「結婚」というインフラに頼ってきた世界の宗教が直面する「独身者排除」の末路
独身は「信仰上の失敗」
「サーベイ・センター・オン・アメリカン・ライフ」によると、信仰共同体に所属する既婚者と独身者の割合の差は、1990年代以降、大幅に拡大している。 当時は、既婚者の71%が何らかの信仰を持っていると回答していたのに対し、独身者は64%だった。しかし2019年には、その数字はそれぞれ59%と45%にまで減少している。また、福音派キリスト教の世論調査会社「バーナ・グループ」によると、毎週教会に通うシングルマザーは4人に1人にすぎず、これはあらゆる世帯形態の親のなかで最も低い割合だという。 歴史的に既婚世帯を中心にその基盤を築いてきた宗教ほど、この変化を痛切に感じている。 夫婦向けの黙想会、ライフステージ別に構成された小グループ、子供向けプログラム、そして配偶者がいることを暗黙の前提とした指導的役割──こうしたことの積み重ねは、あからさまな排除というよりも、その組織が自らをイメージする際、「誰を主体として想定しているか」という点に如実に現れる。 2021年4月におこなわれた演説で、末日聖徒イエス・キリスト教会の当時のトップ指導者だったM・ラッセル・バラードは、成人の教会員の半分以上が独身(死別や離婚経験者を含む)であることを認め、彼らのなかには「神の計画や教会のなかで、自分たちに活躍の機会や居場所があるのか疑問に思っている」者もいると述べた。2024年7月、同教会は「若い独身成人」のカテゴリーを、18〜30歳から18〜35歳に拡大した。 福音派キリスト教では、社会学者のケイティ・ガディーニによる調査から、ある実態が浮き彫りになった。それは女性、特に35歳以上の女性たちが、「独身である」という理由だけで軽視され、指導的な立場から排除され、自尊心を失っているという現実だ。 ロンドンで開催された女性信者のためのカンファレンスで、ある出席者はその葛藤についてこう語っている。「教会の指導者から対等に扱ってもらえるよう闘い続けることに、疲れ果ててしまいました。でも、教会を去りたくはありません。いったい、どうすればいいのでしょうか」 こうした「排除」の構造は、現代の正統派ユダヤ教でも見られる。 2022年の「ニシュマ・リサーチ」の調査では、独身者はコミュニティとのつながりを感じる度合いが、どの層よりも低いことが判明した。100点満点中、既婚者が81点をつけたのに対し、独身者は69点にとどまった。 ブランダイス大学の社会学者シルビア・バラク・フィッシュマンによる2022年の報告書では、独身の信徒たちがシナゴーグの活動のなかで「無視され、透明人間であるかのように」感じており、ときには「修理を待っている欠陥品」のように扱われていると記されている。 『独身と宗教』(未邦訳)の著者である社会学者のアリ・エンゲルバーグは、私のポッドキャストに出演した際、イスラエルの保守的なユダヤ教コミュニティに所属する人々が、独身のままでいることを「信仰上の失敗」として内面化している様子を語った。この共同体は結婚を信仰生活の核心に据えているため、独身のままでいることが、期待に応えられていないという挫折感に繋がってしまうのだ。
Peter McGraw