『神功皇后論』発売記念 小林よしのりインタビュー
第7回「古来、日本は輸入したものにそのまま全て侵されてはいない」
(インタビュアー・にしやん)
ー私、神功皇后論の中で、タラシヒメとタブラツヒメの呪術決戦の章が大好きなんです!
小林「ああ、それね!」
ーもの凄い迫力ですよね!面白くて面白くて夢中で読んじゃいました!読んだ後、まるで映画を一本見終わったかのような感覚になりました。
小林「それは描くのは難しかったですよ。呪術自体の勉強もしたからね(笑)
蛇と蜘蛛はどっちが強いのかとか(笑)
実際に蛇が蜘蛛を食う事があるのかとかね。それを調べる為に本を読んで研究をするんだ。
それでこれはあり得るな!と分かって絵にしていくんだけどね。
そういうのを描くのが上手いスタッフもうちにはいるからね。おっ!というものを描いてくるんだ。
だからその感想はすごく嬉しいね。
SPA!の連載は毎回、8頁しかないでしょ。だから難しいんだよね。昔「おぼっちゃまくん」でコロコロコミック(小学館)の増刊号の時は、50頁とかくれたからね。だから色々描けたけど、これは8頁だからね。
もっと描きたいって思う場面もあるから。
だからある意味、ネットで漫画を描くというのはアリかもしれないな、とは思うんだ。
何ページ使ってもいいし、締め切りもないし。
だって紙の媒体がどんどん駄目になっていってるからね。おまけに自主規制とかコンプラとかもあるから。
だからネットで描くっていう、その手はあるのかなって考えたりもするんだよ。どこまで冒険がやれるかなってね。」
ーやはり私が神功皇后論を読んで驚いたのは、古代は女性がリーダーである事がなんの違和感もなく普通であった事や、更に男性と一緒に女性も戦っていたというところです。ちょっと想像を超えるスケールの大きな女性像でした。
小林「そうそう。古代だったら皆んな稲作をやって幸せに暮らしていたのだと思っているかもしれないけれども、全然違うんだ。古代の人骨を見たら、矢で穴が開いてたり、そういうのは幾らでもあるんだよ。だからやっぱり戦っていたわけだよね。
しかも鉄の製造をやっていたんだよ。やっぱり戦うなら鉄剣があれば強いからね。
鉄の製造なんて、溶鉱炉を作って何千度にもして鉄を溶かさないといけないでしょう?
その技術が、大陸から入ってきたのは確かなんだけれども、その後、日本で独自にその技術が相当すごいところまで発達していったのだと分かるんだ。
古代の遺跡の中から「七支刀」なんかが出てきたりする。まっすぐの刀剣じゃなくて、七つの枝がある刀剣ね。銅鐸なんかもそう。
七枝刀なんかは、どうやら日本で作った物らしいってことも調べていくと分かるんだ。」
ー「神功皇后論」の中でも鏡が出てくる重要な場面がありますね。
小林「そう、三角縁神獣鏡だね。だから鏡でもそう。
調べていくと、どうやらそれも日本で作られた物だったらしいという事が分かってくる。
そんな古代から日本の工業技術が、やはり優れていたという事だよね。
日本人は、そういうところは本当に凄いなぁと思うね。大陸から入ってきた物を全部改良して、かなりの技術レベルにもっていくっていう。
日本人って昔からそうだったんだな、ってね。
だから日本は、輸入したものにそのまま全て侵されてはいないわけなんだ。
そのまんま侵されてるのは、シナ男系主義とか言っててるネトウヨくらいだよ!(笑)
(つづく)
バックナンバー
第1回「古代史から現れたフェミニズム」
第2回「『日本書紀』にも捏造がある!」
第3回「漫画だから描ける、古代人の感覚」
第4回「コンプラ気にして古代が描けるか!」
第5回「『神功皇后論』に仕掛けた罠!」
第6回「神功皇后の顔・作画秘話!」
雑誌文化が終焉に向かっているのなら、より可能性のある舞台に移った方がいいし、実際にその場は作ることができるのです!
神功皇后論は、さらなるステージへと発展していきます。
どうぞご期待ください!!