ楽しいサスペンス構成だったり、そもそも映像の質感がけっこう厚みのある感じでなかなか高級感ある(全部じゃないけど)のも考えると
たくさんの人が頭をひねって魅力的な続編を作ろうとしてるのはビシビシ伝わってきたし、うまくいってない部分も含めて今後のライダー映画に期待したいなとは思いました
今回は割と、というかけっこう変な味わいで、アギトの原液を煮詰めて飲み干した夜に見た悪夢みたいな映画だったけど
とはいえエッセンスはしっかり入ってて大満足でもある、私たちはいつも敏樹にぶん回されている
やっぱりあのラストがあればこそ私はたぶんこの映画を何度も観ちゃう気がするし、作りはどうあれ人間讃歌としてのアギトが好きだな、と改めて思えるくらいには楽しみました
とにかくこの機会にアギトの魅力をたくさん知れたことはすごくよかったな〜というのもあるので、お祭りとしては楽しい鑑賞体験だった、初日ということもあってか客席の熱量もかなりのものだったし
でももう本当にあの手の巨大クリーチャー戦はやめた方がよくない??どうなんですかね、子どもは喜ぶんかねあれやると



コメント、失礼します! 僕は今回の『アギト 超能力戦争』には、どっちかと言うと否定寄りなんですが、やっぱりギルアギトを殺しちゃってOKにするのは、ちょっとなあ。引っかかりますね。 今回の映画の最大の収穫は、TVシリーズを改めて見直したら、メチャメチャ面白いのを再確認できたことでし…