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海茶式コード表記法 ⑤テンションコード、分数コード、4度堆積など

はじめに

こんばんは。海茶です。

今回は海茶式コード表記法解説の(とりあえず一旦は)最終回として、テンションコード、分数コード、4度堆積などのコードの記法やその他こまごまとした記号を紹介します。

今回で基本的な世の中にあるコードについてはほぼ完全に表記できるようになるかと思います。
それでは早速いきましょう。

テンションコード

まずはテンションコードについてです。

add9thはコード線終端の右下辺りに丸を書きます。
こんな感じです。

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add9thの書き方。右下に丸。

7thも含めたナインスコードの場合、7thコードにadd9thする、という考え方をします。

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7th+add9th という考え方をします。

11th, 13th…を付加する場合は右向きの鱗を縦に連ねたものを書いていきます。複数のテンションコードを使う場合は度数の低い音から順に左から書いていきます。言葉で説明するよりも図で見た方が分かりやすいかもしれませんね。

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テンションノートの連ね方。現実には13thくらいまでしかあまり目にしないと思います。

♭9thや♯9thなどテンションノートを半音上げ下げする場合は、それぞれのテンションノートの記号に小さな縦線を付加します。半音上げる場合は上に、下げる場合は下に付けます。

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テンションノートを半音上げ下げする場合。短い縦線を上下に付ける。

omit5th

テンションコードを用いる際に3rdや5thを省略することがあります。omit3rdについてはパワーコードの時にやりましたが、5thを省略する場合についても触れておきましょう。

5thを省略する場合はコード線中央に「8」のような記号を書きます。こんな感じです。

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omit5thはコード線の中央に「8」を書く。

テンションノートや、omit3rdなどと組み合わせる場合はこうなりますね。

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テンションノートやomit3rdと組み合わせた例

和音の転回形

和音の転回は、転回する数(一番下の音を上に移動する操作の回数)だけコード線終端の上側に点を打ちます。

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和音の転回形。左から第一転回形、第二転回形、第三転回形。

また、n番目の音だけをオクターブ上げする場合、数字を代わりに書くこともできます。この操作を複数行う場合、数字を小さい方から順に積み上げるように縦に並べていきます。

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2番目の音(3rd)と3番目の音(5th)をオクターブ上げしたⅠ△7の例。

なお、和音の転回を表記するかどうかは任意なので、基本的にこれらの記号については省略してOKです。

分数コード(onコード)

コードのルート音とベースの音が異なるコードを「分数コード」や「オンコード」と呼びます。クリシェなどの進行で頻出するためオンコードについても記法を定義しています。

分数コードはコード線の終端右下に、ベース音となる音の基本のトライアドの線を短く書きます。こんな感じです。

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分数コードの書き方。

テンションノートなどの記号がある場合は更にその右下に書きます。

ベース音の記号は以下の通りです。

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分数コードのベース音の書き方。

UST(コードonコード)

USTとは、コードの上に別のコードが載っているもののことです。

テンションコードと同じものととらえることもできますが、「コードの下に別のコードが付加されている」と考えた方がよい場合もあるため、そのための表記も考えました。

USTはコード線の下に低い方のコードの線を書きます。

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USTの書き方。低い方のコードを右下に書く。

但し、この書き方だと低音側の和音が基本のトライアドと同一の場合、オンコードと区別が付かなくなってしまうので、その場合は付加する和音の記号を書き始めるときに小さなループを書いてから書くようにします。こんな感じです。

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付加するコードが基本のトライアドの時はループを書いてから。

4度堆積

ルート音に完全4度(P4)のインターバルで複数の音を重ねた和音を4度堆積和音(4thbld)と言います。コードネームが余り定まっていないため様々な書かれ方がされますが、ここでは分かりやすさの観点から〇q3のような表記をします。ルートも含めた構成音の総数をqの右側に書く方法です。

海茶式コード表記法ではコード線中央に重ねる4度の音の数だけ短い横線を引くことで表現します。

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四度堆積和音の表記法。

オクターブユニゾン(addP8)

基本的に使う必要はありませんが、ルートのオクターブ上の音を重ねる場合は、上にコード線と平行な長い線を書きます。今後の拡張を考えての定義です。

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ルートの1オクターブ上の音を重ねる場合の表記。

3rdや5th、7thなどのオクターブ上の音(10th, 12th, …)を重ねる場合はルートのオクターブ上の音の線の終端上側にテンションコードで出てきた『ウロコ』を書いていきます。3rd(10th)なら丸、5th(12th)なら1枚のウロコ、…という具合です。ルート音のオクターブ上の音を除外して3rdや5thのオクターブ上の音のみを付加する場合はコード線の終端上側に直接『ウロコ』が付くようになります。

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3rdや5thの1オクターブ上の音を重ねる場合。

その他の記号類

ここまでで12平均律の一通りの和音は表記できるようになったかと思います。

ここからは和音以外の音楽的に重要な要素を記述する記号類について紹介していきます。

Key、移調

Keyは時計の文字盤に見立てた矢印の向きで表します。Key=Cなら12時の位置、Key=D♭なら1時の位置、Key=Dなら2時の位置…で12ステップで1周します。

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調を表す矢印。

基本的に海茶式コード表記法では長調と短調の区別はせず、AマイナーキーはCメジャーキーとして扱います。

Keyは後で説明するテンポ・拍子と同時に曲の始まりで表記するほか、移調する際は移調後のコードの直前に矢印を書いてどの調に移調したのかを表現します。

移調の場合、「どの調に移調したか」といった絶対的な位置よりも「どの程度の幅を移調したか」といった相対的な変化の方が音楽的に重要な意味を持っています。そのため、移調の幅を明示する場合は移調後の矢印の書き始めに、移調前の調の向きの線を短く付け足す形で書きます

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ハ長調からニ長調への移調の場合。

テンポ、拍子

どのテンポでコードが変化しているか、も音楽的に重要な意味を持っています。海茶式コード表記法では曲の始まりにテンポを表記してこれを表現します。

テンポは「¬」のような記号でコード線の1拍分の範囲を指定した上で、その上に数字を書くことで表現します。たとえば4拍子で1拍に2コードがおかれているBPM143の曲であればこんな感じです。

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テンポの書き方。

拍子は、テンポを表記する際に同時に示されるため敢えて書く必要はありませんが、明示したい場合はテンポの隣に分数の形で書きます。帯分数みたいな感じですね。

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4分の4拍子であることを明示する場合。

通常、テンポは曲の始まりに書くので調の記号と同時に書きます。

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ヘ長調の、BPM143の、4分の4拍子の曲。ⅣーⅤーⅢmーⅥmのコード進行で、1拍に2つのコードを含む。

途中でテンポが変化する場合は変化した後再度テンポ表記を書きなおします。この時、テンポが不連続に変化する場合は数字だけを普通に書き、連続的に変化する場合はBPM値の左に白抜きの右向き矢印を書きます。

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BPM143からBPM192まで不連続に変化する場合。2回目のⅣコードの部分で急激に早くなる。
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BPM143からBPM192まで連続的に変化する場合。1回目のⅣーⅤーⅢmーⅥmの部分で徐々に加速し、2回目のⅣコードの部分でBPM=192で一定になる。

速度変化後速くなったか遅くなったかも音楽的に重要な意味を持つので、これを明示する場合はBPM値の上に黒い三角を書きます。速度が上がっていれば「▲」を、下がっていれば「▼」を書きます。

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速くなったことを明示する場合。

拍子が途中で変化した場合もテンポ変化と同様に変化後の値を書きなおします。拍子の変化は常に不連続です。

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途中から3拍子になる例。

曲の区切れ

音楽にも文章と同じように一つのまとまりがあり、様々な粒度による区切れがあります。これを表現するために、海茶式コード表記法では「約物」のようなものを導入しています。

具体的には以下の通りです。

  1. 曲の「節」(1番、2番…)の区切れや曲の終わりにはピリオドを打つ。

  2. 「Aメロ」「Bメロ」や「verse」「bridge」などのひとまとまりの区間の区切れにはコンマを打つ。

  3. 2.までの区切れよりも細かく、音楽的に意味のあるまとまり(繰り返される部分など)には白抜きのコンマを打つ。

  4. 組曲などで曲自体が大きく変化する場合はコロンを打つ。ただしメドレーのように滑らかに他の曲に移る場合はコロンの下の点をカンマとしてセミコロンの形状で書く。

1.~4.までの記号の具体的な形状は下図の通りです。

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それぞれの「約物」の形状。

スケール

スケールを表現するための記号も一応用意しています。まだ色々練れていない記法なのでのちのち書き方が変わるかもしれません。書くかどうかは任意です。

スケールの記号は前回やった「チャーチモード」の記号を使用します。チャーチモードの記号を中心として、使う音・使わない音を付加したり音を半音上げ下げするといった規則を円の外側に付加する記号で表現します。

基本的にダイアトニックスケールでは7音を使用するので、円を7等分する位置に記号を書いていきます。頂点から右回りに、それぞれそのモードにおける第1音、第2音、第3音…を表します。

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スケールの記号の位置と対応する音。この場合イオニアンモードのⅠ~Ⅶまでの音が対応する。

音を使わないことを表す場合には対応する位置に小さな丸を書きます。例えば日本童謡などで良く用いられる「ヨナ抜き音階」ならこんな感じです。

ヨナ抜き音階を表すスケールの記号。

音を7音以上に増やす場合は、モードで表現した音以外に付加される音の位置に円周に垂直な短い線を書きます。通常のダイアトニックスケールにブルーノートの♭Ⅵを追加する場合はこんな感じです。

ダイアトニックスケール+ブルーノート

クロマチックスケールならこんなふうに書けますね。

クロマチックスケール。

音を半音上げ下げする場合は半音上がる部分には外向きの矢印を、下がる部分には尖内向きの矢印を円に接するように書きます。つまり、ホールトーンスケールならこうなりますね。

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ホールトーンスケール。

和音の連続的な音程変化

和音がピッチベンドなどで連続的に変化する場合、コード線に交差するように右斜め向きの矢印を書きます。音程が低いところから上がる場合は右肩上がりの、高いところから下がる場合は右肩下がりの矢印を書きます。

こんな感じです。

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和音の連続的な音変化の表現。

より詳細にピッチベンドの変化の大きさを表現したい場合、1半音を100等分した「セント」という単位でその大きさを矢印の根本に書くこともできます。

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半音上/下の音から連続的に変化する場合。

正直、この表記については音楽的にもあまり大きな意味はなく、装飾的な意味合いしかないです。なので将来的に廃止するかもしれません。

おわりに

以上、海茶式コード表記法の解説でした。かなり長い解説になってしまいましたがこれで現状考えている部分については紹介しきれたかなと思います。ここまで読んでいただいたみなさん、お疲れ様でした。

今回で殆どの曲におけるコード進行を表現可能となりましたので、一旦海茶式コード表記法の解説は終わりにします。

将来的に、非12平均律の世界の音楽を表現したり、ドラムなどの表現や音の強弱、メロディーなんかも表記できるよう拡張しようと思っています。

海茶式コード表記法はまだ誕生したばかりの記法なので今後も色々改訂していくかもしれません。その際はNote記事にてまた報告いたします。

今後は解説系記事以外にも色々な日々の関心ごとや好きな音楽についての話をゆる~く書いていこうかな、と思っています。

それではみなさん、またいつかお会いしましょう。
海茶でした。


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