アギトー超能力戦争ー 感想
はじめに
いがと申します。毎日映画を1本以上観る生活を続けてもう1000日になります。洋画ではクリント・イーストウッド監督の作品を最も好み、邦画では是枝裕和監督の作品をよく観ます。知名度はそこまで高くないかもしれませんが、「エニグマ奪還(原題:Enigma)」や「穴(原題:Le Trou)」といった映画が大好きです。
ちなみに平成ライダーのDX変身ベルト クウガ〜ジオウ全部持っています、当然アギトも。
尺の使い方
全体的に上映時間が長いため期待していたが、実際には捜査パートや展開を追うシーンなど、冗長な場面がかなり多く、正直この尺をフルに活かせていたとは思えなかった。
氷川誠の刑務所設定
氷川誠が刑務所にいるという設定には素直に驚いた。事前情報がなかったので「どうなるんだ」という緊張感があったし、刑務所という異質な環境に氷川を置いたことで生まれる空気感や化学反応は面白かった。ただ、メタ的に見ると、透明化能力を持つ男を仲間に引き入れるためだけのプロットでしかなく、後々それが最終局面にどうつながるかといえば「氷川誠が刑務所にいたからあの最悪なラスト」に繋がるので、そこだけは肯定しきれなかった。
不可能犯罪の導入と真相
冒頭に、半身だけが凍結し半身だけが燃焼した死体が発見され、25年前に途絶えた不可能犯罪との関連性を疑うという導入自体は良かった。しかし蓋を開けてみれば、木野薫が復活させ、意図的にアギト因子を注入して生み出した超能力者たちの犯行だった。超能力者の第一犯行を不可能犯罪として見せかけたメタ的な構造がどうにも気になった。都合が良すぎる。たとえば電撃による殺人事件が最初の事件として起きていたら、「これはアンノウンの仕業です」とはまず言われなかったはずだ。
キャストと演技
ゆうちゃみさんについてはあまり存じ上げないが、率直に言って演技が上手くなかった。冒頭の口汚い台詞回しなどは特に厳しい。葵るり子という警察官の設定自体は好きだったが、純粋に演技力が足りておらず魅力を損なっていた。加えて、Gユニットの装着員同士が「〇〇くん」「〇〇くん」と互いにしつこく呼び合う描写が非常に不快だった。これこそノイズであり、不要な要素だ。
超能力者のバーゲンセール
本編では「人類はアギトに目覚めた者とそうでない者に分かれ、対立するかもしれないし、共存に至るかもしれない」というテーマを提示して幕を閉じていた。しかし本作では、超能力に目覚めた者たちが反抗的な態度を取り、まるで自分が神にでもなったかのように力を振るう。その結果、アギト側が淘汰されるというよりも、人類が淘汰される未来が見える展開になっていた。また、北條透のようなキャラクターまで軽い調子で超能力者になっており、雑な超能力者のバーゲンセールだと感じてしまった。ゆうちゃみ演じる葵るり子まで超能力者に変身させる必要があったのだろうか。トリニティフォームの猿真似をしたかっただけではないのか。
G7のデザイン
事前にネットで公開された情報ではG7の評判が微妙だったが、実際に映像で見るとめちゃくちゃかっこよかった。過去の平成ライダー周年記念作品の焼き直しを例に挙げると、ネクストファイズやネクストカイザは最低の評価だったと記憶している。しかしG7は正統な後継機として素直に受け入れられた。当初は否定的な意見を持っていたが、実物の映像は本当にかっこいい。外してはいけないところを外していないという点で、素晴らしいデザインだった。
G6のデザイン
反面、G6はやや微妙だった。女性的なフォルムを前面に出したデザインは、ファイズのときにも感じたことだが、リメイクデザインとしてあまりしっくりこない。もう少し改善してほしかったが、まあ些末な点ではある。そこまで気にしなくてよいだろう。
津上翔一の変身設定
津上翔一がアギトの力を失っていたという設定だったにもかかわらず、気合いで変身できてしまったのは正直かなり詰めが甘い。それなら最初から「力がなくなったようです」とわざわざ明言しなくてもよかったし、「変身できないかもしれません」程度に濁しておけばよかったのではないか。
最大の問題点:脱獄と自首
本作最大の問題点は、勧善懲悪の倫理観にある。もともとアギト本編でもG3トレーラーを無理やり動かしたり、倫理的に怪しい行動はあったが、今回は氷川誠が刑務所に入っているという都合上、それを脱獄させるという展開を主人公側や小沢澄子にやらせている。これがかなりきつかった。結局、脱獄を手伝ったせいで、ラストは全員で自首するという展開になっている。あれほどかっこよかったヒーローたちが、かなり重い罪を背負って服役するという結末は、復活のコアメダルほどではないにせよ、ショックを受ける内容だ。これを素直に受け入れてほしいというのは無理があるし、どう考えても前科者確定という着地は気分が悪い。本編で翔一が数日間拘束された程度の話とはまったく次元が違う。笑えないし、前向きにもなれない。全員で楽しく自首するような空気を作り出してはいるが、それは制作陣が空回りしているだけだ。
超能力者の殺害を肯定する倫理観
また、ギルアギトや超能力に目覚めた者たちを殺害してよいという判断がまったく理解できない。氷川誠が殺害を止めようとする方がまともな感覚であるにもかかわらず、それを否定する北條透をはじめとする人々の思考回路が理解不能だ。彼らはアギト因子に目覚めたとはいえ、ただの一般市民であり、法治国家において裁きを受ける前に殺してしまうというプロセスに何の抵抗もない人々が恐ろしい。脱獄を気軽に手助けしてしまうキャラクターたちよりも、むしろこちらの方が恐ろしさを感じる。そんな気軽に人を殺してよいのか。アギト本編ではアンノウンしか殺していなかったから感覚が麻痺しているのかもしれないが、人を殺すのは犯罪だ。
総評:3.0点
オリジナルキャストの再集結は、焼肉屋の店長さんなども含めて25周年記念作品として嬉しかった。しかしラストだけはどうしても変えてほしかったし、脱獄という要素は排除すべきだった。それさえなければファンとして4.5点をつけたいところだが、本筋の話がどうしても受け入れられないため、3.0点の評価としたい。氷川誠が冤罪であることは作中で明らかなのだから、テンポよく正当な手続きを経て釈放するなり、警視正権限で身柄を解放するなり、いくらでもやりようがあった。ああいうラストを描くことが最初から前提として決まっていたから、脱獄という展開を抵抗なく盛り込めたのだろうと思えてしまう。




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