台湾の外交空間、中国が圧迫 第三国の飛行情報区「武器化」
【台北時事】台湾の頼清徳総統は、22~27日の日程で予定していたアフリカ南部エスワティニ(旧スワジランド)訪問を中止した。 【ひと目でわかる】台湾・エスワティニ 専用機の飛行ルートに当たるインド洋3カ国が飛行許可を取り消したためで、いったん発表された総統の外遊がこうした理由で見送られるのは初めて。頼政権は、台湾の外交空間を狭めようとする中国が3カ国に圧力を加え、航行を妨害した新たなケースとみて強く反発している。 台湾はアフリカで唯一エスワティニと外交関係を維持しており、頼氏は国王ムスワティ3世の即位40年祝賀式典への出席などを計画していた。ところがルート上の「飛行情報区」を管轄するセーシェル、モーリシャス、マダガスカルが一度出した飛行許可を撤回した。 総統府は出発前日に訪問中止を発表し、3カ国の飛行許可取り消しは「中国当局が経済的脅迫も含む強い圧力をかけたのが原因だ」と断じて非難。台湾外交部(外務省)も声明で「中国が飛行情報区を武器化した」と批判した。 中央通信社によると、台湾当局者は中国が「債務免除撤回や融資停止」などの経済的威圧を3カ国にかけて飛行許可を取り消させたと分析している。中国側は圧力をかけたと認めていないが、中国外務省の郭嘉昆副報道局長は22日の記者会見で3カ国を「称賛する」と表明した。中国は頼政権を「台湾独立派」と敵視し、国際社会における台湾の孤立化を狙う。 台湾・成功大の王宏仁教授は「飛行情報区では犯罪の疑いなどがなければ航空機を通過させるのが常識だ。中国は航空の秩序を破壊し、国際的イメージも損なった」と指摘する。米国務省報道官はロイター通信に対し、国際航空路の管轄国の責任は「航空の安全確保であり、中国の政治的道具になることではない」と強調した。 台湾が外交関係を持つ国は、中国による切り崩しによって12カ国に減少している。頼氏はエスワティニに代理の特使として林佳竜外交部長(外相)を派遣したほか、26日公開した同国向けビデオメッセージで「どの国もわれわれが世界に貢献する努力を妨げる権利はない」と訴えた。