進(拼音:jìn)は、中国語の第一級通用規範漢字(常用字)である。この字は殷代の甲骨文に初めて見られる。古代の字形は「隹(zhuī)」と「辵」からなり、会意文字である。「隹」は鳥を指し、「辵」は行動に関連することを表す。「進」の本来の意味は上方へ移動すること、または前方へ移動することである。朝廷に出仕して官職に就くことへと意味が拡張され、さらに使役用法として、上位の者に対して何かを献上することを意味するようにもなった。また、人物を推薦すること、進言すること、物品を献納することも指す。さらに、財物などが下から上へ納入・収入されることへと意味が広がり、後に広く収入全般を指すようになった。また、ある範囲に入ることを指し、古い様式の住宅の前後にある区画(建物の列)を表すこともある。
字形変遷のフローチャート(文中の番号はこの図の該当文字を参照)
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甲骨文の「進」は図1のように書かれ、上下二つの部分から構成される。上部は鳥を表す「すい」、下部は足を表す「止」で、足の指は上を向いている。鳥は後ろに歩くことができず、前に歩くか跳ねて進むか、または木に登ることしかできない。したがって、この字は前進する意味を表している。
金文 (図2)は甲骨文を基に、左側に道路を表す部首「彳」を加えたが、文字が伝える意味は甲骨文と同じである。
小篆 (図4)は金文を基に調整され、「彳」と「止」を合わせて「辵」(音chuò)とし、右側を「隹」とした。隷書では「辵」が「⻌」と書かれるようになり、筆画は平直になった。新中国が公布した『
簡化字総表 』は、現代の大衆が創作した「进」を採用して「進」に代わる規範字とし、会意構造の代わりに形声構造とした。「⻌(辵)」が形符として意味を表し、「井」が声符として音を表す。
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『
説文解字 』は「進」を形声文字としている:辵に従い、閵(lìn)の声を省く、と。『説文』によれば、「閵」はある種の鳥である。「進」の古文字形を見ると、『説文』が言及する「閵に従う」という構造は見られず、『説文』の「閵の声を省く」という説は正しくない恐れがある。
「進」の本義は前進を表す。『儀礼・士冠礼』には「進みて命を主人に受く」とある。ここでの「進」は、前に進み出る、前進するという意味である。古代、臣下は上司の前に出て仕事の状況を報告し、皇帝の前に出て個人的な考えを述べたり貢ぎ物を献上したりした。このため、「進言」「進諫」「進貢」などの表現が生まれた。ここでの「進」はいずれも、前に進み出る、近づくという意味である。進言や進諫が人事に関わる場合、「推薦、推挙」の意味を持つようになった。例えば、『周礼・夏官・大司馬』に「賢を進め功を興し、以て邦国を作す」とあるのは、賢能な者を推薦する意味である。また、「進」自体に登るという意味があることから、転じて「昇進、抜擢」の意味を持つようになった。例えば、『尚書・君陳』に「其の良を進め、以て其の或は不良なるを率いん」と記されているのは、賢良な者を抜擢・昇進させて後進を率いさせるという意味である。
進むとは前に進むことであり、前に進むには必ず目的地があり、どこかに到達することを期待する。したがって、「入る」という意味が「進」の後に派生した引申義となった。例えば、『
三国志演義 』第九十五回には「今、城門を大きく開けば、我が兵若し進まば、其の計に中らん」とある。入るにも様々な段階があるため、建物の前後の区切られた空間も「進」と数えられる。例えば、『
西遊記 』第一回には「一層層なる深閣瓊楼、一進進なる珠宮貝闕」とある。
【卷二】【辵部】即刃切(jìn)
即刃切、去震精 ‖ 進声真1部(jìn)
進は、前なり。善なり。𦫵(登)なり。登なり。また姓あり、何氏の『姓苑』に出づ。
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【酉集下】【辵部】進
古文:𨙟、𨗃
『唐韻』『集韻』『韻會』『正韻』、并せて即刃切、音は晋なり。『説文』:登るなり。『玉篇』:昇るなり。『 広韻 』:前なり。『 礼記 ・曲礼』:先生に道に遭えば、趨りて進む。『礼記・表記』:君子は三揖して進む。注:人の相見るや、三揖三譲して、以て賔階に昇る。『尚書・盤庚』:乃ち其の民を登進す。疏:之を延べて前にして之に告ぐるなり。
また『正韻』にいう:薦(すす)むるなり。『 礼記 ・儒行篇』にいう:賢を推してこれを進達す。
また『正韻』にいう:つとめるなり。『 礼記 ・楽記篇』にいう:礼は減じて進み、進むを以て文と為す。注:自ら勉めて強いるなり。『易経・ 乾卦 』にいう:君子は徳を進め業を修め、時に及ばんと欲す。
また近づくの意。『 礼記 ・檀弓篇』にいう:兄弟の子は猶お子のごとし。蓋し引きてこれを進むるなり。
また進士。『 礼記 ・王制篇』にいう:大楽正、造士の秀なる者を論じ、以て王に告げ、諸(これ)を司馬に升(のぼ)す、曰く進士。注:進士とは、進みて爵禄を受くべき者なり。
また特進。『 後漢書 ・和帝紀』にいう:諸侯王公将軍に特進を賜う。注:諸侯の功徳優れて盛んなり、朝廷の敬異する所たる者に位を賜いて特進とす。
また餕(じゅん)と同じ。『 礼記 ・祭統篇』にいう:百官進みてこれを徹す。注:進は餕に同じ。
また『字彙補』にいう:尽(つ)くすと同じ。『 列子 ・黄帝篇』にいう:聡明を竭(つ)くし、智力を進(つ)くす。
また薦(せん)に通ず。『 列子 ・湯問篇』にいう:穆王これを薦す、張注にいう薦は進と作(な)すべし。
また『集韻』徐刃切。『正韻』斉進切。いずれも赆(しん)と同じ。礼を会(あつ)めるなり。『前漢書・高帝紀』にいう:蕭何、主吏となりて進を主る。注:賦斂礼銭を主るなり。師古曰く:進は本(もと)赆と作る、声転じて進と為る。
また葉(よう)して資辛切、音は津(しん)。揚子『 太玄経 』にいう:陽引きて進み、物出でて溱溱(しんしん)たり。
考証:“『唐韻』『集韻』『韻会』『正韻』郎刃切、音は晋。”謹(つつし)んで原文に照らし郎を即に改む。“『 列子 ・湯問篇』:王薦してこれを問う。注:薦は猶お進むるなり。”謹んで原文に照らし穆王これを薦す、張注にいう薦は進と作すべし、に改む。“『史記・高帝紀』:蕭何、主吏となりて進を主る。注:賦斂礼銭を主るなり。師古曰く、進は本(もと)赆と作る、声転じて進と為る。”謹んで按ずるに、引く所は『前漢書』の注に係(かか)る、則ち正文も亦た『前漢書』を引くべし。『史記』を前漢に改む。
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【規範上の注意】「⻌」(しんにょう)は3画で、第二画は楷書体では㇋(横折折撇)であり、一筆で書く。
【書き方】「⻌」(しんにょう)が左と下から「井」を包み込み、上部では「井」が高く「⻌」が低い。「井」の二つの横画は上が短く下が長く、長い横画は横の中心線上にある。縦撇は縦の中心線に沿って下へ伸びる。「⻌」(しんにょう)の第二画㇋(横折折撇)は横の中心線から筆を起こす。
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注意:方言字音の声母と韻母は国際音声記号で表記する。各方言地点の字音は、その地域の都市部における中高年層の話し言葉に基づいており、参考までとする。
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