高市首相、「1強」確立も広がる懸念 不満募る自民、体調不安説も 首長選で敗北相次ぐ・政権半年〔深層探訪〕
就任半年を迎えた高市早苗首相(自民党総裁)は、衆院選の大勝で「1強」体制を確立した。高水準の内閣支持率を維持し、衆目の一致する「ポスト高市」候補も見当たらない。ただ、独断による意思決定を重ね、自民には不満が募る。体調不安説もつきまとう。来春の統一地方選を前に首長選で敗北が相次ぎ、地方での「高市人気」を不安視する声もある。 【写真】自民党役員会に臨む高市早苗首相ら ◇「国民は『強さ』評価」 「発足直後は少数(与党)政権で国会運営に大変苦労した」。自民の鈴木俊一幹事長は20日の記者会見で、こう振り返った。その上で、「結果が出せなければ期待は失望に変わり、支持も下がる。与党として政権を支えたい」と強調した。 党内基盤が弱い首相にとって、頼みの綱となるのがなお60%前後を保つ支持率だ。周辺は「首相の強さやリーダーシップが国民に評価されている」と分析。一時期より多少下がってはいるが、「高支持率を維持していると言っていい」(ベテラン)というのが大方の見方だ。 党内では旧派閥を核にしたグループの動きが活発化しているものの、連携には至っていない。昨年の総裁選を争った小泉進次郎防衛相や小林鷹之党政調会長は、政権内に取り込んでいる。 こうした状況の中で、不安材料となるのが首相の体調だ。睡眠時間を削って資料を読み込むことで知られる。衆院選では聴衆と握手して持病の関節リウマチを悪化させ、3月12日の衆院予算委員会は質疑を終えたのにしばらく立ち上がれず、在京イスラム諸国外交団との夕食会を欠席した。党関係者は「この政権がおかしくなるとしたら首相の体調がきっかけだ」と指摘した。 ◇「いさめる人いない」 党との関係も政権のアキレス腱(けん)になり得る。首相は党幹部にほぼ相談せず、衆院を解散。歴史的大勝を果たした後はこうした傾向に拍車が掛かる。国会対応や原油高騰対策で党内の声が反映されたケースはほとんどない。中堅は「全知全能とでも思っているのか」と眉をひそめ、首相官邸の関係者も「首相は党幹部との面会が少ない。いさめる人がいない」と指摘する。 今後、首相は「国旗損壊罪」の導入や旧姓の通称使用拡大など、国論を二分する政策の実現にまい進する構えだ。野党の抵抗が予想されることに加え、参院では与党少数のまま。党内の雰囲気を読み誤れば政権に打撃となりかねない。 ◇漂う「高市人気」 19日にはもう一つ、懸念が加わった。同日投開票された全国の市長選で、自民が推薦した10余りの候補のうち7人が落選。幹部は「地方選の敗北は候補者の問題」と予防線を張るが、閣僚経験者は「首相の政策は地方の現場に届いていないのではないか」と漏らした。同党関係者は「首相の人気だけがぼんやり漂っている」と分析する。 自民の西村康稔選対委員長は20日、首相官邸を訪れ、首相に選挙結果を報告。この後、記者団に「反省すべきは反省して体制を整える」と語った。