P「この先、俺のほうが足を引っ張りそうで怖くなっちゃうな、はは」←このセリフを言わせてください
オタクとの文字書き練習です。
テーマはタイトル通りです。
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アンティーカがデビューしてから二ヵ月が立った頃。
彼女達に雑誌取材の依頼が来た。アンティーカとしては初めてのピンナップ付録付きだ。
これまで様々な取材を受けてきたがどれも付録として大々的に取り上げられることはなかった為、プロデューサーとしては彼女達の成長を感じられていてとても嬉しい。
早速チェインでアンティーカへ情報を共有する。
『みんな!雑誌の取材が決まったぞ!掲載雑誌はあの月刊アイドライブだ!そして極め付けはみんながピンナップの付録になるそうだ!』
『え~~~!Pたんそれ本当?!月刊アイドラと言えば、アイグラの次に有名なアイドル雑誌じゃん!』
やはりアイドル関係の話になると結華の反応は早く、ものの数秒でその反応が返ってきたものだから少し笑ってしまう。
『三峰、興奮しすぎ、画面から声が聴こえてきそうなんですケド』
『私としては結華が興奮するのも少しわかるな。やはり有名な雑誌に載せて貰えるというのは名誉なことだし付録として形に残るものがファンの皆の手元に届くことはとても嬉しいことさ。』
『ふふーん!今から楽しみになってきたとよ!』
『みんながんばろうね^^』
次々と矢継ぎ早にチャットが更新されていく。
みんなのファーストインプレッションは好評だった。
『みんな当日は頑張ろうな!詳細は明日事務所で話すよ』
『はい!』
『はーい』
『了解した。』
『まかせとって~!』
『^^』
そうして入念な打ち合わせを行ってからピンナップの撮影当日を迎えた。
テーマは、アンティーカの喜怒哀楽。
いつもステージ上では笑顔を見せている彼女達がこの四つの感情を表現したらどうなるのか、というテーマだった。
このテーマをもらった時、正直虚を突かれた。俺の記憶の中のアンティーカはいつも笑っていた。二ヵ月という短い期間ではあるが彼女達の傍にできる限り居たはずなのだが、俺は彼女達の負の感情の面は見たことがなかったのだ。
「それでは撮影はじめま~す!」
「アンティーカさん入られまーす!よろしくお願いしまーす!」
「よろしくお願いします!」
スチームパンクなステージ衣装とは違う、煌びやかなクラシックドレスを身に纏ったアンティーカの五人は今や立派な中世貴族の令嬢だった。
「それじゃあ皆さん!手始めに良い笑顔よろしくお願いしますよ!」
アンティーカ全員の返事を号令に撮影が開始した。
まずは喜の表情。見慣れた笑顔から、贈り物をもらった時の照れ笑い。良いことがあったことを人にばれないように溢す笑顔まで。バリエーション豊かな笑顔はアンティーカが五人ユニットであるが故の強みだった。
「喜の表情オッケー!休憩挟んだら次は怒ってもらうからね!アンティーカちゃんはフラストレーション溜めといて!」
カメラマンのその冗談で撮影スタジオは急に笑い声で包まれた。
これは喜怒哀楽の中の喜と楽、どちらの部分になるのだろうか。
そんなことを考えているとアンティーカが走ってこちらに向かってきた。
「みんなよかっ……」
「Pたん!それはちょっとストップ!」
「え?ど、どうしたんだ?」
「や、次のテーマ、おこなんで」
「怒らせて、ほしくって……!」
「ムカ~ってさせてほしか~!」
「む、ムカっ?!」
「プロデューサーの言葉で私達を怒らせてほしい。これは貴方にしかできないことなんだ」
フラストレーション溜めといて!
頭の中でカメラマンのその言葉が反響する。
ま、まさか冗談を本気で受け取ったのか?!と口に出してしまいそうだったが、ぐっと堪える。
違う。彼女達は本気なのだ。この撮影のテーマ、そのものに。
全身全霊で挑んでいるのだ。そこに冗談なんてものはない。
ならばこちらも本気で向き合わなければ。
社長の声を思い出しながら少し声色を下げて言う。
「さっきの撮影、全然良くなかったぞ。恋鐘はいつも見せてくれる笑顔よりずっと固かった。結華は表情が浸りすぎてて逆に不自然になっていた。摩美々もっと心から笑えるのになんで手を抜いてるんだ。咲耶これはモデルの仕事じゃないアイドルの仕事なんだぞ、もっと可愛く笑ってみてくれ。霧子もっともっと表情を前に出してくれ今のままじゃ全然伝わってこない」
そうそっぽを向きながら褒め言葉として言おうと思っていた言葉を全てひっくり返して伝える、だいぶ酷い言い方をしてしまったような気がするがこれが今出せる俺の本気だった。
これを受けてみんなはどうだろうか、正直今は彼女達に視線を向けるのが怖くて仕方がなくて顔を向けることが出来なかった。
そして口火を切ったのが恋鐘だった。
「むっか~~!カメラマンさん!早く撮影ば始めるとよ!」
「うんうん、三峰達、今すごい良い表情とれると思います!」
「なんかぁ、ヤな感じなんでー」
「あぁ、全く……これは、久々に効いたよ」
「むかむか、です……!」
そう休憩時間を無くしてでも撮影ブースに向かって行くアンティーカ達の表情を見ることはできなかったが、その背中はとてもたくましく見えた。
俺はそんな彼女達を見て、言う。
「ははっ、このままじゃこの先、俺のほうが足を引っ張りそうで怖くなっちゃうなぁ……!」
そうして撮影はアンティーカ達の持つ本気の流れに乗って瞬く間に過ぎていった。
「アンティーカさん!クランクアップです!ありがとうございました~!」
「「「「「ありがとうございました~!」」」」」
スタジオ内は「ありがとう」という感謝の言葉が木霊し、スタッフ、アイドル共にとても良い笑顔達が沢山並んでいた。
後日、早速推敲用の献本が届いた為、事務所で一人雑誌を開き、付録のピンナップをデスク一杯に広げる。
そこには五人の見事な怒り顔が載っていた。
それを見て事務所で俺は一人呟くのだった。
「ははっ、よく撮れてるなぁ……!」
と。